事後強盗事件と弁護活動

2019-09-04

事後強盗事件と弁護活動

Aさんは、大阪府池田市にある駅の近くにあるスーパーマーケットで万引きを行った。
しかしAさんがスーパーから出た直後に、Aさんによる万引きを目撃していた店員Vが追いかけてきて、Aさんの腕をつかんだ。
しかし、Aさんは、このままでは警察に捕まってしまうと思い、Vさんを路上に突き飛ばし、そのまま逃走した。
後日、防犯カメラの映像から、Aさんによる犯行が発覚し、事後強盗罪の容疑でAさんは大阪府池田警察署に逮捕された。
Aさんの逮捕を知ったAさんの家族は、刑事事件に強いと評判の法律事務所に初回接見を依頼した。
(上記の事例はフィクションです。)

~事後強盗罪~

刑法238条
「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。」

窃盗犯が財物を取り返される事を防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために暴行又は脅迫をした場合には「事後強盗罪」と呼ばれる犯罪として処罰されます。

万引き行為については窃盗罪が成立することになりますから、上記事例のAさんのように、万引き後に逮捕を免れるために暴行を行った場合についても事後強盗罪が成立するおそれがあります。
なお、事後強盗罪については、未遂処罰規定が存在することから、仮に窃盗が成功せずに未遂に終わった場合であっても、その後に暴行又は脅迫を行えば事後強盗未遂罪として処罰されることになります。

事後強盗罪は、強盗罪と同様の法定刑ですから、法定刑は5年以上の有期懲役となり、大変重い刑罰が科せられることになります。
また、暴行によって被害者に怪我をさせてしまった場合には、強盗致傷罪というさらに重い犯罪が成立することになります(強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の有期懲役となっています)。

~弁護士の活動~

もっとも、強盗罪における暴行又は脅迫については、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものである必要があると考えられています。
このため、事後強盗罪における暴行又は脅迫についても、同程度のものでなければならないと考えられています。

上記の例では、AさんによるVさんへの暴行が、Vさんの反抗を抑圧する程度のものでなければ、Aさんは強盗罪としてではなく窃盗罪と暴行罪として処罰され、罰金刑で済む可能性があります。
(窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金、暴行罪の法定刑は2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料と定められています)

そのため、Aさんが「手を振り払ったにすぎず、それほど強い暴行をはたらいたわけではない」と主張しているのであれば、弁護士としては、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行は行っていないと主張する活動をすることになります。
一方で、突き飛ばしたとなると相当強い暴行となり、犯行を抑圧する程度のものとなってしまいます。
もっとも、法律上事後強盗といえるとしても、暴行の程度がそれほど重くないのであれば、本人の反省や示談次第で暴行罪と窃盗罪として処分することもあるようです。

このような主張については、刑事事件についての正確な知識や経験がない被疑者本人が一人で行うことは大変困難であるといえます。
そのため、事後強盗罪で逮捕されてしまった場合には、出来る限り早い段階で、刑事事件に精通した弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に取り扱っている弁護士が多数在籍しております。
弊所の弁護士が被疑者(被告人)や被害者、目撃者の方の話を聞くことによって事件の内容を把握し、必要に応じて被害者との示談交渉などを行うことになります。
このような弁護活動によって、被告人に不当な処分がなされることを防ぎ、適切な量刑判断がなされるように捜査機関や裁判所に働きかけることになります。
弊所では、24時間、無料相談のご予約、初回接見サービスを受け付けております。
刑事事件についてお悩みの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。