器物損壊罪で逮捕された後の流れは?器物損壊事件は逮捕されないこともある?

公開日:2026-06-26

他人の車に傷をつけてしまった— カッとなって店の看板を壊してしまった—

このような器物損壊の行為をしてしまい、警察に逮捕されるのではないかと不安を感じていませんか?また、すでに警察から連絡があり、今後どうなるのか心配で夜も眠れない状態かもしれません。

実は、器物損壊罪は逮捕される可能性が十分にある犯罪です。この記事では、器物損壊罪で逮捕された場合の刑罰の内容や、逮捕されるパターン、逮捕後の具体的な流れについて、法律の専門的な観点から分かりやすく解説していきます。

逮捕された後にどのような手続きが待っているのかを知ることで、適切な対応を取るための準備ができるでしょう。

目次

器物損壊罪で逮捕された場合の刑罰

器物損壊罪は刑法第261条に規定されており、他人の物を損壊または傷害した者についての犯罪です。まずは、この犯罪がどのような刑罰の対象となるのか、法律の条文に基づいて確認していきましょう。

刑法第261条では「前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する」と定められています。つまり、器物損壊罪で有罪となった場合、刑の加重事由などがなければ、最大で3年間の拘禁刑、または30万円以下の罰金・科料が科される可能性があります。

なお、令和7年(2025年)6月からは、刑法改正により懲役刑と禁錮刑が統合され、「拘禁刑」という新しい刑罰に変更されています。刑罰の重さ自体は変わりませんが、刑の呼び方が変更されている点に注意が必要です。

器物損壊罪は比較的軽微な犯罪と思われがちですが、実際には拘禁刑(懲役刑)という重い刑罰が科される可能性のある犯罪です軽い気持ちで他人の物を壊してしまった場合でも、法的には厳しく処罰される対象となります。

器物損壊罪は逮捕される?

器物損壊罪を犯してしまった場合、必ず逮捕されるのでしょうか?それとも逮捕されずに済むケースもあるのでしょうか。

結論から言えば、器物損壊罪でも逮捕される可能性は十分にありますただし、すべてのケースで逮捕されるわけではありません。逮捕されるかどうかは、事件の悪質性、被害の程度、証拠の状況、被疑者の逃亡や証拠隠滅のおそれなど、さまざまな要素を総合的に判断して決定されます。

特に、現場で犯行が発覚した場合や、防犯カメラなどで犯人が特定された場合には、逮捕される可能性が高くなります。また、被害額が大きい場合や、繰り返し器物損壊を行っている場合なども、逮捕のリスクが高まるでしょう。

一方で、軽微な事件で被疑者の身元が明らかであり、逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合には、在宅事件として扱われ、逮捕されずに捜査が進められることもあります。しかし、器物損壊罪であっても逮捕される可能性があると考えておくべきです。

器物損壊罪は親告罪であるため、被害者からの告訴がなければ起訴されませんが、告訴があった場合には厳しく処罰される可能性があります。軽く考えず、適切な対応を取ることが重要です。

器物損壊罪で逮捕されるパターン

器物損壊罪で逮捕される場合、大きく分けて2つのパターンがあります。それは現行犯逮捕と通常逮捕です。どちらのパターンで逮捕されるかによって、その後の対応も変わってきます。ここでは、それぞれの逮捕パターンについて詳しく見ていきましょう。

現行犯逮捕

現行犯逮捕とは、犯罪が行われている最中、または犯罪が行われた直後に、その場で逮捕されることを指します。刑事訴訟法第212条および第213条に規定されており、誰でも逮捕状なしに逮捕できるという特徴があります。

器物損壊罪の場合、以下のような状況で現行犯逮捕される可能性があります。

現行犯逮捕の場合、犯行が明白であるため、その場で身体を拘束されることになります。逮捕状がなくても逮捕できるため、警察官だけでなく一般人でも逮捕することが可能です。

現行犯逮捕は証拠が明確であるため、その後の捜査もスムーズに進む傾向にあります。逮捕を免れることは難しく、即座に身体を拘束されることになる点に注意が必要です。

通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕とは、犯罪が発生した後、捜査によって犯人が特定され、裁判官が発付した逮捕状に基づいて逮捕されることを指します。

器物損壊罪における通常逮捕は、以下のような流れで行われます。

まず、被害者が警察に被害届や告訴状を提出します。警察は防犯カメラの映像、目撃者の証言、現場に残された証拠などから捜査を進め、犯人を特定。犯人が特定されると、司法警察員(警部以上の者)又は検察官が、被疑者の逮捕の必要性理由と必要性を裏付ける証拠を添えて裁判官に対して逮捕状の発布を請求します。

裁判官が「逮捕の理由」(罪を犯したと疑うに足りる相当な理由)と「逮捕の必要性」(逃亡や証拠隠滅のおそれ)があると判断した場合に、逮捕状が発付されます。逮捕状が発付されると、警察は被疑者の自宅や職場を訪れて逮捕します。これが通常逮捕の流れです。

通常逮捕の場合、犯行から逮捕まで数日から数週間、場合によっては数ヶ月かかることもあります。この間、被疑者は自分が特定されていることに気づかず、突然自宅に警察が訪れて逮捕されるケースも少なくありません。

器物損壊罪は親告罪であるため、被害者の告訴がなければ起訴されませんが、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、通常逮捕される可能性が高まります。自宅に警察が来る前に、弁護士に相談して適切な対応を取ることが望ましいでしょう。

【事例紹介】実際に器物損壊罪で逮捕されたケース

ここでは実際に事務所が依頼を受けた器物損壊事件で、現行犯逮捕されたケースと通常逮捕されたケースを紹介します。

事例①:酒に酔って店のドアを損壊したとして現行犯逮捕

泥酔状態で飲食店に入ろうとした際にドアが開かず、カッとなりドアを蹴ってしまったというケースです。

これによりドアが壊れてしまい、店内にいた従業員に呼び止められました。従業員の通報により駆け付けた警察官に現行犯逮捕されています。

事例②:自転車のタイヤを複数台パンクさせたとして通常逮捕

過去に駐輪場で自身の自転車のタイヤが何者かによってパンクさせられたため、腹いせのつもりで同じ駐輪場に止まっている複数台の自転車のタイヤに千枚通しを刺してパンクさせたというケースです。

数日間にわたって同様の行為を繰り返しており、被害者が被害届を提出したことで、警察の捜査が始まりました。最初にタイヤをパンクさせた日から1か月半ほど経ってから警察が自宅に訪ねてきて、後日逮捕されています。

器物損壊罪で逮捕された後の流れ

器物損壊罪で逮捕されると、その後どのような手続きが進められるのでしょうか。逮捕から起訴・不起訴の判断、そして裁判までの流れを、時系列に沿って詳しく解説していきます。刑事手続は複雑で、各段階で重要な判断が行われます。

逮捕による身体拘束|48時間

逮捕されると、まず48時間以内に警察署で取り調べを受けることになります。この48時間は、警察が被疑者から事情を聴き、証拠を収集する期間です。

逮捕直後は、警察署の留置場に身体を拘束されます。この間、警察官から事件の詳細について質問を受け、供述調書が作成されます。供述調書には、犯行の動機、方法、被害の程度などが記録され、後の裁判で重要な証拠となるでしょう。

この段階で注意すべきは、黙秘権があることです。被疑者には供述を拒否する権利が保障されており、不利になる可能性のある発言を強制されることはありません。ただし、黙秘を続けることで捜査機関に不信感を持たれる可能性もあるため、弁護士と相談しながら慎重に対応する必要があります。

また、逮捕後すぐに弁護士を呼ぶことができます。また、逮捕されている旨を警察経由で家族に連絡してもらえる場合が多いですが、詳細な伝言までは伝えてもらえないことのほうが多いでしょう。

48時間以内に、警察は検察官に事件を送致するか、釈放するかを判断します。証拠が不十分であったり、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されれば、釈放される可能性もあります。しかし、器物損壊罪で逮捕された場合、多くのケースで検察官に送致される流れとなるでしょう。

検察官による勾留請求|24時間

警察から事件を送致された検察官は、24時間以内に被疑者を勾留するかどうかを判断します。この24時間の間に、検察官は被疑者と面会し、取り調べを行います。

勾留とは、逮捕後もさらに身体を拘束し続ける手続きのこと。検察官が「さらなる捜査が必要である」「逃亡や証拠隠滅のおそれがある」と判断した場合、裁判官に対して勾留請求を行います。

検察官の取り調べでは、警察での供述内容の確認や、追加の質問が行われます。ここでも黙秘権は保障されていますが、検察官は起訴・不起訴を判断する権限を持つ重要な存在です供述内容によって処分が大きく変わる可能性があるため、慎重な対応が求められます。

勾留請求を行わない場合、被疑者は釈放されますが、釈放された後も捜査は続けられます。一方、勾留請求が行われた場合、裁判官が勾留の可否を判断することになります。

この段階でも弁護士の助言を受けることが非常に重要です。弁護士は検察官との交渉や、勾留請求に対する意見書の提出などを通じて、釈放や不起訴に向けた活動を行うことができます。

勾留決定による身体拘束|最長20日間

裁判官が勾留を認めると、被疑者は最長20日間にわたって身体を拘束されることになります。この期間は、まず10日間の勾留が決定され、必要と判断された場合、さらに10日間の延長が認められます。

勾留中は引き続き留置場に拘束され、警察や検察による取り調べが続けられます。この間、家族や職場との連絡も制限され、日常生活に戻ることはできません。精神的にも肉体的にも大きな負担がかかる期間といえるでしょう。

勾留決定に対しては、準抗告という不服申し立てを行うことができます。弁護士を通じて「勾留の理由がない」「勾留の必要性がない」ことを主張し、釈放を求めることが可能です。ただし、準抗告が認められるケースは限られており、必ず釈放されるわけではありません。

勾留中は、弁護士との面会は自由に行えます。また、被疑者の家族・友人は、時間が制限され警察官の立会いがいる環境ではありますが留置場で面会が可能です。しかし、勾留の際に接見禁止処分といって弁護士以外との面会が一切禁止される場合があり、この処分がされてしまうと家族や友人は一切面会ができなくなってしまいます。

弁護士に接見禁止の一部解除申立てなどを行ってもらうことで、家族の方限定で面会が認められる場合がありますので、弁護士に相談して見るのが良いでしょう。

この20日間の間に、検察官は被疑者を起訴するか不起訴にするかを決定します。器物損壊罪は親告罪であるため、被害者との示談が成立していれば、不起訴となる可能性が高まります。そのため、この期間中に弁護士を通じて被害者との示談交渉を進めることが非常に重要です。

検察官による終局処分(起訴・不起訴)

勾留期間の終了までに、検察官は被疑者に対する終局処分を決定します。終局処分とは、事件を裁判にかけるか(起訴)、それとも裁判にかけずに手続きを終了させるか(不起訴)を判断することです。

不起訴となった場合、被疑者はその時点で釈放され、刑事手続は終了します。前科も付きません。器物損壊罪は親告罪であるため、被害者との示談が成立し、告訴が取り消された場合には不起訴となります。また、証拠不十分や犯罪の嫌疑が認められない場合も不起訴処分となるでしょう。

一方、起訴された場合には、略式起訴ではない限り公開の法廷での刑事裁判が開かれることになります。起訴には正式起訴略式起訴の2種類があり、事件の内容や情状によって使い分けられます。

正式起訴の場合、公開の法廷で刑事裁判が行われ、有罪か無罪かが判断されます。有罪となれば、拘禁刑(懲役刑)または罰金刑が科されることになるでしょう。

略式起訴の場合は、簡易な手続きで罰金刑(または科料)のみが科されます。これについては次の項目で詳しく解説します。

検察官の判断は非常に重要であり、この段階での対応が事件の結末を大きく左右します。弁護士を通じて被害者との示談交渉を進め、不起訴処分を目指すことが最も望ましい対応と言えるでしょう。

略式起訴(罰金)・刑事裁判

検察官が起訴を決定した場合、略式起訴または正式起訴のいずれかの方法が取られます。それぞれの手続きと、その後の流れについて見ていきましょう。

略式起訴とは、簡易裁判所で書面審理のみによって罰金刑を科す手続きです。公開の法廷で裁判を開くことなく、検察官が提出した書類に基づいて裁判官が判断を下します。被疑者が事実を認めており、100万円以下の罰金または科料で済む事件の場合に利用されます。

略式起訴の場合、正式な裁判は行われず、罰金の納付命令が出されます。罰金を納付すれば、身体は釈放され、事件は終了します。ただし、罰金刑であっても前科が付くことになります。

一方、正式起訴された場合、公開の法廷で刑事裁判が行われます。起訴状が裁判所に提出され、第1回公判期日が指定されます。通常、起訴から1〜2ヶ月後に初公判が開かれることが多いです

刑事裁判では、検察官が証拠を提出し、被告人や証人への尋問が行われます。弁護人は被告人の弁護活動を行い、情状酌量を求める主張を展開します。器物損壊罪の場合、被害者との示談が成立しているか、反省の態度が見られるかなどが重要な判断材料となります。

裁判は複数回開かれることもあり、数ヶ月にわたって続くこともあります。最終的に判決が言い渡され、有罪となれば拘禁刑(懲役刑)または罰金刑が科されます。執行猶予が付く場合もあれば、実刑となる場合もあるでしょう。

無罪判決が出れば、被告人は釈放され、前科も付きません。しかし、器物損壊罪で起訴された場合、証拠が揃っているケースが多いため、無罪判決が出ることは稀です。

刑事裁判は被告人にとって非常に重要な手続きであり、弁護士の専門的なサポートが不可欠です。早い段階で弁護士に相談し、適切な弁護活動を受けることが重要です。

器物損壊罪で逮捕された場合の影響

器物損壊罪で逮捕されると、刑罰だけでなく、日常生活や将来にさまざまな影響が及びます。逮捕されることで失うものは決して小さくありません。ここでは、逮捕によって生じる具体的な影響について解説していきます。

長期的な身体拘束

逮捕されると、前述のとおり、被疑者段階で最大で48時間+24時間+20日間=23日間もの長期間にわたって身体を拘束される可能性があります。この期間、留置場での生活を余儀なくされ、自由に外出することはできません。

長期的な身体拘束は、精神的にも肉体的にも大きな負担となります。狭い留置場での集団生活、取り調べによるストレス、将来への不安など、さまざまな要因が心身に影響を及ぼすでしょう。睡眠不足や食欲不振に悩まされる人も少なくありません。

また、逮捕・勾留中は家族との面会も制限されます。接見禁止が決定された場合、弁護士以外との面会が一切禁止されることもあり、孤独感や不安感がさらに増すことになるでしょう。

この期間中、仕事や学校に行くことができず、日常生活が完全にストップしてしまいます。収入が途絶え、経済的な困窮に陥る可能性もあります。家族にも大きな迷惑をかけることになり、家庭内の関係が悪化するケースも少なくありません。

長期的な身体拘束を避けるためには、早期に弁護士を依頼し、釈放に向けた活動を進めることが重要です。被害者との示談交渉を早期に開始し、勾留の必要性がないことを主張することで、釈放される可能性が高まります。

会社・学校から処分を受ける可能性がある

逮捕・勾留によって長期間職場や学校を欠席することになれば、そのことが会社や学校に発覚する可能性が高まります。無断欠勤が続けば、当然ながら理由を問われることになるでしょう。

会社に逮捕の事実が知られた場合、懲戒処分を受けるおそれがあります。多くの会社の就業規則には、「犯罪行為を犯したとき」や「会社の信用を傷つける行為をした場合」に懲戒処分を行う旨が定められています。処分の内容は、けん責、減給、降格、そして最も重い場合には懲戒解雇となることもあるでしょう。

懲戒解雇となれば、退職金が支払われないこともあり、再就職にも大きな影響を及ぼします。転職活動の際に前職の退職理由を聞かれ、懲戒解雇であることが明らかになれば、採用を見送られる可能性が高いです。

学校においても同様で、逮捕の事実が学校に知られれば、停学や退学処分を受けるおそれがあります。特に、学生の場合、退学処分となれば学歴に傷が付き、将来のキャリアに大きな影響を与えることになるでしょう。

このような処分を避けるためには、できるだけ早期に釈放されることが重要です。在宅事件として扱われれば、職場や学校に逮捕の事実が知られずに済む可能性が高まります。弁護士と協力して、早期釈放を目指すことが望ましいでしょう。

前科が付く可能性がある

器物損壊罪で起訴され、有罪判決を受けると、前科が付くことになります。前科とは、過去に刑事裁判で有罪判決を受けた記録のことであり、一度付いてしまうと消えることはありません。

前科が付くことによるデメリットは多岐にわたります。まず、就職活動において不利になる可能性があります。一部の職業では、前科がある場合に就くことができない、または制限される場合があるでしょう。例えば、公務員、教員、医師、弁護士などの資格職では、前科があると資格の取得や更新に影響が出ることがあります。

また、海外渡航の際にもビザの取得が難しくなる場合があります。特にアメリカやカナダなど、入国審査が厳しい国では、前科がある場合に入国を拒否されることもあるでしょう。

さらに、将来的に再び犯罪を犯してしまった場合、前科があることで刑が重くなる可能性があります。執行猶予が付かず、実刑判決を受けるリスクが高まります。

前科を避けるためには、不起訴処分を獲得することが最も重要です。器物損壊罪は親告罪であるため、被害者との示談が成立し、告訴が取り消されれば不起訴となります。弁護士を通じて早期に示談交渉を進めることで、前科を避けられる可能性が高まるでしょう。

また、起訴されてしまった場合でも、略式起訴で罰金刑となれば、前科は付きますが、拘禁刑よりは社会的な影響が少ないと言えます。弁護士と協力して、できるだけ軽い処分を目指すことが重要です。

器物損壊罪は逮捕されないこともある?

ここまで器物損壊罪で逮捕された場合の流れを見てきましたが、実は逮捕されずに捜査が進められるケースも存在しますすべての器物損壊事件が逮捕につながるわけではなく、事件の内容や状況によって対応が変わってくるのです。

逮捕されない場合として考えられるのは、以下のような状況です。まず、被害が軽微である場合例えば、被害額が数千円程度の小さな損壊で、被害者も寛容な態度を示している場合には、逮捕の必要性が低いと判断されることがあります。

次に、被疑者の身元が明らかで、逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合被疑者が定職に就いており、定まった住居があり、家族とともに生活しているような場合、わざわざ逮捕して身体を拘束する必要性が低いと考えられます。警察への出頭要請に素直に応じる姿勢を見せていることも重要な要素となるでしょう。

また、被害者との示談が早期に成立した場合も、逮捕を免れる可能性が高まります。器物損壊罪は親告罪であるため、被害者が告訴を取り消せば起訴されません。被害者が加害者を許し、刑事処罰を望まない意思を明確にしている場合、警察も逮捕の必要性が低いと判断することがあります。

さらに、被疑者が未成年者である場合や、初犯である場合なども、逮捕されずに在宅事件として扱われることがあります。特に、反省の態度が見られ、再犯の可能性が低いと判断されれば、身体拘束を伴わない形で捜査が進められるでしょう。

ただし、これらの条件を満たしていても、必ず逮捕を免れるとは限りません。最終的な判断は警察や検察が行うため、事件ごとに対応が異なります。逮捕されない可能性を高めるためには、早期に弁護士に相談し、適切な対応を取ることが重要です。

器物損壊罪で逮捕されなかった場合の流れ

器物損壊罪で逮捕されなかった場合、在宅事件として捜査が進められることになります。在宅事件とは、被疑者の身体を拘束せず、自宅で生活しながら捜査を受ける形態のこと。逮捕された場合と比べて、日常生活への影響は小さくなりますが、刑事手続き自体は進行します。

在宅捜査|時間制限なし

在宅捜査では、被疑者は自宅で通常の生活を送りながら、警察からの呼び出しに応じて取り調べを受けることになります。逮捕された場合と異なり、時間制限がないことが大きな特徴です。

逮捕された場合は48時間以内に検察官に送致しなければなりませんが、在宅捜査ではそのような制限がありません。捜査機関は必要に応じて何度でも被疑者を呼び出し、取り調べを行うことができます。事件によっては、捜査が数ヶ月から1年以上にわたって続くこともあるでしょう。

取り調べの際は、警察署に出頭して事情聴取を受けます。取り調べの日時は事前に連絡があり、被疑者の都合も考慮されることが多いですが、正当な理由なく出頭を拒否すると、逮捕される可能性が高まります。そのため、呼び出しには誠実に応じることが重要です。

在宅捜査中も、黙秘権は保障されています。不利になる可能性のある供述を強制されることはありません。ただし、事実関係を争わない場合は、素直に認めて反省の態度を示すことで、処分が軽くなる可能性があります。

在宅捜査のメリットは、職場や学校に通い続けられることです。逮捕された場合のように長期間欠席することがないため、事件のことが周囲に知られにくく、社会生活への影響を最小限に抑えられます。しかし、捜査が長期化すると精神的な負担が大きくなることもあるため、早期解決を目指すことが望ましいでしょう。

検察官による終局処分(起訴・不起訴)

在宅捜査が終了すると、警察は事件を検察庁に送致し、検察官が終局処分を決定します。この点は、逮捕された場合と同じ流れです。

検察官は、警察から送られてきた証拠や供述調書を検討し、被疑者を起訴するか不起訴にするかを判断します。器物損壊罪は親告罪であるため、被害者との示談が成立し、告訴が取り下げられていれば、不起訴処分となります。

不起訴となれば、刑事手続は終了し、前科も付きません。被疑者は何の制約もなく日常生活に戻ることができます。そのため、在宅捜査中に弁護士を通じて被害者との示談交渉を進めることが非常に重要です。

一方、示談が成立しなかった場合や、悪質性が高いと判断された場合には、起訴される可能性があります。起訴された場合、略式起訴または正式起訴のいずれかの手続きが取られることになります。

略式起訴(罰金)・刑事裁判

起訴された場合の流れは、逮捕された場合と基本的に同じです。

略式起訴の場合、簡易裁判所で書面審理のみが行われ、罰金刑が科されます。公開の法廷は開かれず、被疑者が事実を認めていれば、比較的短期間で手続きが終了します。罰金を納付すれば事件は終了しますが、前科は付くことになります。

正式起訴された場合は、公開の法廷で刑事裁判が行われます。在宅起訴の場合、被告人は身体を拘束されることなく裁判に出廷できます。裁判では、検察官が証拠を提出し、被告人や証人への尋問が行われ、最終的に判決が言い渡されます。

在宅事件として扱われた場合でも、起訴されれば前科が付く点に変わりはありません。不起訴処分を獲得することが最も望ましい結果と言えるでしょう。

器物損壊罪で逮捕された場合に弁護士に依頼するメリット

器物損壊罪で逮捕された、あるいは逮捕される可能性がある場合、弁護士に依頼することで得られるメリットは非常に大きいです。刑事事件の経験が豊富な弁護士のサポートを受けることで、事件を有利に進めることができます。ここでは、弁護士に依頼する具体的なメリットについて解説していきましょう。

現在の状況や今後の事件の見通しがわかる

刑事事件に巻き込まれると、多くの人が「今後どうなるのか」「どれくらいの刑罰を受けるのか」という不安を抱えます。法律の知識がない状態では、自分の置かれている状況を正確に把握することは困難です。

弁護士に相談すれば、現在の状況を法的な観点から正確に分析してもらえます逮捕される可能性があるのか、逮捕された場合どれくらいの期間拘束されるのか、起訴される可能性はどの程度なのか—こうした疑問に対して、具体的な見通しを示してもらえるでしょう。

また、事件の内容や証拠の状況、被害者の対応などを総合的に判断し、今後の手続きの流れや予想される結果についても説明を受けられます。例えば、「被害者との示談が成立すれば不起訴の可能性が高い」「略式起訴で罰金刑になる可能性がある」といった具体的なアドバイスをもらえます。

さらに、弁護士は過去の類似事例や判例に基づいて、どのような対応を取るべきかを助言してくれます。闇雲に不安を抱えるのではなく、明確な見通しを持つことで、精神的な負担を軽減できるでしょう。

刑事事件は時間との戦いでもあります。早期に弁護士に相談することで、最適な対応を取るための時間を確保できます。

取調べ対応に対するアドバイスを受けられる

警察や検察による取り調べは、被疑者にとって非常にプレッシャーのかかる場面です。取り調べで不適切な供述をしてしまうと、それが調書に記録され、後の裁判で不利な証拠として使われる可能性があります。

弁護士に依頼すれば、取り調べでどのように対応すべきか、具体的なアドバイスを受けられます。例えば、「黙秘権を行使すべきか」「事実を認めるべきか」「どこまで詳しく説明すべきか」といった判断を、法律の専門家の視点からサポートしてもらえるでしょう。

特に重要なのは、自分に不利な調書を取られないようにすることです。取り調べでは、捜査官が誘導的な質問をしたり、被疑者が意図しない形で供述を解釈したりすることがあります。弁護士のアドバイスを受けることで、こうしたリスクを回避できます。

また、取り調べで作成された供述調書には、最後に署名・押印を求められますが、内容に誤りや不正確な部分があれば、署名を拒否することも可能です。弁護士は、調書が作成された場合に署名押印を拒否すべきかなどについて助言してくれます。

逮捕された場合、弁護士は留置場で被疑者と面会し、取り調べの内容や対応方法について打ち合わせを行うことができます。こうしたサポートがあることで、精神的にも安心して取り調べに臨めるでしょう。

代理人弁護士として被害者と示談交渉してもらえる

器物損壊罪は親告罪であるため、被害者との示談が成立し、告訴が取り消されれば不起訴処分となります。つまり、示談交渉の成否が事件の結果を大きく左右するのです。

しかし、被疑者本人やその家族が直接被害者と交渉するのは、非常に困難です。被害者は加害者に対して強い怒りや不信感を抱いていることが多く、直接連絡を取ろうとしても拒絶される可能性が高いでしょう。また、法律知識がない状態で交渉を進めると、不適切な対応をしてしまい、かえって事態を悪化させることもあります。

弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として被害者と示談交渉を行います弁護士は第三者の立場から冷静に交渉を進めることができ、被害者も感情的にならずに話し合いに応じやすくなります。

示談交渉では、適切な賠償額の算定、謝罪の方法、示談書の作成など、専門的な知識が必要です。弁護士はこれらすべてを適切に処理し、被害者が納得できる形で示談をまとめます。示談が成立すれば、被害者に告訴の取消しを依頼し、不起訴処分を目指すことができるでしょう。

早期に示談が成立すれば、逮捕を免れたり、早期釈放につながったりする可能性もあります。弁護士に依頼することで、示談交渉を有利に進められるのです。

逮捕せずに在宅捜査で進めるように交渉してもらえる

逮捕されると、被疑者段階で最大23日間もの長期間にわたって身体を拘束され、日常生活に大きな影響が出ます。会社や学校に事件のことが知られ、職を失ったり退学処分を受けたりするリスクも高まるでしょう。

弁護士に早期に依頼すれば、警察に対して逮捕せずに在宅捜査で進めるよう交渉してもらうことができます。具体的には、弁護士が警察に意見書を提出し、「被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがない」「身元が明らかで出頭要請に応じる意思がある」といった点を主張します。

また、被害者との示談交渉を進めていることや、被疑者が深く反省していることなども併せて説明し、逮捕の必要性がないことをアピールします。こうした活動によって、警察が在宅事件として扱ってくれる可能性が高まります。

在宅事件として扱われれば、身体を拘束されることなく、通常の生活を送りながら捜査を受けられます。職場や学校に通い続けられるため、事件のことが周囲に知られるリスクも低くなるでしょう。

逮捕を避けるためには、事件が発覚した早い段階で弁護士に相談することが重要です。逮捕された後では対応が難しくなるため、できるだけ早く行動しましょう。

逮捕直後から早期釈放に向けた活動ができる

もし逮捕されてしまった場合でも、弁護士に依頼すれば逮捕直後から早期釈放に向けた活動を開始できます。刑事事件において、逮捕後72時間以内の対応が極めて重要です。この期間内に適切な対応を取ることで、勾留を阻止し、早期釈放を実現できる可能性が高まります。

弁護士は逮捕直後から留置場で被疑者と面会し、状況を把握します。そして、検察官に対して勾留請求をしないよう意見書を提出したり、裁判官に対して勾留決定をしないよう意見書を提出したりします。

意見書では、「被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがない」「定まった住居があり、家族の監督が期待できる」「被害者との示談交渉を進めている」といった点を主張します。これらの活動によって、勾留を阻止できれば、逮捕から48時間または72時間以内に釈放されることになります。

仮に勾留が決定されてしまった場合でも、準抗告という不服申し立てを行うことで、勾留決定の取り消しを求めることができます。また、勾留期間中も被害者との示談交渉を進め、示談が成立すれば勾留の取り消しや保釈を求めることも可能です。

早期釈放が実現すれば、長期的な身体拘束による精神的・肉体的負担を避けられ、職場や学校への影響も最小限に抑えられます。逮捕された場合は、一刻も早く弁護士に連絡することが重要です。

不起訴処分による前科回避を目指せる

刑事事件における最も望ましい結果は、不起訴処分を獲得することです。不起訴処分とは、検察官が被疑者を起訴しないと決定することであり、不起訴となれば刑事手続きは終了し、前科が付くことはありません

器物損壊罪は親告罪であるため、被害者との示談が成立し、告訴が取り消されれば、不起訴処分となります。弁護士は、不起訴処分を目指して以下のような活動を行います。

まず、被害者との示談交渉を最優先で進めます。適切な賠償額を提示し、誠意を持って謝罪することで、被害者の許しを得られるよう努力します。示談が成立すれば、被害者に告訴の取消しを依頼し、検察官に対して示談書を提出します。

次に、検察官に対して意見書を提出し、不起訴処分とするよう求めます。意見書では、被疑者が深く反省していること、示談が成立していること、再犯の可能性が低いこと、社会復帰の見込みがあることなどを主張します。これらの活動によって、検察官が起訴猶予や告訴なしとして不起訴処分とする可能性が高まります。

不起訴処分を獲得できれば、前科が付かないため、就職活動や資格取得、海外渡航などに影響が出ることはありません。人生において大きなマイナスを避けられるのです。

弁護士に依頼することで、不起訴処分を獲得できる可能性が大幅に高まります。早期に弁護士に相談し、適切な弁護活動を受けることが、前科回避への最善の道と言えるでしょう。

【事務所紹介】器物損壊事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の弁護活動を中心に取り扱う法律事務所です。

刑事事件・少年事件は一般の民事事件や行政事件とは内容や担当機関が大きく異なっているため、刑事事件・少年事件の専門知識と弁護活動が必要になります。

当事務所は刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を扱う実績豊富な弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、丁寧に対応致します。

弊所の特徴①:24時間無料の法律相談受付

刑事事件に関する初回無料の法律相談を行っています。

刑事事件での相談であれば全て無料。法律相談の受付は、電話で24時間(年中無休)対応しております。刑事事件についてお困りの方はフリーダイヤルまでお電話下さい。

弊所の特徴②:安心の即日・迅速対応

お急ぎの方につきましては、お電話を頂いてから24時間以内に初回無料の法律相談を行うことが可能です。弁護士のスケジュールが空いていれば、当日の法律相談も可能となっております。

また、本人が逮捕されている事件では即時の接見が重要なポイント。逮捕等による緊急の場合は、まずは弁護士が逮捕されている本人のもとに接見に向かう有料の初回接見のサービスをご用意しています。

弊所の特徴③:刑事事件に強い弁護士が多数在籍

弊所は、刑事事件・少年事件に精通した法律事務所です。

刑事弁護は初動活動で決まるといっても過言ではありません。刑事事件に強い弁護士が一から対応することができ、刑事事件に精通した法律事務所だからできる充実した刑事弁護活動を任せてみてはいかがでしょうか。

器物損壊事件やその他の刑事事件について数多くの取り扱い実績があります。丁寧な説明はもちろんのこと、接見の報告、裁判の打合せなど活動報告及びコミュニケーションもしっかり行います。

弊所の特徴④:安心明確な料金体系

弊所の料金体系はシンプル明朗会計。弁護士費用の記載は全て税込表示となっています。

(※目的地や使用言語等により交通費や追加費用がかかる場合があります。)

その他の料金詳細については弊所HPをご覧ください▼

料金表 

【解決実績】実際に依頼を受けた器物損壊事件

ここでは実際に事務所が依頼を受けた器物損壊事件で、どのような弁護活動を行ったか紹介します。

宥恕付き示談を成立させ不起訴処分を獲得

酔っぱらった状態で帰宅した際に自身のマンションの駐輪場に止まっていた他人の自転車を倒して踏みつけるなどして壊したという器物損壊事件です。犯行の様子がマンションの防犯カメラに映っていたようで、後日警察から呼び出しの連絡があり取調べを受けるに至りました。

弁護士は取調べへの対応について綿密なアドバイスをするとともに、示談のため被害者に素早く連絡を取りました。弁護士の丁寧な対応により被害者も示談を受け入れてくださり、宥恕条項(加害者を許すという意思)が盛り込まれた示談書を成立させることに成功しています。

事件が検察庁に送致されてから、すぐに担当検察官と連絡を取り、示談が成立していることに加えて本人が深く反省していることを伝えて不起訴を求める交渉をしました。これらの活動の成果もあり、不起訴処分を勝ち取ることができました。

早期の釈放を実現

自動車が自分の運転する自転車に接触する事故に遭った際、停車した自動車の運転手の態度に腹を立て、自分の自転車を相手の自動車にぶつけて傷をつけたという器物損壊事件です。そのため、事故の連絡を受けて駆け付けた警察官に逮捕されてしまいました。

依頼を受けた弁護士は、すぐに釈放に向けた活動に取り掛かり、長期間の勾留により仕事への影響が大きいこと、妻が監視監督を約束していることなどをまとめた意見書を提出するとともに、添付資料として妻の上申書や身元引受書、Aが逃亡や罪証隠滅をしないことを約束する誓約書を提出しました。これらの活動が実を結び、勾留されることなく釈放される運びとなりました。

釈放後もすぐに被害者との示談交渉を始め、すばやく宥恕条項付きの示談を成立させることに成功。検察官とも交渉を重ね、示談が成立していることなども説得的に説明し、最終的に不起訴処分を獲得しています。

器物損壊罪で逮捕されたら弁護士へ相談を

器物損壊罪で逮捕された、あるいは逮捕される可能性がある場合、一人で悩まず、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。

この記事で解説してきたように、器物損壊罪で逮捕されると、被疑者段階で最大23日間もの長期間にわたって身体を拘束され、会社や学校に事件のことが知られるリスクが高まります。また、起訴されて有罪判決を受ければ、前科が付いてしまい、将来のキャリアや生活に大きな影響を及ぼすでしょう。

しかし、早期に弁護士に依頼すれば、逮捕を回避したり、逮捕されても早期釈放を実現したり、不起訴処分を獲得したりできる可能性が高まります。弁護士は、被害者との示談交渉、捜査機関への意見書提出、取り調べ対応のアドバイスなど、さまざまな形であなたをサポートします。

特に、器物損壊罪は親告罪であるため、被害者との示談が成立すれば不起訴となる可能性が高い犯罪です。弁護士を通じて適切な示談交渉を進めることが、事件を有利に解決するための鍵となります。

刑事事件は時間との戦いです。逮捕前であれば逮捕の回避を、逮捕後であれば早期釈放を目指すために、一刻も早く行動する必要があります。弁護士に相談することで、あなたの置かれている状況を正確に把握し、最善の対応を取ることができるでしょう。

器物損壊罪で不安を抱えている方は、まずは弁護士に相談してみてください。適切なサポートを受けることで、事件を早期に解決し、日常生活に戻ることができます。