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福岡県北九州市内の公務執行妨害事件

2019-04-12

福岡県北九州市内の公務執行妨害事件

~ケース~
Aさんが休日に福岡県北九州市の繁華街を歩いていたところ、パトロール中の福岡県八幡東警察署の警察官に挙動不審者として職務質問を受けました。
Aさんが職務質問を拒否したので、警察官は応じるよう説得を続けましたが、Aさんはこれをしつこく感じ、苛立ちから警察官の顔面を殴打してしまいました。
警察官に怪我はありませんでしたが、Aさんは公務執行妨害罪の現行犯として逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~公務執行妨害罪を解説~

公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加える犯罪です。
裁判で公務執行妨害罪の有罪が確定すると、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処せられます。

今回Aさんが警察官からされた職務質問は、警察官職務執行法第2条1項を根拠とする職務行為です。
つまり、警察官が職務質問する際に暴行や脅迫をすれば公務執行妨害罪となりえるということになります。
違法な公務に保護を与える必要はないので、公務執行妨害罪のいう「職務」は適法でなければならないと解されていますが、Aさんのケースの職務質問は適法と判断される可能性が高いと思われます。
適法な職務質問を行う警察官に対し、顔面を殴打する暴行を加えたものと判断されれば、公務執行妨害罪が成立する可能性は極めて高いでしょう。

~逮捕されたAさんはどうなるか~

逮捕されれば警察で取調べを受けることになりますが、取調べ後も釈放せず、身体拘束を続ける必要があると判断された場合、逮捕時から48時間以内に被疑者は検察に送致されます。
検察では、検察官が取調べを行います。
その上で、身柄を受け取ったときから24時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかを決めます。
勾留請求がなされた後は、裁判官がAさんを勾留するかどうかを検討します。
勾留するべきであると判断されれば、勾留決定が出され、最長10日間、勾留延長がなされると、さらに最長10日間身体拘束をされます。
以上を合計すると、捜査段階で最長23日間身体拘束をされることになります。

~Aさんはどうするべきか~

勾留されるとしばらく外に出ることができないので、勤務先から解雇されるなど生活への悪影響が懸念されます。
そのため、なるべく早い段階から、弁護士に相談して身柄解放活動を依頼すべきです。

公務執行妨害事件において、被害者の公務員に怪我がなく、被疑者の身元がはっきりしており、逃亡・罪証隠滅のおそれがなければ、比較的短期間の身体拘束ですむ可能性を期待することもできます。
身柄解放活動を依頼された弁護士は検察官、裁判官に対し、勾留の要件を満たさないことを主張し、勾留をさせないよう働きかけます。

勾留されてしまったとしても、身体拘束の期間はなるべく短い方が被疑者やその周囲にとってよいのは言うまでもないでしょう。
勾留されてしまった場合には、勾留決定に対する不服申し立て(「準抗告」といいます)を行ったり、勾留延長をしないよう働きかけたり、勾留期間を短縮するよう求めたりすることが考えられます。

~不起訴処分の獲得を目指す~

現在の日本では、一旦起訴されると無罪判決を獲得するのは極めて困難です。
有罪判決を受けてしまうと前科がつくことになり、今後の社会生活に悪影響を与えることがあります。
不起訴処分を獲得できれば、そもそも裁判にかけられることがないので、前科がつかずにすみます。
Aさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めるのは検察官です。
弁護士は、検察官に対し、Aさんに有利な事情を説明し、不起訴処分とするよう働きかけることができます。

~贖罪寄付を検討~

不起訴処分の獲得に向けた活動として、被害者と示談をすることが挙げられますが、公務執行妨害事件においては、被害者が警察官であるため、示談交渉を拒否される場合がほとんどです。
そのため、弁護士会や慈善団体に寄付をする「贖罪寄付」を行うことが考えられます。
被害者の損害を賠償するものではないため、効果は示談に比べて一般的に落ちますが、贖罪の意思を示すことができるので、処分内容が検討される際、Aさんに有利な事情として訴えかけることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件を専門とする弁護士が多数在籍しており、公務執行妨害事件の解決実績も豊富です。
福岡県北九州市内でご家族、ご友人が公務執行妨害事件を起こし、逮捕されてしまった方は、0120-631-881までお問い合わせください。
福岡県八幡東警察署までの初回接見費用:4万1,540円)

京都府京田辺市のペットによる過失傷害事件

2019-04-07

京都府京田辺市のペットによる過失傷害事件

京都府京田辺市在住のAさんは自宅の庭で大型犬を放し飼いにしていた。
ある日,Vさんが愛犬の散歩中にAさん宅前を通りがかったところ,Aさんの大型犬がたまたま開いていた玄関から飛び出しVさんとVさんの飼い犬に噛みついた。
Vさんは全治1週間の怪我を負い,Vさんの飼い犬も怪我をしてしまった。
そして,Aさんはこの件で京都府田辺警察署に呼ばれて話を聞かれることになった。
Aさんは今後どのように対応すればよいか弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用した。
(フィクションです)

~ペットによる傷害事件~

最近では,主に犬や猫といったペットを飼われている方が多いと思われます。
Aさんのケースのように,自分のペットが突然他人に襲いかかって怪我をさせてしまったという事件も多くあります。
自身の飼われているペットが他人に怪我をさせてしまった場合,飼い主は刑事上,どのような責任を負うのでしょうか。

まず考えやすいところでいうと,他人に怪我をさせてしまっているので傷害罪(刑法204条)となってしまうのではないか,というイメージがあるかもしれません。
しかし,刑法は故意犯が原則ですので(刑法38条),ペットに指示して人を襲わせたというような場合でなければ傷害罪とはなりません。
ですが,刑法38条但し書きは,特別な規定がある場合には罰することができる,すなわち過失であっても処罰できると規定しています。
刑法には過失傷害罪(刑法209条1項)が規定されていますので,自分のペットが不注意によって他人に怪我を負わせてしまったようなケースでは,飼い主にはこちらが適用されることになります。
過失傷害罪の法定刑は30万円以下の罰金又は科料となっています。

では,今回のケースではVさんのペットにも怪我をさせてしまっていますが,動物に対する怪我は刑事上どのような扱いになるのでしょうか。
ペットのような他人が占有している動物の場合には,他人の所有物という扱いになり,器物損壊罪(刑法261条)が成立します。
しかし,器物損壊罪には過失処罰規定がありませんので,過失による器物損壊の場合には刑事上の責任は問われません。
ただし,民法718条1項に「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。」と規定されていますので民事上の賠償責任は発生してしまいます。

また,ペットが大型犬など力の強い動物であり,小さい子どもに対して襲い掛かってしまったような場合,相手の命を奪ってしまう可能性もあります。
その場合には過失致死罪(刑法210条)となり法定刑は50万円以下の罰金となります。
また,ペットが人に危害を加える性癖を持っているなどの事情を認識しつつ,その管理を怠り他人に怪我をさせてしまったり,命を奪ってしまったというような場合には重過失致死傷罪(刑法211条後段)に問われる可能性があります。
重過失致死傷罪の場合の法定刑は5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金となります。

~示談交渉~

過失致死罪や重過失致死傷罪は親告罪ではありませんが,過失傷害罪の場合は親告罪(刑法204条2項)となっていますので被害者の方の告訴がなければ検察官は公訴を提起することができません。
そのため,被害者の方と示談を成立させ,過失傷害罪で告訴されないようにしていくことが考えられます。
しかし,怪我をしてしまった被害者の方は,被害感情から加害者の方と会ってくれない,連絡を取れないというケースも多くあります。
そのような場合に,弁護士が間に入ることで被害者の方が示談に応じていただけたり,また,適正な示談金額の提示も可能となることも多いです。

また,今回のケースではAさんはペットにも怪我をさせてしまっているので民事上の責任も発生します。
弁護士が示談交渉をすることによって刑事上だけでなく民事上の示談も同時に成立させることも可能です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
ペットが他人に怪我をさせてしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
初回法律相談:無料

兵庫県尼崎市 立ち小便で器物損壊事件

2019-04-02

兵庫県尼崎市 立ち小便で器物損壊事件

兵庫県尼崎市在住のAはある日の深夜,酒に酔ってV宅の玄関前で立ち小便をした。
その際,玄関前に置いてあった大理石の置物および玄関の塀にAの尿がかかった。
たまたま外に出てきたVにAが立ち小便しているところを発見され,通報によりかけつけた兵庫県尼崎東警察署の警察官にAは逮捕された。
(フィクションです)

今回のケースでAには軽犯罪法違反,器物損壊罪,公然わいせつ罪が成立することが考えられます。
まずはそれぞれの条文を確認しましょう。

軽犯罪法第1条
左の各号の一に該当する者は,これを拘留又は科料に処する。
26号 街路又は公園その他公衆の集合する場所で,たんつばを吐き,又は大小便をし,若しくはこれをさせた者

刑法第261条
(略)他人の物を損壊し,又は傷害した者は,3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法第174条
公然とわいせつな行為をした者は,6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

今回のAがしてしまったV宅の玄関前での立ち小便ですが,公道からV宅玄関に向かって立ち小便をしたものです。
街路で小便をしていますので軽犯罪法第1条の26号違反となるでしょう。

では,Aに器物損壊罪は成立するのでしょうか。
器物損壊罪のいう「損壊」とは物理的な損壊に限らず,心理的に使用できなくするような行為も含まれると解されています。
そのため,他人の物に自身の尿をかけてしまう行為は,心理的に物を使用できなくする行為となり器物損壊罪となる可能性があります。
判例は,料理店の食器に放尿した行為について、器物損壊罪の適用を認めています。
食器を入念に消毒すれば再使用はできるが、一度尿の付いた食器は誰も使いたがらないので器物損壊罪が適用されました(大判明治42年4月16日刑録15輯452頁)。

さらに,Aに公然わいせつ罪は成立するでしょうか。
今回のケースでは立ち小便をするために陰部を露出していると思われます。
陰部を露出する行為は公然わいせつ罪のいうわいせつな行為に該当します。
しかし,公然わいせつ罪のいう「公然」とは不特定または多数人が認識しうる状態を指します(最決昭和32年5月22日刑集11巻5号1526頁)。
本件では,公道で陰部を露出していることから,不特定又は多数の人が認識する可能性のある状態であったと言えることから,たとえ目撃者がいなくとも,公然わいせつ罪が成立する可能性があります。
ただし,通行人や目撃者等がいなければ,公然わいせつ罪として理論上成立はしたとしても,公然わいせつ事件として立件される可能性は低くなることも考えられます。

今回のケースで,仮にAには軽犯罪法違反および器物損壊罪が成立するとした場合,どういった刑罰を受ける可能性があるのでしょうか。
軽犯罪法に規定されている「拘留」とは1日以上30日未満の身体拘束をいい,軽犯罪法や器物損壊罪に規定のある「科料」とは1000円以上1万円未満の金銭を徴収することをいいます。
また,拘留の判決が出ることは非常に稀で,1年間で数件しかありません。
科料は事案にもよりますが,判決として出されることはあります。

また,軽犯罪法違反の場合,悪質な事案でなければ警察段階で事件を終了させる微罪処分や,送検されてしまっても起訴猶予の不起訴処分となることも多いです。
一方,器物損壊罪の場合は情状次第では起訴されてしまう可能性があります。
ただし,器物損壊罪は刑法264条で「告訴がなければ公訴を提起することができない」と定められています。
すなわち,被害者の方からの告訴がなければ検察官は起訴できないという規定になっています。

今回のケースでは被害弁償をし,Vから告訴を取り下げてもらえれば不起訴となる可能性は非常に高いでしょう。
そのため,弁護士はVと被害弁償や慰謝料の支払いなどを打診し,告訴を取り下げてもらえるように示談交渉を行っていくことになるでしょう。
器物損壊罪などの親告罪の場合,怒りの感情から加害者が被害者の方に直接会って示談するというのは難しい場合が多いです。
また,せっかく被害弁償や慰謝料などを支払っても,有効な示談書が作成できず告訴を取り下げてもらえないという場合も考えられます。
そのような事態を避けるために示談交渉を含む法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
他人の物を壊してしまった器物損壊罪でお悩みの方,示談交渉をお考えの方は0120-631-881までお気軽にお電話下さい。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。
兵庫県尼崎東警察署までの初回接見費用:37,000円)

強盗致傷罪の成立を争う弁護活動

2019-03-28

強盗致傷罪の成立を争う弁護活動

Aらは、VにAの借金を肩代わりさせるために、大阪府豊能郡のとある場所にVを呼び出し暴行を加え、怪我を負わせた。
こうした暴行を受けたことから、Vは後日、Aの借金の一部を肩代わりして返済するに至った。
Vから相談を受けて捜査を開始した大阪府豊能警察署の警察官は、Aを強盗致傷罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、暴力事件に強いと評判の刑事事件専門の弁護士に相談した。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~強盗罪・強盗致傷罪における「暴行・脅迫」~

刑法236条は、「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取し」(刑法236条1項)または「前項の方法により(=暴行又は脅迫を用いて)、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた」(刑法236条2項)者を、強盗罪に処する旨を規定しています。
強盗罪は、財産犯であると同時に人身犯(人の身体や生命に危険を及ぼす罪)であることから重く処罰される重大犯罪です。
本件では、借金の肩代わりという形で「財産上不法の利益」を得ようとしていますので、いわゆる2項強盗罪(Aの場合暴行によって怪我をさせているので強盗致傷罪)の成否が問題となります。

強盗罪における「暴行又は脅迫」とは、財物強取(刑法236条1項)あるいは財産上不法の利益を得ること(刑法236条2項)に向けられたものであり、被害者の反抗を抑圧するに足りるものであることが必要であるという解釈が確立しています。
そして、被害者の反抗を抑圧するに至ったかどうかは、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りるものであるか否かによって判断されます。
この判断の際には、犯人と被害者の関係性や犯行時の客観的事情などが総合的に考慮されることになります。

もっとも本件のように、暴行された犯行現場において財物や財産上の利益が移転するのではなく、後に被害者自身の積極的な行為によって財物や財産上の利益が移転する場合には別の考慮が必要になります。
この点に関し、近時の裁判例では、暴行後に一旦解放され、その後に被害者自身の積極的行動が必要となる場合、強盗罪が成立するための「暴行又は脅迫」は、犯行現場において財産が移転する通常の強盗の場面よりも強度の「暴行又は脅迫」が必要となるとしています(福岡高判平成29・9・19参照)。
したがって本件において、強盗罪にいう「暴行」があったといえるためには、AがVとの関係において従前より優位であったことや、暴行に使われた凶器が危険なものであったことなど、強度の「暴行」があったといえる必要があります。

そして、上記裁判例がそうであったように、強盗罪にいう反抗を抑圧するに足りる「暴行又は脅迫」があったとはいえない場合には、未遂罪すら成立しないことから強盗致傷罪の成立も否定されることになります。
本件のようなケースで強盗致傷罪が成立しないとなれば、恐喝罪と傷害罪が成立するにとどまると考えられます。
強盗致傷罪が成立する場合と恐喝罪と傷害罪が成立するにとどまる場合とでは、処断刑において大きな差が生じます。
なぜなら、強盗致傷罪(刑法240条前段)が無期懲役を含む極めて重い刑罰を科しているからです。

また、恐喝罪が未遂にとどまる場合には、刑の減軽もありうることになります。
このようなことから、強盗罪に関する弁護活動においては「暴行又は脅迫」があったといえるのかが争点となることも少なくありません。
したがって、弁護士としては、起訴前・起訴後に関わらず、強盗罪が成立しないことを主張するなど、事実関係を詳細に聴取した上での弁護活動を行うことが考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件強盗致傷事件を含む暴力事件に強い刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件における弁護活動においては、最新の判例・裁判例を含む実務の動向に関する専門知識が不可欠です。
強盗致傷事件で逮捕された方のご家族は、24時間対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせ下さい。
弁護士による接見(面会)を含め、弊所におけるサービス内容を分かりやすくご説明差し上げます。

埼玉県八潮市の傷害事件で正当防衛

2019-03-23

埼玉県八潮市の傷害事件で正当防衛

~ケース~

Aはある日の夜,埼玉県八潮市の路上で,すれ違いざまにVと軽く肩がぶつかった。
Vは酔っており肩がぶつかったことに腹を立て,Aの胸ぐらを掴んだ。
Aはそれに抵抗し,Vを突き飛ばした。
Vは酔っていたため,足元がふらつき転倒し,全治1週間の怪我を負った。
周りにいた人の通報によりかけつけた埼玉県草加警察署の警察官により,Aは傷害事件の被疑者として事情を聞かれることになってしまった。
(フィクションです)

~正当防衛~

今回のケースで,VさんはAさんに突き飛ばされて怪我をしてしまったのですから,Aさんには傷害罪が成立するでしょう。
しかし,元はといえばVさんがAさんの胸ぐらを掴んだのであり,Aさんはそれに抵抗してVさんを突き飛ばしただけです。
結果としてVさんが怪我をしてしまったからといって,Aさんが傷害罪で罰を受けることになってしまうのでしょうか。
Aさんは自分の身を守るためにやむを得ずVさんを突き飛ばしたのですから,正当防衛とならないでしょうか。

◇正当防衛とは◇

正当防衛は,「急迫不正の侵害に対して,自己又は他人の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない。」と刑法36条1項に定められています。
正当防衛という言葉を耳にすることは多いと思いますが,本来罰せられる行為が罰せられなくなるのですから,容易に適用できるものではありません。
以下では,どのような場合に正当防衛が認められるのかを説明します。

◇急迫不正の侵害◇

まず,正当防衛における防衛行為は「急迫不正の侵害」に対するものでなければいけません。
侵害とは他人の権利や利益を侵し,損害を与えることをいいます。
急迫とは法益の侵害が差し迫っていることをいいます。
そのため,過去の法益侵害や将来の法益侵害に対する予防的防衛行為は正当防衛とはなりません。
不正とは違法であることをいい,強制執行などの適法な侵害行為に対しては正当防衛は成立しません。

◇自己又は他人の権利を防衛するため◇

ここでいう権利とは,法律で「〇〇権」と明文化されているものに限らず,広く法律上保護されている権利(法益)をいいます。
今回のケースで防衛される法益は,Aの身体の安全となります。
正当防衛は「防衛するため」ですので,行為に防衛の意思が必要とされています。
防衛の意思とは「急迫不正の侵害を認識しつつ,これを避けようとする単純な心理状態」をいいます。

◇やむを得ずにした行為◇

そして,正当防衛の成立には,その行為が必要やむを得ずにした行為である必要があります。
防衛行為としての反撃行為は,侵害行為の強さに応じた相当なものでなければいけません。
反撃行為が相当かどうかは具体的事情の下で社会的・一般的見地から見て必要かつ相当の行為である必要があります。
たとえば今回のケースでは胸倉を掴まれていますが,これに対して持っていた護身用ナイフで刺した場合は反撃行為として相当ではないでしょう。
そして,防衛行為は侵害者に対して反撃したものでなければいけません。

防衛行為によって侵害者以外に対して何らかの法益侵害が発生した場合には緊急避難の問題となります。
例えば,迫ってくる相手に落ちていた石を投げたところ,避けられて後ろにいた人に当たった場合などは緊急避難の成立の問題となります。

~正当防衛の主張~

今回のケースではAさんは正当防衛を主張することになると思われます。
しかし,正当防衛は先に説明した通り,「正当防衛だった」と主張するだけでは認められません。
具体的な状況説明とともに行為が正当防衛の要件の一つ一つに当てはまることを主張していかなければいけません。
正当防衛を正しく主張するには刑事事件の経験豊富な弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
起こされてしまった事件で正当防衛の主張をお考えの場合は0120-631-881までお気軽にお電話下さい。
初回接見サービス無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
埼玉県草加警察署までの初回接見費用:4万600円

神奈川県逗子市の事後強盗事件

2019-03-18

神奈川県逗子市の事後強盗事件

~ケース~

神奈川県逗子市在住のAは自宅近所の家電量販店X店内において腕時計など数点(5万円相当)を万引きをした。
その際,店舗内にいた万引き監視員Vに発見され,商品を持って店外に出たところで声をかけられた。
Aはその場から逃走したが,VはAを追いかけた。
追いつかれたAはVを突き飛ばし,Vは転倒した。
パトロール中にたまたま現場付近を通りがかった神奈川県逗子警察署の警察官にAは現行犯逮捕された。
Vは全治1週間の怪我を負っていた。
(フィクションです)

~窃盗と強盗~

窃盗罪と強盗罪はどちらも他人の財物を盗むという点で共通しています。
窃盗は窃かに(他人に知られないように)盗む行為です。
一方,強盗は暴行・脅迫を用いて他人の財物を強取する行為です。

今回のケースの万引き行為自体は窃盗罪にあたります。
しかし,AはVによって追いかけられており,Vを突き飛ばして怪我をさせてしまっています。
刑法238条では「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる」(事後強盗罪)と規定しています。
AがVに対して行った突き飛ばすという暴行は逃げるため,すなわち逮捕を免れるためであったといえますので,Aは事後強盗罪として扱われることになります。
そしてVは怪我をしてしまっており,刑法240条では「強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し(以下略)」(強盗致傷罪)と規定されています。
つまり,今回のケースでは,Aは事後強盗であり,そのAが事後強盗の際に人を負傷させてしまっていることから,強盗致傷罪が成立してしまいます。

~不起訴処分と執行猶予獲得に向けて~

今回のケースでAが行った行為は家電量販店Xから5万円相当の万引き(窃盗)をし,追いかけてきたVを突き飛ばし全治1週間の怪我を負わせた(傷害罪)というものです。
これらの行為を単独で行った場合,起訴猶予(不起訴処分)や起訴されても罰金刑や執行猶予付判決,また被害弁償などの情状によっては微罪処分となる可能性もあります。
しかしこれらの行為を同時に行っただけで強盗致傷罪として起訴されてしまった場合,無期または6年以上の懲役となるのは過酷すぎるでしょう。

そこで弁護士は,まず強盗致傷罪として起訴されないように弁護活動をすることが考えられます。
事案によってはそもそも強盗致傷罪とならないと主張する場合もありますが,今回のケースではそのように主張するのは難しいでしょう。
そのため,まずは被害店舗であるXへの被害弁償,被害者であるVへ治療費の支払いなどをし,示談書の作成に努めることになるでしょう。
示談書の中に「Aを許す・厳罰は望みません」といった宥恕条項を盛り込んでもらうことや,本人の反省文・再発防止に向けた取り組みなどを文書化し,示談書とともに検察官に提出する活動が考えられます。
それらを見た検察官が厳罰に処する必要がない,起訴する必要がないと判断した場合には不起訴処分となります。

しかし,被害弁償などを一切しない,被害者が厳罰を望んでいる等の事情がある場合には起訴されてしまう可能性もあります。
起訴されてしまった場合,今度は弁護士は実刑判決とならないように弁護活動をしていくことになるでしょう。
執行猶予判決は,3年以下の懲役の場合にしか付けることが出来ません。
強盗致傷罪は6年以上の懲役ですので執行猶予となるのは不可能かと思われるかもしれませんが,刑法66条は「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。」と定め,続けて67条で「法律上刑を加重し、または減軽する場合であっても、酌量減軽をすることができる。」と定めています。
刑の減刑は最大で2分の1となりますので,66条による減刑で6年の2分の1すなわち3年まで減刑することができます。
3年まで減刑されれば執行猶予を付けることが可能となります。

また,強盗致傷罪裁判員裁判の対象事件となっています。
裁判員裁判の場合,一般市民である裁判員の方々にも刑の減刑をすべきであること,執行猶予を付すのが相当であることなどを納得してもらう必要があります。
裁判員裁判は一般の刑事裁判と異なる点が多く,刑事事件の経験が豊富な弁護士による弁護が不可欠です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
裁判員裁判対象事件を含む刑事事件の経験豊富な弁護士が多数所属しております。
万引きや事後強盗に問われてしまいお悩みの方は0120-631-881までお気軽にお電話下さい。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
神奈川県逗子警察署までの初回接見費用:38,700円

東京都昭島市の傷害事件で執行猶予を目指す

2019-03-13

東京都昭島市の傷害事件で執行猶予を目指す

~事案~
会社員のAさんは、通勤途中にある東京都昭島市の駅のホームでVさんと口論となり、Vさんに暴行を加えてしまいました。
その結果、Vさんは全治4か月の大怪我を負ってしまいました。
Aさんは駅員に通報され、その場で東京都昭島市を管轄する警視庁昭島警察署の警察官に傷害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの妻は、Aさんを執行猶予にしてほしいと刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士初回接見サービスの依頼をしました。
(この話はフィクションです)

~傷害罪~

傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金と定められており、その刑の範囲は広くなっています。
傷害罪の刑は主に加害者の行為態様、すなわち、犯罪となる行為の方法と被害者が被った被害の程度を考慮して判断されます。
今回のAさんの場合、Vさんが全治4か月の大怪我を負っていることから、被害が大きいと判断され、罰金刑ではなく懲役刑が科される可能性も十分あるといえます。
執行猶予なしの懲役刑が科されるとAさんは刑務所に収容され、一定の期間拘束されることになります。
刑務所に収容され、一定の期間拘束されることで、その後の社会復帰も困難になってしまう可能性があります。
それに対し、懲役刑が下されても執行猶予がつけば、一定期間罪を犯さなければ、刑の言渡しの効力がなくなり刑の執行を免れることができます。
刑の執行を免れることができれば、刑務所に収容されることはなく、早期の社会復帰が可能となります。

~執行猶予判決を得るためには~

執行猶予を付けるかどうかは一部の例外を除いて裁判所の裁量に委ねられています。
裁判官は、被害の程度などの犯情や被告人の状況などのその他の情状等を考慮して判断します。
そのため、執行猶予を獲得するためには、弁護人に公判廷において、当該被告人を直ちに刑務所に収容するほど悪質な事件ではないこと、被告人は社会内更生が可能であることを裁判官に説得してもらう必要があります。

さらに、執行猶予判決を得るために重要になってくるのが、被害者との間で示談が成立しているかということです。
被害者との示談の成立によって、この紛争はすでに当事者間で解決していること、被害者も加害者に厳しい刑事処分を科せることを望まないという意思があることを裁判官にアピールすることができます。
しかし、示談成立は被害者側が加害者側と接触することを拒否することも多く、一般的には当事者同士で成立させることは難しいです。
そこで、示談交渉に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に相談することをおすすめします。
示談交渉に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士は加害者と被害者の間に立ち、双方が納得するような示談の成立に向けて粘り強く示談交渉を行います。

東京都昭島市傷害事件でお困りの方、身内が傷害事件を起こしてしまった方、執行猶予にしてほしい方、是非執行猶予に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご相談ください。
刑事裁判に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士は刑事裁判において、加害者が早期に社会復帰できるように最善の努力を尽くし、弁護します。
警視庁昭島警察署までの初回接見費用:37,900円

福岡市東区の放火事件

2019-03-03

福岡市東区の放火事件

~ケース~
Aは、福岡市東区のマンションにおいて放火事件を起こそうと思い、マンション内のエレベーター内に火のついた新聞紙を投げ入れた。
エレベーターに火のついた新聞紙が投げ入れられた当時、エレベーターの中には人はいなかった。
Aが放火しようとしたマンションのエレベーター内の壁は、火災防止のために不燃性の素材が用いられていたことから、壁が一部炭化したにすぎず、火は自然に鎮火した。
捜査が行われた結果、Aは、福岡県東警察署に逮捕されることになった。
(この事例はフィクションです)

上記の事例において、Aはマンションのエレベーターを放火しようとして、火のついた新聞紙をエレベーターに投げ入れています。
今回は、この行為についてどのような犯罪が成立するのかが問題となります。

放火行為について定めた犯罪は刑法上大きく分けて4種類あり、現住建造物放火罪非現住建造物放火罪建造物等以外放火罪失火罪があります。

上記の類型のうち、現住建造物放火罪の法定刑が最も重く、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役という極めて重い刑に処せられるおそれがあります。
非現住建造物放火罪建造物等以外放火罪については、放火の目的物が自己所有物なのか他人所有物なのかによって、その成立要件及び法定刑が大きく異なります。
失火罪については、他の類型と比べ罰金刑のみが定められており、過失によって物を燃やしてしまった場合に成立する犯罪であるため、意図的に(故意に)放火行為を行ったAに失火罪は成立しません。

本件では、Aはエレベーターを放火しようとしたにすぎないことから、「建造物」を焼損したとはいえないとも思えます。
もっとも、建造物の一体性については、判例上、毀損しなければ取り外すことが出来ない状態かどうかによって判断されます。
マンション内のエレベーターについては、解体等行った上で取り外すことが通常困難であり、マンションの各居室部分とともに、一体として住宅として機能するものといえます。
そのため、エレベーターについてはマンションの一部として「建造物」にあたると考えられ、Aに成立する犯罪は、現住建造物放火罪または非現住建造物放火罪のどちらかになります。

現住建造物放火罪が成立するためには、「現に人が住居に使用し」ているという現住性の要件が必要となります。
本件では、エレベーターがマンションと物理的に接続しており、常時マンション住人による使用が予定されていることから、マンションと一体として現住性が認められます。
そのため、Aには現住建造物放火罪が成立するとも思えます。

もっとも、放火罪における「焼損した」とは、火が媒介物(新聞紙やライターなど)を離れ、独立して燃焼を継続するに至ったといえる状態のことをいいます。
そのため、上記事例のように不燃性の壁が一部炭化したにすぎない場合については、Aの放った火が独立して燃焼を継続するに至ったとはいえません。
このような不燃性または難燃性の物についても放火罪の成立を認めるべきという見解も有力ですが、現在の裁判例においては、客体の燃焼がない以上、「焼損」には当たらないと考えられています。
したがって、Aの行為は建造物を「焼損した」とはいえません。
しかし、現住建造物放火罪及び他人所有非現住建造物放火罪には未遂罪についても処罰する規定があり、Aは放火行為を行ったが、焼損という結果を遂げなかったものとして、Aには現住建造物放火未遂罪が成立することになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士初回接見サービス無料法律相談を行っています。
放火事件についてお困りの際も、遠慮なく弊所弁護士にご相談ください。
まずはご予約から、フリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
初回法律相談 無料
福岡県東警察署までの初回接見費用 36,000円

強盗罪で逮捕 恐喝罪との区別

2019-02-26

強盗罪で逮捕 恐喝罪との区別

京都市下京区に住むAは以前よりVから多額に金銭を借りており、Vから返済の催促をされていた。
Aは、Vに対する上記債務を逃れる目的で、Vを呼び出しVの咽元に刃物を突き付け、債務免除の念書を書かせた。
Vから相談を受けた京都府下京警察署の警察官は、Aを強盗罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、暴力事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~強盗罪と恐喝罪~

刑法は、236条において強盗罪を、249条において恐喝罪を定めています。
さらに詳しく刑法を見ていくと、強盗罪は「第36章 窃盗及び強盗の罪」において定められ、恐喝罪は次の「第37章 詐欺及び恐喝の罪」において定められていることが分かります。
もちろん刑法は意味もなくこのように章を分けているわけではなく、犯罪の態様が異なることから章を分けて規定しているのです。
この点、強盗罪は窃盗罪と同じグループとされるのは、これらの罪が被害者の意思に反して財物を移転させる「盗取罪」という類型の犯罪であるからです。
これに対し、恐喝罪が詐欺罪と同じグループされるのは、財物(及び財産上の利益)の移転が、被害者の意思に基づく「交付罪」といわれる類型の犯罪に当たります。

では、本件のようなケースでは、強盗罪恐喝罪いずれが成立するのでしょうか。
本件では、AはVから金を借りており、これを払いたくないがために脅迫を加えて、その支払いを免れようとしています。
つまり、強盗にせよ恐喝にせよ「財産上不法の利益(財産上の利益)を得」るための行為であることから、いわゆる2項強盗罪・恐喝罪の成否が問題となります。
そして、AがVに対して行った「脅迫」が、強盗罪が成立するほどに強度(被害者の反抗を抑圧する程度に強度)といえる場合には強盗罪が成立します。
なぜなら、恐喝罪の成立にとどまるためには、上述のとおり交付罪たる性質から、財物や財産上の利益の移転が被害者の意思に基づいたものである必要があるからです。
本件では、AはVの咽元の近くに刃物を当てて脅迫しており、このような死の危険すら感じさせる脅迫行為をされれば、被害者は反抗を抑圧されるのが通常であるといえます。
したがって、本件では強盗罪における反抗を抑圧するに足る「脅迫」があったといえ、2項恐喝罪ではなく2項強盗罪が成立すると考えられます。

このように強盗罪は暴行・脅迫という手段により、被害者の意思に反して財物(や財産上の利益)を移転させる罪であることから、恐喝罪と比べても「5年以上の有期懲役」とより重い法定刑が定められているのです。

~弁護士による起訴後の弁護活動~

強盗罪(刑法236条)は、上記のように「5年以上の有期懲役」と重い刑罰を規定する犯罪です。
したがって、逮捕・勾留の後に起訴され、刑事裁判となってしまう可能性も少なくありません。
そして依頼された事件が、否認事件なのか自白事件なのか等によって、起訴後の弁護活動も大きく変わってきます。
そこで、弁護士としては、逮捕・勾留段階から十分に被疑者との協議を重ね、弁護方針を十分に練っていくなど、早い段階から被疑者とのコミュニケーションを図っていくことが重要となってくるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗罪などの暴力事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
一定の処分が見込まれるような重い犯罪であっても、早期の弁護士による接見(面会)が、その後の処遇を左右しうることに変わりはありません。
弊所では、365日24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)にて、ご家族が強盗罪逮捕されてしまった方のご相談や弁護士による接見のご依頼等を受け付けています。

神戸市兵庫区の軽犯罪法違反

2019-02-21

神戸市兵庫区の軽犯罪法違反

Aは、神戸市兵庫区にある飲食店の駐車場において駐車していた自車内において、特殊警棒2組を隠し持っていた。
それを発見した兵庫県兵庫警察署の警察官は、Aを軽犯罪法違反の疑いで任意同行した。
Aは、帰宅後、暴力事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~軽犯罪法と器具の携帯~

本件でAは、特殊警棒2組を携帯していたとして軽犯罪法違反の容疑で任意同行されています。
軽犯罪法とは、国民の日常生活における卑近で比較的軽微な犯罪を処罰するために創設された法律です。
ここに定められている罪は概して処罰自体は軽くなっていますが、犯罪には変わりありません。

本件で問題になるのは、軽犯罪法の中でも1条2号の罪が成立するか否かです。
軽犯罪法1条2号は、「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」を、「拘留又は科料に処する」旨を定めています。
本件では、特殊警棒が「刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」に該当することは明らかといえます。
したがって、これを「正当な理由なく」、「隠して携帯」していたといえるかどうかが問題となります。

軽犯罪法にいう「隠して」といえるためには、隠す意思が必要であり、携帯の目的等から隠すことについての積極的な意思までが必要とされています(広島高裁岡山支部平成29・3・8参照)。
また「正当な理由」とは、上記した2号に列挙された器具には日常等においても必要な器具も多く含まれることから、「正当な理由」を限定的に解釈することは妥当ではなく、客観面と主観面の諸事情を総合的に考慮考慮して判断するものとされています(同裁判例参照)。
このように、軽犯罪法1条2号に当たるかどうかは、社会通念を含めた総合的な判断にならざるを得ないのであり、一般の方がこの罪に当たるかどうかを判断するのは極めて困難といえます。
そこで、こういった軽犯罪法違反事件に不安を感じたら、専門家たる刑事事件専門の弁護士に相談・依頼することが重要となってくるのです。

~軽微な事件でも起訴されるリスク~

本罪(軽犯罪法違反)のような軽微な犯罪でも、必ず不起訴になるわけではなく、起訴されるリスクが存在します。
本件ですと、罰則が「拘留又は科料」のみと定められていることから、通常の刑事裁判による場合(略式手続、即決裁判手続を利用しない場合)、簡易裁判所が管轄を有することになるでしょう。
自白事件の場合なら、このような起訴され刑罰を科されるリスクを避けるためにも、検察官による起訴猶予等を得るための弁護活動を抜かりなく行う必要があるでしょう。
これに対し、否認事件の場合は、上記のように法解釈とその適用には専門的知識が不可欠ですから、弁護士との綿密な打ち合わせ等が必須となります。
どんな軽微な事件であっても、有罪となれば前科が付いてしまうことには変わりがありません。
したがって、否認事件ではそもそも犯罪が成立しないなど無罪を主張し、徹底的争っていくということも考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、軽犯罪法違反も含む刑事事件を専門的に扱う法律事務所です。
ご家族が軽犯罪法違反で逮捕されてしまった方は、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐにお電話ください。
刑事事件に力を発揮する弁護士が逮捕されてしまったご家族に接見(面会)させて頂く初回接見サービスや、刑事事件専門の弁護士による無料相談など、各種サービスを分かりやすくご案内いたします。
兵庫県兵庫警察署までの初回接見費用:35,100円)

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