謝罪を強要し、強要未遂罪で逮捕

2020-01-27

謝罪を強要し、強要未遂罪で逮捕

謝罪を強要し、強要未遂罪逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~
AさんとVさんは、さいたま市浦和区の繁華街で肩がぶつかりあったことをきっかけに、トラブルになっています。
初めは口論でしたが、次第にトラブルはエスカレートし、AさんはVさんがわざと自分に肩をぶつけてきたと決めつけ、Vさんに土下座を要求しました。
Vさんが拒絶したので、Aさんはついカッとなり、Vさんの胸倉をつかんで「土下座しろって言っているだろう」と大声で怒鳴りつけました。
AさんとVさんのトラブルは周囲の人に通報されてしまっており、かけつけた埼玉県浦和警察署警察官はAさんを強要未遂の疑いで逮捕しました。(フィクションです)

~強要罪とは?~

強要罪とは、生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害する犯罪です(刑法第223条1項参照)。
強要の手段として脅迫・暴行に着手したが、義務のないことを行わせ、あるいは権利の行使を妨害するに至らなかった場合には、強要未遂罪が成立します(刑法第223条3項)。

Aさんが行った、Vさんの胸倉を掴んで土下座を要求した行為が強要罪あるいは強要未遂罪に該当するか検討してみましょう。

Vさんの胸倉を掴む行為は、「暴行」と評価されるでしょう。
また、Vさんには、Aさんに対して土下座をする義務はありません。
そしてVさんに実際に土下座させるところまではいきませんでした。
したがって、Aさんの行為は暴行により、人に義務のないことを行わせようとし、これを遂げなかったものと評価されると思われます。
以上より、Aさんに強要未遂罪が成立する可能性は高いでしょう。

~Aさんは今後どうなるか?~

警察署に連れて行かれた後、犯罪事実の要旨弁護人選任権について説明され、弁解を録取されます。
その後、取調べがなされます。
留置の必要があると認められると、警察は逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致します。
検察は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決めます。

勾留請求は検察官から裁判官に対して行われます。

裁判官が勾留請求に対して勾留決定を出すと、Aさんは10日間勾留されることになります。
これに加えて、やむを得ない事由があると認められるときは、さらに最長10日間、勾留が延長されることになります。

以上を合計すると、逮捕・勾留された場合、捜査段階において、最長23日間もの間身体拘束を受けるということになります。

~早期の身柄解放を実現する~

Aさんの行った行為が強要未遂罪を構成する可能性は高いと思われますが、Vさんに怪我をさせたわけではありませんし、また、犯行に至ったきっかけも些細なトラブルということができるかもしれません。

勾留されると長期間の身体拘束を受けることになりますが、逮捕された以上はどのようなケースであっても勾留される、というわけではありません。
被疑者を勾留することが法律上許されるのは、Aさんに罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあることなど、勾留の要件を満たしている場合です。

早期に弁護士を選任することによって、裁判官や検察官に勾留の要件を満たしていないことを主張し、勾留請求、勾留決定をしないよう働きかけることが考えられます。

~不起訴処分を目指す~

検察官には、犯罪が成立していると判断しても、Aさんを必ず起訴するのではなく、不起訴にすることもできます。
起訴されてしまうと、無罪判決を獲得するのは非常に困難です。
一方、不起訴処分を獲得することができれば、裁判にかけられることもなく、前科が付くこともありません。

不起訴処分を考慮する要素の一つとして、犯罪が悪質ではないことが挙げられます。
たとえば、Aさんの発言は喧嘩の際に流れで出てしまった言葉に過ぎないということで、悪質ではないと主張することが考えられます。

また、Vさんと示談することができれば、Aさんにとって有利な犯罪後の事情の一つとして考慮され、不起訴処分を獲得することができる可能性が高まります。

強要未遂事件を有利に解決するためには、弁護士を付け、被害者と示談交渉を進めることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、強要事件の解決実績も豊富です。
ご家族が強要未遂事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非ご相談ください。