傷害事件で不起訴を獲得するポイントは?示談なしでも不起訴になる?

公開日:2026-08-27

傷害事件を起こしてしまい、「このまま起訴されてしまうのか」と不安を感じていませんか?

逮捕後の流れや、自分がどうなるのかがわからず、パニックに陥る人は少なくありません。「前科がついてしまうのか」「仕事や生活はどうなるのか」—そうした疑問が頭の中をぐるぐると回り続けているのではないでしょうか。

実は、傷害事件を起こしたからといって必ずしも起訴されるわけではありません。事件の内容や示談の有無など、さまざまな要素によって不起訴になるケースも多くあります。

この記事では、傷害事件における起訴・不起訴の基準や、不起訴を獲得するためのポイントをわかりやすく解説します。

目次

傷害事件を起こすと必ず起訴される?

傷害事件を起こしても、必ずしも起訴されるわけではありません。検察官が証拠や事件の状況を総合的に判断した結果、不起訴処分となるケースは決して珍しくないのです。

法務省の犯罪白書によると、傷害事件における起訴率は全体の32%にとどまっており、過半数の事件は不起訴処分になっています【参照令和4年版犯罪白書】。つまり、起訴されるかどうかは決まった話ではなく、事件後の対応次第で結果が変わり得ます。

以下に、傷害事件における処分の大まかな内訳を示します。

処分の種類

概要

不起訴処分

検察が起訴しないと判断。前科はつかない

略式起訴

書面審理のみで罰金刑が科される

公判請求(正式起訴)

刑事裁判が開かれる。実刑・執行猶予の可能性あり

起訴されないためには、早い段階から適切な対応をとることが大切です。では、起訴された場合にはどのような影響があるのか、次の章で確認しましょう。

傷害事件で起訴されるとどうなる?

起訴された場合、日常生活に大きな影響が及ぶ可能性があります。

前科がつくこと、刑事裁判を受けること、罰金を支払うこと—これらは決して他人事ではありません。それぞれの内容を順に見ていきましょう。

前科がつく

起訴されて有罪判決が確定すると前科がつきます。前科とは、過去に刑事裁判で有罪判決を受けた記録のことです。

前科がつくと、次のようなデメリットが生じます。

前科は、本人の社会生活に長期間にわたって影響を与えます。「たった一度の出来事」が、人生の選択肢を狭めてしまうことになりかねません。

刑事裁判を受ける可能性がある

起訴には2種類あります。公判請求(正式起訴)と略式起訴です。

公判請求された場合は、裁判所で刑事裁判が開かれます。裁判では検察官と弁護人が証拠を提出し合い、裁判官が有罪・無罪および量刑を判断します。

刑事裁判を受けることには、次のような影響があります。

傷害罪の法定刑は「15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」(刑法第204条)です。事件の悪質性によっては実刑判決となるケースもあります。

罰金を支払う可能性がある

略式起訴となった場合は、法廷での審理なしに罰金刑が科されます。書面だけで手続きが完了するため、公判請求に比べると迅速に処分が決まります。

ただし、罰金刑も有罪判決の一形態なので罰金を支払っても前科は残ります。

傷害事件における罰金の相場は、事件の内容や被害の程度によって異なりますが、数万円〜数十万円程度になるケースが多いとされています。罰金を一括で支払えない場合、労役場に留置される可能性もあります。これもまた、日常生活への影響は小さくありません。

傷害事件における起訴・不起訴の基準

検察官が起訴・不起訴を判断する際、法律上の明確な数値基準があるわけではありません。証拠の内容、事件の背景、被疑者の状況などを総合的に評価した上で、検察官が最終的な判断を下します。

主な判断要素としては、以下の4点が挙げられます。それぞれを詳しく解説していきます。

被害者と示談が成立しているか

示談とは、加害者と被害者が話し合いによって賠償額などに合意し、民事上及び刑事上の紛争を解決することです。示談が成立していれば、被害者が処罰を望まないという意思表示として扱われます。

検察官はこれを重要な事情として考慮するため、示談成立の有無は起訴・不起訴の判断に大きく影響します被害者が「処罰を求めない」と明示した場合、不起訴処分になりやすくなるのです。

一方、示談が成立していなくても不起訴になるケースはあります。ただし、示談の有無は検察官の判断において非常に重要な要素であるため、被害者との交渉を早期に進めることが望ましいでしょう。

被害者に負わせた怪我の状態

怪我の程度が重いほど、起訴される可能性は高くなります。全治数日の軽傷であれば比較的不起訴になりやすい一方、骨折・後遺症が残るような重傷であれば、起訴に向けた判断がなされやすくなります。

具体的には、以下のような点が考慮されます。

被害者の怪我が深刻であればあるほど、検察官は厳しく対処する傾向があります。

事件内容の悪質性

怪我を負わせるまでの経緯や手段が悪質と判断される場合も、起訴されやすくなります。

たとえば、次のような状況は悪質性が高いとみなされやすいです。

逆に、正当防衛に近い状況や双方にトラブルがあった経緯がある場合は、悪質性が低いと判断されることもあります。

初犯か同種の前科があるか

同種の前科があるかどうかも、重要な判断要素のひとつです。初犯の場合は不起訴になりやすく、過去に傷害事件で処分を受けたことがある場合は起訴されやすくなります

同種前科がある場合、検察官は「再犯のおそれがある」と判断しやすくなります。また、執行猶予中の再犯であれば、実刑判決が下されるリスクも高まります。

初犯であっても油断は禁物ですが、前科がないことは不起訴を目指す上でひとつの有利な事情となります。

傷害事件で不起訴を獲得するためのポイント

傷害事件において不起訴を目指すために最も重要なポイントは被害者との示談を成立させることです。もちろん、事件の内容によっては示談なしで不起訴になるケースもありますが、示談の成立は検察官の判断に大きく影響します。

示談交渉では、次の点に注意が必要です。

示談以外にも、不起訴を目指す上での行動として以下が挙げられます。

傷害 不起訴を目指すには、事件発生後の初動が非常に重要です。「どうすればいいかわからない」という状況でも、まずは刑事事件に強い弁護士に相談することが、最善の第一歩となるでしょう。

当事者間の示談交渉は難しい?

前の章で解説したとおり、示談の成立は不起訴を目指す上で非常に重要なポイントです。では、加害者本人が直接被害者と交渉すれば解決するのでしょうか?

答えは「難しい」と言わざるを得ません。当事者同士の示談交渉は、感情的な対立や知識の差などが壁となり、スムーズに進まないケースがほとんどです。ここでは、当事者間交渉が難しい代表的な理由を2つ説明します。

被害者の連絡先を教えてもらえない

示談交渉をしたくても、そもそも被害者と連絡が取れないことが多くあります。これが最初の大きな壁です。

被害者は加害者に対して強い怒りや恐怖の感情を抱いていることが一般的です。「また何かされるのでは」という不安から、加害者本人との接触を強く拒む場合も珍しくありません。

警察に「被害者の連絡先を教えてほしい」と申し出ることもできますが、警察は被害者のプライバシー保護を理由に連絡先を開示しないのが原則です。被害者が同意しない限り、連絡先を入手する手段はほぼありません。

結果として、加害者本人がいくら示談を望んでいても、交渉のスタートラインにさえ立てないという状況が生まれてしまいます。

適正な示談金で示談ができない

仮に連絡が取れたとしても、示談金の金額をめぐってトラブルになるケースが多くあります。

被害者側が感情的になり、相場を大幅に上回る高額な示談金を要求してくることは決して珍しくありません。一方で、法律の知識がない加害者は、その金額が妥当かどうかを判断する基準を持っていません。「早く解決したい」という焦りから、不当に高い金額に応じてしまうリスクもあります。

また、示談書の内容が不適切だと、後から「示談の効力がなかった」と争われたり、民事訴訟を起こされたりするリスクも残ります。示談は口約束ではなく、法的に有効な書面にして整える必要があります。当事者だけで進めると、この点も見落としがちです。

傷害事件で弁護士に依頼するメリット

こうした困難を乗り越え、不起訴に向けて最善の対応をとるためには、刑事事件の経験豊富な弁護士への依頼が最も有効な手段です。

弁護士は法律の専門家として、被害者との示談交渉だけでなく、捜査機関への働きかけや裁判対応まで幅広くサポートしてくれます。「弁護士に頼むほどのことか」と思うかもしれませんが、傷害事件において弁護士の関与は結果を大きく左右します。具体的なメリットを3つに分けて解説します。

代理人弁護士として被害者と示談交渉ができる

弁護士が代理人として交渉に入ることで、前述した「連絡先が教えてもらえない」問題が解消されやすくなります。

被害者は加害者本人との接触は拒否していても、弁護士という第三者であれば話を聞いてもらえるというケースは多くあります。弁護士という立場が、被害者にとっての「安全な接点」になるのです。

示談金の交渉においても、弁護士は傷害事件の示談金相場を熟知しています。感情的にならず冷静に交渉を進め、双方が納得できる適正な金額を導き出します。また、法的に有効な示談書の作成も弁護士が行うため、後からトラブルになるリスクを大幅に減らせます。

早期に弁護士を立てることで、逮捕・勾留中であっても示談交渉を並行して進めることができ、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。

捜査機関に対して意見を主張できる

弁護士は、警察や検察といった捜査機関に対しても積極的に働きかけることができます。これは本人だけでは難しい対応のひとつです。

具体的には、以下のような活動が挙げられます。

検察官は起訴・不起訴の判断をする前に、弁護士からの意見書や報告を確認することがあります。適切なタイミングで弁護士が介入することで不起訴処分につながるケースも実際にあります。

また、取り調べの段階では「何を話すべきか」「黙秘すべきか」といった判断も重要です。弁護士のアドバイスなしに不用意な発言をすると、後の裁判で不利になる可能性もあるため、早期の弁護士接見が欠かせません。

起訴された場合でもサポートできる

万が一、起訴されてしまった場合でも、弁護士のサポートは続きます。

公判請求(正式起訴)となった場合、弁護士は刑事裁判を通じてできる限り軽い処分を目指した弁護活動を行います。特に注目したいのが執行猶予の獲得です。

執行猶予とは、有罪判決を受けても直ちに刑務所に収監されず、一定期間を問題なく過ごすことで刑の執行が免除される制度です。実刑か執行猶予かの違いは、仕事や家族の生活に与える影響が大きく異なります。

弁護士は、被告人の反省の状況・家庭環境・社会復帰の見通しなどを裁判所に丁寧に伝え、執行猶予付き判決や量刑の軽減に向けた弁護活動に全力を尽くします。起訴後もあきらめず、最後まで対応してくれる点が弁護士に依頼する大きな安心感です。

【事務所紹介】傷害事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の弁護活動を中心に取り扱う法律事務所です。

刑事事件・少年事件は一般の民事事件や行政事件とは内容や担当機関が大きく異なっているため、刑事事件・少年事件の専門知識と弁護活動が必要になります。

弊所は刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を扱う実績豊富な弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、丁寧に対応致します。

弊所の特徴①:24時間無料法律相談受付

弊所では初回の法律相談を無料でご案内しています。ご予約の際は弊所フリーダイヤルにてお待ちしております。

なおフリーダイヤルについては、日中は仕事をしているので夜や早朝しか電話する時間がないといった方でもご安心してご利用いただけるよう24時間年中無休で対応中。ご心配な方は何時でもお気軽にお電話ください。

弊所の特徴②:安心の即日・迅速対応

北は北海道の札幌、南は九州の福岡まで、全国の主要都市12か所に事務所を設けており、日本全国に対応している点も弊所の強みです。

法律相談についてはお客様のご希望の日時でご予約が可能、また弁護士を派遣する初回接見サービスについてはご予約いただいて、最短当日に弁護士を派遣することができます。

今すぐ相談したい、今すぐ活動を開始して欲しいという方のご希望に応えることができる体制を整えておりますのでご安心してご相談ください。

弊所の特徴③:刑事事件に強い弁護士が多数在籍

弊所は開設して10年以上、刑事事件を主に扱っている法律事務所です。

傷害事件のような被害者の存在する事件においては、被害者と示談することができるかどうかが、その後の刑事処分に絶大な影響を及ぼしますが、弊所では、刑事事件における示談の経験が豊富な弁護士による活動をお約束することができます。

刑事事件の弁護活動を熟知した弁護士による、弁護活動を受けることで、きっとご安心していただくことができるでしょう。

弊所の特徴④:安心明確な料金体系

ご契約前に、着手金、報酬金、実費日当等の弁護士費用について明確にし、お客様に納得していただけるまで丁寧に説明させていただいております。

また、弁護士費用についてお客様が不安を感じないように、契約書に弁護士費用一覧表を添付させていただいております。

料金詳細については弊所HPをご覧ください▼

料金表 

【事例紹介】実際に不起訴を獲得した傷害事件

ここでは実際に事務所が依頼を受けた傷害事件で、どのような弁護活動を行ったか紹介します。

事例①:夫婦喧嘩から発展した傷害事件

夫婦喧嘩で相手の行為に激高してしまい、顔面を平手や手拳で数回殴打し、さらに髪の毛を引っ張るなどの暴行行為を加えたというケースです。被害を受けた相手が警察に通報したことで逮捕されてしまいました。

家族から依頼を受けた弁護士はすぐに釈放に向けての活動を開始しました。具体的には、勾留に対する意見書に加え、添付資料として被害者である奥様が釈放を求めていること、被害届を出す気はないこと等を記載した報告書などを検察庁に提出しました。

これらの早急な活動によって、勾留請求されることなく釈放されるに至りました。在宅捜査に変わってからもDV加害更生プログラムに通ってもらう等の更生に向けた取り組みを行っていきました。

最終的に、被害者である奥様からの上申書を検察官に提出した上で不起訴に向けた処分交渉を行い、無事に不起訴処分を獲得することに成功しました。

事例②:通行人とぶつかるトラブルから傷害事件に発展

駅のホームを歩いているときに通行人とぶつかってしまい、泥酔していたこともあり、通行人とトラブルになって相手の髪を引っ張り引きずったというケースです。被害者の通報により駆け付けた警察官によって逮捕されましたが、勾留はされず翌日釈放されました。

そして、在宅捜査に変わってから弊所にご依頼いただきました。

担当弁護士はすぐに被害者と示談交渉を進めていきました。示談交渉では、本人の反省の意を伝えるとともに被害者の要望をしっかりと聞いて数回の交渉を重ねました。そして、粘り強い示談交渉が実を結び、宥恕条項付きの示談を締結することに成功しました。

これらの弁護活動から、検察庁に送致された後すぐに不起訴処分が決まりました。

傷害事件における不起訴についてよくある質問

傷害事件と不起訴に関して、多くの方が共通して抱く疑問をQ&A形式でまとめました。「自分のケースはどうなるのか」を判断する参考にしてください。

Q.傷害事件で初犯の場合は必ず不起訴になる?

A.初犯だからといって必ずしも不起訴になるわけではありません。

初犯であることは、検察官が判断する際の有利な事情のひとつです。しかし、怪我の程度が重かったり、事件の悪質性が高かったりする場合は、初犯であっても起訴される可能性は十分にあります。

不起訴を目指すなら、初犯という事情だけに頼らず、被害者との示談成立や真摯な反省の態度を示すことが重要です。「初犯だから大丈夫」と安易に考えず、早めに弁護士に相談しましょう。

Q.傷害事件の不起訴率は?

A.傷害事件の不起訴率は過半数を超えているとされています。

法務省の犯罪白書などのデータによると、傷害事件における不起訴率は概ね60〜70%程度と報告されています。起訴されるケースよりも不起訴となるケースの方が多いのが実態です。

ただし、この数字はあくまでも全体の傾向であり、個々の事件の状況によって結果は異なります。不起訴率が高いからといって「何もしなくても大丈夫」とはなりません。

Q.傷害事件で不起訴になっても民事上の責任がある?

A.不起訴になっても民事上の責任がなくなるわけではありません。

不起訴処分はあくまでも刑事責任を問わないという判断です。被害者が民事訴訟を起こして損害賠償を求めることは、不起訴後も可能です。

このリスクを回避するためには、示談を通じて「民事上の責任も追及しない」という条項を示談書に盛り込むことが必要です。この条項(いわゆる「清算条項」)があることで、不起訴取得後の民事トラブルを防ぐことができます。示談書の内容設計においても、弁護士の専門知識が不可欠です。

Q.傷害事件で逮捕されても不起訴は目指せる?

A.逮捕されても不起訴を目指すことは十分に可能です。

逮捕=起訴ではありません。逮捕後も検察官が起訴・不起訴を判断するまでに一定の時間があります。その間に弁護士が被害者との示談交渉を進めたり、検察官に不起訴を求める働きかけをしたりすることで、不起訴処分を獲得できるケースは多くあります。

逮捕されてしまった場合は、一刻も早く弁護士に接見を依頼することが最善の行動です。初動が遅れるほど選択肢は狭まります。焦る必要はありませんが、時間を無駄にしないことが大切です。

傷害事件で不起訴を獲得するためには弁護士へ相談

この記事では、傷害事件における起訴・不起訴の基準から、不起訴を目指すためのポイント、弁護士に依頼するメリットまで解説してきました。

改めて重要なポイントを整理すると、次のとおりです。

傷害罪で不起訴処分を実現するためには、事件後の対応スピードと専門家のサポートが欠かせません。「どうすればいいかわからない」という状況でも、まずは刑事事件を専門とする弁護士に相談することが、状況を好転させる最初の一歩です。

一人で悩まず、早期に専門家の力を借りることを強くおすすめします。