警視庁福生警察署で逮捕~正当防衛

2019-06-01

警視庁福生警察署で逮捕~正当防衛

【事件】
仕事から帰宅途中のAさんは、東京都羽村市にある公園に差し掛かったところで若者に因縁をつけられました。
「睨んだだろう」と言う若者に対して、全く身に覚えのないAさんは「睨んでいない」と主張しましたが、その態度に若者は激高しました。
若者が手に持っていたサバイバルナイフを振りかざし今にも襲い掛かろうとしたので、Aさんは手に提げていた通勤バッグで若者の頭を殴りました。
走って立ち去ろうとしたAさんでしたが、騒ぎを聞きつけた警視庁福生警察署の警察官に暴行罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その時、若者は脳震盪で病院に搬送されていました。
Aさんは、「自分は正当防衛をしただけなのに犯罪になってしまうのか」と不安になり、家族が接見を依頼した弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

【正当防衛】

急迫不正の侵害に対し、自分または他人の生命・権利を防衛するため、やむを得ずにした行為を正当防衛といいます。
正当防衛が認められれば、違法性がないとして仮に起訴されても無罪になります。

以下、少し細かく正当防衛が成立するための要件についてご紹介します。

・急迫不正の侵害があること
自分や他人に危険が今まさに差し迫っており、その危険の発生原因が正当な理由に基づかない場合に、急迫不正の侵害があると言うことができます。

・自己又は他人の権利を防衛するためにとられた行為であること
ここでいう権利とは、広く一般的に法律等で保護されている権利を意味します。
危険が自分自身や、あるいは他人のこれらの権利を脅かそうとしている際に、その権利を守る目的でなされた行為である必要があります。

・やむを得ずにした行為であること
防衛者がその行為を行わなければ、危険にさらされた権利が守れないものであったといえなければなりません。
また、攻撃内容に対して、反撃内容がその強さに応じた相当なものでなくてはなりません。
例えば、素手で殴りかかってきた相手に対してけん銃で反撃したような場合には相当であるとは言えず、そうした場合、過剰防衛であるかどうかが問題となりえます。

・侵害者に向けられた行為であること
防衛行為と認められるためには、反撃が侵害者に向けられていなければなりません。
もし反撃行為が全く関係のない第三者に当たった場合には、その第三者との関係では緊急避難の問題となり、侵害者との関係では、反撃行為が各種未遂罪の行為に該当する場合に正当防衛の問題として扱われる場合があります。

ドラマなどでよく正当防衛という言葉を耳にすると思いますが、これらの細かい条件をそれぞれクリアしないと、法律的には正当防衛と認められるのは難しくなります。
逆に、正当防衛が認められれば、その行為については犯罪が成立しないことになります。

【Aさんの場合】

Aさんは若者を殴って気絶させていますので、客観的にはAさんは暴行罪あるいは傷害罪の容疑で警察の捜査を受けることになります。
ここで、Aさんがバッグで若者を殴って気絶させたことについて正当防衛が成立するかどうかみていきましょう。

まずAさんは若者にナイフで襲われており、侵害の急迫性が認められます。
また、若者のナイフで襲い掛かる行為は正当行為等で正当化されるものではなく、不正性も認められます。

Aさんのバッグによる攻撃(反撃)は、ナイフで襲い掛かろうとしている若者から身を守るためにとられたもので、そうしなければAさんの身体が傷つけられたでしょう。
したがってAさんの反撃は自身の身体ないし生命という自己の権利・利益を守るためにとられた行為であるといえます。

Aさんは逃げる余裕もないまま、他に身を守る方法もなく若者をバッグで殴っています。
殺傷性のあるナイフに対してAさんの武器はバッグであり、反撃手段の強度も相当であると考えられ、そうすると「やむを得ずにした行為」の要件は満たされると考えられます。

また、この反撃はAさんを襲った若者に対してとられた行為で、侵害者に向けられた行為です。

以上より、Aさんがバッグで殴った行為が正当防衛であると認められる可能性は非常に高いといえます。

しかし、警察官の厳しい取調べ等、捜査の過程で自分にかけられた暴行や傷害の容疑内容を認めるような発言をしてしまった場合、起訴されてしまったり、最悪の場合前科がつくことになってしまうかもしれません。
もし身を守るためにとった行為に暴行や傷害の容疑がかけられてしまった場合は、お早めに刑事事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。
早い段階で適切な対応をすることにより、不起訴処分や無罪を得られる可能性が高くなります。

正当防衛の状況下でとられた行為について逮捕されてしまった方、ご家族やご友人が警視庁福生警察署に逮捕されてしまった方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
警視庁福生警察署までの初回接見費用:39,000円