傷害罪とDV法違反

2019-12-23

傷害罪とDV法違反

傷害罪DV法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

大阪府豊中市に住むAさんは、妻Vさんに日常的に暴力を繰り返していたとして、裁判所からDV法に基づく保護命令を受けました。
その措置に関して納得のいかなかったAさんは、知人つてでVさんの居場所を特定し、大阪府豊中市の自宅から出てきたVさんを待ち伏せして、Vさんに「なんで保護命令など申し立てたんか。」「話し合おうって言ったじゃないか。」などと言って、Vさんの顔面や腹部等を足蹴にするなどの暴行を加え、Vさんに加療約1か月間を要する傷害を負わせてしまいました。
その後、Aさんは大阪府豊中警察署傷害罪DV法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~ 傷害罪 ~

傷害罪は刑法204条に規定されています。

刑法204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪

① 暴行の故意+暴行行為
② 傷害の故意+傷害行為

の2パターンから成立する可能性があります。

暴行の故意とは、要は、怪我させるつもりはなかったという場合です。
この暴行の故意で暴行行為を働き、結果、傷害を発生させた場合でも傷害罪に問われ得ることになります。

他方、傷害の故意とは、傷害させるつもりだったという場合です。
傷害の故意で傷害行為を働き、結果、傷害を発生させた場合は傷害罪に、傷害を発生させなかった場合は暴行罪(刑法208条)に問われ得ることになります。

そして、傷害罪の成立には、暴行行為又は傷害行為と傷害との間に因果関係があることが必要です。
この因果関係の考え方についても諸説ありますが、基本的には「その行為がなかったならばその結果は発生しなかった」という関係が認められれば因果関係を認められるとされています。
よって、例えば、暴行行為により被害者に骨折を負わせたとされても、暴行行為の前に、被害者が別の原因で骨折したということが判明した場合は、「その行為がなくても結果は発生していた」といえますから因果関係は否定されることになり、傷害罪は成立しないことになります。

~ DV法違反 ~

DV法とは、正式名称、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律といいます。
DV法では、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的として、配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等に関する規定を設けており、平成26年1月3日から施行されています。

DV法では、配偶者に対する暴力そのものを処罰する規定は設けていません。
しかし、保護命令に違反した場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処すとの規定は設けています。

保護命令」とは、相手方(Aさん)からの申立人(Vさん)に対する暴力を防ぐため、裁判所が相手方に対して出す

①接近禁止命令
②退去、はいかい禁止命令
③電話等禁止命令
④子への接近禁止命令
⑤親族等への接近禁止命令

の総称をいいます(なお、③から⑤の命令は、必要な場面に応じて被害者本人への接近禁止命令の実効性を確保する付随的な制度ですから、単独で発令されることはなく、申立人に対する接近禁止命令が同時に出る場合か、既に出ている場合のみ発令されます)。

接近禁止命令とは、6か月間、申立人の身辺につきまとったり、申立人の住居(同居する住居は除く。)や勤務先等の付近をうろつくことを禁止する命令です。
退去命令とは、申立人と相手方とが同居している場合で、申立人が同居する住居から引越しをする準備等のために、相手方に対して、2か月間家から出ていくことを命じ、かつ同期間その家の付近をうろつくことを禁止する命令です。
子への接近禁止命令とは、子を幼稚園から連れ去られるなど子に関して申立人が相手方に会わざるを得なくなる状態を防ぐため必要があると認められるときに、6か月間、申立人と同居している子の身辺につきまとったり、住居や学校等その通常いる場所の付近をうろつくことを禁止する命令です。
親族等への接近禁止命令とは、相手方が申立人の実家など密接な関係にある親族等の住居に押し掛けて暴れるなどその親族等に関して申立人が相手方に会わざるを得なくなる状態を防ぐため必要があると認められるときに、6か月間、その親族等の身辺につきまとったり、住居(その親族等が相手方と同居する住居は除く。)や勤務先等の付近をうろつくことを禁止する命令です。
電話等禁止命令とは、6か月間、相手方から申立人に対する面会の要求、深夜の電話やFAX送信、メール送信など一定の迷惑行為を禁止する命令です。

DV事案では、逮捕される可能性が非常に大きいです。
お困りの方は、お気軽に弁護士へご相談ください。

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