腹いせの業務妨害事件で逮捕

2019-06-11

腹いせの業務妨害事件で逮捕

~ケース~
Aさんは埼玉県朝霞市内のコンビニを利用したところ、店員の態度が悪く感じ、これに因縁をつけたところ、口論になりました。
その場は収まり、Aさんは帰宅したのですが、怒りをしずめることができませんでした。
後日、Aさんは先日の腹いせにと画びょうを3000個用意し、コンビニを再訪した後、床にばらまいてしまいました。
店員は埼玉県朝霞警察署に通報し、Aさんは駆け付けた埼玉県朝霞警察署の警察官に威力業務妨害罪の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
コンビニは画びょうが撤去されるまで2時間ほどの間、営業を中止する事態になりました。
(フィクションです)

~威力業務妨害罪について~

威力業務妨害罪とは、威力を用いて人の業務を妨害する犯罪であり、威力業務妨害罪で起訴され、有罪が確定すれば3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(刑法第234条)。
お店や団体に嫌がらせや、腹いせを行った結果、威力業務妨害罪の疑いで検挙されるケースがあります。

(「威力」とは?)
威力業務妨害罪の「威力」とは、人の自由意思を制圧するに足る勢力をいい、暴行・脅迫よりも広い概念です。
「威力」と認められた裁判例として、①客が満員のデパートの食堂配膳部に蛇をまき散らした場合(大審院昭和7年10月10日判決)、②競馬場の最も重要な本馬場に、幅約2メートル、長さ約120メートルにわたり平釘1樽分をまいた場合(大審院昭和12年2月27日判決)などがあります。

今回のケースの場合について検討します。
コンビニの床に画びょうが3000個もまかれている場合、これを踏みつけたり、あるいは転倒した際、体に刺さるおそれがあることから、安全確保のため営業をいったん中止せざるを得なくなると思われます。
以上のことから、コンビニに画びょうをまく行為は、人の自由意思を制圧するに足る勢力と考えられるので、「威力」に該当する可能性が高いでしょう。

(「業務」について)
「業務」とは、人(自然人、法人その他の団体を含みます)が職業その他社会生活上の地位に基づき継続して従事する事務をいいます。

今回のコンビニの場合、通常、法人である株式会社か、自然人である個人が営利目的で営業しています。
コンビニの営業は、経営者である自然人又は法人が職業その他社会生活上の地位に基づき継続して従事する事務と考えられるので、「業務」に該当するものと思われます。
なお、コンビニの営業は営利目的で行われますが、「業務」に該当するために営利性が必要というわけではなく、政党の結党大会のようなものであっても、「業務」に該当しえます。

(「妨害した」について)
判例によれば、威力業務妨害罪の成立には、実際に業務が妨害された結果の発生は必要ではなく、業務を妨害するに足りる行為が行われればよいとされています。

今回のケースのコンビニは画びょうが撤去されるまで2時間程営業が不能となっていますので、明らかに「妨害」されたものと考えられます。

以上のことから、Aさんがコンビニの床に画びょうをまいた行為が、威力業務妨害罪を構成する可能性は極めて高いと思われます。

~逮捕されたら、まずは初回接見を検討~

弁護士に事件について話し、今後の手続きの進行、処分の見込み、取調べの対応方法につきアドバイスを受けることをおすすめします。
取調べでは、取調官からかなりきつい態様で質問され、負担に感じることがあるかもしれません。
弁護士に事件について話をすることにより、心理的な安心感を得られる効果も期待できます。
当番弁護士は、逮捕されている場合に、初回の1回だけ無料で接見にやってきます。
ただし、身柄解放活動、より有利な処分(不起訴、軽い量刑の判決)の獲得に向けた活動を行うことはできません(私選弁護人として選任すればこの限りではありません)。
国選の弁護士は、接見後の活動を行うことができますが、一定の要件を満たした上で、勾留決定が出ている段階でないと付けられないので、逮捕当日に接見を受けることは通常できません。(逮捕から勾留まで2~3日かかることが通常です)
また、自分で弁護士を選ぶことができないため、しばしば付けられた弁護士と相性が合わない、やる気が感じられないといった不満を持つ方もおられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、有料で初回接見を行っております。
弁護士のスケジュールが空いていれば、逮捕当日に接見を受けていただくこともできます。
また、弁護士費用等の条件が折り合えば、接見を行った弁護士を私選弁護人として選任していただくことも可能です。
ご家族、ご友人が威力業務妨害事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。