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器物損壊事件を起こし逮捕

2019-07-31

器物損壊事件を起こし逮捕

~ケース~
Aさんは酔っぱらい、神戸市須磨区にある建物のガラス戸を何度も蹴りつけ、割ってしまいました。
ガラス戸を蹴っている様子をパトロール中の兵庫県須磨警察署の警察官に現認され、職務質問を受けました。
職務質問を受けたことにAさんは立腹し、なおもガラス戸を蹴り続けていたことから、Aさんは器物損壊罪の現行犯として逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~器物損壊罪について解説~

器物損壊罪は他人の物を損壊し、又は傷害する犯罪です。
「損壊」とは、動物以外の物の毀棄、「傷害」とは動物の毀棄を意味し、物の効用を害する一切の行為をいいます。
他人の物を物理的に破壊することはもちろん、他人の食器に放尿する行為も「損壊」に当たります。
また、他人の動物に直接怪我を負わせるだけでなく、他人の飼養する魚を養魚池外に流失させることも「傷害」に当たります。
なお、一定の動物(牛、馬、豚、めん羊など)は動物愛護法上の「愛護動物」に該当し、これをみだりに殺し、又は傷つけると動物愛護法違反の罪が成立します(動物愛護法第44条1項)。

器物損壊罪につき起訴され、有罪が確定すると、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処せられます。

今回の場合、ガラス戸を蹴って割る行為は、ガラス戸としての効用を明らかに害する行為なので、Aさんに器物損壊罪が成立する可能性は極めて高いでしょう。

~Aさんは今後どうなるか?~

警察での取調べを受けた後、留置の必要があると認められるときは、逮捕時から48時間以内に検察へ身柄が送致されます。
身柄の送致を受けた検察官においても取調べを行い、身柄を受け取ったときから24時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを起訴するか、あるいは釈放するかを判断します。
勾留を請求された場合、裁判官が勾留の要件を満たしているかどうかを判断し、要件が満たされていると判断された場合は、10日間の期間で勾留決定を出します。
やむを得ない事由があると認めるときは、さらに最長10日間、勾留の延長をすることができます。
検察官は、勾留の満期日までに、Aさんを起訴するか、不起訴にするか、あるいは処分を保留して釈放するかを決めることになります。

~身柄解放活動を弁護士に依頼する~

上記の通り、いったん逮捕され、勾留、勾留延長されると、最長23日間もの間身体拘束されることになります。
起訴され、保釈されたとしても、23日間の時間は返ってきません。

Aさんが働いている場合には、勤務先を長期間無断欠勤することになります。
23日間もの間無断欠勤を続けると、勤務先を懲戒解雇、あるいは免職される可能性が高いと思われます。
長期間の身体拘束は、Aさんの円滑な社会復帰に深刻な悪影響を与えます。
したがって、弁護士に事件解決を依頼し、早期の身柄解放を目指すことが重要です。

身柄解放活動の一つとして、家族などがAさんの身元を引き受けているとして、勾留しないよう求めることが考えられます。
勾留は、逃亡や罪証隠滅のおそれがある場合に認められます。
家族が身元を引き受けていれば、そのような行動ができないとして、勾留されずに済む可能性が高まります。

その他の身柄解放活動として、被害者と示談することが考えられます。
示談とは、被害者との間で事件解決に向けた合意をすることをいいます。
通常は、罪を認め、被害者に事件によって生じた損害を賠償することになります。
Aさんは留置場にいるので、示談交渉を行うことができません。
弁護士を依頼していれば、弁護士が留置場の外で被害者と接触し、示談交渉を行うことができます。
示談が成立すれば、事件が被害者との間で解決しているものとして、勾留前であれば勾留されない可能性、勾留中であれば釈放される可能性を高めることができます。
また、被害弁償を行っているので、後日、民事紛争に巻き込まれるリスクを無くすことができます。

~不起訴処分の獲得~

検察官は、Aさんの器物損壊罪を立証できる場合であっても、Aさんの性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、不起訴処分(起訴猶予処分)とすることができます。
被害者と示談が成立していることは、「犯罪後の情況」としてAさんに有利に考慮されることが期待できます。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられることがないので、前科が付かずにすみます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が器物損壊事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

家庭内暴力のDV暴行事件で逮捕

2019-07-26

家庭内暴力のDV暴行事件で逮捕

大阪市中央区在住のAさん(30代男性)は、家庭内での夫婦喧嘩の末に、自分の妻に暴力を振るったとして、通報を受けてAさんの自宅に来た警察官に、逮捕された。
Aさんは、逮捕の翌日に検察庁に身柄送致されて、大阪府東警察署での10日間勾留(身柄拘束)が決まった。
Aさんの両親は、Aさんの早期釈放と刑罰軽減のために、刑事事件に強い弁護士大阪府東警察署にいるAさんのもとに派遣して、Aさんへの取調べ対応のアドバイスを弁護士に依頼し、今後の刑事事件の見通しを弁護士から聞くことにした。
(事実を基にしたフィクションです)

~私選弁護人を付けるメリットとは~

家庭内暴力事件(DV事件)を起こした場合には、暴行罪傷害罪に問われる可能性があります。
また、家庭内で行われた犯罪であるため、そのまま放置しておいては再度同じような家庭内暴力事件が再発してしまう可能性を危惧して、警察が加害者を逮捕するケースが多い犯罪類型となります。

早期釈放や刑事処罰の軽減のためには、逮捕初期の段階から、弁護士を付けることが重要になります。
私選で弁護士を依頼すれば、逮捕初期の段階から、早期釈放の働きかけを裁判所や検察庁に行ったり、被害者側との示談交渉を行うことにより、事件の早期解決のために私選の弁護士が積極的な弁護活動を行います。

他方で、条件を満たせば、国が選ぶ国選弁護人を付けることができるケースもあります。
国選弁護人を付けるためには、逮捕され勾留決定(通常は10日間の身柄拘束)が出ていることや、資力要件を満たしていること(50万円未満しか持っていないこと)などが、必要となります。
(2018年6月以前には、被疑者国選の選任要件として、「死刑又は無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮にあたる事件について被疑者に対して勾留状が発せられている場合」という要件があり、例えば暴行罪の場合に被疑者段階で国選弁護人を選任できませんでしたが、2018年6月の刑事訴訟法改正で、この要件は撤廃されています)

・刑事訴訟法 37条の2第1項
「被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。
ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない。」

国選弁護人は、費用が掛からずに弁護士を選任できる反面で、登録弁護士の中からランダムに弁護士が選ばれるため、刑事事件にあまり詳しくない弁護士や、刑事弁護に熱心で無い弁護士が選ばれてしまう可能性があります。
また、国選弁護人を選任できるのは勾留決定が出た後のタイミングになるため、逮捕されてから勾留決定が出るまでの逮捕初期のタイミングでは、国選弁護人が早期釈放等に向けた弁護活動を行うことは出来ません。

DV暴行事件で刑事弁護の依頼を受けた私選弁護人は、まずは逮捕直後の段階から、勾留決定(10日間の身柄拘束)が出る前までに、早期釈放のための裁判所や検察庁への働きかけを行います。
事件早期の段階から、弁護士が被害者側との示談交渉を行うことで、早期釈放や刑罰軽減のために弁護士が尽力いたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士は、刑事事件を専門に弁護活動を行っており、普段から数多くの様々な刑事事件を経験しています。
経験豊富な弁護士が、逮捕されている方への弁護士接見に頻繁に向かい、事件早期の段階で被害者側への連絡を試みて示談交渉を行うなど、積極的な弁護活動をいたします。
大阪市中央区DV暴行事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

職務質問と公務執行妨害罪

2019-07-21

職務質問と公務執行妨害罪

埼玉県加須市に住むAさんは,埼玉県加須警察署の警察官(最終的な人数5名)から職務質問を受けた際,警察官の言動に立腹し,脚元にあった石をパトカーに投げつけ,パトカーのフロントガラスにひびを入れました。
そこでAさんは,公務執行妨害罪で現行犯逮捕されました。
Aさんは,パトカーを壊しただけなのに,なぜ逮捕されなければならないのか納得がいってないようです。
(フィクションです)

~ 公務執行妨害罪 ~

公務執行妨害罪は刑法95条1項に規定されています。

刑法95条1項
公務員が職務を執行するにあたり,これに対して暴行・脅迫を加えた者は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

Aさんが納得していないのは,
1 石を直接,警察官にぶつけたわけではないのに公務執行妨害罪の「暴行」と言えるのか
2 石をパトカーに投げつけただけで,実際に,公務員の職務を「妨害」してないではないか
という点だと思います。
以下,1,2につきご説明します。

= 上記1(公務執行妨害罪の「暴行」とは) =
刑法の規定の中には「暴行」という言葉がよくつかわれますが,その意味は各罪名によって異なりますから注意が必要です。
刑法の「暴行」は次の4種類に分けられます。

① 最広義の暴行(例:騒乱罪(刑法106条))
有形力の行使すべてを含み,対象は人であっても物であってもよいとされています。
② 広義の暴行(例:強要罪(刑法223条))
人に対する有形力の行使をいいますが,直接暴行だけではなく,間接暴行も含むとされてます。
③ 狭義の暴行(例:暴行罪(刑法208条))
人の身体に対する有形力の行使をいいます。
④ 最狭義の暴行(例:強盗罪(刑法236条),事後強盗罪(238条),強制性交等罪(177条),強制わいせつ罪(刑法176条))
人の身体に対する有形力の行使で,人の反抗を抑圧するか,著しく困難にする程度のものとされています。

このうち,公務執行妨害罪の「暴行」は上記②に当たります。
直接暴行とは,人の身体に直接に有形力を加えることですが,間接暴行とは,物に対する有形力で,それにより間接的に一定の人に物理的・心理的に感応を与えるようなものを意味します。
すなわち,後者の場合,直接人の身体に暴行を加える必要はありません。
Aさんの「パトカーに石を投げつけ,フロントガラスにひびを入れた」という行為もこの間接暴行に当たりそうです。

= 上記2(公務執行妨害罪の「妨害」とは) =
上の暴行の程度ですが,当然,職務執行の妨害となる程度のものである必要がありますが,それによって現実に職務の執行が妨害されたことを必要とされません。これは,公務執行妨害罪の目的が公務の円滑な執行を保護するためにあるからです。
過去には,警備中の警察官に対する1回だけの命中しなかった投石行為につき公務執行妨害罪の成立を認めた判例(最判昭33年9月30日)があります。
Aさんの周囲には警察官が5名おり,しかも,パトカーに損害を加えただけで,実際に職務に当たる警察官には危害を加えていないから公務を「妨害」したというには違和感を感じます。
しかし,それでも公務執行妨害罪が成立するおそれがありますから注意が必要です。

~ 職務質問と公務執行妨害罪 ~

警察官職務質問執行法(以下,警職法)2条1項では「警察官は,異常な挙動その他の周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し,若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について,若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる」と規定されています。
この規定に基づいて行う質問を職務質問といいます。
当然ながら、上に書かれたある要件を満たした場合のみ適法とされます。
公務執行妨害罪が成立するには、「公務員(警察官)の職務が適法であること」も要件で、職務質問が違法な場合には、たとえ公務員に暴行を加えたとしても公務執行妨害罪は成立しません。
いかなる場合に違法な職務質問となるかについては弁護士へご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,公務執行妨害罪等の刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
ご家族が刑事事件で逮捕されお困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。
24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。

神奈川県茅ヶ崎市内のバス車内で暴行事件を起こし逮捕

2019-07-16

神奈川県茅ヶ崎市内のバス車内で暴行事件を起こし逮捕

~ケース~
Aさんは通勤のため、神奈川県茅ケ崎市のバスに乗車していましたが、通勤時間帯のため、乗客は満員となっており、車内は非常に窮屈でした。
Aさんは、Vから「俺の足踏んだだろ」と言われ、踏んだ覚えがないので、「踏んでない」と答えると、口論になりました。
Aさんは少々横柄なVの態度にカッとなり、Vの左頬を右手のこぶしで殴打してしまいました。
Vに怪我はありませんでしたが、Vは神奈川県茅ケ崎警察署に通報し、Aさんは駆け付けた警察官に暴行罪の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~暴行罪について解説~

刑法第208条は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」としています。
文字通り、暴行罪は他人に暴力を振るう犯罪であり、怪我をさせてしまった場合には傷害罪、怪我がなければ暴行罪を構成します。
ケースのVには幸い怪我がなかったので、Aさんは暴行罪逮捕されていますが、もし怪我があった場合には、傷害罪を構成し、傷害罪の場合の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。

~Aさんは今後どうなるか?~

逮捕されたAさんは神奈川県茅ケ崎警察署に引致され、弁解を尋ねられた後、取調べを受けることになります。
この時、弁護人選任権があることも伝えられます。

(警察段階)
逮捕後釈放されない場合は、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。

(検察段階)
検察へ送致された後は、検察官が取調べを行い、身柄を受け取ったときから24時間以内に被疑者の勾留を請求するか、釈放するかを決めます。
勾留請求がなされると、裁判官がこれを審査し、勾留が可能であると判断すれば、勾留状を発します。
一旦勾留されると、最長10日間、勾留延長をされるとさらに最長10日間身体拘束を受けることになります。
この場合、検察官は、勾留の満期までにAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めることになります。

~身柄解放活動を弁護士に依頼~

以上説明したように、逮捕・勾留されると、捜査段階で最長23日間身体拘束を受けることになり、その間当然ながら職場に出勤することはできません。
無断欠勤を続けたとして、会社を解雇される可能性は極めて高くなります。
逮捕されてしまった場合でも、勾留されずに釈放されれば、最長72時間で社会に復帰することができます。
事件は引き続き在宅事件として進行しますが、釈放されている以上、会社にも今まで通り出勤することができ、社会生活への悪影響は最小限で済みます。

(勾留をさせない活動)
被疑者を勾留するためには、検察官の勾留請求、裁判官による勾留決定といった手続きを踏む必要があります。
勾留するのは、罪証隠滅や逃亡を防ぐためです。
弁護士は検察官、裁判官に対し、Aさんに罪証隠滅、逃亡のおそれがないことを訴え、説得を試みます。
被害者が面識のなく再度接触しようのない人である場合、家族がしっかりと身元引き受けできる場合、暴行に留まるなど負傷がないか程度が軽いため重い処分は見込まれない場合などは、勾留されずに済む可能性が高まります。

(被害者との示談交渉)
被害者と示談を成立させることができれば、被疑者にとって有利な事情となりえます。
勾留されている場合、在宅で事件が進んでいる場合に関わらず、検察官は起訴又は不起訴にするかを決めなければなりません。
検察官は、Aさんの暴行を立証できる場合であっても、Aさんを裁判にかけない処分をすることができます(起訴猶予処分)。
検察官が起訴又は不起訴にするかを決める際、示談が成立していることはAさんにとって有利な事情として考慮されることが期待できます。
裁判にかけられなければ、前科が付かずに済みますから、社会復帰後に及ぼす悪影響も小さくなります。

示談にもさまざまな種類があり、単に被害者の損害を賠償する合意に留まるものから、被害者が被疑者を許す意思が示されている示談書、寛大な処罰を望む旨記載された嘆願書が作成される場合もあります。
弁護士は、よりAさんの利益にかなう示談が成立するよう力を尽くします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースのような暴行事件の解決実績も豊富です。
ご家族が暴行事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(お問い合わせ:0120-631-881

無形的方法による傷害事件

2019-07-11

無形的方法による傷害事件

~今回の事件~
東京都武蔵野市のアパートに住んでいるAさん(30歳)は、ゴミの出し方を巡ってアパートの隣人女性とトラブルになっていました。
Aさんは、しつこくゴミの出し方について文句を言ってくる女性に腹が立ち、1年ほど前から、女性の部屋と接している壁を夜中に大きく叩いたり、女性の部屋のインターフォンを鳴らしたりする嫌がらせを毎晩のように続けました。
女性が警視庁武蔵野警察署に相談して、これまで何度か警視庁武蔵野警察署の警察官に「止めるように」と注意を受けましたが、Aさんは警察官の注意を無視して嫌がらせを続けました。
するとある日、Aは、傷害罪警視庁武蔵野警察署の警察官に逮捕されてしまったのです。
(フィクションです)

~問題となる条文~

刑法 第204条 傷害罪
「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」

~「傷害」とは~

傷害罪でいうところの「傷害」とは「人の生理的機能に障害を加える」ことを意味します。
これを簡単に言いかえると、生活状態や健康状態に変化が生じてしまう場合を意味します。
一時的な精神的苦痛やストレスは「傷害」になりませんが、一定期間持続するPTSD(外傷後ストレス障害)は傷害にあたるとされています。

~「傷害」の方法~

一般的な傷害事件は、加害者の暴行によって、被害者が打撲や、骨折、挫傷といった傷害を負うことによって成立します。
殴る、蹴るなどといった有形力を用いることでなされるものですが、刑法では傷害の方法が限定されていません。
そのため、暴行によらない無形の方法によるものでも傷害罪にあたる可能性があります。

裁判所の判例によると、「嫌がらせの無言電話をかけ続け、相手を精神衰弱症にかからせた事案」や、「嫌がらせにより抑うつ状態に陥れた事案」において傷害罪にあたるとされています。
Aさんのように、深夜に部屋の壁を叩き続けたり、インターフォンを鳴らすことで、被害者に日常的に精神的ストレスを感じ、そのストレスが原因で、耳鳴り症や睡眠障害に陥れば、傷害罪が適用されて逮捕される可能性が十分に考えられます。

~「傷害」の故意~

傷害罪の成立に傷害の故意は必要とされておらず、暴行の故意があればよい、とされています。
被害者を殴って傷害を負わせたような傷害事件ですと、被害者を殴る故意があれば、その暴行によって被害者が傷害を負うというところまで故意は必要ないのです。

しかし、今回の事例のような、暴行を加えない無形の方法による傷害事件の場合には、暴行の故意にあたるものがないため、傷害の故意を必要とされています。
そのため、相手を精神障害に陥れること、相手が精神障害になっても構わないと思っていることが必要となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまで様々な刑事事件を扱い、解決に導いてきました。
同じ傷害事件でも、暴行の程度や、傷害の程度、被害者感情等によって、刑事処分は様々で、被害者と示談する等して不起訴処分となり前科を回避した事件も少なくありません。
東京都武蔵野市傷害事件でお悩みの方、ご家族、ご友人が傷害事件を起こして警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間、年中無休で受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。

DV、児童虐待の被害で悩むあなたへ

2019-07-06

DV、児童虐待の被害で悩むあなたへ

東京都千代田区に住むAさんは、夫Bが娘Vちゃん(10歳)に日常的な児童虐待を目の当たりにしながら、それを傍観する毎日を送っていました。
実は、Aさん自身も、夫Bから日常的な暴力を受けるDVの被害に遭っていたため、夫Bの行為を止めることができなかったのです。
ところが、ある日、夫BがVちゃんへ暴力を振るったことによりVちゃんを死亡させた傷害致死罪警視庁万世橋警察署の警察官に逮捕されたところ、Aさんも傷害罪の幇助犯で逮捕されてしまいました。
(千葉県野田市での事例を基に作成したフィクションです。)

~ はじめに ~

「お父さんにぼうりょくを受けています。夜中に起こされたり起きているときにけられたりたたかれたりしています。せんせいどうにかできませんか。」

これは、先日より報道されていた千葉県野田市の児童虐待事件で亡くなられた女児が書いた文章です。
小学4年生の子供がここまでSOSを発信しているのに助けることができなかったのかと心が痛みます。

先日、5月16日、千葉地方裁判所では、亡くなった女児の母親の初公判が開かれました。
母親は傷害罪の幇助犯の罪に問われています。
裁判所には多くの傍聴希望者が詰めかけたとのことで、社会的関心の高さがうかがえます。
また、同じ子を持つご家族、お母さんなどにとっても注目すべき裁判だったのではないでしょうか?
今回は、そうした方々のためにも、なぜ、自らもDVの被害に遭っていたのに夫の児童虐待を傍観していた母親が罪に問われたのか、について考えてみたいと思います。

~ 何もしなくても罪に問われることがある ~

法律上は、「何かした」ことに対して罪を与えることが基本です。
例えば、殺人罪でいえば、包丁で人の胸を刺す、ロープでクビを絞めるなどの行為です。
ところが、殺人は、「何もしない」ということでも実現可能です。
児童虐待の例でいえば、親が重病にかかっている子供を病院に連れていかない、衰弱している子どもに食事を与えない(必要な保護をしない)などです。
この「何もしない」ことを法律上は「不作為」と呼んでいます。

~ 幇助犯とは実際の犯行を容易にすること ~

では、幇助犯とは何かというと、「実際の犯行(今回の例でいえば、夫BのVちゃんに対する暴行(児童虐待))を容易にすること」をいいます。
大きな括りでいうと幇助犯も「共犯」なのですが、一般的にイメージされる「共同正犯」「共謀共同正犯」とは性質を異にします。

~ 不作為の幇助犯が成立するための要件 ~

ところが、あらゆる不作為を処罰できるとすると、Vちゃんを保護できなかった(あるいはしなかった)おじいちゃん、おばあちゃん、はたまた児童の職員まで処罰されうることになります。そこで、実務では、

① 行為者が保証人的地位にあること(→母親であれば通常認められるでしょう)
② 保証人(母親)か゛一定の犯罪阻止行為に出ることか゛可能・容易て゛あること
③ 保証人(母親)の不作為によって正犯の犯罪実行を容易にしたといえること(→報道によれば、母親は、DV被害をかわす代わりに、児童虐待を黙認していたとのことです)

という要件を設けて不作為犯の適用が無限に広がることを制御しています。

~ DV被害を受けていても…?? ~

裁判例の中には、仮に、DV被害を受けていても、「母親は体を張って子供への暴行を阻止する方法のほかにも、夫が子供に暴行を加えないように監視したり、夫の暴行を言葉で制止したりするなどして、夫の暴行を阻止することは可能であった」として不作為による幇助犯を認めている事例もあります(札幌高裁平成12年3月16日)。
しかし、これはずいぶん前の裁判例で参考になるかは疑問です。

また、仮に、「母親へのDVが余りにも酷く母親が完全に意思を抑圧されていた、あるいは母親が物理的に監禁されていたなどの極限的な状況だった場合」には、上記②の要件を満たさず、不作為の幇助犯は成立しないでしょう。

~ おわりに ~

今回の裁判ではどう判示されるか注目すべきです。
もし、この記事をお読みになり、同様のことでお悩みの場合は、厚生労働省が児童虐待でお悩みの方のための専門のダイヤルを設けていますからそちらに相談されてみてはいかがでしょうか?(児童相談所全国共通ダイヤル:189

また、DV被害でお悩みの場合の相談窓口は「内閣府男女共同参画局 DV相談ナビ:0570-0-55210」となっていますので、ご参考ください。

さらに、Aさんと同様、被害者ではなく、

刑事事件に発展しそうだ
・被疑者として捜査を受けそうだ
・逮捕されるか不安

などという方は、ぜひ、弊所の弁護士までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談、初回接見サービスのお問い合わせを24時間受け付けております。

監禁致死傷罪とは

2019-07-01

監禁致死傷罪とは

福岡県うきは市に住むAさんは、SNSで知り合ったVさんと性交等をする目的でしたが、Vさんに「夜景を観にいこう」などと嘘を言って車の助手席に乗せました。
そして、Aさんは福岡県うきは市の人気のない山奥に向かうため高速道路に乗りました。
そして、Aさんは車を走行中、Vさんに睡眠薬入りのジュースを飲ませ眠らせました。
Aさんは、Vさんが眠っている間、パーイングエリアでVさんの両手に手錠をまし、再び車を走らせました。
しかし、睡眠薬の量が少なかったのかVさんが起きてしまいました。
Aさんは、Vさんから「何これ?」「どういうこと?」「話が違うじゃない」と言われました。
さらに、AさんはVさんから「次のSAで降ろしてよ」と言われましたが、そのまま通過し車を時速約130キロで走行させました。
そうしたところ、Vさんが無施錠だった助手席のドアを開け外に飛び出しました。
しかし、Vさんは頭や全身を路面に強く打ち付けた影響などにより死亡してしまいました。
その後、Aさんは福岡県うきは警察署監禁致死罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ 監禁致死傷罪 ~

監禁致死傷罪は刑法221条に規定されています。

刑法221条
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

つまり、監禁致死傷罪は、①前条の罪を犯すこと、②人を死傷させること、③①と②との間に因果関係が認められること、によって成立する犯罪です。
以下、詳しく解説いたします。

~ 「前条の罪」 ~

「前条の罪」とは刑法220条の「逮捕・監禁」の罪を指しています。
刑法220条の規定を確認すると、

刑法220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

とあります。

* 監禁とは *
監禁とは、人が一定の区域内から脱出することが不可能又は著しく困難にすることをいいます。
そして、監禁といえるためには、被監禁者の自由の拘束が完全なものであることを要しないとされています。
したがって、一応、脱出の方法がないわけではないけれども、生命・身体の危険を冒すか、又は常軌を脱した非常手段を講じなければ脱出できないような場合であれば監禁といえます。

本件では、確かに、助手席のドア鍵は無施錠であったことから、Vさんの自由の拘束は完全だったとはいえません。
しかし、時速130キロで走る車から飛び出すことは生命・身体に害を及ぼす危険な行為です。
Vさんはその危険を冒してまで脱出せざるを得なかったのですから、AさんがVさんを助手席に乗せる行為は「監禁」に当たるでしょう。

* 不法に *
監禁罪の監禁は「不法」であることが必要です。
したがって、正当な監禁は違法ではなく処罰されません。
親子間では「しつけ」と称して、親が子供を鍵のかけた物置小屋などに閉じ込める、というケースも耳にします。
通常、親には子に対する監護権が認められていますから、直ちにそれが「不法」な監禁とされることはありませんが、社会通念上許容される範囲を超える行為は違法とされ監禁罪で処罰される可能性もあります。

~ 「よって人を死傷させた」 ~

監禁致傷罪の成立には、人の「傷害」「死」という結果の発生と、その結果と監禁そのもの、少なくともその手段としての行為との間に因果関係があることが必要です。
過去の裁判例では、監禁された被害者が監禁場所から脱出しようとして窓から8.4メートル下の地面に飛び降りたところ、死亡した事案において、監禁致死罪が認められています(東京高等裁判所判決昭和55年10月7日)。

また、過去の判例では、自動車の後部トランクに人を監禁していた状態で、路上停車していたところ、たまたま後続の自動車が前方不注視で時速約60kmのまま追突したことが原因で、トランクに監禁されていた被害者が死亡した事案で、監禁致死罪の成立が認められています(最高裁決定平成18年3月27日)。

~ 「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」 ~

つまり、監禁致死罪の場合は「傷害致死罪」の例にならい、「3年以上の有期懲役」、監禁致傷罪の場合は、傷害罪(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)と監禁罪とを比較した場合、上限は傷害罪が重く、下限は監禁罪の方が重いですから、「3月以上15年以下の懲役」ということになります。

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傷害罪か暴行罪か?

2019-06-26

傷害罪か暴行罪か?

京都府木津川市に住むAさんは,職場の同僚であるVさんの胸ぐらをつかみ、右拳でVさんの顔面を1回殴る暴行を加えました。
その際、Vさんの鼻などから出血は確認できず、Vさんも病院には行かなかったようです。
ところが、それから1週間後、Aさんは京都府木津警察署の警察官に呼び出され、取調べで「Vさんから医師の診断書が出た」「診断名は歯牙破折だ」ということを聞かされ、傷害罪の被疑者として捜査すると言われました。
Aさんとすれば、暴行自体は認めているものの、事件当時、Vさんから歯が折れたなどとは聞かされていなかったため、怪我の点については納できずにいます。
そこで、Aさんは、今後どう対応すればいいのか刑事事件に強い弁護士無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

Aさんは、Vさんの顔面を1回殴打したこと自体は認めていますから、本件は暴行罪が成立するのか傷害罪が成立するのかの問題です。
そこで、両罪の違いからご紹介いたします。

~ 暴行罪 ~

暴行罪の規定は以下のとおりです。

刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。
もっとも典型なのが、殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなど、直接人の身体に触れる行為が挙げられます。
もっとも、暴行罪の「暴行」は直接人の身体に触れる行為に限らず、

・着衣を強く引っ張る行為
・胸ぐらをつかむ行為
・人に向かって石やガラスコップを投げる行為,棒を振りかざす行為
・毛髪等を切断する行為
・室内で太鼓等を連打する行為
・耳元で拡声器を通じて大声で怒鳴りつける行為
・狭い室内で日本刀を振り回す行為

など、直接人の身体に触れない行為も「暴行」とされることがあります。

~ 傷害罪、暴行罪との違い ~

傷害罪の規定は以下のとおりです。

刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は上記の「暴行」の他に「傷害(怪我など)」という結果と「暴行」と「傷害」との間の「因果関係」があってはじめて成立する罪です。
したがって、

・「暴行」を加えたものの「傷害」(結果)が発生しなかった場合
・「暴行」と「傷害」との間に「因果関係」が認められない場合

傷害罪は成立しません。
ただし、「暴行」の事実自体は存在しますから暴行罪は成立します。
この点が、暴行罪傷害罪の違いの一つといっていいでしょう。

~ 本件の刑事弁護 ~

本件で、Aさんは、「暴行」の事実自体は認めているものの、「暴行」と「傷害」との因果関係について疑問を持たれているようですから、まずは「暴行罪」での処分を主張していかなければなりません。
具体的には、Aさんはもちろん、周囲に直接の目撃者あるいはVさんの様子を知る人がいなかったかどうか調べ、その方たちからもお話を聴く必要があるでしょう。
そして、その聴取した結果を意見書という形にまとめ、処分を決める検察官に提出するといったことが考えられます。

それと同時に、「暴行」の事実に限っての示談交渉を進めていく必要があります。
仮に、傷害罪で起訴され裁判になった場合は、裁判で診察をした医師を尋問するなどして作成した診断書の証明力を減退させる必要も出てくる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、暴行罪傷害罪等の刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
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兵庫県尼崎市で強盗・銃刀法違反事件

2019-06-21

兵庫県尼崎市で強盗・銃刀法違反事件

【事件】
Aさんは兵庫県尼崎市にあるV銀行の窓口担当の行員に対して,刃体16センチメートルの包丁を突きつけ,「金を出せ」と脅迫しました。
行員はAさんに現金を渡し,Aさんが逃亡したのを確認したところで兵庫県尼崎北警察署に通報しました。
後日,兵庫県尼崎北警察署の捜査によってAさんは強盗罪銃刀法違反の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

【強盗罪】

強盗罪は,暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した場合に成立します(刑法第236条第1項)。
強盗罪の法定刑は,5年以上の有期懲役です。

強盗罪における暴行・脅迫は,反抗を抑圧するに足りる程度の強さがなければなりません。
これは,暴行罪(刑法第208条)に規定されている暴行が,端的に人に向けられた有形力(物理力)であればよいとされているのに比べて,それが客観的に見て反抗を抑圧する程度のものであると認められる必要があることを意味します(最判昭和24年2月8日刑集3巻2号75頁)。

強盗罪の成立に必要な暴行・脅迫は,財物を奪うための手段として行われる必要があります。
そのため,暴行・脅迫によって相手の反抗が抑圧された後に財物奪取の意思が生じたような場合には強盗罪とはなりません(大判昭和8年7月17日刑集12巻1314頁)。
ただし,財物奪取の意思を生じた後に新たに反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫があったことが認められれば強盗罪に問われる可能性があります。

そして,強盗罪で用いられる暴行・脅迫の相手方は必ずしも財物の所有者に限られません。
例えば,過去の判例の中には,留守番をしていた10歳の子供に対して暴行・脅迫を加えて財物を奪取したときであっても強盗罪が成立するとされた事例があります(最判昭和22年11月26日刑集1巻1号28頁)。

強盗罪のいう強取とは,暴行・脅迫によって相手方の反抗を抑圧し,財物の占有を移転することを意味します。
ここでの占有とは,財物に対する事実上の支配状況のことで,他者の管理の及んでいる状態(例えば,鍵付きの金庫に保管してある状態やすぐ手の届く場所に置いてある状態にあるなど)があれば占有があると認められる場合が多いです。

また,相手方の反抗が抑圧されなかった場合について,財物を取得することができなかった場合は強盗未遂罪に問われる可能性があります。
暴行・脅迫を行ったものの被害者の反抗は抑圧されてはおらず任意に財物を差し出した場合について,学説上の争いはありますが,判例によれば強盗罪の既遂が認められるようです(最判昭和24年2月8日刑集3巻2号75頁)。

【Aさんのケースと強盗罪】

今回の場合,Aさんは刃体16センチメートルの包丁を突きつけて「金を出せ」と脅迫しています。
一般的に包丁を突き付けられた状態で「金を出せ」と脅迫された場合,お金を差し出さなければ包丁によって危害を加えられると考え,犯人に反抗することはできないでしょう。
よってAさんによる脅迫は行員の反抗を抑圧するに足りる程度のものであったと認められる可能性が高いです。
その脅迫の結果,行員は現金をAさんに差し出しており,Aさんは現金を強取しています。
以上より,起訴されればAさんは強盗罪の罪責を負うことになる可能性が非常に高いです。

【銃刀法違反】

銃刀法(正式名称:銃砲刀剣類所持等取締法)は第22条で「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない」と規定しています。
違反した場合は同法第31条の18第3号の定めにより2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。

ただし例外があって,刃体の長さが8センチメートル以下の刃物で携帯が認められるものとして、施行令第37条に以下のものが挙げられています。

・刃体の先端部が著しく鋭く、かつ、刃が鋭利なはさみ以外のはさみ
・折りたたみ式のナイフであって、刃体の幅が1.5センチメートルを、刃体の厚みが0.25センチメートルをそれぞれ超えず、かつ、開刃した刃体をさやに固定させる装置を有しないもの
・法第22条の内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが8センチメートル以下のくだものナイフであって、刃体の厚みが0.15センチメートルを超えず、かつ、刃体の先端部が丸みを帯びているもの
・法第22条の内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが7センチメートル以下の切出しであって、刃体の幅が2センチメートルを、刃体の厚みが0.2センチメートルをそれぞれ超えないもの

Aさんは刃体16センチメートルの包丁を強盗の手段とするために所持しており,銃刀法第22条に違反していることになります。

逮捕されてしまった場合,その後の身体拘束が長期に及ぶことが予想されます。
逮捕されている場合,当然仕事にも行けず,家族と面会することすらままならない場合があります。
しかし,弁護士は立会人なくして被疑者・被告人と面会することができます。

逮捕・勾留といった身柄拘束を受ける場合は,可能な限り早い段階で弁護士に相談・依頼すべきといえます。
弁護士を呼ぶことができる時期には制限はありませんので,安心して逮捕直後に呼んで構いません。
弁護士は,被疑者に対して取調べ等にのぞむ態度や心構え,取調べによって作成される供述調書の意味や作成する場合の留意点,捜査機関に対してとるべき態度,今後の刑事手続きの流れや見通し等について必要なアドバイスをします。
家族や知人等から被疑者への伝言,被疑者から家族や知人等への伝言等の伝達をしたり,早期の被害弁償や示談交渉などできる限りの弁護活動をしてくれます。

銃刀法違反の容疑をかけられてしまった方,強盗罪の容疑をかけられてしまった方,ご家族やご友人が兵庫県尼崎北警察署に逮捕されて困っている方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお早めにご相談ください。

腹いせの業務妨害事件で逮捕

2019-06-11

腹いせの業務妨害事件で逮捕

~ケース~
Aさんは埼玉県朝霞市内のコンビニを利用したところ、店員の態度が悪く感じ、これに因縁をつけたところ、口論になりました。
その場は収まり、Aさんは帰宅したのですが、怒りをしずめることができませんでした。
後日、Aさんは先日の腹いせにと画びょうを3000個用意し、コンビニを再訪した後、床にばらまいてしまいました。
店員は埼玉県朝霞警察署に通報し、Aさんは駆け付けた埼玉県朝霞警察署の警察官に威力業務妨害罪の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
コンビニは画びょうが撤去されるまで2時間ほどの間、営業を中止する事態になりました。
(フィクションです)

~威力業務妨害罪について~

威力業務妨害罪とは、威力を用いて人の業務を妨害する犯罪であり、威力業務妨害罪で起訴され、有罪が確定すれば3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(刑法第234条)。
お店や団体に嫌がらせや、腹いせを行った結果、威力業務妨害罪の疑いで検挙されるケースがあります。

(「威力」とは?)
威力業務妨害罪の「威力」とは、人の自由意思を制圧するに足る勢力をいい、暴行・脅迫よりも広い概念です。
「威力」と認められた裁判例として、①客が満員のデパートの食堂配膳部に蛇をまき散らした場合(大審院昭和7年10月10日判決)、②競馬場の最も重要な本馬場に、幅約2メートル、長さ約120メートルにわたり平釘1樽分をまいた場合(大審院昭和12年2月27日判決)などがあります。

今回のケースの場合について検討します。
コンビニの床に画びょうが3000個もまかれている場合、これを踏みつけたり、あるいは転倒した際、体に刺さるおそれがあることから、安全確保のため営業をいったん中止せざるを得なくなると思われます。
以上のことから、コンビニに画びょうをまく行為は、人の自由意思を制圧するに足る勢力と考えられるので、「威力」に該当する可能性が高いでしょう。

(「業務」について)
「業務」とは、人(自然人、法人その他の団体を含みます)が職業その他社会生活上の地位に基づき継続して従事する事務をいいます。

今回のコンビニの場合、通常、法人である株式会社か、自然人である個人が営利目的で営業しています。
コンビニの営業は、経営者である自然人又は法人が職業その他社会生活上の地位に基づき継続して従事する事務と考えられるので、「業務」に該当するものと思われます。
なお、コンビニの営業は営利目的で行われますが、「業務」に該当するために営利性が必要というわけではなく、政党の結党大会のようなものであっても、「業務」に該当しえます。

(「妨害した」について)
判例によれば、威力業務妨害罪の成立には、実際に業務が妨害された結果の発生は必要ではなく、業務を妨害するに足りる行為が行われればよいとされています。

今回のケースのコンビニは画びょうが撤去されるまで2時間程営業が不能となっていますので、明らかに「妨害」されたものと考えられます。

以上のことから、Aさんがコンビニの床に画びょうをまいた行為が、威力業務妨害罪を構成する可能性は極めて高いと思われます。

~逮捕されたら、まずは初回接見を検討~

弁護士に事件について話し、今後の手続きの進行、処分の見込み、取調べの対応方法につきアドバイスを受けることをおすすめします。
取調べでは、取調官からかなりきつい態様で質問され、負担に感じることがあるかもしれません。
弁護士に事件について話をすることにより、心理的な安心感を得られる効果も期待できます。
当番弁護士は、逮捕されている場合に、初回の1回だけ無料で接見にやってきます。
ただし、身柄解放活動、より有利な処分(不起訴、軽い量刑の判決)の獲得に向けた活動を行うことはできません(私選弁護人として選任すればこの限りではありません)。
国選の弁護士は、接見後の活動を行うことができますが、一定の要件を満たした上で、勾留決定が出ている段階でないと付けられないので、逮捕当日に接見を受けることは通常できません。(逮捕から勾留まで2~3日かかることが通常です)
また、自分で弁護士を選ぶことができないため、しばしば付けられた弁護士と相性が合わない、やる気が感じられないといった不満を持つ方もおられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、有料で初回接見を行っております。
弁護士のスケジュールが空いていれば、逮捕当日に接見を受けていただくこともできます。
また、弁護士費用等の条件が折り合えば、接見を行った弁護士を私選弁護人として選任していただくことも可能です。
ご家族、ご友人が威力業務妨害事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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