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事後強盗事件と弁護活動
事後強盗事件と弁護活動
Aさんは、大阪府池田市にある駅の近くにあるスーパーマーケットで万引きを行った。
しかしAさんがスーパーから出た直後に、Aさんによる万引きを目撃していた店員Vが追いかけてきて、Aさんの腕をつかんだ。
しかし、Aさんは、このままでは警察に捕まってしまうと思い、Vさんを路上に突き飛ばし、そのまま逃走した。
後日、防犯カメラの映像から、Aさんによる犯行が発覚し、事後強盗罪の容疑でAさんは大阪府池田警察署に逮捕された。
Aさんの逮捕を知ったAさんの家族は、刑事事件に強いと評判の法律事務所に初回接見を依頼した。
(上記の事例はフィクションです。)
~事後強盗罪~
刑法238条
「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。」
窃盗犯が財物を取り返される事を防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために暴行又は脅迫をした場合には「事後強盗罪」と呼ばれる犯罪として処罰されます。
万引き行為については窃盗罪が成立することになりますから、上記事例のAさんのように、万引き後に逮捕を免れるために暴行を行った場合についても事後強盗罪が成立するおそれがあります。
なお、事後強盗罪については、未遂処罰規定が存在することから、仮に窃盗が成功せずに未遂に終わった場合であっても、その後に暴行又は脅迫を行えば事後強盗未遂罪として処罰されることになります。
事後強盗罪は、強盗罪と同様の法定刑ですから、法定刑は5年以上の有期懲役となり、大変重い刑罰が科せられることになります。
また、暴行によって被害者に怪我をさせてしまった場合には、強盗致傷罪というさらに重い犯罪が成立することになります(強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の有期懲役となっています)。
~弁護士の活動~
もっとも、強盗罪における暴行又は脅迫については、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものである必要があると考えられています。
このため、事後強盗罪における暴行又は脅迫についても、同程度のものでなければならないと考えられています。
上記の例では、AさんによるVさんへの暴行が、Vさんの反抗を抑圧する程度のものでなければ、Aさんは強盗罪としてではなく窃盗罪と暴行罪として処罰され、罰金刑で済む可能性があります。
(窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金、暴行罪の法定刑は2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料と定められています)
そのため、Aさんが「手を振り払ったにすぎず、それほど強い暴行をはたらいたわけではない」と主張しているのであれば、弁護士としては、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行は行っていないと主張する活動をすることになります。
一方で、突き飛ばしたとなると相当強い暴行となり、犯行を抑圧する程度のものとなってしまいます。
もっとも、法律上事後強盗といえるとしても、暴行の程度がそれほど重くないのであれば、本人の反省や示談次第で暴行罪と窃盗罪として処分することもあるようです。
このような主張については、刑事事件についての正確な知識や経験がない被疑者本人が一人で行うことは大変困難であるといえます。
そのため、事後強盗罪で逮捕されてしまった場合には、出来る限り早い段階で、刑事事件に精通した弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に取り扱っている弁護士が多数在籍しております。
弊所の弁護士が被疑者(被告人)や被害者、目撃者の方の話を聞くことによって事件の内容を把握し、必要に応じて被害者との示談交渉などを行うことになります。
このような弁護活動によって、被告人に不当な処分がなされることを防ぎ、適切な量刑判断がなされるように捜査機関や裁判所に働きかけることになります。
弊所では、24時間、無料相談のご予約、初回接見サービスを受け付けております。
刑事事件についてお悩みの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。
泥酔者を介法せずに保護責任者遺棄致死罪
泥酔者を介法せずに保護責任者遺棄致死罪
Aさんは、さいたま市浦和区で開催された、自己の所属する大学のサークルの飲み会に交際相手であるVさんと参加しました。
Vさんはかなりの酒好きで、Aさんは、飲み会に参加する前、Vさんから「酔いつぶれたら家まで送り届けて。」などと頼まれ、これを承諾していました。
ところが、Aさんは飲み会にすっかり夢中になり、Vさんに家まで送り届けるのを頼まれていたことを忘れ、Vさんを飲み会の席に置き去りにしたまま、他の友人らと二次会に参加しました。
そうしたところ、Vさんは誰の介抱も受けることなく急性アルコール中毒により死亡してしまいました。
埼玉県浦和警察署の捜査の結果、AさんがVさんから事前に介抱を頼まれていたことが判明し、Aさんは保護責任者遺棄致死罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~保護責任者遺棄罪、同致死傷罪~
飲み会時に必要となるのが「酔いつぶれた人の介抱」です。
実は、そのような泥酔者を放置してしまった場合、保護責任者遺棄罪という罪に問われる可能性があります。
また、泥酔者が傷害を負ったり死亡したりすれば、保護責任者遺棄致死傷罪が成立する可能性があります。
保護責任者遺棄罪は刑法218条に、同致死傷罪は刑法219条に規定されています。
刑法218条
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。
刑法219条
前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害罪の罪と比較して、重い刑により処する。
=老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者=
このうち「泥酔者」がどれに当たるかですが、過去には「泥酔者」は「病者」に当たると判示した裁判例があります(大阪高等裁判所昭和30年11月1日判決)。
「保護責任」の発生根拠は、法令、契約、事務管理、慣習、条理、先行行為等、様々ですが、概ね、病者の生命・身体の危険を支配しうる地位にある者ということができると思います。
この点、Aさんは、Vさんの交際相手であって、かつ、Vさんから飲み会の前に介抱を頼まれていたことから「保護する責任のある者」に当たる可能性は高いと考えられます。
=遺棄、生存に必要な保護をしない=
「遺棄」とは、泥酔者を場所的に移動させるだけではなく、放置したまま立ち去ることも含みます。
ただし、本罪は故意犯ですから、Aさんが、Vさんが泥酔状態であることを認識しつつ、これを放置すればVさんの生命・身体に危険が生じることが分かっていながら敢えて放置した、という場合にはじめて「遺棄」したといえるでしょう。
「生存に必要な保護をしない」とは「遺棄」と異なり、要保護者(Vさん)と場所的には隔離しないで生存に必要な保護責任を尽くさないことをいいます。
=よって人を死傷させた=
保護責任者遺棄罪(刑法218条)は結果的加重犯と言われ、死傷の結果発生につき認識は不要です(認識がある場合は殺人罪(刑法199条、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役)が適用される可能性があります)。
~保護責任者遺棄罪・同致死傷罪の罰則は?~
保護責任者遺棄罪の罰則は、「3月以上5年以下の懲役」です。
また、保護責任者遺棄致死罪の罰則は、「傷害罪の罪と比較して、重い刑による」とされています。
これは、保護責任者遺棄致傷罪(傷害を負わせた場合)の場合は、「3月以上15年以下の懲役(傷害罪の罰則は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」で、下限は保護責任者遺棄罪が重く、上限は傷害罪が重いため)」で、保護責任者遺棄致死罪(死亡させた場合)の場合は、「3年以上の有期懲役(傷害致死罪の罰則は「3年以上の有期懲役」で、保護責任者遺棄罪より傷害致死罪の方が重いため)」とされることを意味しています。
~おわりに~
暑い季節ですから、飲み会の機会も増えるかと思います。
泥酔者に対して「 面倒だなぁ」など思ったとしても、しっかりしかるべき対処をするべきでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
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職務質問中に警察官を突き飛ばしてしまった
職務質問中に警察官を突き飛ばしてしまった
神奈川県相模原市在住のAさん(45歳)は、仕事終わりに瓶ビールを2本ほど飲んで帰宅していました。
Aさんはその帰宅途中に、神奈川県津久井警察署の警察官に呼び止められ、職務質問を受けました。
しかし、酒に酔っていたAさんは、職務質問に嫌気がさしてその場から逃げ出そうと、職務質問に応じるよう求める警察官を突き飛ばして家に帰ろうとしましたが、側にいた他の警察官に取り押さえられてしまいました。
そのため、Aさんは公務執行妨害罪で現行犯逮捕され、神奈川県津久井警察署に連行されてしまいました。
(フィクションです。)
今回のケースで問題となるのは、以下の法律の条文です。
刑法95条1項 公務執行妨害罪
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
~公務執行妨害罪の「公務員」~
公務執行妨害罪の客体となるのは公務員です。
「公務員」の定義は刑法7条1項に規定されていますが、簡単に言えば、「法令により公務に従事する職員」のことを指します。
今回の事件のような警察官だけでなく、国会議員なども「公務員」に含まれるとされています。
~公務執行妨害罪の「職務」の範囲~
公務執行妨害罪における「職務」とは何を指すかについては意見が二つに分かれています。
強制力のある権力的なもの以外(非権力的なもの)を「職務」とする意見もありますが、裁判所の判例は、権力的かどうかを問わず、「ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてが含まれる」とされています。
そのため、今回の事件のように、警察官が職務質問をすることは「職務」に当たります。
他にも、学校の教員が授業を行うことなども、「職務」の一部とされています。
~公務執行妨害罪の「暴行」・「脅迫」~
公務執行妨害罪における「暴行」は「有形力の不法な行使」を指し、「脅迫」は恐怖心を起こさせる目的で他人に害悪を告知する行為をいいます。
公務執行妨害罪の目的は、公務員の保護ではなく、公務の保護にあります。
したがって公務執行妨害罪における暴行や脅迫は、公務中の公務員に対するものでなければいけません。
そのため、休日中の公務員や出勤移動中の公務員に暴行や脅迫を加えた場合は、暴行罪(刑法208条)又は脅迫罪(同法222条)が適用されます。(暴行罪は2年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料、脅迫罪は2年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金)
今回の事件のような、職務質問を受けている最中に警察官を突き飛ばす行為は公務執行妨害罪における「暴行」にあたるでしょう。
~公務執行妨害罪の「職務」の適法性~
公務執行妨害罪の成立には、暴行・脅迫を受けた「職務」は適法である必要があります。
職務が適法であるかどうかは、3つの観点から判断されます。
①「職務」にあたるか(抽象的職務権限があるか)
②法律上の要件を満たすか(具体的職務権限があるか)
③法律上重要な手続き・方式を踏んでいるか
①警察官の職務質問は、警察官の「職務」に当たりますし、今回の事件では、②③職務質問について規定してある警察官職務執行法2条1項に違反しているとは判断できないので、適法であるという判断が下されるでしょう。
~公務執行妨害罪に対する弁護活動~
公務執行妨害罪の内容については、上記の通り、学者の間でも意見が割れ、判断が難しいことが多いです。
そこで、公務執行妨害罪に関してお困りの方は、そのような事件に詳しい刑事事件専門の弁護士に一度相談することをおすすめします。
本当に公務執行妨害罪にあたるかについての判断をする、その後の対応について伝えるなどの対応をさせていただきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、神奈川県の公務執行妨害事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
児童虐待防止法の改正
児童虐待防止法の改正
福岡市南区に住むAさんは離婚し、Xちゃん(2歳)と2人暮らしでした。
しかし、Aさんは元交際相手Bと再会したことをきっかけにB宅の元に通い詰めるようになり、徐々にXちゃんに対する育児がおろそかになっていきました。
そして、AさんがXちゃんに1週間、ご飯を食べさせない日が続き、Aさんが久しぶりに自宅へ帰ったところ、Xちゃんはかすかに意識はあったものの、リビングのソファーの上でぐったりと横になっていました。
Aさんは「大変なことをしてしまった。」とは思いましたが、「このまま病院へ連れていけば児童虐待がばれてしまう」と思い、そのまま食事を与えず放置し、Xちゃんを死なせてしまいました。
その後、Aさん家族の異変に気づいた児童相談所の立入り調査により、Xちゃんの死亡が発覚。
Aさんは、福岡県南警察署に保護責任者遺棄致死罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~ 児童虐待防止法等改正 ~
令和元年6月19日、親による体罰禁止などを盛り込んだ改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が、参議院本会議で、「全会一致で可決、成立」しました。
報道によると、改正のポイントは
・親がしつけに際して体罰を加えることを禁止する
・民法の「懲戒権」は施行後2年をめどに見直しを検討する
・児童相談所の一時保護と保護者支援の担当を分ける
・児相には医師と保育士を配置する
・学校や教育委員会、児童福祉施設の職員に守秘義務を課す
→千葉県野田市の児童虐待事案で、教育委員会が女児のアンケートを父親に渡していたことを受けて
・都道府県などは親への再発防止の指導を行うよう努める
・家族が引っ越しした場合に速やかに児童間で情報を共有する
という点とのことです。
また、
・「体罰」の範囲については厚生労働省が今後指針で定める
・「懲戒権」の規定が体罰を容認する口実となっていることを受け、法務大臣が法制審議会(法相の諮問機関)で見直しを諮問する見通し
とのことです。
~ 児童虐待とは ~
ところで、児童虐待については、児童虐待防止法(正式名称:児童虐待の防止等に関する法律)の2条に定義されています。
それによると、児童虐待とは「保護者(略)がその監護する児童(18歳に満たない者をいう。以下同じ)について次に掲げる行為をいう」とされており、「次に掲げる行為」を
1号 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれがある暴行を加えること(身体的虐待)
2号 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること(性的虐待)
3号 児童の心身の発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること(ネグレクト)
4号 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(略)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと(心理的虐待)
としています。
以上からすると、Aさんの行為は3号の児童虐待(ネグレクト)に当たりそうです。
~ 児童虐待に対する罰則 ~
児童虐待法には児童虐待そのもの罪、それに対する罰則は設けられていません。
あくまで、刑法をはじめとする他の法令に規定されている罪、罰則で処罰される可能性があります。
今回、Aさんが逮捕された保護責任者遺棄致死罪に関しては、刑法218条、刑法219条に規定されています。
刑法219条【遺棄等致死傷】
前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
刑法218条【保護責任者遺棄等】
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。
以上の規定を本件に当てはめると、Xちゃんは「幼年者」に当たります。
また、Aさんは、1週間、Xちゃんに食事を与えなかった(ネグレクト)というのですから「その生存に必要な保護をしなかった」ことに当たります(以上、刑法218条)。
そして、さらにAさんは自宅に帰った後もXちゃんに食事を与えずXちゃんを死なせていますから、「前2条の罪を犯しよって人を死傷させた」ことに当たります(以上、刑法219条)。
* 殺人罪に問われる可能性も *
なお、食事を与えなかったことなど(ネグレクト)が殺す行為と同等に評価され、殺人罪が適用されるケースもありますから注意が必要です。
さいたま地裁の裁判例(平成17年10月12日)では、Aさんと同様の事案で、被告人に懲役12年の実刑判決が言い渡されています。
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器物損壊事件を起こし逮捕
器物損壊事件を起こし逮捕
~ケース~
Aさんは酔っぱらい、神戸市須磨区にある建物のガラス戸を何度も蹴りつけ、割ってしまいました。
ガラス戸を蹴っている様子をパトロール中の兵庫県須磨警察署の警察官に現認され、職務質問を受けました。
職務質問を受けたことにAさんは立腹し、なおもガラス戸を蹴り続けていたことから、Aさんは器物損壊罪の現行犯として逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~器物損壊罪について解説~
器物損壊罪は他人の物を損壊し、又は傷害する犯罪です。
「損壊」とは、動物以外の物の毀棄、「傷害」とは動物の毀棄を意味し、物の効用を害する一切の行為をいいます。
他人の物を物理的に破壊することはもちろん、他人の食器に放尿する行為も「損壊」に当たります。
また、他人の動物に直接怪我を負わせるだけでなく、他人の飼養する魚を養魚池外に流失させることも「傷害」に当たります。
なお、一定の動物(牛、馬、豚、めん羊など)は動物愛護法上の「愛護動物」に該当し、これをみだりに殺し、又は傷つけると動物愛護法違反の罪が成立します(動物愛護法第44条1項)。
器物損壊罪につき起訴され、有罪が確定すると、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処せられます。
今回の場合、ガラス戸を蹴って割る行為は、ガラス戸としての効用を明らかに害する行為なので、Aさんに器物損壊罪が成立する可能性は極めて高いでしょう。
~Aさんは今後どうなるか?~
警察での取調べを受けた後、留置の必要があると認められるときは、逮捕時から48時間以内に検察へ身柄が送致されます。
身柄の送致を受けた検察官においても取調べを行い、身柄を受け取ったときから24時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを起訴するか、あるいは釈放するかを判断します。
勾留を請求された場合、裁判官が勾留の要件を満たしているかどうかを判断し、要件が満たされていると判断された場合は、10日間の期間で勾留決定を出します。
やむを得ない事由があると認めるときは、さらに最長10日間、勾留の延長をすることができます。
検察官は、勾留の満期日までに、Aさんを起訴するか、不起訴にするか、あるいは処分を保留して釈放するかを決めることになります。
~身柄解放活動を弁護士に依頼する~
上記の通り、いったん逮捕され、勾留、勾留延長されると、最長23日間もの間身体拘束されることになります。
起訴され、保釈されたとしても、23日間の時間は返ってきません。
Aさんが働いている場合には、勤務先を長期間無断欠勤することになります。
23日間もの間無断欠勤を続けると、勤務先を懲戒解雇、あるいは免職される可能性が高いと思われます。
長期間の身体拘束は、Aさんの円滑な社会復帰に深刻な悪影響を与えます。
したがって、弁護士に事件解決を依頼し、早期の身柄解放を目指すことが重要です。
身柄解放活動の一つとして、家族などがAさんの身元を引き受けているとして、勾留しないよう求めることが考えられます。
勾留は、逃亡や罪証隠滅のおそれがある場合に認められます。
家族が身元を引き受けていれば、そのような行動ができないとして、勾留されずに済む可能性が高まります。
その他の身柄解放活動として、被害者と示談することが考えられます。
示談とは、被害者との間で事件解決に向けた合意をすることをいいます。
通常は、罪を認め、被害者に事件によって生じた損害を賠償することになります。
Aさんは留置場にいるので、示談交渉を行うことができません。
弁護士を依頼していれば、弁護士が留置場の外で被害者と接触し、示談交渉を行うことができます。
示談が成立すれば、事件が被害者との間で解決しているものとして、勾留前であれば勾留されない可能性、勾留中であれば釈放される可能性を高めることができます。
また、被害弁償を行っているので、後日、民事紛争に巻き込まれるリスクを無くすことができます。
~不起訴処分の獲得~
検察官は、Aさんの器物損壊罪を立証できる場合であっても、Aさんの性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、不起訴処分(起訴猶予処分)とすることができます。
被害者と示談が成立していることは、「犯罪後の情況」としてAさんに有利に考慮されることが期待できます。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられることがないので、前科が付かずにすみます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が器物損壊事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
家庭内暴力のDV暴行事件で逮捕
家庭内暴力のDV暴行事件で逮捕
大阪市中央区在住のAさん(30代男性)は、家庭内での夫婦喧嘩の末に、自分の妻に暴力を振るったとして、通報を受けてAさんの自宅に来た警察官に、逮捕された。
Aさんは、逮捕の翌日に検察庁に身柄送致されて、大阪府東警察署での10日間勾留(身柄拘束)が決まった。
Aさんの両親は、Aさんの早期釈放と刑罰軽減のために、刑事事件に強い弁護士を大阪府東警察署にいるAさんのもとに派遣して、Aさんへの取調べ対応のアドバイスを弁護士に依頼し、今後の刑事事件の見通しを弁護士から聞くことにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~私選弁護人を付けるメリットとは~
家庭内暴力事件(DV事件)を起こした場合には、暴行罪や傷害罪に問われる可能性があります。
また、家庭内で行われた犯罪であるため、そのまま放置しておいては再度同じような家庭内暴力事件が再発してしまう可能性を危惧して、警察が加害者を逮捕するケースが多い犯罪類型となります。
早期釈放や刑事処罰の軽減のためには、逮捕初期の段階から、弁護士を付けることが重要になります。
私選で弁護士を依頼すれば、逮捕初期の段階から、早期釈放の働きかけを裁判所や検察庁に行ったり、被害者側との示談交渉を行うことにより、事件の早期解決のために私選の弁護士が積極的な弁護活動を行います。
他方で、条件を満たせば、国が選ぶ国選弁護人を付けることができるケースもあります。
国選弁護人を付けるためには、逮捕され勾留決定(通常は10日間の身柄拘束)が出ていることや、資力要件を満たしていること(50万円未満しか持っていないこと)などが、必要となります。
(2018年6月以前には、被疑者国選の選任要件として、「死刑又は無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮にあたる事件について被疑者に対して勾留状が発せられている場合」という要件があり、例えば暴行罪の場合に被疑者段階で国選弁護人を選任できませんでしたが、2018年6月の刑事訴訟法改正で、この要件は撤廃されています)
・刑事訴訟法 37条の2第1項
「被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。
ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない。」
国選弁護人は、費用が掛からずに弁護士を選任できる反面で、登録弁護士の中からランダムに弁護士が選ばれるため、刑事事件にあまり詳しくない弁護士や、刑事弁護に熱心で無い弁護士が選ばれてしまう可能性があります。
また、国選弁護人を選任できるのは勾留決定が出た後のタイミングになるため、逮捕されてから勾留決定が出るまでの逮捕初期のタイミングでは、国選弁護人が早期釈放等に向けた弁護活動を行うことは出来ません。
DV暴行事件で刑事弁護の依頼を受けた私選弁護人は、まずは逮捕直後の段階から、勾留決定(10日間の身柄拘束)が出る前までに、早期釈放のための裁判所や検察庁への働きかけを行います。
事件早期の段階から、弁護士が被害者側との示談交渉を行うことで、早期釈放や刑罰軽減のために弁護士が尽力いたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、刑事事件を専門に弁護活動を行っており、普段から数多くの様々な刑事事件を経験しています。
経験豊富な弁護士が、逮捕されている方への弁護士接見に頻繁に向かい、事件早期の段階で被害者側への連絡を試みて示談交渉を行うなど、積極的な弁護活動をいたします。
大阪市中央区のDV暴行事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
職務質問と公務執行妨害罪
職務質問と公務執行妨害罪
埼玉県加須市に住むAさんは,埼玉県加須警察署の警察官(最終的な人数5名)から職務質問を受けた際,警察官の言動に立腹し,脚元にあった石をパトカーに投げつけ,パトカーのフロントガラスにひびを入れました。
そこでAさんは,公務執行妨害罪で現行犯逮捕されました。
Aさんは,パトカーを壊しただけなのに,なぜ逮捕されなければならないのか納得がいってないようです。
(フィクションです)
~ 公務執行妨害罪 ~
公務執行妨害罪は刑法95条1項に規定されています。
刑法95条1項
公務員が職務を執行するにあたり,これに対して暴行・脅迫を加えた者は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
Aさんが納得していないのは,
1 石を直接,警察官にぶつけたわけではないのに公務執行妨害罪の「暴行」と言えるのか
2 石をパトカーに投げつけただけで,実際に,公務員の職務を「妨害」してないではないか
という点だと思います。
以下,1,2につきご説明します。
= 上記1(公務執行妨害罪の「暴行」とは) =
刑法の規定の中には「暴行」という言葉がよくつかわれますが,その意味は各罪名によって異なりますから注意が必要です。
刑法の「暴行」は次の4種類に分けられます。
① 最広義の暴行(例:騒乱罪(刑法106条))
有形力の行使すべてを含み,対象は人であっても物であってもよいとされています。
② 広義の暴行(例:強要罪(刑法223条))
人に対する有形力の行使をいいますが,直接暴行だけではなく,間接暴行も含むとされてます。
③ 狭義の暴行(例:暴行罪(刑法208条))
人の身体に対する有形力の行使をいいます。
④ 最狭義の暴行(例:強盗罪(刑法236条),事後強盗罪(238条),強制性交等罪(177条),強制わいせつ罪(刑法176条))
人の身体に対する有形力の行使で,人の反抗を抑圧するか,著しく困難にする程度のものとされています。
このうち,公務執行妨害罪の「暴行」は上記②に当たります。
直接暴行とは,人の身体に直接に有形力を加えることですが,間接暴行とは,物に対する有形力で,それにより間接的に一定の人に物理的・心理的に感応を与えるようなものを意味します。
すなわち,後者の場合,直接人の身体に暴行を加える必要はありません。
Aさんの「パトカーに石を投げつけ,フロントガラスにひびを入れた」という行為もこの間接暴行に当たりそうです。
= 上記2(公務執行妨害罪の「妨害」とは) =
上の暴行の程度ですが,当然,職務執行の妨害となる程度のものである必要がありますが,それによって現実に職務の執行が妨害されたことを必要とされません。これは,公務執行妨害罪の目的が公務の円滑な執行を保護するためにあるからです。
過去には,警備中の警察官に対する1回だけの命中しなかった投石行為につき公務執行妨害罪の成立を認めた判例(最判昭33年9月30日)があります。
Aさんの周囲には警察官が5名おり,しかも,パトカーに損害を加えただけで,実際に職務に当たる警察官には危害を加えていないから公務を「妨害」したというには違和感を感じます。
しかし,それでも公務執行妨害罪が成立するおそれがありますから注意が必要です。
~ 職務質問と公務執行妨害罪 ~
警察官職務質問執行法(以下,警職法)2条1項では「警察官は,異常な挙動その他の周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し,若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について,若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる」と規定されています。
この規定に基づいて行う質問を職務質問といいます。
当然ながら、上に書かれたある要件を満たした場合のみ適法とされます。
公務執行妨害罪が成立するには、「公務員(警察官)の職務が適法であること」も要件で、職務質問が違法な場合には、たとえ公務員に暴行を加えたとしても公務執行妨害罪は成立しません。
いかなる場合に違法な職務質問となるかについては弁護士へご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,公務執行妨害罪等の刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族が刑事事件で逮捕されお困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。
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神奈川県茅ヶ崎市内のバス車内で暴行事件を起こし逮捕
神奈川県茅ヶ崎市内のバス車内で暴行事件を起こし逮捕
~ケース~
Aさんは通勤のため、神奈川県茅ケ崎市のバスに乗車していましたが、通勤時間帯のため、乗客は満員となっており、車内は非常に窮屈でした。
Aさんは、Vから「俺の足踏んだだろ」と言われ、踏んだ覚えがないので、「踏んでない」と答えると、口論になりました。
Aさんは少々横柄なVの態度にカッとなり、Vの左頬を右手のこぶしで殴打してしまいました。
Vに怪我はありませんでしたが、Vは神奈川県茅ケ崎警察署に通報し、Aさんは駆け付けた警察官に暴行罪の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~暴行罪について解説~
刑法第208条は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」としています。
文字通り、暴行罪は他人に暴力を振るう犯罪であり、怪我をさせてしまった場合には傷害罪、怪我がなければ暴行罪を構成します。
ケースのVには幸い怪我がなかったので、Aさんは暴行罪で逮捕されていますが、もし怪我があった場合には、傷害罪を構成し、傷害罪の場合の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
~Aさんは今後どうなるか?~
逮捕されたAさんは神奈川県茅ケ崎警察署に引致され、弁解を尋ねられた後、取調べを受けることになります。
この時、弁護人選任権があることも伝えられます。
(警察段階)
逮捕後釈放されない場合は、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。
(検察段階)
検察へ送致された後は、検察官が取調べを行い、身柄を受け取ったときから24時間以内に被疑者の勾留を請求するか、釈放するかを決めます。
勾留請求がなされると、裁判官がこれを審査し、勾留が可能であると判断すれば、勾留状を発します。
一旦勾留されると、最長10日間、勾留延長をされるとさらに最長10日間身体拘束を受けることになります。
この場合、検察官は、勾留の満期までにAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めることになります。
~身柄解放活動を弁護士に依頼~
以上説明したように、逮捕・勾留されると、捜査段階で最長23日間身体拘束を受けることになり、その間当然ながら職場に出勤することはできません。
無断欠勤を続けたとして、会社を解雇される可能性は極めて高くなります。
逮捕されてしまった場合でも、勾留されずに釈放されれば、最長72時間で社会に復帰することができます。
事件は引き続き在宅事件として進行しますが、釈放されている以上、会社にも今まで通り出勤することができ、社会生活への悪影響は最小限で済みます。
(勾留をさせない活動)
被疑者を勾留するためには、検察官の勾留請求、裁判官による勾留決定といった手続きを踏む必要があります。
勾留するのは、罪証隠滅や逃亡を防ぐためです。
弁護士は検察官、裁判官に対し、Aさんに罪証隠滅、逃亡のおそれがないことを訴え、説得を試みます。
被害者が面識のなく再度接触しようのない人である場合、家族がしっかりと身元引き受けできる場合、暴行に留まるなど負傷がないか程度が軽いため重い処分は見込まれない場合などは、勾留されずに済む可能性が高まります。
(被害者との示談交渉)
被害者と示談を成立させることができれば、被疑者にとって有利な事情となりえます。
勾留されている場合、在宅で事件が進んでいる場合に関わらず、検察官は起訴又は不起訴にするかを決めなければなりません。
検察官は、Aさんの暴行を立証できる場合であっても、Aさんを裁判にかけない処分をすることができます(起訴猶予処分)。
検察官が起訴又は不起訴にするかを決める際、示談が成立していることはAさんにとって有利な事情として考慮されることが期待できます。
裁判にかけられなければ、前科が付かずに済みますから、社会復帰後に及ぼす悪影響も小さくなります。
示談にもさまざまな種類があり、単に被害者の損害を賠償する合意に留まるものから、被害者が被疑者を許す意思が示されている示談書、寛大な処罰を望む旨記載された嘆願書が作成される場合もあります。
弁護士は、よりAさんの利益にかなう示談が成立するよう力を尽くします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースのような暴行事件の解決実績も豊富です。
ご家族が暴行事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(お問い合わせ:0120-631-881)
無形的方法による傷害事件
無形的方法による傷害事件
~今回の事件~
東京都武蔵野市のアパートに住んでいるAさん(30歳)は、ゴミの出し方を巡ってアパートの隣人女性とトラブルになっていました。
Aさんは、しつこくゴミの出し方について文句を言ってくる女性に腹が立ち、1年ほど前から、女性の部屋と接している壁を夜中に大きく叩いたり、女性の部屋のインターフォンを鳴らしたりする嫌がらせを毎晩のように続けました。
女性が警視庁武蔵野警察署に相談して、これまで何度か警視庁武蔵野警察署の警察官に「止めるように」と注意を受けましたが、Aさんは警察官の注意を無視して嫌がらせを続けました。
するとある日、Aは、傷害罪で警視庁武蔵野警察署の警察官に逮捕されてしまったのです。
(フィクションです)
~問題となる条文~
刑法 第204条 傷害罪
「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」
~「傷害」とは~
傷害罪でいうところの「傷害」とは「人の生理的機能に障害を加える」ことを意味します。
これを簡単に言いかえると、生活状態や健康状態に変化が生じてしまう場合を意味します。
一時的な精神的苦痛やストレスは「傷害」になりませんが、一定期間持続するPTSD(外傷後ストレス障害)は傷害にあたるとされています。
~「傷害」の方法~
一般的な傷害事件は、加害者の暴行によって、被害者が打撲や、骨折、挫傷といった傷害を負うことによって成立します。
殴る、蹴るなどといった有形力を用いることでなされるものですが、刑法では傷害の方法が限定されていません。
そのため、暴行によらない無形の方法によるものでも傷害罪にあたる可能性があります。
裁判所の判例によると、「嫌がらせの無言電話をかけ続け、相手を精神衰弱症にかからせた事案」や、「嫌がらせにより抑うつ状態に陥れた事案」において傷害罪にあたるとされています。
Aさんのように、深夜に部屋の壁を叩き続けたり、インターフォンを鳴らすことで、被害者に日常的に精神的ストレスを感じ、そのストレスが原因で、耳鳴り症や睡眠障害に陥れば、傷害罪が適用されて逮捕される可能性が十分に考えられます。
~「傷害」の故意~
傷害罪の成立に傷害の故意は必要とされておらず、暴行の故意があればよい、とされています。
被害者を殴って傷害を負わせたような傷害事件ですと、被害者を殴る故意があれば、その暴行によって被害者が傷害を負うというところまで故意は必要ないのです。
しかし、今回の事例のような、暴行を加えない無形の方法による傷害事件の場合には、暴行の故意にあたるものがないため、傷害の故意を必要とされています。
そのため、相手を精神障害に陥れること、相手が精神障害になっても構わないと思っていることが必要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまで様々な刑事事件を扱い、解決に導いてきました。
同じ傷害事件でも、暴行の程度や、傷害の程度、被害者感情等によって、刑事処分は様々で、被害者と示談する等して不起訴処分となり前科を回避した事件も少なくありません。
東京都武蔵野市の傷害事件でお悩みの方、ご家族、ご友人が傷害事件を起こして警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間、年中無休で受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。
DV、児童虐待の被害で悩むあなたへ
DV、児童虐待の被害で悩むあなたへ
東京都千代田区に住むAさんは、夫Bが娘Vちゃん(10歳)に日常的な児童虐待を目の当たりにしながら、それを傍観する毎日を送っていました。
実は、Aさん自身も、夫Bから日常的な暴力を受けるDVの被害に遭っていたため、夫Bの行為を止めることができなかったのです。
ところが、ある日、夫BがVちゃんへ暴力を振るったことによりVちゃんを死亡させた傷害致死罪で警視庁万世橋警察署の警察官に逮捕されたところ、Aさんも傷害罪の幇助犯で逮捕されてしまいました。
(千葉県野田市での事例を基に作成したフィクションです。)
~ はじめに ~
「お父さんにぼうりょくを受けています。夜中に起こされたり起きているときにけられたりたたかれたりしています。せんせいどうにかできませんか。」
これは、先日より報道されていた千葉県野田市の児童虐待事件で亡くなられた女児が書いた文章です。
小学4年生の子供がここまでSOSを発信しているのに助けることができなかったのかと心が痛みます。
先日、5月16日、千葉地方裁判所では、亡くなった女児の母親の初公判が開かれました。
母親は傷害罪の幇助犯の罪に問われています。
裁判所には多くの傍聴希望者が詰めかけたとのことで、社会的関心の高さがうかがえます。
また、同じ子を持つご家族、お母さんなどにとっても注目すべき裁判だったのではないでしょうか?
今回は、そうした方々のためにも、なぜ、自らもDVの被害に遭っていたのに夫の児童虐待を傍観していた母親が罪に問われたのか、について考えてみたいと思います。
~ 何もしなくても罪に問われることがある ~
法律上は、「何かした」ことに対して罪を与えることが基本です。
例えば、殺人罪でいえば、包丁で人の胸を刺す、ロープでクビを絞めるなどの行為です。
ところが、殺人は、「何もしない」ということでも実現可能です。
児童虐待の例でいえば、親が重病にかかっている子供を病院に連れていかない、衰弱している子どもに食事を与えない(必要な保護をしない)などです。
この「何もしない」ことを法律上は「不作為」と呼んでいます。
~ 幇助犯とは実際の犯行を容易にすること ~
では、幇助犯とは何かというと、「実際の犯行(今回の例でいえば、夫BのVちゃんに対する暴行(児童虐待))を容易にすること」をいいます。
大きな括りでいうと幇助犯も「共犯」なのですが、一般的にイメージされる「共同正犯」「共謀共同正犯」とは性質を異にします。
~ 不作為の幇助犯が成立するための要件 ~
ところが、あらゆる不作為を処罰できるとすると、Vちゃんを保護できなかった(あるいはしなかった)おじいちゃん、おばあちゃん、はたまた児童の職員まで処罰されうることになります。そこで、実務では、
① 行為者が保証人的地位にあること(→母親であれば通常認められるでしょう)
② 保証人(母親)か゛一定の犯罪阻止行為に出ることか゛可能・容易て゛あること
③ 保証人(母親)の不作為によって正犯の犯罪実行を容易にしたといえること(→報道によれば、母親は、DV被害をかわす代わりに、児童虐待を黙認していたとのことです)
という要件を設けて不作為犯の適用が無限に広がることを制御しています。
~ DV被害を受けていても…?? ~
裁判例の中には、仮に、DV被害を受けていても、「母親は体を張って子供への暴行を阻止する方法のほかにも、夫が子供に暴行を加えないように監視したり、夫の暴行を言葉で制止したりするなどして、夫の暴行を阻止することは可能であった」として不作為による幇助犯を認めている事例もあります(札幌高裁平成12年3月16日)。
しかし、これはずいぶん前の裁判例で参考になるかは疑問です。
また、仮に、「母親へのDVが余りにも酷く母親が完全に意思を抑圧されていた、あるいは母親が物理的に監禁されていたなどの極限的な状況だった場合」には、上記②の要件を満たさず、不作為の幇助犯は成立しないでしょう。
~ おわりに ~
今回の裁判ではどう判示されるか注目すべきです。
もし、この記事をお読みになり、同様のことでお悩みの場合は、厚生労働省が児童虐待でお悩みの方のための専門のダイヤルを設けていますからそちらに相談されてみてはいかがでしょうか?(児童相談所全国共通ダイヤル:189)
また、DV被害でお悩みの場合の相談窓口は「内閣府男女共同参画局 DV相談ナビ:0570-0-55210」となっていますので、ご参考ください。
さらに、Aさんと同様、被害者ではなく、
・刑事事件に発展しそうだ
・被疑者として捜査を受けそうだ
・逮捕されるか不安
などという方は、ぜひ、弊所の弁護士までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
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