無形的方法による傷害事件

2019-07-11

無形的方法による傷害事件

~今回の事件~
東京都武蔵野市のアパートに住んでいるAさん(30歳)は、ゴミの出し方を巡ってアパートの隣人女性とトラブルになっていました。
Aさんは、しつこくゴミの出し方について文句を言ってくる女性に腹が立ち、1年ほど前から、女性の部屋と接している壁を夜中に大きく叩いたり、女性の部屋のインターフォンを鳴らしたりする嫌がらせを毎晩のように続けました。
女性が警視庁武蔵野警察署に相談して、これまで何度か警視庁武蔵野警察署の警察官に「止めるように」と注意を受けましたが、Aさんは警察官の注意を無視して嫌がらせを続けました。
するとある日、Aは、傷害罪警視庁武蔵野警察署の警察官に逮捕されてしまったのです。
(フィクションです)

~問題となる条文~

刑法 第204条 傷害罪
「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」

~「傷害」とは~

傷害罪でいうところの「傷害」とは「人の生理的機能に障害を加える」ことを意味します。
これを簡単に言いかえると、生活状態や健康状態に変化が生じてしまう場合を意味します。
一時的な精神的苦痛やストレスは「傷害」になりませんが、一定期間持続するPTSD(外傷後ストレス障害)は傷害にあたるとされています。

~「傷害」の方法~

一般的な傷害事件は、加害者の暴行によって、被害者が打撲や、骨折、挫傷といった傷害を負うことによって成立します。
殴る、蹴るなどといった有形力を用いることでなされるものですが、刑法では傷害の方法が限定されていません。
そのため、暴行によらない無形の方法によるものでも傷害罪にあたる可能性があります。

裁判所の判例によると、「嫌がらせの無言電話をかけ続け、相手を精神衰弱症にかからせた事案」や、「嫌がらせにより抑うつ状態に陥れた事案」において傷害罪にあたるとされています。
Aさんのように、深夜に部屋の壁を叩き続けたり、インターフォンを鳴らすことで、被害者に日常的に精神的ストレスを感じ、そのストレスが原因で、耳鳴り症や睡眠障害に陥れば、傷害罪が適用されて逮捕される可能性が十分に考えられます。

~「傷害」の故意~

傷害罪の成立に傷害の故意は必要とされておらず、暴行の故意があればよい、とされています。
被害者を殴って傷害を負わせたような傷害事件ですと、被害者を殴る故意があれば、その暴行によって被害者が傷害を負うというところまで故意は必要ないのです。

しかし、今回の事例のような、暴行を加えない無形の方法による傷害事件の場合には、暴行の故意にあたるものがないため、傷害の故意を必要とされています。
そのため、相手を精神障害に陥れること、相手が精神障害になっても構わないと思っていることが必要となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまで様々な刑事事件を扱い、解決に導いてきました。
同じ傷害事件でも、暴行の程度や、傷害の程度、被害者感情等によって、刑事処分は様々で、被害者と示談する等して不起訴処分となり前科を回避した事件も少なくありません。
東京都武蔵野市傷害事件でお悩みの方、ご家族、ご友人が傷害事件を起こして警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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