器物損壊事件を起こし逮捕

2019-07-31

器物損壊事件を起こし逮捕

~ケース~
Aさんは酔っぱらい、神戸市須磨区にある建物のガラス戸を何度も蹴りつけ、割ってしまいました。
ガラス戸を蹴っている様子をパトロール中の兵庫県須磨警察署の警察官に現認され、職務質問を受けました。
職務質問を受けたことにAさんは立腹し、なおもガラス戸を蹴り続けていたことから、Aさんは器物損壊罪の現行犯として逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~器物損壊罪について解説~

器物損壊罪は他人の物を損壊し、又は傷害する犯罪です。
「損壊」とは、動物以外の物の毀棄、「傷害」とは動物の毀棄を意味し、物の効用を害する一切の行為をいいます。
他人の物を物理的に破壊することはもちろん、他人の食器に放尿する行為も「損壊」に当たります。
また、他人の動物に直接怪我を負わせるだけでなく、他人の飼養する魚を養魚池外に流失させることも「傷害」に当たります。
なお、一定の動物(牛、馬、豚、めん羊など)は動物愛護法上の「愛護動物」に該当し、これをみだりに殺し、又は傷つけると動物愛護法違反の罪が成立します(動物愛護法第44条1項)。

器物損壊罪につき起訴され、有罪が確定すると、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処せられます。

今回の場合、ガラス戸を蹴って割る行為は、ガラス戸としての効用を明らかに害する行為なので、Aさんに器物損壊罪が成立する可能性は極めて高いでしょう。

~Aさんは今後どうなるか?~

警察での取調べを受けた後、留置の必要があると認められるときは、逮捕時から48時間以内に検察へ身柄が送致されます。
身柄の送致を受けた検察官においても取調べを行い、身柄を受け取ったときから24時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを起訴するか、あるいは釈放するかを判断します。
勾留を請求された場合、裁判官が勾留の要件を満たしているかどうかを判断し、要件が満たされていると判断された場合は、10日間の期間で勾留決定を出します。
やむを得ない事由があると認めるときは、さらに最長10日間、勾留の延長をすることができます。
検察官は、勾留の満期日までに、Aさんを起訴するか、不起訴にするか、あるいは処分を保留して釈放するかを決めることになります。

~身柄解放活動を弁護士に依頼する~

上記の通り、いったん逮捕され、勾留、勾留延長されると、最長23日間もの間身体拘束されることになります。
起訴され、保釈されたとしても、23日間の時間は返ってきません。

Aさんが働いている場合には、勤務先を長期間無断欠勤することになります。
23日間もの間無断欠勤を続けると、勤務先を懲戒解雇、あるいは免職される可能性が高いと思われます。
長期間の身体拘束は、Aさんの円滑な社会復帰に深刻な悪影響を与えます。
したがって、弁護士に事件解決を依頼し、早期の身柄解放を目指すことが重要です。

身柄解放活動の一つとして、家族などがAさんの身元を引き受けているとして、勾留しないよう求めることが考えられます。
勾留は、逃亡や罪証隠滅のおそれがある場合に認められます。
家族が身元を引き受けていれば、そのような行動ができないとして、勾留されずに済む可能性が高まります。

その他の身柄解放活動として、被害者と示談することが考えられます。
示談とは、被害者との間で事件解決に向けた合意をすることをいいます。
通常は、罪を認め、被害者に事件によって生じた損害を賠償することになります。
Aさんは留置場にいるので、示談交渉を行うことができません。
弁護士を依頼していれば、弁護士が留置場の外で被害者と接触し、示談交渉を行うことができます。
示談が成立すれば、事件が被害者との間で解決しているものとして、勾留前であれば勾留されない可能性、勾留中であれば釈放される可能性を高めることができます。
また、被害弁償を行っているので、後日、民事紛争に巻き込まれるリスクを無くすことができます。

~不起訴処分の獲得~

検察官は、Aさんの器物損壊罪を立証できる場合であっても、Aさんの性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、不起訴処分(起訴猶予処分)とすることができます。
被害者と示談が成立していることは、「犯罪後の情況」としてAさんに有利に考慮されることが期待できます。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられることがないので、前科が付かずにすみます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が器物損壊事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。