【事例解説】競合店に脅迫し暴力行為等処罰法違反で逮捕(後編)

2024-04-21

前回に引き続き、自身の店舗のサービス内容をそっくり真似した競合店に対して、集団を装い脅迫した事件について、暴力行為等処罰法違反となる可能性があるかどうか弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

脅迫電話

事例紹介

都内で複数のマッサージ店を経営するAさんは、最近新しくできたマッサージ店Vが自店舗のサービス内容をまるパクリしていることを知りました。
Aさんは、Vに対して電話して抗議したところ、相手が反省の色を見せず開き直って暴言を吐いてきました
Aさんは、ヒートアップしていまい「店の人間全員が、お前もお前の店もめちゃくちゃにしたるつもりでいるから覚悟しとけ」と言ってしまいました。
Vさんはボクシングを学生時代からしていたので、本当にやってきたら返り討ちにしてやろうと思いながら電話を切った後、電話の内容を録音していたので警察に被害届を提出しました。
後日Aさんは逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
前編では脅迫罪の成否についてを、後編では暴力行為等処罰法の成否について解説します。

暴力行為等処罰法違反

暴力行為等処罰法(出典/e-GOV法令検索)は、脅迫罪等の刑法犯が一定の場合に行われた場合に、刑法よりも重く処罰すると規定しています。
例えば、刑法上の脅迫罪の法定刑は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑ですが、暴力行為処罰法では一定の場合に脅迫罪に当たる罪が犯された場合、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。

具体的にどういった場合かというと、①現実に団体や多数人で威力を示して脅迫した場合、②現実には団体や多数人ではないのにそうであるかのように装って脅迫した場合、③凶器を示して脅迫罪を行った場合です(暴力行為等処罰法1条)。

前編で解説したように、Aさんは脅迫罪に当たる可能性があります。
加えて、Aさんは、電話で「店の人間全員が、お前もお前の店もめちゃくちゃにしたるつもりでいるから覚悟しとけ」と言ってしまったようですから、実際にAさんの店舗で働く人たちがVさんに危害を加えるつもりであってもそうでなくても、暴力行為等処罰法1条違反になる可能性があります。

弁護士に相談を

本件のように被害者のいる犯罪では、示談を成立させることが非常に重要となります。
早い段階で示談が成立すれば、起訴猶予による不起訴処分となるかもしれません。
仮に起訴されたとしても、量刑が、示談が成立していることを踏まえて軽くなる可能性もあるからです。

ただし、加害者が直接被害者と連絡をとって示談交渉をするのは得策ではありません。
被害者にとっては、加害者は自分や自分の大切の財産に対して危害を加えると言ってきた人物であり、被害者は加害者に対して通常強い処罰感情を有しているため交渉に応じてくれない可能性があるためです。

そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、脅迫事件、暴力行為等処罰法違反事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
ご家族が脅迫罪や暴力行為等処罰法違反で警察に逮捕されてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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