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傷害致死事件を起こし逮捕
傷害致死事件を起こし逮捕
傷害致死事件とその逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
Aさん(25歳)は、東京都多摩市の居酒屋で酒を飲んでいた際、隣の席の客Vと些細な出来事でトラブルになり、居酒屋の玄関を出て殴る蹴るの喧嘩をしてしまいました。
AさんがVの顔面を拳で殴った際、Vがよろめいて転倒し、頭部を強打したことにより、Vは搬送先の病院で死亡しました。
Aさんは通報を受けて駆け付けた警視庁多摩中央警察署の警察官により、傷害罪の疑いで現行犯逮捕され、近く、被疑事実が傷害致死罪に切り替えられる見込みです。
(フィクションです)
~傷害致死罪とは?~
傷害致死罪は、身体を傷害し、よって人を死亡させる犯罪です。
法定刑は、3年以上(20年以下)の有期懲役となっており、非常に重い犯罪類型ということができます。
殺人罪と異なり、殺意が行為者にないことが傷害致死罪の特徴です。
今回のケースの場合は、Vを殴打した手段が素手の拳であったことから、殺意がないと判断されたものと思われます。
反対に、素手の拳ではなく、ナイフで被害者の胸を刺した、というような場合には、現行犯逮捕される時点で殺意があるものと判断され、殺人未遂罪で検挙される可能性が高いと思われます。
この場合は、被害者の死亡が確認された後、被疑事実が殺人罪の既遂に切り替えられると思われます。
なお、傷害致死事件は、傷害については故意の犯罪行為ですので、裁判員裁判法第2条1項2号により、裁判員裁判対象事件です。
裁判員裁判法
第2条 地方裁判所は、次に掲げる事件については、次条又は第3条の2の決定があった場合を除き、この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は、裁判所法第26条の規定にかかわらず、裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
1 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
2 裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)
*裁判所法第26条2項2号は死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪が対象です。
~傷害致死罪で逮捕…その後は?~
逮捕後は、被疑者=Aさんは警察署に引致された後、弁解の録取、取調べを受けます。
留置の必要が認められるとき、警察は逮捕時から48時間以内にAさんの身柄を検察へ送致します。
身柄を受け取った検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するかを決めます。
勾留請求に対し、裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められるときは、さらに最長10日間勾留が延長されます。
釈放されないまま捜査が進行する場合、検察官は、勾留の満期日までにAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めます。
先ほど触れたように、傷害致死罪は裁判員裁判の対象となりますから、Aさんが傷害致死罪で起訴されると、「公判前整理手続」が行われます(裁判員裁判法第49条)。
公判前整理手続では、検察官の証明予定事実、検察官が立証に用いる証拠が開示され、争点が整理されます。
公判前整理手続が開始されてから、第1回公判期日が開かれるまで、数か月かかることがあります。
~Aさんの身柄解放活動~
傷害致死罪は非常に法定刑が重く、その罪責の重さから、逃亡のおそれがあると判断される可能性が高いということができます。
したがって、勾留後に釈放される可能性は低く、また、保釈される可能性も比較的低いということができます。
一方で、既に述べたとおり、傷害致死罪は裁判員裁判対象事件であり公判前整理手続きが行われますので、そのままでは長期間身体を拘束されたままになってしまいます。
また、勾留されたままでは、膨大な証拠資料について検討することもままなりません。
したがって、早期に身柄を解放されることがより重要となってきます。
信頼できるAさんの身元引受人を用意するなどし、可能な限り早期の身柄解放を実現できるよう活動しなければなりません。
~可能な限り有利な量刑による判決を目指す~
傷害致死事件における被害者及びその遺族の損害額は非常に大きく、数千万、億単位の損害が生じることも充分予想されます。
したがって、経済的な理由から、示談を成立させることは困難でしょう。
それでも、被害者の遺族に謝罪し、可能な限り損害を賠償することにより、真摯に反省していることを裁判所に訴えることはできます。
さらに、今後のAさんの生活を支援、監督する方を用意するなどし、よりAさんにとって有利な事情を積み重ねることが重要です。
弁護士のアドバイスを受けながら、事件解決に向けて行動していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が傷害致死事件を起こし逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
親族による死体遺棄罪
親族による死体遺棄罪
親族による死体遺棄罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
東京都荒川区在住のAさんは、寝たきりで介護が必要だった妻Vさんと2人暮らしをしていました。
そして、ある日、Aさんは寝室においてVさんがベットの上で息をしておらず、死んでいるのに気づきました。
Aさんは「警察などに届け出れば自分が殺人犯として扱われてしまう。」などと強く思い込み、怖くなってそのままVさんの遺体を放置していました。
ところが、その後、Aさんは警視庁南千住警察署に死体遺棄罪で逮捕されてしまいました。
死体の異臭がひどく、近所の住民から警視庁南千住警察署あてに「遺体が放置されているのではないか」との通報が寄せられたところ、警視庁南千住警察署の警察官がAさん宅へガサ(捜索)に入り、本件が発覚したようです。
(フィクションです。)
~ 親族による死体遺棄罪 ~
死体遺棄罪は刑法190条に規定されています。
刑法190条
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以上の懲役に処する。
「遺棄」とは、通常は、社会通念上の埋葬とは認められない方法で死体などをその現在の場所から他の場所に移して放棄することをいいます。
したがって、殺人犯が、死体を単に現場に放置したまま立ち去ったとしても、一般には、殺人罪のほか死体遺棄罪は成立しません。
しかし、例外的に、その死体について葬祭の義務を負う者が、葬祭の意思なく死体を放置してその場所から立ち去った、あるいは放置し続けていた場合は、不作為による遺棄に当たり死体遺棄罪が成立することがあります。
~ 親族による遺体遺棄でその他疑われる犯罪 ~
今回のケースのような場合、死体への関与が疑われるわけですから、死体遺棄罪以外に殺人に関する罪に問われる可能性はあります。
= 殺人罪 =
刑法199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
なお、何かをした、という作為のみならず、何もしない、という不作為にも「殺す行為」に当たるとされることがあります(このような犯罪を不真正不作為犯といいます)。
特に、近年では、児童虐待、高齢者虐待でこの殺人罪(不真正不作為犯に問われているケース)が目立ってきています。
= 自殺関与罪、同意殺人罪 =
刑法202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。
自殺は本来不可罰とされています。
しかし、自分の命をどうするのかは他人の手に委ねられるべきものではなく、自分自身で決めるものです。
また、命の断絶について他人の手に委ねることをよしとする世の中としてしまうと、他に生きる選択肢があるにもかかわらず、容易に死を選択してしまう世の中になってしまうとも限りません。
そこで、他人の命を絶つことはやはり違法とし、処罰することとしているのです。
「~自殺させ」までの部分が「自殺関与罪」に関する規定です。
「幇助して自殺させる」とは、既に自殺の決意のある者の自殺行為に援助を与え、自殺を遂行させることをいいます。
他方で、「教唆して自殺させる」とは、自殺の意思のない者に自殺を決意させて、自殺を遂行させることをいいます。
幇助行為は、例えば、自殺志願者に自殺器具を与えるなどの有形的(物質的)方法によるものであると、「君は死んだ方がいい」「死んだ方が楽になるよ」などとの言葉をかけるなどの無形的(精神的)方法によるものであるとを問わないとされています。
また、積極的手段(作為)であると消極的手段(不作為)によるものであるとを問わないとされています。
次に、「又は」以下の部分が「同意殺人罪」に関する規定です。
「嘱託を受け」とは、被害者から積極的に殺害を依頼されることで、承諾を得てとは、被害者から殺害されることについての同意を得ることをいいます。
「嘱託・承諾」があったといえるためには、①被害者自身が行ったものであること、②事理弁別能力のある被殺者の自由かつ真実の意思に出たものであること、③被殺者の殺害に着手する以前になされたものであること、が必要とされています。
仮に、これらの条件を満たさない場合は、殺人罪(刑法199条)に問われかねませんから注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。
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暴行罪と早期釈放
暴行罪と早期釈放
暴行罪と早期釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ 事例 ~
福岡県北九州市に住むAさんは、職場の同僚であるVさんの胸ぐらをつかんだ暴行罪の容疑で福岡県八幡西警察署に逮捕されてしまいました。
Aさんの妻は、Aさんの早期釈放を望んで、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 暴行罪 ~
暴行罪とはどんな罪なのでしょうか?
暴行罪は刑法208条に規定されています。
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
= 暴行罪の「暴行」とは? =
暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。
もっとも典型なのが殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなど直接人の身体に触れる行為が挙げられます。
もっとも、暴行罪の「暴行」は直接人の身体に触れる行為に限らず、
・着衣を強く引っ張る行為
・胸ぐらをつかむ行為
・人に向かって石やガラスコップを投げる行為、棒を振りかざす行為
・毛髪等を切断する行為
・室内で太鼓等を連打する行為
・耳元で拡声器を通じて大声で怒鳴りつける行為
・狭い室内で日本刀を振り回す行為
なども含まれます。
また、最近では、自動車のあおり運転が話題となっていますが、あおり運転行為も暴行罪の「暴行」に当たることがあります。
=「人を傷害するに至らなかったとき」=
次に、暴行罪と傷害罪の違いについて解説いたします。
暴行罪は「人を傷害するに至らなかったとき」、つまり、人に何らかの怪我や障害を負わせなかった場合に問われる罪です。
怪我や障害を相手に負わせてしまった場合は、傷害罪(刑法204条、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)に問われます。
つまり、傷害罪は
・暴行の故意(人に傷害を負わせるつもりがなかった場合)で結果的に傷害を負わせた場合
・傷害の故意(人に傷害を負わせるつもりがあった場合)で結果的に傷害を負わせた場合
の2種類のケースが考えられることに注意が必要です。
~ 勾留前に釈放されるかも?(早期釈放) ~
逮捕された場合でも、早期釈放を実現できる可能性があります。。
以下、逮捕から勾留まで段階別にご紹介いたします。
= 逮捕から送致まで =
逮捕後は、警察官による「弁解録取」という手続を受けます。その上で釈放か否かの判断がなされます。
この時点で、私選の弁護士が選任されており、弁護士から警察官に対する働きかけが行われれば、働きかけがない場合に比べ釈放される可能性は高まるといえるでしょう。
それでも釈放されない場合は、逮捕のときから48時間以内に事件と被疑者を検察官の元へ送致する手続きが取られます。
= 送致から勾留請求まで =
事件と被疑者が検察官の元へ送致される手続きが取られた場合、検察官の元でも、警察官と同様「弁解録取」という手続を受けます。
その上で、釈放か否かの判断がなされます。
この時点で、私選の弁護士が選任されており、弁護士から検察官に対する働きかけが行われれば、働きかけがない場合に比べ釈放される可能性は高まるといえるでしょう(逮捕後にご依頼いただく場合は、はやくてこの時点から働きかけを行うことが可能となるでしょう。)。
具体的には、検察官へ意見書や上申書を提出するなどします。
それでも釈放されない場合は、勾留請求という手続が取られたことになります。
= 勾留請求から勾留決定まで =
勾留請求されると、今度は、裁判官による「勾留質問」の手続を受けます。
その上で、釈放か否かの判断がなされます。
この時点で、私選の弁護士が選任されており、弁護士から裁判官に対する働きかけが行われれば、働きかけがない場合に比べ釈放される可能性は高まるといえるでしょう。具体的な働きかけは検察官に対するのと同様です。
それでも釈放されない場合は、勾留決定が出たことになります。
ただし、勾留決定が出た場合でも、それに対する不服申し立てをして釈放を求めていくことは可能です。
早期釈放をお望みの場合は、はやめに弁護士への弁護活動のご依頼をご検討ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談の予約を受け付けております。
恐喝事件を起こし任意取調べ
恐喝事件を起こし任意取調べ
恐喝事件と任意取調べについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
横浜市戸塚区に住んでいるAさんは、知人Vが行っている不貞行為を知り、これを奇貨として、Vからお金を得ることを企図しました。
AさんはVをファミリーレストランに呼び出し、Vと相手女性がラブホテルに入っていく様子を撮影したビデオを示して「これが奥さんにバレたらどうなるだろうか。黙っておいてやるから50万円だせ。奥さんにバレて慰謝料を請求されたら、50万円では済まないぞ」などと申し向けました。
怖くなったVはAさんに50万円を渡しましたが、後日、Aさんから金を脅し取られたとして神奈川県戸塚警察署に相談しました。
その結果、Aさんは神奈川県戸塚警察署から恐喝事件の被疑者として話を聞きたいと呼び出しを受けました。
(フィクションです)
~恐喝罪について~
恐喝罪は、人を恐喝して、財物を交付させる犯罪です。
上記の方法により、財産上の利益を得、又は他人にこれを得させた場合も同様です。
起訴され、有罪判決が確定すると、10年以下の懲役に処せられます。
恐喝行為は、相手方に対して、その反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫又は暴行を加え、財物交付を要求することをいいます。
「恐喝」というと、害悪の告知、すなわち、脅迫によって財物を交付させるイメージが強いですが、暴行によって財物が交付された場合であっても、恐喝罪が成立することがあります。
反抗を抑圧する程度の脅迫、暴行がなされた場合は、強盗罪の成否が検討されます。
恐喝行為における脅迫は、脅迫罪、強要罪のように、相手方又はその親族の生命、身体、自由、名誉、財産に対するものに限られないので、被害者の妻に不倫の事実を暴露する、などと申し向ける行為も、恐喝に該当することになります。
ケースのAさんは、不倫をしているVに対し、Vの妻にこれを暴露するぞ、と脅迫しています。
これにより、Vが不倫の発覚する事態につき畏怖し、口止め料として50万円を交付したのですから、Aさんの行為が恐喝罪を構成するものと判断される可能性は高いでしょう。
なお、恐喝罪は未遂も処罰されます。
したがって、Aさんが不倫を暴露しない代わりに50万円を支払え、と申し向けた段階で恐喝罪は未遂として処罰されうる段階に達し、その後Vさんがお金を渡さなかったとしてもAさんは恐喝未遂で処罰されます。
~恐喝罪で呼び出し…Aさんは今後どうなる?~
現在、Aさんは在宅で捜査されています。
逮捕されなければ、警察の呼び出しに応じて出頭し、取調べを受けることになります。
Aさんとしては、逮捕される可能性がとても気にかかると思います。
逮捕されるリスクを高める行為として、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがあると判断されうる行動をとることが挙げられます。
具体的には、捜査機関が任意出頭を求めているのに、正当な理由なく出頭しない、Vさんと接触し、自身に不利な供述をしないよう働きかける、いきなり長期間自宅を留守にする、などといった行動が挙げられます。
逮捕・勾留されると、捜査段階だけで、最長23日間もの間身体拘束を受けることになります。
起訴されると、起訴後勾留として、さらに身体拘束が続くことになります。
勾留が長期化すると、Aさんの社会復帰に対し、深刻な悪影響を与えることになります。
弁護士と会うことはもちろんできますが、留置場の外で弁護士と話すことと、接見室でアクリル板越しに話すこととでは、大きな違いがあります。
自ら逮捕されるリスクを高める行動をとってしまわないように、まずは弁護士と相談し、どのように行動すればよいかアドバイスを受けましょう。
~弁護士に恐喝事件の示談交渉を依頼~
今回の場合、Vと示談を成立させることにより、様々なメリットを得ることができます。
具体的には、当事者間で事件が解決しているものとして、逃亡、罪証隠滅のおそれがないと判断される可能性が高まり、逮捕されるリスクが低減します。
さらに、検察官が最終的にAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決定するのですが、Vと示談が成立していることは、被害が回復したという犯罪後の情況として、Aさんにとって有利に考慮される可能性が期待できます。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられないので、前科がつくこともありません。
そうでなくとも、示談締結という事実によって刑罰が減刑される可能性が高まります。
示談を成立させることには、刑事手続上、大きなメリットがあるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースのような事件もご相談いただけます。
恐喝事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
現住建造物等放火罪と殺人罪
現住建造物等放火罪と殺人罪
京都府亀岡市在住のAさん(45歳)は、一緒に暮らす妻と息子を道連れに焼身自殺をしようと、深夜、自宅に火を放ち、自宅と離れを全焼させました。
その時、眠っていたAさんの妻と息子は火事になっていることに気付かず、一酸化炭素中毒によって死亡してしまいました。
しかし、Aさんは怪我を負ったものの無事であり、通報を受けた京都府亀岡警察署の警察官により、Aさんは現住建造物等放火罪と殺人罪の疑いで逮捕されました。
(これはフィクションです)
~現住建造物等放火罪~
今回Aさんが逮捕された際の容疑の1つである現住建造物等放火罪は、刑法108条に規定されています。
刑法108条
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉄鉱を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
〇放火
「放火」(放火行為)とは、目的物の焼損を惹起させる行為のことをいいます。
目的物に点火する行為や、目的物を燃やすために媒介物に点火する行為などが「放火」にあたります。
また、消火義務があるにもかかわらず、消火をしなかった場合も「放火」にあたるとされています。
〇焼損
「焼損」の意味については、争いがありますが、裁判所の判例は昔から一貫して独立燃焼説を採用しています。
独立燃焼説とは、「火が媒介物を離れて目的物が独立に燃焼を継続しうる状態になったこと」をいいます。
新聞紙やガソリンなどの媒介物が無くても建物などが燃える状態が「焼損」にあたります。
〇現に人が住居に使用(現住性)
「現に人が住居に使用し」ている状態とは、犯人以外の者が起臥寝食の場所として日常使用している状態のことをいいます。
犯人以外の者には、家族や同居人も含まれます。(共犯である場合は除きます)
また、日常使用しているのならば、住居の中に、現に人がいる必要性はありません。
たまたま、外出していた時に放火をした場合でも、現住建造物等放火罪に該当します。
今回の事件で言えば、Aさんの自宅に火を放つ行為は「放火」にあたり、その結果自宅と離れは全焼しているため、「焼損」にあたるでしょう。
また、自宅は、Aさんの家族が起臥寝食の場所として日常使用されているため、「現に人が住居に使用し」ていたといえるでしょう。
そのため、Aさんには現住建造物等放火罪が成立する可能性は極めて高いです。
~殺人罪との関係~
放火し、これによって人を殺害した場合は、現住建造物等放火罪と殺人罪の両方が成立します。
この時どのような処罰がされるのでしょうか。
刑法第54条1項
1個の行為が2個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
1つの行為が数個の罪名に触れる場合を「観念的競合」といいます。
観念的競合になった罪は、「最も重い刑により処断」されます。
例えば、A罪が1月以上15年以下の懲役であり、B罪が3年以上10年以下の懲役である場合にA罪とB罪が観念的競合になる場合は、刑罰は3年以上15年以下の範囲で処断されることになります。
現住建造物等放火罪と殺人罪は、同じ1つの行為によるものであるので、観念的競合となります。
現住建造物等放火罪の刑罰は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役であり、殺人罪も同様であるため、刑罰は現住建造物等放火罪、殺人罪の刑罰と同じものになります。
放火事件では、様々な法律判断がされることになります。
そのため、1度弁護士に状況を整理してもらうことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、京都府亀岡市の放火事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
兵庫県伊丹市の恐喝事件
兵庫県伊丹市の恐喝事件
Aさんは自動車の運転中、兵庫県伊丹市のとある交差点で信号を待っていたところ、男性が赤色信号を見落として交差点に進入したため、Aさんの車と衝突事故を起こしました。
男性の一方的な過失によりAさんは治療費入院費など合計300万円の損害を被りました。
Aさんは男性に300万円を請求しましたが一向に払ってくれません。
そこでAさんは男性に対し、「早く300万円を支払ってくれ。支払わなければあんたの家族も同じ目に合うかもしれないな」と言いました。
その言葉に男性は畏怖しAさんに300万円を支払いました。
その後、Aさんは男性が300万円を支払った経緯について兵庫県伊丹警察署に相談していることを耳にしました。
不安になったAさんは刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)
今回のAさんの事例で問題となるであろう犯罪は、以下の条文に規定されている恐喝罪です。
刑法第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
恐喝罪の「恐喝」とは脅迫または暴行を用いて人から金銭などを交付させることをいいます。
刑法上の恐喝罪にあたるかは、条文に書かれた構成要件に該当するかが問題となります。
1、恐喝罪の成立要件
恐喝罪が成立するためには、①「恐喝行為」⇒②「相手方の畏怖」⇒③「畏怖に基づく交付行為」⇒④「財物の移転」⇒⑤財産的損害が発生すること、これらが因果関係によって貫かれていること、および故意が必要となります。
まず、①「恐喝行為」とは財物交付に向けて行われる脅迫または暴行であって、その反抗を抑圧するに至らない程度の行為をいいます。
脅迫とは人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいますから、「痛い目にあわすぞ」といった何らかの法益の侵害を内容とする告知が必要です。
この告知は本人以外の親族に対するものも含まれます。
本件でAさんは「支払わなければあんたの家族も同じ目に合うかもしれないな」と発言しています。
この発言は男性の家族に対する害悪の告知に当たり得るので、脅迫を行ったとして恐喝行為があったと認められてしまう可能性があります。
次に、②「相手方の畏怖」とは、これは相手が恐喝行為により畏怖=簡単に言えば怖がることが必要となるということです。
今回の場合男性はAさんの発言に畏怖していることから、仮にAさんの発言が恐喝行為にあたれば、男性が恐喝行為により畏怖したこととなってしまいます。
そして、③「畏怖に基づく交付行為」および④「財産的利益の移動」とは、相手方の畏怖と交付行為と財物の移転に因果関係が認められることを必要としています。
本件で男性は、300万円をAさんに交付していることから、300万円という財物が男性からAさんのもとに移転していることがわかります。
これが男性の畏怖から行われたものであれば因果関係が認められる可能性があります。
最後に、⑤「財産的損害の有無」ですが、本件では男性はAさんに対して事故で300万円の損害を与えていることから、300万円はもともとAさんに支払われるべきものであり、男性に財産的損害はないようにも思えます。
しかし、恐喝罪は窃盗罪等と同じく個別財産の罪であり、被害者を畏怖させその占有する財物を交付させた場合は財産的損害が発生したと言えます。
本件でも、300万円がAさんに交付されて財物の移転がある以上、恐喝行為があったと認められれば財産的損害も有るとされる可能性があります。
そして、犯罪が成立するには基本的に故意が必要とされますが、故意とは犯罪事実の認識・認容をいいます。
今回の場合であれば、Aさんは男性を恐喝することについて認識していれば、恐喝罪の故意があったと認められることになります。
以上のような成立要件に該当すれば恐喝罪が成立し得ます。
では、こうした成立要件に該当すれば、犯罪は成立してしまうのでしょうか。
2、違法性阻却事由
恐喝罪の成立要件に該当する場合でも、違法性が阻却される場合があります。
債務に対する恐喝罪に該当する場合でも、権利の行使という正当な目的があり、権利の範囲内であってその手段が社会的相当性の範囲内といえれば違法性が阻却されると考えられます。
本件でもAさんは事故で被った300万円を回収するという目的があり、その300万円を超えることなく男性に支払いを求めています。
そこでその手段が社会的相当性の範囲内と言えれば、違法性は阻却される可能性があります。
手段が社会的相当性の範囲内であるかどうかについては、その手段の態様や当時の状況等、様々な事情を考慮して判断されます。
恐喝罪の成立は、法律の条文に加え条文の解釈や事件の具体的な内容など、さまざまな要素から判断することになります。
その判断には専門的な知識が必要となりますので、専門家である弁護士の見解を聞くようにしましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件、恐喝事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスを行っています。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間お待ちしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
事後強盗事件と弁護活動
事後強盗事件と弁護活動
Aさんは、大阪府池田市にある駅の近くにあるスーパーマーケットで万引きを行った。
しかしAさんがスーパーから出た直後に、Aさんによる万引きを目撃していた店員Vが追いかけてきて、Aさんの腕をつかんだ。
しかし、Aさんは、このままでは警察に捕まってしまうと思い、Vさんを路上に突き飛ばし、そのまま逃走した。
後日、防犯カメラの映像から、Aさんによる犯行が発覚し、事後強盗罪の容疑でAさんは大阪府池田警察署に逮捕された。
Aさんの逮捕を知ったAさんの家族は、刑事事件に強いと評判の法律事務所に初回接見を依頼した。
(上記の事例はフィクションです。)
~事後強盗罪~
刑法238条
「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。」
窃盗犯が財物を取り返される事を防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために暴行又は脅迫をした場合には「事後強盗罪」と呼ばれる犯罪として処罰されます。
万引き行為については窃盗罪が成立することになりますから、上記事例のAさんのように、万引き後に逮捕を免れるために暴行を行った場合についても事後強盗罪が成立するおそれがあります。
なお、事後強盗罪については、未遂処罰規定が存在することから、仮に窃盗が成功せずに未遂に終わった場合であっても、その後に暴行又は脅迫を行えば事後強盗未遂罪として処罰されることになります。
事後強盗罪は、強盗罪と同様の法定刑ですから、法定刑は5年以上の有期懲役となり、大変重い刑罰が科せられることになります。
また、暴行によって被害者に怪我をさせてしまった場合には、強盗致傷罪というさらに重い犯罪が成立することになります(強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の有期懲役となっています)。
~弁護士の活動~
もっとも、強盗罪における暴行又は脅迫については、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものである必要があると考えられています。
このため、事後強盗罪における暴行又は脅迫についても、同程度のものでなければならないと考えられています。
上記の例では、AさんによるVさんへの暴行が、Vさんの反抗を抑圧する程度のものでなければ、Aさんは強盗罪としてではなく窃盗罪と暴行罪として処罰され、罰金刑で済む可能性があります。
(窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金、暴行罪の法定刑は2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料と定められています)
そのため、Aさんが「手を振り払ったにすぎず、それほど強い暴行をはたらいたわけではない」と主張しているのであれば、弁護士としては、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行は行っていないと主張する活動をすることになります。
一方で、突き飛ばしたとなると相当強い暴行となり、犯行を抑圧する程度のものとなってしまいます。
もっとも、法律上事後強盗といえるとしても、暴行の程度がそれほど重くないのであれば、本人の反省や示談次第で暴行罪と窃盗罪として処分することもあるようです。
このような主張については、刑事事件についての正確な知識や経験がない被疑者本人が一人で行うことは大変困難であるといえます。
そのため、事後強盗罪で逮捕されてしまった場合には、出来る限り早い段階で、刑事事件に精通した弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に取り扱っている弁護士が多数在籍しております。
弊所の弁護士が被疑者(被告人)や被害者、目撃者の方の話を聞くことによって事件の内容を把握し、必要に応じて被害者との示談交渉などを行うことになります。
このような弁護活動によって、被告人に不当な処分がなされることを防ぎ、適切な量刑判断がなされるように捜査機関や裁判所に働きかけることになります。
弊所では、24時間、無料相談のご予約、初回接見サービスを受け付けております。
刑事事件についてお悩みの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。
泥酔者を介法せずに保護責任者遺棄致死罪
泥酔者を介法せずに保護責任者遺棄致死罪
Aさんは、さいたま市浦和区で開催された、自己の所属する大学のサークルの飲み会に交際相手であるVさんと参加しました。
Vさんはかなりの酒好きで、Aさんは、飲み会に参加する前、Vさんから「酔いつぶれたら家まで送り届けて。」などと頼まれ、これを承諾していました。
ところが、Aさんは飲み会にすっかり夢中になり、Vさんに家まで送り届けるのを頼まれていたことを忘れ、Vさんを飲み会の席に置き去りにしたまま、他の友人らと二次会に参加しました。
そうしたところ、Vさんは誰の介抱も受けることなく急性アルコール中毒により死亡してしまいました。
埼玉県浦和警察署の捜査の結果、AさんがVさんから事前に介抱を頼まれていたことが判明し、Aさんは保護責任者遺棄致死罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~保護責任者遺棄罪、同致死傷罪~
飲み会時に必要となるのが「酔いつぶれた人の介抱」です。
実は、そのような泥酔者を放置してしまった場合、保護責任者遺棄罪という罪に問われる可能性があります。
また、泥酔者が傷害を負ったり死亡したりすれば、保護責任者遺棄致死傷罪が成立する可能性があります。
保護責任者遺棄罪は刑法218条に、同致死傷罪は刑法219条に規定されています。
刑法218条
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。
刑法219条
前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害罪の罪と比較して、重い刑により処する。
=老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者=
このうち「泥酔者」がどれに当たるかですが、過去には「泥酔者」は「病者」に当たると判示した裁判例があります(大阪高等裁判所昭和30年11月1日判決)。
「保護責任」の発生根拠は、法令、契約、事務管理、慣習、条理、先行行為等、様々ですが、概ね、病者の生命・身体の危険を支配しうる地位にある者ということができると思います。
この点、Aさんは、Vさんの交際相手であって、かつ、Vさんから飲み会の前に介抱を頼まれていたことから「保護する責任のある者」に当たる可能性は高いと考えられます。
=遺棄、生存に必要な保護をしない=
「遺棄」とは、泥酔者を場所的に移動させるだけではなく、放置したまま立ち去ることも含みます。
ただし、本罪は故意犯ですから、Aさんが、Vさんが泥酔状態であることを認識しつつ、これを放置すればVさんの生命・身体に危険が生じることが分かっていながら敢えて放置した、という場合にはじめて「遺棄」したといえるでしょう。
「生存に必要な保護をしない」とは「遺棄」と異なり、要保護者(Vさん)と場所的には隔離しないで生存に必要な保護責任を尽くさないことをいいます。
=よって人を死傷させた=
保護責任者遺棄罪(刑法218条)は結果的加重犯と言われ、死傷の結果発生につき認識は不要です(認識がある場合は殺人罪(刑法199条、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役)が適用される可能性があります)。
~保護責任者遺棄罪・同致死傷罪の罰則は?~
保護責任者遺棄罪の罰則は、「3月以上5年以下の懲役」です。
また、保護責任者遺棄致死罪の罰則は、「傷害罪の罪と比較して、重い刑による」とされています。
これは、保護責任者遺棄致傷罪(傷害を負わせた場合)の場合は、「3月以上15年以下の懲役(傷害罪の罰則は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」で、下限は保護責任者遺棄罪が重く、上限は傷害罪が重いため)」で、保護責任者遺棄致死罪(死亡させた場合)の場合は、「3年以上の有期懲役(傷害致死罪の罰則は「3年以上の有期懲役」で、保護責任者遺棄罪より傷害致死罪の方が重いため)」とされることを意味しています。
~おわりに~
暑い季節ですから、飲み会の機会も増えるかと思います。
泥酔者に対して「 面倒だなぁ」など思ったとしても、しっかりしかるべき対処をするべきでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
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職務質問中に警察官を突き飛ばしてしまった
職務質問中に警察官を突き飛ばしてしまった
神奈川県相模原市在住のAさん(45歳)は、仕事終わりに瓶ビールを2本ほど飲んで帰宅していました。
Aさんはその帰宅途中に、神奈川県津久井警察署の警察官に呼び止められ、職務質問を受けました。
しかし、酒に酔っていたAさんは、職務質問に嫌気がさしてその場から逃げ出そうと、職務質問に応じるよう求める警察官を突き飛ばして家に帰ろうとしましたが、側にいた他の警察官に取り押さえられてしまいました。
そのため、Aさんは公務執行妨害罪で現行犯逮捕され、神奈川県津久井警察署に連行されてしまいました。
(フィクションです。)
今回のケースで問題となるのは、以下の法律の条文です。
刑法95条1項 公務執行妨害罪
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
~公務執行妨害罪の「公務員」~
公務執行妨害罪の客体となるのは公務員です。
「公務員」の定義は刑法7条1項に規定されていますが、簡単に言えば、「法令により公務に従事する職員」のことを指します。
今回の事件のような警察官だけでなく、国会議員なども「公務員」に含まれるとされています。
~公務執行妨害罪の「職務」の範囲~
公務執行妨害罪における「職務」とは何を指すかについては意見が二つに分かれています。
強制力のある権力的なもの以外(非権力的なもの)を「職務」とする意見もありますが、裁判所の判例は、権力的かどうかを問わず、「ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてが含まれる」とされています。
そのため、今回の事件のように、警察官が職務質問をすることは「職務」に当たります。
他にも、学校の教員が授業を行うことなども、「職務」の一部とされています。
~公務執行妨害罪の「暴行」・「脅迫」~
公務執行妨害罪における「暴行」は「有形力の不法な行使」を指し、「脅迫」は恐怖心を起こさせる目的で他人に害悪を告知する行為をいいます。
公務執行妨害罪の目的は、公務員の保護ではなく、公務の保護にあります。
したがって公務執行妨害罪における暴行や脅迫は、公務中の公務員に対するものでなければいけません。
そのため、休日中の公務員や出勤移動中の公務員に暴行や脅迫を加えた場合は、暴行罪(刑法208条)又は脅迫罪(同法222条)が適用されます。(暴行罪は2年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料、脅迫罪は2年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金)
今回の事件のような、職務質問を受けている最中に警察官を突き飛ばす行為は公務執行妨害罪における「暴行」にあたるでしょう。
~公務執行妨害罪の「職務」の適法性~
公務執行妨害罪の成立には、暴行・脅迫を受けた「職務」は適法である必要があります。
職務が適法であるかどうかは、3つの観点から判断されます。
①「職務」にあたるか(抽象的職務権限があるか)
②法律上の要件を満たすか(具体的職務権限があるか)
③法律上重要な手続き・方式を踏んでいるか
①警察官の職務質問は、警察官の「職務」に当たりますし、今回の事件では、②③職務質問について規定してある警察官職務執行法2条1項に違反しているとは判断できないので、適法であるという判断が下されるでしょう。
~公務執行妨害罪に対する弁護活動~
公務執行妨害罪の内容については、上記の通り、学者の間でも意見が割れ、判断が難しいことが多いです。
そこで、公務執行妨害罪に関してお困りの方は、そのような事件に詳しい刑事事件専門の弁護士に一度相談することをおすすめします。
本当に公務執行妨害罪にあたるかについての判断をする、その後の対応について伝えるなどの対応をさせていただきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、神奈川県の公務執行妨害事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
児童虐待防止法の改正
児童虐待防止法の改正
福岡市南区に住むAさんは離婚し、Xちゃん(2歳)と2人暮らしでした。
しかし、Aさんは元交際相手Bと再会したことをきっかけにB宅の元に通い詰めるようになり、徐々にXちゃんに対する育児がおろそかになっていきました。
そして、AさんがXちゃんに1週間、ご飯を食べさせない日が続き、Aさんが久しぶりに自宅へ帰ったところ、Xちゃんはかすかに意識はあったものの、リビングのソファーの上でぐったりと横になっていました。
Aさんは「大変なことをしてしまった。」とは思いましたが、「このまま病院へ連れていけば児童虐待がばれてしまう」と思い、そのまま食事を与えず放置し、Xちゃんを死なせてしまいました。
その後、Aさん家族の異変に気づいた児童相談所の立入り調査により、Xちゃんの死亡が発覚。
Aさんは、福岡県南警察署に保護責任者遺棄致死罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~ 児童虐待防止法等改正 ~
令和元年6月19日、親による体罰禁止などを盛り込んだ改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が、参議院本会議で、「全会一致で可決、成立」しました。
報道によると、改正のポイントは
・親がしつけに際して体罰を加えることを禁止する
・民法の「懲戒権」は施行後2年をめどに見直しを検討する
・児童相談所の一時保護と保護者支援の担当を分ける
・児相には医師と保育士を配置する
・学校や教育委員会、児童福祉施設の職員に守秘義務を課す
→千葉県野田市の児童虐待事案で、教育委員会が女児のアンケートを父親に渡していたことを受けて
・都道府県などは親への再発防止の指導を行うよう努める
・家族が引っ越しした場合に速やかに児童間で情報を共有する
という点とのことです。
また、
・「体罰」の範囲については厚生労働省が今後指針で定める
・「懲戒権」の規定が体罰を容認する口実となっていることを受け、法務大臣が法制審議会(法相の諮問機関)で見直しを諮問する見通し
とのことです。
~ 児童虐待とは ~
ところで、児童虐待については、児童虐待防止法(正式名称:児童虐待の防止等に関する法律)の2条に定義されています。
それによると、児童虐待とは「保護者(略)がその監護する児童(18歳に満たない者をいう。以下同じ)について次に掲げる行為をいう」とされており、「次に掲げる行為」を
1号 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれがある暴行を加えること(身体的虐待)
2号 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること(性的虐待)
3号 児童の心身の発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること(ネグレクト)
4号 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(略)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと(心理的虐待)
としています。
以上からすると、Aさんの行為は3号の児童虐待(ネグレクト)に当たりそうです。
~ 児童虐待に対する罰則 ~
児童虐待法には児童虐待そのもの罪、それに対する罰則は設けられていません。
あくまで、刑法をはじめとする他の法令に規定されている罪、罰則で処罰される可能性があります。
今回、Aさんが逮捕された保護責任者遺棄致死罪に関しては、刑法218条、刑法219条に規定されています。
刑法219条【遺棄等致死傷】
前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
刑法218条【保護責任者遺棄等】
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。
以上の規定を本件に当てはめると、Xちゃんは「幼年者」に当たります。
また、Aさんは、1週間、Xちゃんに食事を与えなかった(ネグレクト)というのですから「その生存に必要な保護をしなかった」ことに当たります(以上、刑法218条)。
そして、さらにAさんは自宅に帰った後もXちゃんに食事を与えずXちゃんを死なせていますから、「前2条の罪を犯しよって人を死傷させた」ことに当たります(以上、刑法219条)。
* 殺人罪に問われる可能性も *
なお、食事を与えなかったことなど(ネグレクト)が殺す行為と同等に評価され、殺人罪が適用されるケースもありますから注意が必要です。
さいたま地裁の裁判例(平成17年10月12日)では、Aさんと同様の事案で、被告人に懲役12年の実刑判決が言い渡されています。
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