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【事例解説】競合店に脅迫し暴力行為等処罰法違反で逮捕(後編)

2024-04-21

前回に引き続き、自身の店舗のサービス内容をそっくり真似した競合店に対して、集団を装い脅迫した事件について、暴力行為等処罰法違反となる可能性があるかどうか弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

脅迫電話

事例紹介

都内で複数のマッサージ店を経営するAさんは、最近新しくできたマッサージ店Vが自店舗のサービス内容をまるパクリしていることを知りました。
Aさんは、Vに対して電話して抗議したところ、相手が反省の色を見せず開き直って暴言を吐いてきました
Aさんは、ヒートアップしていまい「店の人間全員が、お前もお前の店もめちゃくちゃにしたるつもりでいるから覚悟しとけ」と言ってしまいました。
Vさんはボクシングを学生時代からしていたので、本当にやってきたら返り討ちにしてやろうと思いながら電話を切った後、電話の内容を録音していたので警察に被害届を提出しました。
後日Aさんは逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
前編では脅迫罪の成否についてを、後編では暴力行為等処罰法の成否について解説します。

暴力行為等処罰法違反

暴力行為等処罰法(出典/e-GOV法令検索)は、脅迫罪等の刑法犯が一定の場合に行われた場合に、刑法よりも重く処罰すると規定しています。
例えば、刑法上の脅迫罪の法定刑は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑ですが、暴力行為処罰法では一定の場合に脅迫罪に当たる罪が犯された場合、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。

具体的にどういった場合かというと、①現実に団体や多数人で威力を示して脅迫した場合、②現実には団体や多数人ではないのにそうであるかのように装って脅迫した場合、③凶器を示して脅迫罪を行った場合です(暴力行為等処罰法1条)。

前編で解説したように、Aさんは脅迫罪に当たる可能性があります。
加えて、Aさんは、電話で「店の人間全員が、お前もお前の店もめちゃくちゃにしたるつもりでいるから覚悟しとけ」と言ってしまったようですから、実際にAさんの店舗で働く人たちがVさんに危害を加えるつもりであってもそうでなくても、暴力行為等処罰法1条違反になる可能性があります。

弁護士に相談を

本件のように被害者のいる犯罪では、示談を成立させることが非常に重要となります。
早い段階で示談が成立すれば、起訴猶予による不起訴処分となるかもしれません。
仮に起訴されたとしても、量刑が、示談が成立していることを踏まえて軽くなる可能性もあるからです。

ただし、加害者が直接被害者と連絡をとって示談交渉をするのは得策ではありません。
被害者にとっては、加害者は自分や自分の大切の財産に対して危害を加えると言ってきた人物であり、被害者は加害者に対して通常強い処罰感情を有しているため交渉に応じてくれない可能性があるためです。

そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、脅迫事件、暴力行為等処罰法違反事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
ご家族が脅迫罪や暴力行為等処罰法違反で警察に逮捕されてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

無料法律相談、初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

【事例解説】競合店に脅迫し暴力行為等処罰法違反で逮捕(前編)

2024-04-14

自身の店舗のサービス内容をそっくり真似した競合店に対して、集団を装い脅迫した事件について、前編・後編に分けて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

脅迫電話

事例紹介

都内で複数のマッサージ店を経営するAさんは、最近新しくできたマッサージ店Vが自店舗のサービス内容をまるパクリしていることを知りました。
Aさんは、Vに対して電話して抗議したところ、相手が反省の色を見せず開き直って暴言を吐いてきました。
Aさんは、ヒートアップしていまい「店の人間全員が、お前もお前の店もめちゃくちゃにしたるつもりでいるから覚悟しとけ」と言ってしまいました。
Vさんはボクシングを学生時代からしていたので、本当にやってきたら返り討ちにしてやろうと思いながら電話を切った後、電話の内容を録音していたので警察に被害届を提出しました。
後日Aさんは逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

前編では脅迫罪の成否についてを、後編では暴力行為等処罰法の成否について解説します。

脅迫罪(出典/e-GOV法令検索
刑法221条1項
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

本件では、サービス内容をパクられたAさんはついヒートアップしてVさんに対して、「店の人間全員集めてお前もお前の店もズタボロにしたるから覚悟しとけ」と言ってしまったようなので、脅迫罪が成立する可能性があります。

脅迫罪における脅迫とは、一般人を畏怖させるに足りる害悪を告知することを言います。
Aさんは、VさんとVさんの店舗をズタボロにしてやると言っています。
前者は生命、身体に対する害悪の告知と言え、後者はVさんの財産である店舗に対するが悪の告知と言えます。
一般に自分や自分の財産をズタボロにしてやると言われれば恐怖を感じるでしょうから、本件では脅迫罪が成立する可能性があります。

ところで、Vさんはボクシングを長年していたため、実際にはAさんからの脅迫を受けても怖いと思っていなかった可能性があります。
この場合でも脅迫罪は成立するのでしょうか?
判例によると、脅迫を受けたものが現実に畏怖したことは必ずしも必要ではなく、一般人を畏怖させることができる程度の害悪の告知を、被害者が認識しさえばよいとしています(大判明治43年11月15日)。
したがって、Vさんが実際には怖がっていなかったとしても、そのことを理由に脅迫罪の成立は妨げられません。

弁護士に相談を

本件のように被害者のいる犯罪では、示談を成立させることが非常に重要となります。
早い段階で示談が成立すれば、起訴猶予による不起訴処分となるかもしれません。
仮に起訴されたとしても、量刑が、示談が成立していることを踏まえて軽くなる可能性もあるからです。

ただし、加害者が直接被害者と連絡をとって示談交渉をするのは得策ではありません。
被害者にとっては、加害者は自分や自分の大切の財産に対して危害を加えると言ってきた人物であり、被害者は加害者に対して通常強い処罰感情を有しているため交渉に応じてくれない可能性があるためです。

そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、脅迫事件、暴力行為等処罰法違反事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
ご家族が脅迫罪や暴力行為等処罰法違反で警察に逮捕されてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

無料法律相談、初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

【事例解説】大音量でテレビを流して隣人を睡眠障害に(後編)

2024-04-07

深夜早朝にかけて大音量でテレビを流して隣人を睡眠障害等にかからせた事例について、前編と後編の2回に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

騒音

・事件概要

京都府北警察署は、傷害罪の疑いで看護師の男(43)を逮捕した。
警察署によると、男は、昨年から1年間にわたって週に3回ほど、自分が病院の夜間勤務で家を空けている日の深夜から自宅に帰る早朝にかけて大音量でテレビを流しっぱなしにして隣人に精神的ストレスを与えたとされている。
被害にあった隣人は、精神科の医師から睡眠障害と診断され、慢性頭痛症円形脱毛症となり警察署に被害届を提出した。
取調べに対し、男は、「自分が夜勤明けで眠たい昼間に隣人がうるさくて腹がたっていた」「静かにするよう言っても一向に改善されないので、同じ目に合わせてやろうと思ってやった」と述べている
(フィクションです)

・傷害結果はあったと言えるか?

上述の通り、本件の男の行為は、慢性的な頭痛や睡眠障害という症状を生じさせる現実的危険性がある行為と言えそうです。
もっとも、このような身体的棄損が外観上明らかでない精神的なストレス症状が、常に傷害罪のいう「傷害」にあたるといってよいのでしょうか?
この点、精神的なストレス症状は、脳の機能の傷害に基づくものである以上、通常の身体的機能の傷害と本質的に変わらないとも言えそうです。
しかし、精神的なストレス症状は主観的なものと言わざるを得ず客観性を欠いている上、行為との因果関係も明確でない場合もありますから、精神的ストレス症状の全てを「傷害」にあたるとすることには問題がありそうです。
裁判例を見ると、被害者が医師から精神障害として診断されていることを重視し、それに加え身体的症状が発生しているか、入院等をしているかを考慮しているようです。(井田良「講義刑法学各論<第2版>52頁以下」)
本件では、被害者の男性は、医師から睡眠障害と診断され、慢性頭痛症と円形脱毛症にかかっているようです。
したがって、傷害結果ありとして、傷害罪が成立する可能性があります。

・できるだけ早く弁護士に相談を

傷害罪(出典/e-GOV法令検索)被害者のいる犯罪です。
被害者のいる犯罪では、被害者との間で示談を成立させることが非常に重要です。
早期に示談が成立していれば不起訴となる可能性がありますし、起訴後に示談が成立した場合でも、罪の減軽や執行猶予付判決が得られる可能性があるからです。
もっとも加害者が自分の力で示談交渉をすることは通常困難です。
本件のように、逮捕された場合、身動きが取れませんから被害者が交渉に応じてくれたとしてもスムーズにやり取りをすることが難しくなります。
逮捕されていない場合、加害者が被害者に接触することは不可能ではありません。
しかし、本件の被害者は、長期間にわたって日常生活を送ることを難しくさせ、睡眠障害や頭痛、円形脱毛症に苦しんでいるわけですから、強い処罰感情を持っていることが予想され、示談交渉に応じてくれない可能性があります。

そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士に一任することをおすすめします。
直接加害者とやり取りすることに抵抗を感じる被害者でも、弁護士が相手であれば、示談交渉に応じてくれることは少なくありません

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害罪の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例解説】大音量でテレビを流して隣人を睡眠障害に(前編)

2024-03-31

深夜早朝にかけて大音量でテレビを流して隣人を睡眠障害等にかからせた事例について、前編と後編の2回に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

騒音

・事件概要

京都府北警察署は、傷害罪の疑いで看護師の男(43)を逮捕した。
警察署によると、男は、昨年から1年間にわたって週に3回ほど、自分が病院の夜間勤務で家を空けている日の深夜から自宅に帰る早朝にかけて大音量でテレビを流しっぱなしにして隣人に精神的ストレスを与えたとされている。
被害にあった隣人は、精神科の医師から睡眠障害と診断され、慢性頭痛症円形脱毛症となり警察署に被害届を提出した。
取調べに対し、男は、「自分が夜勤明けで眠たい昼間に隣人がうるさくて腹がたっていた」「静かにするよう言っても一向に改善されないので、同じ目に合わせてやろうと思ってやった」と述べている
(フィクションです)

・傷害罪とは

刑法204条(出典/e-GOV法令検索)

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、何らかの方法により人の身体を「傷害」する犯罪です。
判例によれば、傷害とは人の生理的機能に障害を加えることです(大判明治45年6月20日)
傷害という結果を生じさせる行為は、典型的には、人を殴って出血させる行為などがこれにあたります。
もっとも、傷害の罪に問われる行為は、このような殴る蹴る突き飛ばすといった目にみえる形での行為に限定されてはいません。
傷害という結果を招く危険性のある行為であれば、それが目に見えないような行為であっても傷害罪の行為に該当する可能性があります。
最高裁は、類似の事案で、およそ1年半にわたって隣人に対して朝から夜ないし翌未明まで、ラジオの音声や目覚まし時計のアラームを大音量で鳴らすことで被害者に精神的ストレスを与え、結果、被害者に全治不詳の慢性頭痛症、睡眠障害、耳鳴り症の傷害を負わせた事件において、当該行為は傷害罪の実行行為にあたるとしました(最高裁決定平成17年3月29日)。

 

事例に当てはめてみると

加害者の男は、隣人に対し、約1年間にわたって週に3回ほど、自分が病院の夜間勤務で家を空けている日の深夜から自宅に帰る早朝にかけて大音量でテレビを流しっぱなしにして隣人を睡眠障害と慢性頭痛症にかからせたとされています。
1年間にわたって、週の半分の頻度で深夜早朝に大音量のテレビを流された場合、十分な睡眠がとることができず疲労が蓄積していまうでしょう。
その結果、日中の行動にも支障が生じてさらに疲労が溜まってしまうものの、深夜早朝の騒音により心身の状態は改善されず、精神的に疲弊し、慢性的な頭痛や睡眠障害などにかかってしまう可能性があります。
したがって、男のした行為は、慢性的な頭痛や睡眠障害という症状を生じさせる現実的危険性がある行為と言えそうですから傷害罪が成立する可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害罪の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例解説】傷害罪で高校教師の男が現行犯逮捕 

2024-03-25

傷害の容疑で高校教師の男が現行犯逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

けんか

 

事例 

高校教師のAさんは、繁華街でお酒を飲んだ帰りに道を歩いていた若者Vと口論になりました。ついカッとなってしまったAさんは、若者Vの胸元を手でつよく押してしまいました。。
Aさんに強く押されたはずみで、若者Vは転倒し腰の骨を折るなどの重傷を負ってしまいました。
Aさんと若者Vのトラブルを目撃していた人が警察に通報し、臨場した警察官にAさんは傷害罪の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。 
Aさんを逮捕したと連絡を受けた、Aさんの妻は詳しい状況を知るために、弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことにしました。

(フィクションです。)

傷害罪について

傷害罪は、刑法204条(出典/e-GOV法令検索)に規定されています。
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害」とは人の生理機能を侵害することであるとされています。
具体例としては、頭を叩いてたんこぶや内出血を負わせること、刃物で切り傷を負わせることなどが上げられます。 
事例のAさんは、被害者の胸元を押して転倒させた上、腰の骨を折るなどの傷害を負っているため、人の生理機能を侵害したとして「傷害罪」が成立する可能性が高いです。 

教員免許を持つ者に前科が付いてしまうと

教員免許についてを定める教育職員免許法第10条1項および第5条1項3号は、「禁錮以上の刑に処せられた者」は、教員免許が失効しまた再度の教員免許取得ができなくなる旨を定めています。そのため、仮に教師が傷害罪で起訴されて禁錮以上の前科が付いてしまうと、教師として働き続けることが困難になると考えられます。

そのため、教員免許を持つ者が、警察に逮捕されたり捜査を受けている場合は、なんとしてでも禁固以上の刑にならないようにすることが重要です。

弁護士に相談するメリット

傷害罪は被害者のいる犯罪ですから、被害者との間で示談を成立させることが重要となります。
仮に、早期に示談を成立させることができれば、不起訴処分となる可能性があります。
不起訴処分となれば、前科がつくこともありません。
仮に、起訴されたとしても、示談が成立していることは被告人にとって有利な事情となります。
刑事事件の被害者は通常、加害者に対して強い処罰感情を有しています。
そのため、加害者が被害者と直接連絡をとろうとしても拒絶される可能性があります。
そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者と直接連絡をとることに強い抵抗感をもつ被害者であっても弁護士相手であれば、示談交渉に応じてくれる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は傷害事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
傷害事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】口論から傷害事件に発展した事例

2024-03-11

口論から殴り合いの喧嘩になり、相手をケガさせて傷害事件となった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・事例

Aさんは、会社への通勤中に、反対方向から歩いてきた男性Bの肩がぶつかり口論になりました。
相手が一向に謝罪しないため、AさんはBさんを殴って道路上で転倒させた結果、顔面を強く打ったBさんを出血させてしまいました。
周囲の人たちの通報により、駆け付けた警察は2人を署まで連れて行き、取調べを行ったあと、後日また呼び出すということで2人を解放しました。

不安に思ったAさんは、弁護士に相談してみることにしました。

・傷害罪

刑法204条(出典\e-GOV法令検索)

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する

傷害罪は、人の身体を「傷害」する犯罪です。
判例によれば、傷害とは人の生理的機能に障害を加えることです(大判明治45年6月20日)。
例えば、人をバットで殴って出血させた場合がこれにあたります。
本件では、AさんはBさんを殴って、道路上で転倒させた結果、Bさんは出血したようです。
したがって、本件では、傷害罪が成立する可能性があります。

・弁護士に相談を

傷害罪は被害者のいる犯罪ですから、被害者との間で示談を成立させることが重要となります。
仮に、早期に示談を成立させることができれば、不起訴処分となる可能性があります。
不起訴処分となれば、前科がつくこともありません
仮に、起訴されたとしても、示談が成立していれば刑の減軽執行猶予付き判決が得られる可能性があります。
刑事事件の被害者は通常、加害者に対して強い処罰感情を有しています。
そのため、加害者が被害者と直接連絡をとろうとしても拒絶される可能性があります。
そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者と直接連絡をとることに強い抵抗感をもつ被害者であっても弁護士相手であれば、示談交渉に応じてくれる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は傷害事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
傷害事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】老人ホーム職員の入所者に対する傷害事件で逮捕

2023-04-27

【報道解説】老人ホーム職員の入所者に対する傷害事件で逮捕

老人ホーム施設職員入所者暴行して怪我をさせた傷害罪刑事事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事件概要】

福岡県久留米市の特別養護老人ホームの介護職員男性A(32歳)が、入所者女性V(86歳)の腕を殴り骨折の怪我を負わせたとして、傷害罪の容疑で逮捕されました。
福岡県警久留米警察署の調べでは、Aは、食事介護中にVが何度も皿を落としたことに腹が立ち、腕を殴ったことは認めていますが、怪我をさせるつもりはなかったと供述しています。
(令和5年3月8日の「共同通信」の記事をもとに、一部事実を変更したフィクションです。)

【傷害罪とは】

傷害罪については、刑法第204条で以下のように定められています。
「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
傷害とは、「人の生理的機能に障害を生じさせること」を意味しており、骨折や創傷等の外傷は勿論のこと、眩暈や腹痛などの疾患を引き起こすことも含まれます。
通常、暴行によって傷害を生じさせる場合が多いですが、傷害を生じさせる意図(故意)により、暴行以外の手段で傷害を生じさせる場合も傷害罪が成立します。例えば、執拗な嫌がらせ電話により相手をノイローゼにさせた例が挙げられます。

【傷害の故意がない暴行による場合の傷害罪の成立】

暴行以外の手段であれば傷害の故意が必要であると述べましたが、故意の暴行により傷害が発生した場合では、例え傷害の故意がなかったとしても、傷害罪が成立します(結果的加重犯)。
つまり、故意に殴ったことは認める場合は、怪我をさせるつもりはなかったと主張しても、傷害罪は成立します。

【傷害罪の刑事弁護】

被害者感情が重要視される昨今、傷害事件においても、被害者の方と示談することは、重要な弁護活動です。

示談が成立することで、逮捕勾留による身体の拘束から解放されたり、検察官が起訴することなく事件を終わらせたりする可能性が高まるなど、示談締結のメリットは大きいです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害罪示談交渉等を数多く経験し、示談成立による身柄解放や不起訴を獲得している実績があります。
老人ホームの職員による入所者への傷害事件で不安を抱える方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【事件解説】人に水をかけて暴行罪

2023-04-25

【事件解説】人に水をかけて暴行罪

人に故意に水をかけるという行為だけで暴行罪(刑法第208条)が成立するかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

福岡市在住の会社員男性Aは、友人の会社員女性Vと、博多区のショッピングセンターの飲食店で食事中に口論となり、故意にVの身体にグラスの水をかけました。
Aからの謝罪もなく怒りの収まらないVが警察に被害届を提出したことで捜査が始まり、暴行罪の容疑でAへの任意の取調べが行われました。
福岡県警博多警察署の調べでは、Aは容疑を認めています。なお、Vに怪我はありません。
(事例はフィクションで、登場人物はすべて成人です。)

【暴行罪とは】

暴行罪については、刑法第208条で以下のように定められています。
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」

【直接触らない「暴行」】

暴行罪で定める「暴行」が、具体的にどのような行為を指すかは明文で示されていません。

暴行」という言葉からは、直接殴ったり蹴ったりする行為をイメージする方が多いと思いますが、最高裁判所の判例では、「暴行」とは、「人の身体に対する不法な有形力の行使」と示されており、直接的な身体の接触までは求められていないため、人の身体に向けた攻撃であれは、一般的なイメージよりも幅広い行為が「暴行」に該当し得ると言えます。

例えば、衣服を掴み引っ張る行為、携帯用拡声器を用いて耳元で大声を発する行為、人の顔や胸に塩を数回かける行為も、判例上は「暴行」に該当するとされています。

今回の事件例でAがVに水をかけた行為は、直接的な身体の接触は伴っていませんが、人の身体に向けた攻撃と言えるため「暴行」に該当し、暴行罪が認定される可能性が高いです。

【暴行罪の刑事弁護】

傷害罪暴行罪といった暴力犯罪は、早い段階で被害者との示談が成立することで、逮捕勾留による身体の拘束を防ぐことができたり、検察官が起訴することなく事件を終わらせたりする可能性が高まるなど、示談締結のメリットは大きいです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、暴行罪示談交渉等を数多く経験し、身柄拘束の回避や不起訴を獲得している実績があります。
暴行罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

【事例解説】酒に酔って店の看板を損壊、他人に暴力

2023-02-07

【事例解説】酒に酔って店の看板を損壊、他人に暴力

忘年会の帰りに酒に酔って物や他人に対して暴力をふるった刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「Aさんは、昨年末、地元に帰省した際に、高校時代の同級生と、居酒屋で忘年会をしました。
数件の飲食店で酒を飲み、べろべろの状態になったAさんは、自宅に帰る途中で、お店の看板を蹴り飛ばして壊しました。
看板が壊されたことに気が付いた店主のVさんが、様子を見に外に出てきたところ、Aさんは『何見てんだ』と因縁をつけて、Vさんの顔面を拳で一発殴って、その場から離れました。
Aさんは、帰宅し、通常通りの生活を送っていたところ、年明けのある日、警察からお店の看板を壊して人の顔を殴ったことについて話を聞きたいと連絡がありました。」
(この事例はフィクションです)

【酒に酔って起こしたトラブルで刑事事件に】

昨年の暮れに行われた忘年会や、年末年始で地元に帰省した際に親族や学生時代の友人たちとの飲み会、年明けに行われる新年会など、ここ最近でお酒を飲む機会がたくさんあった方がいらっしゃるかと思います。
その場の雰囲気が楽しくて、ついついお酒を飲みすぎてしまうこともあるかと思いますが、飲みすぎてトラブルを起こしてしまうと、警察が介入して刑事事件へと発展することがあります。

事例のAさんについていうと、酒に酔った状態でお店の看板を壊した行為は刑法261条の器物損壊罪に当たり、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料が科される可能性があります。
また、Vさんの顔面を拳で一発殴った行為は刑法208条の暴行罪に当たるでしょうし、顔面を殴ったことでVさんが怪我をしたのであれば、刑法204条の傷害罪に当たることになります。
暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっていますが、傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっており、暴行罪の法定刑よりも重くなっています。

【器物損壊、暴行や傷害の疑いで警察から連絡がきたという方は】

年末年始にお酒を飲んだ際に起こした器物損壊暴行傷害事件について警察から呼び出しの連絡が来たという方は、弁護士に相談して今後についてアドバイスを貰われることをお勧めします。
また、事件を起こしたことを認める場合は、弁護士を通して被害者の方と示談を締結することが重要になります。
もちろん、被害者の方がどこのだれかとういうこよが分かっている場合は、ご自身で直接被害者の方に謝罪して示談金を支払うということもできますが、被害者の方からしてみれば、事件を起こした人に会うことを怖がって直接会うことをためらったり、逆に被害を受けたことの怒りからまともに交渉を受け付けてもらえないということがあります。
このような場合でも、弁護士であれば「話だけは聞いてみるか」と交渉を開始することが可能になったり、粘り強く交渉をしていく中で、最初は怒りに震えていた被害者の方も考えを改めてくれて示談を受け入れてもらえるということも十分可能な場合があります。
そのため、被害者の方との示談をお望みの方は、弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
警察の捜査を受けてお困りの方や、被害者の方との示談を考えている方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】コンビニのセルフコーヒーの不正利用の窃盗罪から逃走して強盗殺人未遂で逮捕

2022-11-22

【報道解説】コンビニのセルフコーヒーの不正利用の窃盗罪から逃走して強盗殺人未遂で逮捕

コンビニでのセルフコーヒー不正利用を指摘して追ってきたオーナーを車から振り落としたとして強盗殺人未遂の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「群馬県内のコンビニ店でコーヒー用のカップにカフェラテを注ぎ、注意した店のオーナーを車から振り落としたとして逮捕された男が注意された際、『トイレに行きたい』と言って逃げようとしたことが分かりました。
A容疑者(60)は太田市のコンビニ店で、オーナーの男性がしがみついているのに車を250メートルほど蛇行運転し、振り落とした強盗殺人未遂の疑いで送検されました。
男性は、外傷性くも膜下出血の重傷です。
警察によりますと、増倉容疑者はSサイズのコーヒーを110円で購入しましたが、180円のMサイズのカフェラテを注いだところを見つけられ、男性に注意されました。
その際、A容疑者は『トイレに行きたい』と嘘をつき、車に乗り込んで逃走を図ったということです。
A容疑者は『違います』と容疑を否認しています。」

(令和4年10月27日にテレ朝NEWSで配信された報道より引用)

【コンビニのセルフコーヒーの不正利用の罪】

最近のコンビニでは、それぞれの商品に対応したカップをレジで購入した後に購入者自身がコーヒーマシンにカップを置き、代金を支払ったカップに対応する商品のボタンを押すという形態でコーヒーなどの飲み物が販売されています。
コーヒーマシンでボタンを押す際はコンビニ店員ではなくて購入者自身がボタンを押す形となっているために、購入者がレジで購入した代金よりも高い商品のボタンを押して、警察に通報されたり、場合によっては警察に逮捕されるという事件が近年多く発生しているようです。

では、カップを購入した代金よりも高額の商品のボタンを押して飲み物を注いだ場合にどのような犯罪行為が成立するでしょうか。

まず、レジで店員からカップを購入する時点で既にカップの代金よりも高額の商品のボタンを押そうと考えていた場合には詐欺罪が成立すると考えられます。

また、レジで店員からカップを購入する時点では購入したカップに対応する商品のボタンを押そうと思っていたが、コーヒーマシンの前でボタンを押すときになって初めて購入したカップの代金よりも高額の商品のボタンを押そうと思った場合は、窃盗罪が成立すると考えられます。

実際には、どの時点でカップの代金よりも高額の商品のボタンを押そうと思ったのかという判断が困難なため、より適用可能性の広い窃盗罪で検挙されているケースが非常に多いです。

窃盗罪で検挙されるというのは、事件を起こした被疑者にとっては詐欺罪で検挙されるよりも有利であるといえます。
というのも、詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役しか定められていない一方で、窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又はは50万円以下の罰金となっていますので、詐欺罪で検挙されて起訴されると必ず正式な裁判が開かれることになりますが、窃盗罪で検挙されて起訴された場合には、法定刑に罰金刑が定められていることから略式手続による起訴を行うことができるからです。

【セルフコーヒーの不正利用を指摘されて逃走した場合の加重犯罪】

刑法238条では事後強盗罪を規定しており、窃盗罪を犯した犯人が、一定の場合に暴行または脅迫を行った場合には、窃盗の犯人を強盗として扱うと定めています。

この一定の場合には、①盗んだ財物を取り返されることを防止する目的、②逮捕を免れる目的、③罪跡を隠滅する目的の3つが定められています。

取り上げた報道では、逮捕された男性は、110円で購入したカップに180円のカフェラテを注ぐというかたちで窃盗をした後に、追いかけて車にしがみついてきたコンビニオーナーから逃れるために、車を250メートルほど蛇行運転して振り落とすという暴行を加えていることから、窃盗の犯人が、②の逮捕を免れる目的あるいは③の罪跡を隠滅する目的で暴行を加えたといえるでしょうから、事後強盗罪が成立すると考えられます。

こうして、窃盗を犯した人が事後強盗罪に該当すると強盗として扱われることになりますので、この上更に、人に怪我を負わせたり、死亡させた場合には刑法240条の強盗致死傷罪が適用されることになります。

強盗致死傷罪には、故意に人を死亡させた場合の強盗殺人、故意に人を怪我させた場合の強盗傷人、故意によらずに人を死亡させた場合の強盗致死、故意によらずに人を怪我させた場合の強盗致傷の4つのパターンが含まれています。

取り上げた報道では、被害に遭われたコンビニのオーナーは外傷性くも膜下出血の重傷を負っているとのことですが、今回行われた暴行が、250メートルほど蛇行運転して車から振り落とすという人を死に至らしめる危険が極めて高い行為であると判断されたために、強盗傷人ではなく、強盗殺人未遂として逮捕されたのだと考えられます。

【強盗殺人未遂で刑事事件化したら】

強盗殺人罪の法定刑は、死刑又は無期懲役のみとなっており非常に刑が重い犯罪です。

強盗殺人未遂を犯した場合には、「その刑を減軽することができる」(刑法43条)こととなっていますが、強盗殺人未遂の法定刑も強盗殺人罪と同じく死刑又は無期懲役のみとなっていますので、強盗殺人未遂も刑が重い犯罪であるといってよいでしょう。
また、強盗殺人未遂として起訴されて刑事裁判となった場合、その刑事裁判裁判員裁判となりますので、通常の刑事裁判よりも異なる手続となります。

そのため、ご家族が強盗殺人未遂の疑いで警察に逮捕された場合は、まずは弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
この初回接見によって、弁護士逮捕されたご家族の方より直接事件についてお話を伺うことができますので、事件の見通しや、今後の手続の流れといったことについて弁護士から説明を受けることが期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が強盗殺人未遂の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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