監禁致死傷罪とは

2019-07-01

監禁致死傷罪とは

福岡県うきは市に住むAさんは、SNSで知り合ったVさんと性交等をする目的でしたが、Vさんに「夜景を観にいこう」などと嘘を言って車の助手席に乗せました。
そして、Aさんは福岡県うきは市の人気のない山奥に向かうため高速道路に乗りました。
そして、Aさんは車を走行中、Vさんに睡眠薬入りのジュースを飲ませ眠らせました。
Aさんは、Vさんが眠っている間、パーイングエリアでVさんの両手に手錠をまし、再び車を走らせました。
しかし、睡眠薬の量が少なかったのかVさんが起きてしまいました。
Aさんは、Vさんから「何これ?」「どういうこと?」「話が違うじゃない」と言われました。
さらに、AさんはVさんから「次のSAで降ろしてよ」と言われましたが、そのまま通過し車を時速約130キロで走行させました。
そうしたところ、Vさんが無施錠だった助手席のドアを開け外に飛び出しました。
しかし、Vさんは頭や全身を路面に強く打ち付けた影響などにより死亡してしまいました。
その後、Aさんは福岡県うきは警察署監禁致死罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ 監禁致死傷罪 ~

監禁致死傷罪は刑法221条に規定されています。

刑法221条
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

つまり、監禁致死傷罪は、①前条の罪を犯すこと、②人を死傷させること、③①と②との間に因果関係が認められること、によって成立する犯罪です。
以下、詳しく解説いたします。

~ 「前条の罪」 ~

「前条の罪」とは刑法220条の「逮捕・監禁」の罪を指しています。
刑法220条の規定を確認すると、

刑法220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

とあります。

* 監禁とは *
監禁とは、人が一定の区域内から脱出することが不可能又は著しく困難にすることをいいます。
そして、監禁といえるためには、被監禁者の自由の拘束が完全なものであることを要しないとされています。
したがって、一応、脱出の方法がないわけではないけれども、生命・身体の危険を冒すか、又は常軌を脱した非常手段を講じなければ脱出できないような場合であれば監禁といえます。

本件では、確かに、助手席のドア鍵は無施錠であったことから、Vさんの自由の拘束は完全だったとはいえません。
しかし、時速130キロで走る車から飛び出すことは生命・身体に害を及ぼす危険な行為です。
Vさんはその危険を冒してまで脱出せざるを得なかったのですから、AさんがVさんを助手席に乗せる行為は「監禁」に当たるでしょう。

* 不法に *
監禁罪の監禁は「不法」であることが必要です。
したがって、正当な監禁は違法ではなく処罰されません。
親子間では「しつけ」と称して、親が子供を鍵のかけた物置小屋などに閉じ込める、というケースも耳にします。
通常、親には子に対する監護権が認められていますから、直ちにそれが「不法」な監禁とされることはありませんが、社会通念上許容される範囲を超える行為は違法とされ監禁罪で処罰される可能性もあります。

~ 「よって人を死傷させた」 ~

監禁致傷罪の成立には、人の「傷害」「死」という結果の発生と、その結果と監禁そのもの、少なくともその手段としての行為との間に因果関係があることが必要です。
過去の裁判例では、監禁された被害者が監禁場所から脱出しようとして窓から8.4メートル下の地面に飛び降りたところ、死亡した事案において、監禁致死罪が認められています(東京高等裁判所判決昭和55年10月7日)。

また、過去の判例では、自動車の後部トランクに人を監禁していた状態で、路上停車していたところ、たまたま後続の自動車が前方不注視で時速約60kmのまま追突したことが原因で、トランクに監禁されていた被害者が死亡した事案で、監禁致死罪の成立が認められています(最高裁決定平成18年3月27日)。

~ 「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」 ~

つまり、監禁致死罪の場合は「傷害致死罪」の例にならい、「3年以上の有期懲役」、監禁致傷罪の場合は、傷害罪(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)と監禁罪とを比較した場合、上限は傷害罪が重く、下限は監禁罪の方が重いですから、「3月以上15年以下の懲役」ということになります。

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