殺人・殺人未遂
殺人事件で示談は極めて困難|示談以外の方法で殺人罪の処罰は軽くなる?

殺人事件では被害者本人がすでに亡くなっているため、通常の刑事事件のように示談を成立させることは極めて困難です。遺族の処罰感情も非常に強く、示談金の支払い自体を拒否されるケースも少なくありません。
示談ができない場合でも深い反省の意を示す方法はあります。被害弁償金の支払い、供託、贖罪寄付など、示談以外の手段を通じて、少しでも刑罰が軽くなる可能性を探ることができるのです。
この記事では、殺人罪の刑罰、示談が困難な理由、示談金の内訳、そして示談以外にできる対処法について詳しく解説します。
殺人罪で問われる刑罰
殺人罪は人の命を奪う最も重大な犯罪であり、刑法第199条で「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の拘禁刑に処する」と規定されています。この条文が示すとおり、殺人罪には極めて重い刑罰が科されます。
具体的な刑罰は、犯行の動機、計画性の有無、被害者の人数、犯行後の態度などを総合的に考慮して決定されます。計画的な犯行や複数の被害者がいる場合には死刑が選択されることもあり、一方で情状酌量の余地がある場合には有期の拘禁刑が選択されることもあるでしょう。
裁判では、被害者遺族への謝罪や反省の態度も量刑判断の重要な要素となります。示談が成立すれば刑が軽くなる可能性がありますが、殺人事件では示談自体が極めて困難です。では、なぜ殺人事件での示談はそれほど難しいのでしょうか?
殺人事件での示談は極めて困難
殺人事件において示談を成立させることは、他の刑事事件と比較して極めて困難です。被害者本人がすでに亡くなっているという事実、そして遺族の強い処罰感情が大きな障壁となります。
示談とは、加害者と被害者が話し合いによって事件を解決し、被害者が加害者を許すことを約束する合意です。しかし殺人事件では、この示談のプロセス自体が成り立ちにくい構造的な問題があります。以下では、殺人事件で示談が困難な具体的な理由を見ていきましょう。
被害者本人と示談ができない
殺人事件の最も大きな特徴は、被害者本人がすでに亡くなっているという点にあります。通常の傷害事件や窃盗事件であれば、被害者本人と直接話し合い、謝罪と賠償によって示談を成立させることができます。しかし、殺人事件では被害者本人と示談することが物理的に不可能です。
代わりに示談の相手となるのは被害者の遺族ですが、遺族は被害者本人ではありません。遺族が加害者を許したとしても、それは被害者本人の意思とは異なる可能性があります。このため、遺族との示談が成立したとしても、通常の示談ほど量刑に大きな影響を与えないケースもあるでしょう。
また、遺族が複数いる場合、全員の同意を得る必要があります。一部の遺族が示談に応じても、他の遺族が拒否すれば示談は成立しません。このように、殺人事件では示談の相手が特定できないケースや、相手が複数いることで調整が困難になるケースが多いのです。
被害者本人の意思を確認できないという事実は、加害者にとっても遺族にとっても、示談を進める上で大きな心理的障壁となります。
被害者遺族の処罰感情が非常に強い
殺人事件の被害者遺族は、加害者に対して非常に強い処罰感情を抱いています。最愛の家族を突然失った悲しみ、怒り、喪失感は計り知れません。このような状況で、加害者からの示談の申し出を受け入れることは、遺族にとって極めて困難な選択です。
多くの遺族は「お金で解決できる問題ではない」と考えます。どれだけ高額な示談金を提示されても、失った命は戻ってきません。むしろ、示談金の提示自体が「金で解決しようとしている」と受け取られ、遺族の怒りをさらに増幅させてしまうこともあります。
さらに、遺族の中には「加害者には最も重い刑罰を受けてほしい」と強く望む方も少なくありません。示談に応じることで刑が軽くなる可能性があるため、示談を拒否することで加害者により重い処罰を求めるのです。このような遺族の心情は、法的にも尊重されるべきものとされています。
加害者側の弁護士が遺族に接触を試みても、面会を拒否されたり、示談交渉のテーブルにすら着いてもらえなかったりするケースが大半です。時間が経過しても遺族の処罰感情が和らぐとは限らず、むしろ事件を思い出すたびに怒りが再燃することもあるでしょう。
このように、被害者遺族の強い処罰感情が、殺人事件での示談を極めて困難にしています。
殺人事件における示談金の内訳
もし被害者遺族との示談が成立する場合、示談金はどのように構成されるのでしょうか。殺人事件の示談金は、主に遺失利益と慰謝料の2つから成り立っています。
示談金の金額は事案によって大きく異なりますが、数千万円から数億円に及ぶこともあります。これは被害者が生きていれば得られたはずの収入や、遺族が受けた精神的苦痛を金銭で評価したものです。以下では、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
遺失利益
遺失利益とは被害者が生きていれば将来得られたはずの収入のことを指します。殺人事件によって被害者の命が奪われたことで、本来得られるはずだった経済的利益が失われました。この損失を金銭で補償するのが遺失利益です。
遺失利益の算出方法は、被害者の年齢、職業、年収、就労可能年数などを基に計算されます。具体的には「基礎収入×就労可能年数×(1−生活費控除率)×中間利息控除係数」という計算式が用いられるのが一般的です。
たとえば、30歳のサラリーマンで年収500万円の方が被害者となった場合を考えてみましょう。就労可能年数を67歳まで(37年間)とし、生活費控除率を50%、中間利息控除係数を適切に適用すると、遺失利益は数千万円規模になることもあります。
被害者が高収入であったり、若年であったりすれば、遺失利益はさらに高額になります。逆に、高齢者や収入のない方の場合は、遺失利益が低くなる傾向があるでしょう。ただし、専業主婦(主夫)の場合でも、家事労働の価値が認められ、一定の遺失利益が算定されます。
遺失利益の算定は専門的な計算が必要となるため、弁護士に相談することをおすすめします。
慰謝料
慰謝料とは被害者本人やその遺族が受けた精神的苦痛に対する賠償金です。殺人事件では、被害者本人の死亡慰謝料と、遺族固有の慰謝料の両方が認められます。
遺族固有の慰謝料は、配偶者、子ども、両親など、被害者との関係性によって金額が変わります。最愛の家族を突然失った悲しみや怒りは、金銭では測れないものですが、法的には一定の基準に基づいて算定されるのです。
事件の態様が特に悪質であったり、犯行後の対応が不誠実であったりした場合には、慰謝料が増額されることもあります。逆に、加害者が深く反省し、誠実な対応を取っている場合には、多少の考慮がなされる可能性もあるでしょう。
慰謝料の金額は、被害者と遺族の状況、事件の内容、加害者の態度などを総合的に判断して決定されます。適正な金額を算定するためには、専門家である弁護士の助言が不可欠です。
示談以外の方法で殺人罪の処罰は軽くなる?
示談が成立しなかった場合でも、加害者が深い反省の意を示すことができれば、裁判で情状酌量が認められ、処罰が少しでも軽くなる可能性があります。示談以外にも反省の姿勢を示す方法はいくつか存在します。
これらの方法は、被害者遺族の心情に配慮しながら加害者の真摯な態度を裁判所に示すために有効です。完全に刑罰を免れることはできませんが、量刑判断において一定の考慮材料となるでしょう。以下では、具体的な方法を見ていきます。
被害弁償金として遺族に受け取ってもらう
被害弁償金とは、示談金という形ではなく被害に対する弁償として支払うお金のことです。示談が成立しない場合でも、被害弁償金として一部でも遺族に受け取ってもらえれば、深い反省を示す材料の一つになります。
遺族の中には「示談には応じないが、被害弁償金なら受け取る」という方もいます。示談は加害者を許すという意味合いが強いため拒否するものの、経済的な補償としてお金を受け取ることには応じてくれるケースがあるのです。
被害弁償金を支払う際には、弁護士を通じて遺族に打診することが一般的です。直接加害者本人や家族が接触すると、かえって遺族の感情を害する恐れがあります。弁護士が間に入ることで、遺族の心情に配慮しながら慎重に話を進めることができるでしょう。
遺族が被害弁償金を受け取った場合、裁判では「加害者が経済的な責任を果たした」として、一定の評価がなされます。金額の多寡よりも、誠実に賠償しようとする姿勢が重要です。
ただし、被害弁償金の支払いを強要することは絶対に避けなければなりません。遺族が拒否した場合は、その意思を尊重する必要があります。
示談金を供託する
供託とは法務局に金銭を預けておく制度のことです。被害者遺族が示談金の受け取りを拒否した場合でも、供託することで「示談金を支払う意思がある」ことを示すことができます。
供託された金銭は、法務局で保管され、遺族が受け取りを希望すればいつでも引き出すことが可能です。現時点では受け取りを拒否している遺族も、時間が経過して気持ちが変わった際に、供託金を受け取ることができます。
裁判では、供託を行ったという事実が「加害者が誠実に賠償しようとしている」証拠として評価されます。示談が成立していなくても、供託によって反省の意を示すことができるのです。
供託の手続きは複雑であり、適切な供託理由や金額を判断する必要があります。弁護士に依頼すれば、法務局への供託手続きを適切に進めることができるでしょう。
ただし、供託をしたからといって必ず刑が軽くなるわけではありません。あくまで量刑判断における一つの要素にすぎませんが、何もしないよりは誠意を示すことができます。
贖罪寄付を行う
贖罪寄付とは、被害者関連団体や公益団体に寄付を行うことで反省の意を示す方法です。被害者遺族が一切の金銭受け取りを拒否した場合でも、贖罪寄付を通じて罪を償う姿勢を表明できます。
寄付先としては、犯罪被害者支援団体、交通遺児育英会、更生保護施設など、公益性の高い団体が選ばれることが多いです。寄付金は、同じような被害に遭った方々を支援するために使われます。
裁判では、贖罪寄付を行ったことが「反省の態度」として評価される可能性があります。特に、被害者遺族が一切の接触を拒否している場合、贖罪寄付は唯一の償いの手段となることもあるでしょう。
贖罪寄付を行う際には、適切な寄付先を選び、証明書を取得しておくことが重要です。弁護士に相談すれば、どのような団体に寄付すべきか、どのような手続きが必要かについて助言を受けられます。
ただし、贖罪寄付は示談や被害弁償金の代わりになるものではありません。あくまで補完的な手段として、真摯な反省の姿勢を示すために行うものです。
殺人事件で示談以外の方法を検討している方は弁護士へ
殺人事件を起こしてしまった場合、一刻も早く弁護士に相談することが重要です。弁護士は法的な知識と経験を活かして、被疑者・被告人の権利を守り、適切な弁護活動を行います。
示談交渉だけでなく、被害弁償金の支払い、供託、贖罪寄付といった対応も、弁護士のサポートがあれば適切に進めることができます。また、逮捕された場合の接見や取調べ対応、裁判での弁護活動など、刑事事件のあらゆる場面で弁護士の助けが必要です。以下では、弁護士に依頼する具体的なメリットを見ていきましょう。
現在の状況や今後の見通しが分かる
弁護士に相談することで、現在の状況や今後どのように事件が進んでいくかといった見通しを詳しく聞くことができます。殺人事件は極めて重大な犯罪であり、刑事手続きは複雑です。一般の方には理解しにくい法的な流れも、弁護士が分かりやすく説明してくれるでしょう。
たとえば、逮捕後の勾留期間、起訴の可能性、保釈の見込み、裁判の流れ、予想される判決内容などについて、具体的な見通しを示してもらえます。何が起きるか分からない不安な状況の中で、専門家の助言は大きな支えとなります。
また、弁護士は過去の類似事例や判例を基に、どのような対応が最も効果的かをアドバイスしてくれます。示談が困難な場合には、被害弁償金や供託、贖罪寄付といった代替手段についても提案してくれるでしょう。
さらに、被疑者・被告人本人だけでなく、家族も弁護士に相談することで、今後の生活設計や経済的な準備について助言を受けられます。事件の見通しが分かれば、精神的な負担も少し軽くなるはずです。
逮捕時の接見や取調べに対するアドバイスが受けられる
殺人事件で逮捕された場合、弁護士がすぐに接見に向かうことができます。接見とは、弁護士が拘置所や警察署で被疑者と面会すること。逮捕直後は家族との面会が制限されることが多いですが、弁護士との接見は原則として制限されません。
接見では、弁護士が取調べでどのように対応すべきかについて具体的なアドバイスをします。警察や検察などの捜査機関からの取調べでは、誘導尋問や不利な供述を引き出そうとする質問がなされることもあります。適切な対応を知っておくことで、不当に不利な状況に陥ることを防げるでしょう。
また、弁護士は取調べの状況を監視し、違法な取調べが行われていないかをチェックします。もし不適切な取調べがあった場合には、抗議や是正を求めることも可能です。
逮捕された本人にとって、弁護士との接見は唯一の外部との連絡手段となります。不安な気持ちを聞いてもらったり、家族への伝言を依頼したりすることもできるでしょう。精神的な支えとしても、弁護士の存在は非常に大きいです。
弁護士から捜査機関や裁判所とやり取りができる
弁護士は、本人や家族に代わって捜査機関や裁判所とやり取りできます。弁護士が代理人として動くことで、法的に適切な対応が可能になります。
たとえば、検察官に対して意見書を提出したり、不起訴を求める弁護活動を行ったりすることができます。また、裁判では弁護人として被告人の主張を代弁し、証拠を提出し、証人尋問を行います。
被害者遺族との交渉も、弁護士が窓口となって行います。加害者本人や家族が直接接触すると、遺族の感情を逆なでしてしまう恐れがあります。弁護士が間に入ることで、遺族の心情に配慮しながら慎重に話を進めることができるでしょう。
さらに、保釈請求、勾留決定に対する準抗告、証拠開示請求など、様々な法的手続きを弁護士が代行します。これらの手続きは専門的な知識が必要であり、弁護士抜きで行うことは極めて困難です。
弁護士に依頼することで、法的に最善の対応を取ることができ、少しでも有利な結果を目指すことが可能になります。
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殺人事件で示談は極めて困難|すぐに弁護士へ相談を
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一刻も早く弁護士に相談し、適切な対応を取ることで、少しでも良い結果を目指しましょう。
殺人罪で弁護士を選ぶポイント4選|殺人罪で弁護士に依頼するメリットは?

家族や知人が殺人事件で逮捕されてしまった—。突然の出来事に、何から手をつければよいのか分からず混乱していませんか?
殺人罪は刑法の中でも最も重い犯罪のひとつであり、有罪となれば死刑や無期拘禁刑(※)などの重い刑罰が科される可能性があります。逮捕後は警察や検察による厳しい取り調べが続き、起訴されれば裁判員裁判で審理されることになるでしょう。こうした状況で適切な対応ができなければ、取り返しのつかない結果を招いてしまうかもしれません。
実は、殺人事件では逮捕直後から弁護士に相談・依頼することで、身柄解放の可能性を高めたり、執行猶予や減刑を目指した弁護活動を早期に開始できます。この記事では、殺人罪の刑罰や逮捕後の流れ、弁護士に依頼するメリットについて、分かりやすく解説していきます。
※令和7年6月からは刑罰制度の改正により、従来の「懲役刑」と「禁錮刑」が統合され、「拘禁刑」という新しい刑罰に変更されます。したがって、例えば殺人罪で令和7年6月以降に判決を受ける場合は、後述のとおり、「5年以上の拘禁刑」という表現になります。
殺人罪の刑罰
殺人罪で有罪となった場合、どれほどの刑罰が科されるのでしょうか。刑法第199条では殺人罪について「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の拘禁刑に処する」と定められています。これは刑法の中でも特に重い刑罰です。
殺人罪の法定刑には死刑も含まれており、計画的な犯行や複数の被害者がいる場合、動機が極めて悪質な場合などには、死刑判決が下される可能性もあります。一方で、偶発的な犯行や被害者側にも一定の落ち度があったケースでは、執行猶予付き判決や比較的軽い実刑判決となることもあるのです。
判決の内容は事件の状況や被告人の反省の程度、被害者遺族との示談成立の有無などによって大きく変わります。だからこそ、早期に弁護士へ相談し、適切な弁護活動を行うことが重要なのです。
殺人罪に関連する罪と刑罰
殺人罪には、実際に人を殺害した場合だけでなく、未遂に終わった場合や殺人の準備段階で処罰される罪も存在します。ここでは殺人罪に関連する3つの犯罪について、それぞれの刑罰を見ていきましょう。
殺人未遂罪
殺人未遂罪とは、人を殺そうとしたものの、何らかの理由で死亡という結果に至らなかった場合に成立する犯罪です。刑法第203条では「第199条及び前条の罪の未遂は、罰する」と定められており、殺人未遂罪も処罰の対象となります。
刑罰については、刑法第43条の未遂減軽の規定により「死刑又は無期若しくは5年以上の拘禁刑」を減軽することができるとされています。ただし、必ず減軽されるわけではなく、犯行の悪質性や被害の程度によっては、既遂犯と同じ重さの刑罰が科されることもあるでしょう。たとえ未遂であっても、殺人の意思を持って実行に移した以上、非常に重い罪として扱われるのです。
殺人予備罪
殺人予備罪は、実際に殺人を実行する前の準備段階で処罰される犯罪です。刑法第201条では「第199条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の拘禁刑に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる」と定められています。
予備行為とは、凶器の購入や犯行現場の下見など、殺人を実行するための準備行為を指します。実際に人を傷つけていなくても、殺人の意思を持って具体的な準備を行っていれば処罰される可能性があるのです。
刑罰は2年以下の拘禁刑とされており、殺人罪や殺人未遂罪と比べると軽いものの、犯罪の芽を早期に摘むという意味で重要な規定といえるでしょう。また、情状によっては刑が免除される場合もあります。
同意殺人罪
同意殺人罪は、本人の嘱託や承諾を得て殺害した場合に成立する犯罪です。いわゆる「安楽死」や「心中」などがこれに該当する可能性があります。刑法第202条では「人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の拘禁刑に処する」と定められています。
通常の殺人罪と比べると刑罰は大幅に軽減されていますが、それでも重い犯罪であることに変わりはありません。被害者本人の同意があったとしても、人の命を奪う行為は法律で厳しく禁じられているのです。
同意殺人罪では、被害者の同意が真意に基づくものだったか、被告人がどのような状況で犯行に及んだかなどが、量刑を決める重要な要素となるでしょう。
殺人事件で逮捕された後の流れ
殺人事件は人の命を奪う重大犯罪であるため、逮捕・勾留される可能性が極めて高い事件です。逮捕されると長期間にわたって身柄を拘束され、厳しい取り調べを受けることになります。ここでは、殺人事件で逮捕されてから判決が出るまでの一連の流れを段階ごとに解説していきましょう。
逮捕による身柄拘束|48時間
警察に逮捕されると、まず48時間以内に警察での取り調べが行われます。この段階では、警察官が事件の状況や動機、犯行当時の状況などについて詳しく聴取するのです。
逮捕直後の48時間は、家族であっても面会することができません。ただし、弁護士だけは例外で、逮捕直後から本人と面会して助言やサポートを行うことが可能です。取り調べでは、不用意な発言が不利な証拠として使われる恐れもあるため、早期に弁護士のアドバイスを受けることが重要でしょう。
48時間が経過するまでに、警察は検察官へ事件を送致するか、釈放するかを判断します。殺人事件のような重大事件では、検察官へ送致される可能性が極めて高いといえます。
検察官による勾留請求|24時間
警察から事件の送致を受けた検察官は、24時間以内に被疑者を勾留するかどうかを判断します。勾留とは、さらに身柄を拘束して取り調べを続ける必要があると認められた場合に行われる手続きです。
検察官が勾留の必要があると判断した場合、裁判官に対して勾留請求を行います。裁判官は被疑者と面談し、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあるかどうかを判断したうえで、勾留を認めるかどうかを決定するのです。
この段階でも弁護士は重要な役割を果たします。弁護士が裁判官に対して「勾留の必要性がない」という意見書を提出することで、勾留を避けられる可能性もゼロではありません。ただし、殺人事件では勾留される可能性が非常に高いといえるでしょう。
勾留決定による身柄拘束|最長20日間
裁判官が勾留を認めると、被疑者は最長20日間にわたって身柄を拘束されることになります。当初は10日間の勾留が決定され、必要があればさらに10日を超えない範囲での延長が認められます。
この期間中、検察官や警察官による取り調べが続けられます。殺人事件のような重大事件では、証拠の収集や裏付け捜査に時間がかかるため、ほとんどのケースで勾留の延長が考えられます。
勾留中も弁護士との面会は可能ですが、家族との面会は制限されることが多くあります。長期間の身柄拘束は本人にとって大きな精神的負担となるため、弁護士のサポートが欠かせません。
勾留に対しては準抗告や勾留取消請求という不服申立ての手続きもあります。被疑者に逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれが認められない場合には、それらを客観的に証明する証拠の収集・主張といった弁護活動を行い、被疑者の早期釈放を目指します。
検察官による終局処分(起訴・不起訴)
勾留期間が満了するまでに、検察官は被疑者を起訴するか不起訴にするかを決定します。これを終局処分と呼びます。起訴とは、検察官が裁判所に対して刑事裁判を開くよう求める手続きです。
殺人事件のような重大犯罪では、不起訴処分となることは極めて稀でしょう。証拠が十分に揃っており、犯罪の成立に疑いがない場合、検察官はほぼ確実に起訴という判断を下します。
起訴されると、被告人(起訴後は被疑者から被告人へと呼び方が変わります)は引き続き身柄を拘束されたまま、刑事裁判を受けることになるのです。ただし、保釈が認められれば、裁判が始まる前に一時的に釈放される可能性もあります。保釈については、弁護士が裁判所に申請を行う必要があるでしょう。
刑事裁判(裁判員裁判)・判決
起訴されると、いよいよ刑事裁判が始まります。殺人事件や殺人未遂事件は裁判員裁判の対象となる重大事件であるため、6名の裁判員と3名の裁判官が審理を行うのです。
裁判では、検察官が被告人の犯罪事実を立証し、弁護人が被告人に有利な事情を主張します。証拠調べや証人尋問、被告人質問などが行われ、最終的に裁判員と裁判官の合議によって判決が言い渡されます。
殺人事件の裁判は数か月から1年以上かかることも珍しくありません。判決では、有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑罰を科すかが決定されます。執行猶予が付くか実刑となるかは、犯行の動機や計画性、被害者遺族との示談の有無、被告人の反省の程度などを総合的に考慮して判断されるのです。
殺人事件は弁護士に相談するべき?
殺人事件で逮捕された場合、できるだけ早く弁護士に相談することを強くおすすめします。特に、私選弁護人へ依頼することで、より充実した弁護活動を受けられる可能性が高まるでしょう。
逮捕直後から起訴、そして裁判へと進む過程で、弁護士の存在は極めて重要です。弁護士は法律の専門家として、取り調べへの対応方法をアドバイスし、身柄解放に向けた活動を行い、被害者遺族との示談交渉を進めることができます。また、起訴後は執行猶予や減刑を目指した弁護活動を展開するのです。
ただし、弁護士にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。当番弁護士、国選弁護人、私選弁護人の違いを理解したうえで、最適な選択をすることが大切でしょう。
弁護士の種類|当番・国選・私選の違い
刑事事件で弁護を受ける方法には、当番弁護士、国選弁護人、私選弁護人の3種類があります。それぞれの特徴を理解しておきましょう。
当番弁護士
当番弁護士は、逮捕直後に1回だけ無料で面会・相談できる制度です。弁護士会が運営しており、逮捕された本人や家族が希望すれば派遣してもらえます。費用はかかりませんが、あくまで初回の相談のみで、その後の弁護活動を継続して依頼するには別途契約が必要です。
国選弁護人
国選弁護人は、経済的に私選弁護人を雇う余裕がない人のために、国が費用を負担して弁護士を付ける制度です。起訴後は必ず国選弁護人を付けることができますが、起訴前の段階では一定の要件を満たした場合のみ選任されます。費用負担は軽いものの、弁護士を自分で選ぶことはできません。
私選弁護人
私選弁護人は、自分で選んで費用を支払って依頼する弁護士です。逮捕直後から自由に選任でき、弁護活動の内容も依頼者の希望に応じて柔軟に対応してもらえます。費用はかかりますが、刑事弁護に強い弁護士を選べば、より有利な結果を得られる可能性が高まるでしょう。殺人事件のような重大事件では、私選弁護人への依頼が最も望ましい選択肢といえます。
殺人事件で弁護士に相談・依頼するメリット
殺人事件で弁護士に刑事弁護活動を依頼する場合、私選弁護人の方がメリットが多いのは確かです。では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、殺人事件で弁護士に相談・依頼する主なメリットを4つ紹介します。
現在の状況や今後の事件の見通しがわかる
弁護士に相談することで、現在の状況や今後の見通しを正確に把握できます。逮捕されると、本人も家族も不安と混乱の中で何をすればよいのか分からなくなるものです。
弁護士は事件の内容や証拠の状況を分析し、「起訴される可能性がどの程度あるか」「どのような刑罰が予想されるか」「執行猶予を得られる見込みはあるか」といった具体的な見通しを示してくれます。先の見えない不安から解放され、今後の対応を冷静に考えられるようになるでしょう。
また、取り調べでどのように対応すべきか、供述調書にサインする際の注意点など、実務的なアドバイスも受けられます。刑事手続きの各段階で何が起こるのかを事前に知っておくことで、適切な行動を取れるようになるのです。
代理人弁護士として被害者家族と示談交渉
殺人事件では、被害者遺族への謝罪と示談交渉が非常に重要です。しかし、加害者本人や家族が直接遺族に接触することは、かえって感情を逆なでする結果になりかねません。
弁護士に依頼すれば、代理人弁護士として本人や家族に代わって被害者遺族と示談交渉を行うことができます。弁護士は第三者の立場から冷静に話し合いを進め、適切な謝罪と賠償の方法を提案するのです。
示談が成立すれば、量刑に大きく影響します。執行猶予判決の可能性が高まったり、実刑判決でも刑期が短縮されたりする効果が期待できるでしょう。ただし、殺人事件では被害者遺族の感情も深刻であり、示談が成立しないケースも多くあります。それでも、誠意ある対応を続けることが重要です。
逮捕・勾留された場合の身柄開放
逮捕されてしまった場合、逮捕後72時間以内の対応が極めて重要になります。この初動対応の質が、その後の身柄拘束期間を左右するからです。
弁護士に依頼すれば、逮捕直後から早期釈放に向けた活動を開始できます。具体的には、検察官や裁判官に対して「勾留の必要性がない」という意見書を提出したり、釈放後の監督体制を整えたりすることで、勾留を回避できる可能性があるのです。
また、勾留されて起訴となった場合でも、保釈請求によって一時的に身柄を解放してもらえる場合があります。保釈が認められれば、裁判が始まるまでの期間を自宅で過ごすことができ、仕事や家庭生活への影響を最小限に抑えられるでしょう。ただし、殺人事件では保釈のハードルが高いため、弁護士による説得力のある請求書の作成が不可欠です。
執行猶予付き判決・減刑判決に向けた弁護活動
起訴されてしまった場合でも、執行猶予付き判決や減刑判決を目指すことは十分に可能です。弁護士はそのために様々な弁護活動を展開します。
まず、犯行に至った経緯や動機について、被告人に有利な事情を丁寧に主張します。計画性がなかったこと、偶発的な犯行だったこと、被害者側にも一定の落ち度があったことなどを立証するのです。
次に、被告人の反省の深さや更生の可能性を示すために、家族や職場の協力を得て環境を整えます。再犯防止のための具体的な計画を提示し、社会復帰後の受け入れ態勢があることを主張します。
さらに、情状証人として家族や知人に出廷してもらい、被告人の人柄や反省の様子を証言してもらうことも考えられます。こうした総合的な弁護活動によって、少しでも軽い判決を獲得できる可能性が高まります。殺人事件という重大犯罪であっても、諦めずに最善の結果を目指すことが大切なのです。
殺人罪を否認している場合の弁護活動は?
殺人罪で逮捕されたものの、犯行自体を否認している場合や、「殺すつもりはなかった」と殺意を否認している場合もあるでしょう。このような状況では、弁護士の役割はさらに重要になります。
否認事件では、警察や検察が自白を得ようと厳しい取り調べを行うことが予想されます。長時間の取り調べや心理的な圧力によって、虚偽の自白をしてしまうケースも少なくありません。一度調書にサインしてしまうと、後から覆すことは極めて困難です。
弁護士は、取り調べへの対応方法を具体的にアドバイスし、不利な調書を作成されないよう支援します。また、犯行の有無や殺意の有無を法的に争うことで、無罪判決を獲得したり、より軽い罪名へ切り替わる可能性を追求するのです。否認事件こそ、経験豊富な弁護士の力が試される場面といえるでしょう。
取調べ対応に対するアドバイス
否認事件において最も重要なのが、取調べ対応に関する適切なアドバイスを受けることです。弁護士は面会時に、どのように取り調べに臨むべきかを具体的に指導します。
まず、黙秘権の行使について説明を受けるでしょう。憲法で保障された権利として、自分に不利な供述を強制されることはありません。無理に答える必要がない質問については、黙秘する選択肢もあるのです。
次に、調書の内容を慎重に確認することが重要です。警察官が作成した調書には、自分が話していない内容や誤解を招く表現が含まれている場合があります。サインする前に一字一句確認し、納得できない部分があれば訂正を求めるべきでしょう。
さらに、誘導尋問や威圧的な取り調べへの対処法についてもアドバイスを受けられます。「こう言ったんじゃないか?」と誘導されても、事実と異なれば明確に否定する。このような具体的な対応方法を知っておくことで、自分に不利な調書を取られずに済むのです。
犯行の有無や殺意の有無を争う
否認事件では、犯行の有無や殺意の有無を法廷で争うことが弁護活動の中心となります。完全に犯行を否認する場合と、犯行は認めるものの殺意を否認する場合では、弁護の方向性が大きく異なるでしょう。
犯行自体を否認している場合、弁護士はアリバイの立証や、検察側の証拠の信用性を崩すための活動を行います。目撃証言の矛盾点を指摘したり、物的証拠の問題点を明らかにしたりすることで、合理的な疑いを生じさせるのです。完全な無罪判決を獲得できれば、当然ながら刑罰を受けることはありません。
一方、犯行は認めるものの殺意を否認している場合、傷害致死罪など別の罪名での立件を目指します。殺人罪の成立には「殺意」が必要ですが、これは被告人の内心の問題であり、証明が難しい要素です。凶器の種類や攻撃の部位、回数などから殺意の有無を判断することになるでしょう。
殺意が認められず傷害致死罪となれば、刑罰は「3年以上の拘禁刑」となり、殺人罪よりも大幅に軽くなります。このように、罪名が切り替わって捜査されることで、最終的な量刑に大きな影響を与えるのです。
殺人事件で弁護士を選ぶ4つのポイント
殺人事件のような重大事件では、どの弁護士に依頼するかが結果を大きく左右します。弁護士なら誰でもいいわけではありません。刑事事件、特に殺人事件に精通した弁護士を選ぶことが重要です。
ここでは、殺人事件で弁護士を選ぶ際に確認すべき4つのポイントを紹介します。これらの基準を満たしている弁護士であれば、より効果的な弁護活動を期待できるでしょう。
①刑事事件を専門に扱っている
まず重要なのが、刑事事件を専門に扱っている弁護士かどうかという点です。弁護士の業務は多岐にわたり、離婚問題や相続問題、企業法務など様々な分野があります。それぞれの分野には専門的な知識と経験が必要なのです。
刑事事件の弁護活動には、民事事件とは全く異なるノウハウが求められます。警察や検察との交渉方法、取り調べへの対応、保釈請求の手続き、裁判での弁論技術など、刑事特有のスキルが不可欠です。
刑事事件を専門に扱っている弁護士は、こうした実務に精通しているため、迅速かつ的確な対応が可能です。逆に、刑事事件の経験が少ない弁護士では、重要な手続きを見落としたり、効果的な弁護活動ができなかったりする恐れがあります。弁護士のウェブサイトやプロフィールで、刑事事件を専門分野としているかどうかを必ず確認しましょう。
②殺人関連事件の刑事弁護活動経験が豊富
刑事事件の中でも、殺人関連事件の経験が豊富かどうかは極めて重要なポイントです。殺人関連事件の刑事弁護活動経験が豊富な弁護士は、この種の事件特有の難しさを理解しています。
殺人事件は他の刑事事件と比べて、証拠の種類が複雑で、法医学的な知識も必要になることがあります。死因の特定、凶器の鑑定、犯行時の状況再現など、専門的な証拠を読み解く力が求められるのです。
また、被害者遺族との示談交渉も、通常の刑事事件以上に繊細な対応が必要となります。遺族の深い悲しみや怒りに配慮しながら、誠意ある謝罪と適切な賠償を提案する—このバランス感覚は、経験がなければ身につきません。
さらに、殺人事件では執行猶予判決を得ることが極めて困難です。どのような情状を主張すれば刑が軽くなるのか、過去の判例を踏まえた戦略的な弁護活動が必要でしょう。こうした経験値は、弁護士選びの重要な判断材料となります。
③裁判員裁判の経験が豊富
殺人事件や殺人未遂事件は裁判員裁判の対象となるため、裁判員裁判の経験が豊富な弁護士を選ぶべきです。裁判員裁判は通常の裁判とは大きく異なる特徴があり、専門的な対応力が求められます。
裁判員裁判では、法律の専門家ではない一般市民が裁判員として参加します。そのため、法律用語を多用した専門的な主張ではなく、分かりやすい言葉で説得力のある弁論を行う必要があるのです。証拠の見せ方や、情状の訴え方にも工夫が必要でしょう。
また、裁判員裁判は集中審理が原則で、短期間に連日公判が開かれます。限られた時間の中で効果的に主張を展開するには、綿密な準備と高度な訴訟技術が不可欠です。
裁判員裁判の経験が豊富な弁護士は、裁判員の心理を理解し、共感を得られる弁護活動を展開できます。過去の裁判員裁判での実績を確認し、この種の裁判に慣れた弁護士を選びましょう。経験の差が判決に直結する可能性があるのです。
④殺人関連事件の解決実績を掲載している
最後に確認したいのが、殺人関連事件の解決実績を掲載しているかどうかです。実績の公開は、その弁護士の実力と透明性を示す重要な指標といえます。
ウェブサイトに具体的な解決事例が掲載されていれば、どのような弁護活動によってどんな結果を得たのかが分かります。「執行猶予判決を獲得」「勾留を阻止して早期釈放」「殺人罪から傷害致死罪へ減軽」といった実績があれば、その弁護士の能力を推測できるでしょう。
ただし、守秘義務の関係で詳細を公開できない場合もあります。その場合でも、「殺人事件の弁護経験〇件」といった数字が示されていれば、一定の参考になるはずです。
実績を掲載していない弁護士が必ずしも能力不足とは限りませんが、実績を明示している弁護士の方が、依頼者としては安心できます。初回相談の際に、過去の類似事例での結果を質問してみるのもよいでしょう。実績に基づいた具体的な見通しを示してくれる弁護士は、信頼できるパートナーとなるはずです。
殺人事件でかかる弁護士費用は?
殺人事件で弁護士に依頼する場合、費用が気になる方も多いでしょう。弁護士費用は決して安いものではありませんが、適切な弁護活動によって得られる結果を考えれば、必要な投資といえます。
弁護士費用は主に、相談料、着手金、報酬金、そして被害者遺族に支払う示談金の4つに分かれます。それぞれの性質と相場について理解しておくことで、予算の見通しが立てやすくなるでしょう。ここでは各費用項目について詳しく解説していきます。
相談料|初回相談無料の事務所も多い
相談料とは、弁護士に法律相談をする際に発生する費用です。一般的には30分あたり5,000円から10,000円程度が相場とされています。
ただし、弁護士事務所によっては相談時に料金が発生することもあれば、発生しないこともあります。近年では、初回相談は無料で案内している弁護士事務所も多数あるのです。特に刑事事件に力を入れている事務所では、初回相談無料を打ち出しているケースが目立ちます。
初回相談が無料であれば、気軽に複数の弁護士に相談して比較検討することが可能です。弁護士との相性や、提案される弁護方針が自分に合っているかを確認したうえで、依頼先を決められるでしょう。
相談時には、事件の概要を整理したメモや関連資料を持参すると、より具体的なアドバイスを受けられます。相談料の有無は事務所のウェブサイトに記載されていることが多いため、事前に確認しておくことをおすすめします。
着手金|弁護契約時点で発生する金額
着手金とは、弁護士と正式に契約を結ぶ時点で支払う費用です。結果の成否にかかわらず発生する金額であり、いわば弁護活動を開始するための初期費用といえるでしょう。
殺人事件での着手金の相場は、事件の段階や複雑さによって大きく異なります。起訴前の弁護活動であれば50万円から100万円程度、起訴後の裁判弁護であれば100万円から200万円程度が一般的な相場です。否認事件や裁判員裁判など、複雑で長期化が予想されるケースでは、さらに高額になることもあります。
着手金の相場は弁護士事務所によって異なるため、複数の事務所に見積もりを依頼して比較することが大切です。ただし、単純に安い事務所を選ぶのではなく、費用に見合った弁護活動を提供してくれるかどうかを総合的に判断しましょう。
着手金は原則として返金されないため、契約前に弁護方針や今後の見通しについて十分に説明を受け、納得したうえで依頼することが重要です。
報酬金|結果に応じて発生する金額
報酬金とは、弁護活動の結果に応じて支払う成功報酬のことです。着手金とは異なり、一定の成果が得られた場合にのみ発生します。
殺人事件での報酬金の相場は、得られた結果によって大きく変動するでしょう。不起訴処分を獲得できた場合は50万円から150万円程度、執行猶予判決を得られた場合は100万円から200万円程度、無罪判決であればさらに高額になることもあります。
報酬金の設定方法は事務所によって異なります。あらかじめ「執行猶予が付けば〇〇万円」といった形で決めておく場合もあれば、判決内容を見て協議する場合もあるでしょう。契約時に報酬金の基準を明確にしておくことで、後々のトラブルを避けられます。
報酬金の相場も弁護士事務所によって異なるため、契約前に料金体系をしっかり確認することが大切です。高額に感じるかもしれませんが、執行猶予を得られるか実刑になるかでは、人生への影響が全く異なります。適切な報酬金を支払うことで、弁護士のモチベーションも高まるはずです。
示談金|被害者家族に対して支払う金額
示談金とは、被害者遺族に対して謝罪と賠償の意味で支払う金額です。弁護士費用とは性質が異なり、直接遺族に渡される金銭となります。
殺人事件での示談金の相場を一概に述べることは困難です。示談金の金額は事件の内容や遺族の意向によって大きく異なるからです。数百万円で示談が成立するケースもあれば、数千万円を要求されるケースもあります。また、金額の問題以前に、遺族が示談自体を拒否する場合も少なくありません。
示談金の交渉は弁護士が代理人として行いますが、最終的な金額は加害者側と被害者側の合意によって決まります。遺族の感情を尊重しながら、支払い可能な範囲で誠意ある金額を提示することが重要でしょう。
示談が成立すれば、量刑に大きく影響します。ただし、高額な示談金を支払えば必ず執行猶予が付くというわけではありません。示談はあくまで情状のひとつであり、犯行の悪質性や計画性なども総合的に考慮されるのです。それでも、遺族への誠意ある対応は、裁判官や裁判員の心証に良い影響を与えることは間違いないでしょう。
【事務所紹介】刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律所は、刑事事件に特化した専門性の高い法律事務所になっています。
ここからは、弊所の特徴についてご紹介していきます。
弊所の特徴①:24時間無料法律相談受付
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、殺人事件を含む刑事事件・少年事件に関する初回の法律相談は、どなた様も全て無料とさせていただいております。
刑事事件・少年事件でお困りの方であれば、刑事手続きのどの段階であるかを問わず、それぞれの事件の特徴や進行に合わせてご相談に応じさせていただきます。逮捕前、逮捕後、起訴された後であっても、各段階に応じて手続きの流れや見通し、適切な対応方法などについてご説明いたします。
弁護士と相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で弊所までのご来所が難しい方には、オンライン相談や電話相談も行っています。刑事事件・少年事件についてご不明な点やお悩みがある方はフリーダイヤル「0120-631-881」まで、お気軽にお電話下さい。
弊所の特徴②:安心の即日・迅速対応
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、土日祝日、24時間体制で、無料相談や初回接見(有料)のお電話を受け付けております。
お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に無料相談・初回接見等の弁護サービスをご提供しております。
弁護士のスケジュール次第では、お電話口で事情をお聞きして直ちに無料相談・初回接見等の弁護サービスを受けていただくことも可能です。
刑事事件・少年事件でお困りの方で初回無料の法律相談や初回接見などをご希望の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
弊所の特徴③:刑事事件に強い弁護士が多数在籍
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、全国に12の支部を展開し、刑事事件・少年事件を弁護活動を専門的に取り扱い、当該分野における豊富な実績を有する弁護士が多数在籍しております。
刑事事件・少年事件の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が当事者となってお困りの方はぜひ一度ご相談ください。刑事事件・少年事件に関する豊富な知識と経験を有する弁護士が、ご相談者様のご不安点やご不安点の解消に向けて親身になってお答えします。
弊所の特徴④:安心明確な料金体系
弁護士に事件を依頼する場合、ご不安に思われる事情の1つとして「弁護士費用」が挙げられます。弊所では、一人でも多くのお客様が安心して上質な刑事弁護サービスを受けられるよう弁護士費用についてはシンプルかつ分かりやすいものにしております。
ご依頼の際には、弁護士の方から直接、ご依頼者様の事件に応じた適正な料金額を契約前にご説明させていただきますのでご安心ください。
弊所の弁護士費用について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
【解決実績】実際に依頼を受けた殺人関連事件
ここからは、実際に弊所で依頼を受けた殺人罪に関連する事件を紹介します。
事案の内容や実際に弁護士が行った活動、結果について解説していますので、気になる方は参考にしてください。
殺人事件でお困りの方は早急に弁護士へ
殺人事件は人の命を奪う最も重大な犯罪であり、有罪となれば極めて重い刑罰が科されます。しかし、適切な弁護活動によって、執行猶予判決を得たり、刑期を短縮したりできる可能性はゼロではありません。
重要なのは、逮捕直後から経験豊富な弁護士に相談・依頼することです。初動対応の質が、その後の事件の行方を大きく左右します。取り調べへの対応、身柄解放に向けた活動、被害者遺族との示談交渉—これらすべてに専門的な知識と経験が必要なのです。
弁護士を選ぶ際は、刑事事件を専門に扱い、殺人関連事件の経験が豊富で、裁判員裁判にも精通している弁護士を選びましょう。解決実績を公開している事務所であれば、なお安心です。費用面で不安がある場合も、まずは初回相談無料の事務所に問い合わせてみてください。
殺人事件という重大な局面に直面したとき、一人で抱え込む必要はありません。法律の専門家である弁護士が、最善の結果を目指して全力でサポートします。一刻も早く弁護士に相談し、適切な対応を始めることが何より大切です。
犯行を中止して減刑?【中止犯】
犯行を中止して減刑?【中止犯】
殺人未遂事件を起こしたが、途中で犯行を止めた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
神奈川県川崎市に住むAさん(75歳)は、妻のBさん(80歳)の認知症が進行してしまったため、5年ほど前からBさんの介護を続けていたが、先の見えないBさんの介護に限界を感じていた。
ある日、Aさんは、これ以上Bさんの介護を続けられないと感じ、Bさんを殺害することを決意した。
そこで、Aさんは、就寝中であったBさんに対し、殺意をもって、その左胸部を包丁で突き刺した。
しかし、Bさんが激しく苦痛を訴えるのを見たAさんは、自らの行為を後悔し、Bさんを助けようと思い、救急車を呼んでBさんを病院に搬送させた。
病院での医師らの救命措置により、Bさんは一命をとりとめることが出来た。
その後、Aさんは、殺人未遂の被疑事実で神奈川県麻布警察署の警察官により逮捕された。
(上記の事例はフィクションです)
~中止犯とは~
殺意をもってBさんの左胸部を包丁で突き刺して殺そうとしてしまったAさん。
まずは殺人未遂罪が成立することになるでしょう。
その上で、途中で後悔して救急車を呼んでいることから、「中止犯」というものが成立し、刑が軽くならないかが問題となります。
条文を見てみましょう。
(未遂減免)
刑法第四十三条 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
この条文をまとめると、犯罪が未遂に終わった場合には、刑罰を軽くすることができる(軽くしなくてもいい)が、偶然にも未遂に終わったのではなく、自ら犯罪を途中でやめて未遂になった場合には、中止として必ず軽くしなければならない旨が規定されていることになります。
したがって中止犯が成立するためには、
①犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者であること
②自己の意思により
③犯罪を中止したこと
が必要となります。
まず今回の事例では、Aさんは殺害をしようとしましたが、Bさんが一命をとりとめ、殺人まではとげていません。
したがって、Aさんは①「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者」にあたるといえます。
~自己の意思で?~
次に、②「自己の意思により」といえるためには、外部的な事情により犯行を中止せざるを得なくなったのではなく、やろうと思えばできたが、やらなかったと言える必要があります。
今回の事例では、AさんはBさんが激しく苦痛を訴えるのを見て、殺人をしようとしたことを後悔して救急車を呼ぶなどの行為をしています。
このように刺された人が激しく苦痛を訴えるのは通常のことですので、それだけで殺害を中止させるような外部的事情とはいえないとされることが多いです。
つまりAさんは、Bさんを殺そうと思えば殺すことが可能であったといえますが、救急車を呼んだことになります。
したがって、②「自己の意思により」という要件を満たすといえるでしょう。
~犯罪を中止した?~
次に、③「犯罪を中止したとき」といえるためには、(ア)自己の行為を中止すれば結果が発生しないと言える場合には行為の中止だけで足りますが、(イ)自己の行為によってすでに結果が発生しつつある場合には真摯な結果回避のための措置を講じることが必要となると考えられています。
(ア)の場合とは、ピストルで相手を殺そうとしたが弾丸が命中しなかったときに、まだ弾があるにもかかわらず殺害を中止するような場合のことをいい、この場合には単に殺害行為を止めれば足りると考えられています。
他方、(イ)の場合とは、今回の事例のように、すでに包丁で突き刺すという自らの行為によって被害者の死亡結果が発生しようとしているような場合を指します。
ここでの真摯な結果回避のための措置とは、単にそれ以上に包丁で突き刺す行為を止めるだけでは足りず、犯罪結果(死亡結果)の発生を防ぐための積極的な行為が必要となります。
今回の事例では、Aさんは、救急車を呼び医師らに救命措置を講じさせていることから、真摯な結果回避のための措置を講じたと評価でき、「犯罪を中止したとき」にあたる可能性が十分にあります。
このように、犯罪成立後の救命行為などにより①②③の要件を満たして中止犯が成立し、刑罰が減刑されたり免除されたりする場合もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件・少年事件専門の弁護士が多数在籍しております。
弊所では、24時間、無料相談のご予約、初回接見サービスを受け付けておりますので、刑事事件についてお悩みの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
現住建造物等放火罪と殺人罪
現住建造物等放火罪と殺人罪
京都府亀岡市在住のAさん(45歳)は、一緒に暮らす妻と息子を道連れに焼身自殺をしようと、深夜、自宅に火を放ち、自宅と離れを全焼させました。
その時、眠っていたAさんの妻と息子は火事になっていることに気付かず、一酸化炭素中毒によって死亡してしまいました。
しかし、Aさんは怪我を負ったものの無事であり、通報を受けた京都府亀岡警察署の警察官により、Aさんは現住建造物等放火罪と殺人罪の疑いで逮捕されました。
(これはフィクションです)
~現住建造物等放火罪~
今回Aさんが逮捕された際の容疑の1つである現住建造物等放火罪は、刑法108条に規定されています。
刑法108条
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉄鉱を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
〇放火
「放火」(放火行為)とは、目的物の焼損を惹起させる行為のことをいいます。
目的物に点火する行為や、目的物を燃やすために媒介物に点火する行為などが「放火」にあたります。
また、消火義務があるにもかかわらず、消火をしなかった場合も「放火」にあたるとされています。
〇焼損
「焼損」の意味については、争いがありますが、裁判所の判例は昔から一貫して独立燃焼説を採用しています。
独立燃焼説とは、「火が媒介物を離れて目的物が独立に燃焼を継続しうる状態になったこと」をいいます。
新聞紙やガソリンなどの媒介物が無くても建物などが燃える状態が「焼損」にあたります。
〇現に人が住居に使用(現住性)
「現に人が住居に使用し」ている状態とは、犯人以外の者が起臥寝食の場所として日常使用している状態のことをいいます。
犯人以外の者には、家族や同居人も含まれます。(共犯である場合は除きます)
また、日常使用しているのならば、住居の中に、現に人がいる必要性はありません。
たまたま、外出していた時に放火をした場合でも、現住建造物等放火罪に該当します。
今回の事件で言えば、Aさんの自宅に火を放つ行為は「放火」にあたり、その結果自宅と離れは全焼しているため、「焼損」にあたるでしょう。
また、自宅は、Aさんの家族が起臥寝食の場所として日常使用されているため、「現に人が住居に使用し」ていたといえるでしょう。
そのため、Aさんには現住建造物等放火罪が成立する可能性は極めて高いです。
~殺人罪との関係~
放火し、これによって人を殺害した場合は、現住建造物等放火罪と殺人罪の両方が成立します。
この時どのような処罰がされるのでしょうか。
刑法第54条1項
1個の行為が2個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
1つの行為が数個の罪名に触れる場合を「観念的競合」といいます。
観念的競合になった罪は、「最も重い刑により処断」されます。
例えば、A罪が1月以上15年以下の懲役であり、B罪が3年以上10年以下の懲役である場合にA罪とB罪が観念的競合になる場合は、刑罰は3年以上15年以下の範囲で処断されることになります。
現住建造物等放火罪と殺人罪は、同じ1つの行為によるものであるので、観念的競合となります。
現住建造物等放火罪の刑罰は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役であり、殺人罪も同様であるため、刑罰は現住建造物等放火罪、殺人罪の刑罰と同じものになります。
放火事件では、様々な法律判断がされることになります。
そのため、1度弁護士に状況を整理してもらうことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、京都府亀岡市の放火事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。