暴力事件・粗暴犯と量刑

現在の日本において,刑事事件を起こした際に処断される刑罰としては,死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留,科料という6つの主刑と,没収という付加刑があります。

 

1 死刑

刑事施設内において,絞首して執行されます。死刑判決を受けた者は,その執行まで刑事施設で留置されます。

死刑の定めがある暴力事件・粗暴犯
 →殺人罪、強盗殺人罪など

 

2 懲役

無期あるいは1ヵ月以上20年以下の期間,刑務所で身柄拘束されます。
留置期間中は刑務作業をしなければなりません。

懲役刑の定めがある暴力事件・粗暴犯
 →傷害罪、凶器準備集合罪、強要罪、恐喝罪など

 

3 禁錮

無期あるいは1ヵ月以上20年以下の期間,刑務所で身柄拘束されます。
留置期間中に刑務作業を行う必要はありません。

禁錮刑の定めがある暴力事件・粗暴犯
 →公務執行妨害罪など

 

4 罰金

1万円以上の金銭を支払います。罰金を支払うことができないときは,1日以上2年以下の間,労役留置場で働いて支払います。

罰金刑の定めがある暴力事件・粗暴犯
 →傷害罪、脅迫罪など

 

5 拘留

1日以上30日未満の期間,拘置所で身柄拘束されます。

拘留刑の定めがある暴力事件・粗暴犯
 →暴行罪、軽犯罪法違反など

 

6 科料

1000円以上1万円未満の金銭を支払います。
科料を支払うことができないときは,1日以上30日以下の間,労役留置場で働いて支払います。

科料刑の定めがある暴力事件・粗暴犯
 →暴行罪、軽犯罪法違反など

 

7 没収

犯罪に関わった物を没収します。没収できないときは,その物の価額分を支払います。

没収の対象となる物品

  • 「犯罪行為を組成した物」(組成物件)
    その物の存在が犯罪行為の不可欠な要素となっている物をいいます。
    具体例としては,凶器準備集合罪における「凶器」(木刀、竹刀、拳銃など)があります。
  • 「犯罪行為に供し、又は供しようとした物」(供用物件)
    犯罪行為の不可欠な要素となっている物ではありませんが、犯罪行為のために使用された物のことをいいます。
    具体例としては、暴行、脅迫に用いたナイフ、バットなどがあります。
  • 犯罪行為によって生じ、若しくはこれにより得た物又は犯罪行為の報酬として得た物(生成物件、取得物件、報酬物件)
    傷害の報酬として得た謝礼金などがあります。
  • 産出・取得・報酬物件の対価(対価物件)
    強盗などによって得た物を売却した代金などがあります。

 

【暴力事件・粗暴犯の法定刑と宣告刑】

法律には,「○年以上○年以下の懲役」というように,短期や長期を区切る形で,条文に規定されています。

裁判官は,犯行動機,犯行の経緯,実際の被害状況,同種前科の有無などの情状を考慮して,実際に言い渡す刑罰を決定します(宣告刑)。

弁護士に弁護をご依頼いただければ,犯行当時の状況や犯罪の起こった背景を慎重に検討し,裁判所に対して適切な主張・立証を行うことで,情状酌量の余地を示し,より量刑の軽い判決を得られるよう尽力します。

 

【暴力事件・粗暴犯の執行猶予】

また,判決には執行猶予が付されることがあります。執行猶予が付されれば,執行猶予中に再び罪を犯して判決の宣告を受けない限り,刑務所に入ることはありません。

ただし,執行猶予には,一定の要件があります。

その要件とは,初度の執行猶予であれば,①今回の事件で実際に言い渡される判決が,3年以下の懲役または禁錮もしくは50万円以下の罰金であること,かつ,②以前に禁錮以上の刑を受けたことがないか,あるいは禁錮以上の刑を受けたことがあっても刑の終了から5年以内に禁錮以上の刑に処せられていないこと,です。

したがって,暴力事件・粗暴犯において,判決で言い渡される量刑を懲役3年以下に減じさせること,かつ,執行猶予付き判決を獲得することが,裁判後に被告人が身柄拘束を受けるか釈放されるかを決定する重要なポイントとなります。

 

【一部執行猶予制度】

平成28年6月1日から、一部執行猶予の制度が導入されます。

一部執行猶予制度とは、刑の一部の執行を受けた後,残りの刑の執行を一定期間猶予する旨の判決を宣告することができるとするものです。

再犯防止の観点から、施設内処遇に引き続いて十分な期間の社会内処遇ができるようにすることを目的にしています。

具体的には①前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者②前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者③前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の執行を受け終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者 について3年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けた場合において犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再犯の防止に必要でありかつ相当と認められるときは1年以上5年以下の期間その刑の執行の一部を猶予することができます。

 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、暴力事件・粗暴犯を起こしてしまった方のために、刑事事件を中心に取り扱う弁護士が対応いたします。

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