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【事例解説】口論から傷害事件に発展した事例
口論から殴り合いの喧嘩になり、相手をケガさせて傷害事件となった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
・事例
Aさんは、会社への通勤中に、反対方向から歩いてきた男性Bの肩がぶつかり口論になりました。
相手が一向に謝罪しないため、AさんはBさんを殴って道路上で転倒させた結果、顔面を強く打ったBさんを出血させてしまいました。
周囲の人たちの通報により、駆け付けた警察は2人を署まで連れて行き、取調べを行ったあと、後日また呼び出すということで2人を解放しました。
不安に思ったAさんは、弁護士に相談してみることにしました。
・傷害罪
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪は、人の身体を「傷害」する犯罪です。
判例によれば、傷害とは人の生理的機能に障害を加えることです(大判明治45年6月20日)。
例えば、人をバットで殴って出血させた場合がこれにあたります。
本件では、AさんはBさんを殴って、道路上で転倒させた結果、Bさんは出血したようです。
したがって、本件では、傷害罪が成立する可能性があります。
・弁護士に相談を
傷害罪は被害者のいる犯罪ですから、被害者との間で示談を成立させることが重要となります。
仮に、早期に示談を成立させることができれば、不起訴処分となる可能性があります。
不起訴処分となれば、前科がつくこともありません。
仮に、起訴されたとしても、示談が成立していれば、刑の減軽や執行猶予付き判決が得られる可能性があります。
刑事事件の被害者は通常、加害者に対して強い処罰感情を有しています。
そのため、加害者が被害者と直接連絡をとろうとしても拒絶される可能性があります。
そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者と直接連絡をとることに強い抵抗感をもつ被害者であっても弁護士相手であれば、示談交渉に応じてくれる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は傷害事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
傷害事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】老人ホーム職員の入所者に対する傷害事件で逮捕
【報道解説】老人ホーム職員の入所者に対する傷害事件で逮捕
老人ホーム施設職員が入所者に暴行して怪我をさせた傷害罪の刑事事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事件概要】
福岡県久留米市の特別養護老人ホームの介護職員男性A(32歳)が、入所者女性V(86歳)の腕を殴り骨折の怪我を負わせたとして、傷害罪の容疑で逮捕されました。
福岡県警久留米警察署の調べでは、Aは、食事介護中にVが何度も皿を落としたことに腹が立ち、腕を殴ったことは認めていますが、怪我をさせるつもりはなかったと供述しています。
(令和5年3月8日の「共同通信」の記事をもとに、一部事実を変更したフィクションです。)
【傷害罪とは】
傷害罪については、刑法第204条で以下のように定められています。
「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
傷害とは、「人の生理的機能に障害を生じさせること」を意味しており、骨折や創傷等の外傷は勿論のこと、眩暈や腹痛などの疾患を引き起こすことも含まれます。
通常、暴行によって傷害を生じさせる場合が多いですが、傷害を生じさせる意図(故意)により、暴行以外の手段で傷害を生じさせる場合も傷害罪が成立します。例えば、執拗な嫌がらせ電話により相手をノイローゼにさせた例が挙げられます。
【傷害の故意がない暴行による場合の傷害罪の成立】
暴行以外の手段であれば傷害の故意が必要であると述べましたが、故意の暴行により傷害が発生した場合では、例え傷害の故意がなかったとしても、傷害罪が成立します(結果的加重犯)。
つまり、故意に殴ったことは認める場合は、怪我をさせるつもりはなかったと主張しても、傷害罪は成立します。
【傷害罪の刑事弁護】
被害者感情が重要視される昨今、傷害事件においても、被害者の方と示談することは、重要な弁護活動です。
示談が成立することで、逮捕・勾留による身体の拘束から解放されたり、検察官が起訴することなく事件を終わらせたりする可能性が高まるなど、示談締結のメリットは大きいです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害罪の示談交渉等を数多く経験し、示談成立による身柄解放や不起訴を獲得している実績があります。
老人ホームの職員による入所者への傷害事件で不安を抱える方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
【事件解説】人に水をかけて暴行罪
【事件解説】人に水をかけて暴行罪
人に故意に水をかけるという行為だけで暴行罪(刑法第208条)が成立するかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
福岡市在住の会社員男性Aは、友人の会社員女性Vと、博多区のショッピングセンターの飲食店で食事中に口論となり、故意にVの身体にグラスの水をかけました。
Aからの謝罪もなく怒りの収まらないVが警察に被害届を提出したことで捜査が始まり、暴行罪の容疑でAへの任意の取調べが行われました。
福岡県警博多警察署の調べでは、Aは容疑を認めています。なお、Vに怪我はありません。
(事例はフィクションで、登場人物はすべて成人です。)
【暴行罪とは】
暴行罪については、刑法第208条で以下のように定められています。
「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」
【直接触らない「暴行」】
暴行罪で定める「暴行」が、具体的にどのような行為を指すかは明文で示されていません。
「暴行」という言葉からは、直接殴ったり蹴ったりする行為をイメージする方が多いと思いますが、最高裁判所の判例では、「暴行」とは、「人の身体に対する不法な有形力の行使」と示されており、直接的な身体の接触までは求められていないため、人の身体に向けた攻撃であれは、一般的なイメージよりも幅広い行為が「暴行」に該当し得ると言えます。
例えば、衣服を掴み引っ張る行為、携帯用拡声器を用いて耳元で大声を発する行為、人の顔や胸に塩を数回かける行為も、判例上は「暴行」に該当するとされています。
今回の事件例でAがVに水をかけた行為は、直接的な身体の接触は伴っていませんが、人の身体に向けた攻撃と言えるため「暴行」に該当し、暴行罪が認定される可能性が高いです。
【暴行罪の刑事弁護】
傷害罪や暴行罪といった暴力犯罪は、早い段階で被害者との示談が成立することで、逮捕・勾留による身体の拘束を防ぐことができたり、検察官が起訴することなく事件を終わらせたりする可能性が高まるなど、示談締結のメリットは大きいです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、暴行罪の示談交渉等を数多く経験し、身柄拘束の回避や不起訴を獲得している実績があります。
暴行罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
【事例解説】酒に酔って店の看板を損壊、他人に暴力
【事例解説】酒に酔って店の看板を損壊、他人に暴力
忘年会の帰りに酒に酔って物や他人に対して暴力をふるった刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例紹介】
「Aさんは、昨年末、地元に帰省した際に、高校時代の同級生と、居酒屋で忘年会をしました。
数件の飲食店で酒を飲み、べろべろの状態になったAさんは、自宅に帰る途中で、お店の看板を蹴り飛ばして壊しました。
看板が壊されたことに気が付いた店主のVさんが、様子を見に外に出てきたところ、Aさんは『何見てんだ』と因縁をつけて、Vさんの顔面を拳で一発殴って、その場から離れました。
Aさんは、帰宅し、通常通りの生活を送っていたところ、年明けのある日、警察からお店の看板を壊して人の顔を殴ったことについて話を聞きたいと連絡がありました。」
(この事例はフィクションです)
【酒に酔って起こしたトラブルで刑事事件に】
昨年の暮れに行われた忘年会や、年末年始で地元に帰省した際に親族や学生時代の友人たちとの飲み会、年明けに行われる新年会など、ここ最近でお酒を飲む機会がたくさんあった方がいらっしゃるかと思います。
その場の雰囲気が楽しくて、ついついお酒を飲みすぎてしまうこともあるかと思いますが、飲みすぎてトラブルを起こしてしまうと、警察が介入して刑事事件へと発展することがあります。
事例のAさんについていうと、酒に酔った状態でお店の看板を壊した行為は刑法261条の器物損壊罪に当たり、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料が科される可能性があります。
また、Vさんの顔面を拳で一発殴った行為は刑法208条の暴行罪に当たるでしょうし、顔面を殴ったことでVさんが怪我をしたのであれば、刑法204条の傷害罪に当たることになります。
暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっていますが、傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっており、暴行罪の法定刑よりも重くなっています。
【器物損壊、暴行や傷害の疑いで警察から連絡がきたという方は】
年末年始にお酒を飲んだ際に起こした器物損壊、暴行、傷害事件について警察から呼び出しの連絡が来たという方は、弁護士に相談して今後についてアドバイスを貰われることをお勧めします。
また、事件を起こしたことを認める場合は、弁護士を通して被害者の方と示談を締結することが重要になります。
もちろん、被害者の方がどこのだれかとういうこよが分かっている場合は、ご自身で直接被害者の方に謝罪して示談金を支払うということもできますが、被害者の方からしてみれば、事件を起こした人に会うことを怖がって直接会うことをためらったり、逆に被害を受けたことの怒りからまともに交渉を受け付けてもらえないということがあります。
このような場合でも、弁護士であれば「話だけは聞いてみるか」と交渉を開始することが可能になったり、粘り強く交渉をしていく中で、最初は怒りに震えていた被害者の方も考えを改めてくれて示談を受け入れてもらえるということも十分可能な場合があります。
そのため、被害者の方との示談をお望みの方は、弁護士に依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
警察の捜査を受けてお困りの方や、被害者の方との示談を考えている方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】コンビニのセルフコーヒーの不正利用の窃盗罪から逃走して強盗殺人未遂で逮捕
【報道解説】コンビニのセルフコーヒーの不正利用の窃盗罪から逃走して強盗殺人未遂で逮捕
コンビニでのセルフコーヒーの不正利用を指摘して追ってきたオーナーを車から振り落としたとして強盗殺人未遂の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「群馬県内のコンビニ店でコーヒー用のカップにカフェラテを注ぎ、注意した店のオーナーを車から振り落としたとして逮捕された男が注意された際、『トイレに行きたい』と言って逃げようとしたことが分かりました。
A容疑者(60)は太田市のコンビニ店で、オーナーの男性がしがみついているのに車を250メートルほど蛇行運転し、振り落とした強盗殺人未遂の疑いで送検されました。
男性は、外傷性くも膜下出血の重傷です。
警察によりますと、増倉容疑者はSサイズのコーヒーを110円で購入しましたが、180円のMサイズのカフェラテを注いだところを見つけられ、男性に注意されました。
その際、A容疑者は『トイレに行きたい』と嘘をつき、車に乗り込んで逃走を図ったということです。
A容疑者は『違います』と容疑を否認しています。」
(令和4年10月27日にテレ朝NEWSで配信された報道より引用)
【コンビニのセルフコーヒーの不正利用の罪】
最近のコンビニでは、それぞれの商品に対応したカップをレジで購入した後に購入者自身がコーヒーマシンにカップを置き、代金を支払ったカップに対応する商品のボタンを押すという形態でコーヒーなどの飲み物が販売されています。
コーヒーマシンでボタンを押す際はコンビニ店員ではなくて購入者自身がボタンを押す形となっているために、購入者がレジで購入した代金よりも高い商品のボタンを押して、警察に通報されたり、場合によっては警察に逮捕されるという事件が近年多く発生しているようです。
では、カップを購入した代金よりも高額の商品のボタンを押して飲み物を注いだ場合にどのような犯罪行為が成立するでしょうか。
まず、レジで店員からカップを購入する時点で既にカップの代金よりも高額の商品のボタンを押そうと考えていた場合には詐欺罪が成立すると考えられます。
また、レジで店員からカップを購入する時点では購入したカップに対応する商品のボタンを押そうと思っていたが、コーヒーマシンの前でボタンを押すときになって初めて購入したカップの代金よりも高額の商品のボタンを押そうと思った場合は、窃盗罪が成立すると考えられます。
実際には、どの時点でカップの代金よりも高額の商品のボタンを押そうと思ったのかという判断が困難なため、より適用可能性の広い窃盗罪で検挙されているケースが非常に多いです。
窃盗罪で検挙されるというのは、事件を起こした被疑者にとっては詐欺罪で検挙されるよりも有利であるといえます。
というのも、詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役しか定められていない一方で、窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又はは50万円以下の罰金となっていますので、詐欺罪で検挙されて起訴されると必ず正式な裁判が開かれることになりますが、窃盗罪で検挙されて起訴された場合には、法定刑に罰金刑が定められていることから略式手続による起訴を行うことができるからです。
【セルフコーヒーの不正利用を指摘されて逃走した場合の加重犯罪】
刑法238条では事後強盗罪を規定しており、窃盗罪を犯した犯人が、一定の場合に暴行または脅迫を行った場合には、窃盗の犯人を強盗として扱うと定めています。
この一定の場合には、①盗んだ財物を取り返されることを防止する目的、②逮捕を免れる目的、③罪跡を隠滅する目的の3つが定められています。
取り上げた報道では、逮捕された男性は、110円で購入したカップに180円のカフェラテを注ぐというかたちで窃盗をした後に、追いかけて車にしがみついてきたコンビニオーナーから逃れるために、車を250メートルほど蛇行運転して振り落とすという暴行を加えていることから、窃盗の犯人が、②の逮捕を免れる目的あるいは③の罪跡を隠滅する目的で暴行を加えたといえるでしょうから、事後強盗罪が成立すると考えられます。
こうして、窃盗を犯した人が事後強盗罪に該当すると強盗として扱われることになりますので、この上更に、人に怪我を負わせたり、死亡させた場合には刑法240条の強盗致死傷罪が適用されることになります。
強盗致死傷罪には、故意に人を死亡させた場合の強盗殺人、故意に人を怪我させた場合の強盗傷人、故意によらずに人を死亡させた場合の強盗致死、故意によらずに人を怪我させた場合の強盗致傷の4つのパターンが含まれています。
取り上げた報道では、被害に遭われたコンビニのオーナーは外傷性くも膜下出血の重傷を負っているとのことですが、今回行われた暴行が、250メートルほど蛇行運転して車から振り落とすという人を死に至らしめる危険が極めて高い行為であると判断されたために、強盗傷人ではなく、強盗殺人未遂として逮捕されたのだと考えられます。
【強盗殺人未遂で刑事事件化したら】
強盗殺人罪の法定刑は、死刑又は無期懲役のみとなっており非常に刑が重い犯罪です。
強盗殺人未遂を犯した場合には、「その刑を減軽することができる」(刑法43条)こととなっていますが、強盗殺人未遂の法定刑も強盗殺人罪と同じく死刑又は無期懲役のみとなっていますので、強盗殺人未遂も刑が重い犯罪であるといってよいでしょう。
また、強盗殺人未遂として起訴されて刑事裁判となった場合、その刑事裁判は裁判員裁判となりますので、通常の刑事裁判よりも異なる手続となります。
そのため、ご家族が強盗殺人未遂の疑いで警察に逮捕された場合は、まずは弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
この初回接見によって、弁護士が逮捕されたご家族の方より直接事件についてお話を伺うことができますので、事件の見通しや、今後の手続の流れといったことについて弁護士から説明を受けることが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が強盗殺人未遂の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】駅での器物損壊事件で逮捕
【報道解説】駅での器物損壊事件で逮捕
器物損壊事件の刑事責任とその弁護活動の中心となる示談活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
千葉県船橋警察署は、器物損壊罪の疑いで、千葉県八千代市に住む自称会社員の男性(37歳)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は、令和4年10月16日午後5時50分頃に、JR西船橋駅で、ごみ箱を蹴ってへこませた疑い。
船橋警察署によると、容疑者男性は酒を飲んだ帰りとみられ、駅員に取り押さえられた。
(令和4年10月18日に配信された「千葉日報オンライン」より抜粋)
【器物損壊事件の刑事処罰とは】
他人の物を故意に損壊した場合には、その物の所有者(被害者)が警察に被害届を出すことにより、刑法の「器物損壊罪」が成立し、刑事処罰を受ける可能性があります。
器物損壊罪の刑事処罰の法定刑は、「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」とされています。
・刑法 261条
「前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。」
器物損壊罪は、わざと意図的に物を損壊した場合に成立する犯罪であり、過失によって物を壊してしまった場合には、刑事事件には当たりません。
上記の事例のような、「酒に酔って起こした器物損壊事件」では、容疑者本人が泥酔していて、事件当時の記憶が無いケースが、よくあります。
器物損壊行為の事実を認めて、被害者に謝罪して示談交渉を行い、刑事処罰の軽減を目指すのか、あるいは、「やっていない」と否認の主張をするのかは、事件対応の大きな分岐点となるため、刑事事件に強い弁護士に法律相談して、今後の方針を検討することが重要となります。
【器物損壊事件の示談解決】
器物損壊罪は「親告罪」とされており、被害者が警察に被害届を出さない限りは、刑事事件になることはありません。
したがって、器物損壊罪の刑事事件化を防ぐために、弁護士を通じて被害者側との示談交渉を行い、被害者からの許しを得る示談の成立により、被害届提出を阻止すること、あるいは既に出ている場合の被害届を取り下げてもらうことが、不起訴処分による前科回避に向けて、重要な弁護活動となります。
器物損壊事件では、被害者側が加害者側に恐怖心を持っているケースや、当事者同士の話し合いの際に新たな争いが発生してしまうケースも考えられるため、当事者同士の直接の示談交渉が認められないことも多いです。
そこで、弁護士が仲介して、被害者側との示談交渉を行い、謝罪と慰謝料支払いの意思を伝えることで、スムーズに示談を成立させて、被害届提出の阻止、あるいは被害届の取下げを実現することが重要となります。
上記の事例のように、被害者が個人ではなく、鉄道会社や大手企業などの場合には、示談交渉に一切応じてもらえないケースも考えられます。
被害者に対する被害弁償だけでも済ませることや、警察取調べに対して、事件当時の犯行状況をどのように供述するかを検討する、といった弁護活動が考えられます。
まずは、器物損壊事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。
駅などの公共場所での器物損壊事件でお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
【報道解説】女性に抱きついて暴行で逮捕
【報道解説】女性に抱きついて暴行で逮捕
面識の無い女性に背後から抱きついたとして暴行罪の疑いで男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「神奈川県茅ケ崎署は2日、暴行の疑いで、住所不定、無職の男(53)を逮捕した。
逮捕容疑は、1日午後2時40分ごろ、茅ケ崎市茅ケ崎3丁目の温浴施設内エレベーターで、同市内に住む従業員の女性(47)に背後から抱きついた、としている。
調べに対し『ハグしただけで暴行はしていない』と供述し、容疑を否認している。」
(令和4年10月2日にカナコロ:神奈川新聞社で配信された報道より引用)
【抱きつきは暴行罪になる?】
今回取りあげた報道では、逮捕された男性が警察の取り調べにおいて「ハグをしただけで暴行はしていない」と供述しているようです。
刑法208条が規定する暴行罪は、殴る蹴るなどの暴力行為をした場合に成立する犯罪だと思われている方がいるかもしれませんが、後ろから女性に抱きつく(ハグをする)行為は暴行罪に当たる行為になりますので、逮捕された男性には暴行罪が成立する可能性が高いと言えます。
ちなみに、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、又は拘留若しくは科料となっています。
【抱きつきは強制わいせつ罪になる?】
報道を読んだ方の中には、抱きつく(ハグをする)行為は刑法176条の強制わいせつ罪ではないのかと思われた方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、見知らぬ女性に抱きつく(ハグをする)という行為は、場合によっては強制わいせつ罪や、その未遂罪が成立する可能性があります。
刑法176条では、13歳以上の者に対しては、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立するとしています。
そのため、被害者の反抗を著しく困難にする程度に抱きついたという場合は刑法176条の強制わいせつ罪における「暴行」に当たることになりますので、そうして抱きついた上で、被害者の胸や下半身をまさぐったり、無理やりキスをしたりなどのわいせつな行為をした場合には、強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと考えられます。
他にも、たとえば、後ろから抱きつくと同時に被害者の胸を揉んだというような暴行とわいせつ行為が一緒に行われた場合にも強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと言えます。
また、わいせつな行為を実際には行わなかったものの、わいせつな行為を行う目的で抱きついたのであれば、強制わいせつ罪の未遂罪が成立する可能性もあります。
以上のように、抱きつき行為が具体的にどのような態様であったのか、抱きついた後に被害者に対して行った行為がどのようなものであったか、どのような目的で抱きついたのか等の事情によっては、強制わいせつ罪や強制わいせつ罪の未遂罪が成立する可能性があります。
このような強制わいせつ罪の法定刑は、6か月以上10年以下の懲役となっています。
【暴行の疑いで刑事事件化したら】
取り上げた報道では、男性は暴行の疑いで逮捕されていますが、男性が女性に背後から抱きついたという事件ですので、今後の捜査では、男性が女性にわいせつな目的で抱きついたのか、抱きついた際に女性の身体のどこを触ったのかなどの抱きつき行為をしたときの具体的な状況などが詳しく捜査されることが予想されます。
抱きつき行為の目的や、その具体的な状況次第によっては、暴行事件ではなく、強制わいせつ事件や強制わいせつ罪の未遂事件として手続きが進んでいく場合もあり得ます。
先ほど説明した暴行罪と強制わいせつ罪の法定刑を比べるとわかるように、強制わいせつ罪の法定刑には罰金が定められていませんので、仮に検察官が事件を強制わいせつ事件として起訴した場合に必ず正式な裁判が開かれることになります。
従って、暴行罪よりも強制わいせつ罪のほうが重い犯罪であるといえますので、事件が暴行事件として処理されるのか、強制わいせつ事件として処理されるのかはその後の手続が大きく異なる可能性があります。
そのため警察の取り調べにおいては、取り調べを担当する警察官の誘導に引っかかって、抱きつき行為が強制わいせつ罪に当たるようなものであったと虚偽の自白してしまわないよう、取調べには十分注意して臨む必要があります。
警察署の取調室という密室で、取調べのプロである警察官を相手に虚偽の自白を行わないようにするためには、事前に弁護士に相談して警察での取調べ等の対応についてアドバイスを得ておくことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
女性に抱きついて暴行の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】体罰暴行事件で逮捕
【報道解説】体罰暴行事件で逮捕
暴行事件の示談解決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
埼玉県本庄市の私立中学校で、中学生に対して竹刀で突くなどの暴行を加えたとして、教員の男性が、令和4年8月25日に暴行容疑で逮捕された。
男性は剣道部の監督で、去年12月に、稽古中に部員の男子中学生に対し、顔を手で叩き竹刀でのどや脇腹を突く暴行を複数回加えた疑いが持たれている。
警察は、男性の指導日誌やスマートフォンなどを押収していて、部活動で日常的な体罰があったかどうかを調べている。
複数の生徒が暴行を受けたとみられている。
(令和4年8月25日に配信された「読売新聞オンライン」より抜粋)
【体罰暴行事件の刑事処罰とは】
部活の指導中に、物理的な接触等の「人の身体に対する不法な有形力の行使」があった場合には、刑法の「暴行罪」が成立する可能性があります。
また、「有形力の行使」により怪我を負わせた場合には、刑法の「傷害罪」が成立します。
暴行罪の法定刑は、「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」とされており、傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。
暴行罪と傷害罪のどちらが成立するかは、被害者側の怪我の病院診断書が、警察に提出されているかどうかが、判断の分かれ目になることが多いです。
弁護士に依頼して、被害者側との示談を成立させることで、被害届を取り下げたり、病院診断書の提出を阻止することが、刑事処罰の軽減のために重要な弁護活動となります。
【体罰暴行事件の示談解決】
暴行傷害事件においては、被害者側との示談が成立しているかの事情や、治療費や慰謝料支払いが済んでいるかの事情や、被害者が加害者を許しているかの事情が、刑事処罰の判断に大きく影響すると考えられます。
刑事事件に強い弁護士に依頼することで、被害者側との示談交渉を行い、被害届の取下げ等の、加害者を許す意思を含む示談を成立させることが、不起訴処分や刑罰軽減に結び付きます。
学校での体罰暴行事件では、被害者が未成年となるため、その保護者との示談交渉となります。
また、被害者が複数人いる場合には、それぞれの被害者との示談交渉をまとめる必要が出てくるケースも想定されます。
まずは、体罰暴行事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。
体罰暴行事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
【事例解説】万引きが事後強盗致死傷罪に発展したら
【事例解説】万引きが事後強盗致死傷罪に発展したら
万引きが事後強盗致死傷罪に発展した場合を想定し、その刑事責任と刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例紹介】
「17歳のAさんは、遊ぶお金が欲しかったので、万引きした商品をフリマサイトで転売しようと思い、本屋で万引きをする計画を立てました。
Aさんは本屋で周りの様子を窺って、人が近くにいないことを確認して漫画本を数冊万引きしました。
店員VさんがAさんの万引きに気が付き、VさんがAさんに声をかけたので、Aさんは万引きした本をもって逃げ出しました。
このとき、Aさんは捕まえに来たVさんに体当たりをしました。
Vさんはこの衝撃で後ろに倒れ、頭をコンクリートの縁石に強く打ち付けてしまい、その後搬送先の病院で死亡しました。
結局、Aさんは他の店員に捕まってしまい、警察に事後強盗致傷罪(後に事後強盗致死罪に切り替え)の疑いで逮捕されました。」
(この事例はフィクションです)
【単なる万引きが重罪に】
万引きは刑法235条に定める窃盗罪に当たる行為ですが、刑法には、一定の場合に窃盗をした人を、より罪が重い強盗とすることを定めている規定があります。
その規定が事後強盗罪を規定する刑法238条です。
刑法238条は、窃盗の犯人が、盗んだ物を取り返されることを防ぐ目的、逮捕を免れる目的、罪証を隠滅する目的のいずれかの目的で、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として取り扱うということを定めています。
Aさんは、万引きした後で、Vさんに逮捕されることを免れる目的で、体当たりという「暴行」を加えていますので、事後強盗罪として扱われることになるでしょう。
そして、Aさんは、暴行を加えた際にVさんを死亡させているので、Aさんには刑法240条の強盗致死罪が成立することになるでしょう。
強盗致死罪の法定刑は、死刑または無期懲役となっています。
【17歳の少年が強盗致死事件を起こした場合の法的責任】
17歳の少年が刑事事件を起こした場合、少年法が適用されることになりますので、事件については家庭裁判所に全て送られることになります。
そのため、刑事事件を起こした少年に対して刑事裁判が開かれて刑事罰が科されることはなく、家庭裁判所が少年の最終的な処遇を決定するというのが基本になります。
ただし、いくつかの場合には、少年でも、大人と同様に刑事裁判が開かれて刑事罰が科される場合があり、こうした家庭裁判所から事件が検察官に送られて通常の刑事手続と一緒になることを「逆送」と言います。
逆送となる場合については少年法に定められていますが、今回取り上げた事例に関係するものとしては少年法20条2項があります。
少年法20条2項は、事件の時に16歳以上の少年が、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた」場合には、原則として逆送しなければならないことを定めています。
17歳のAさんが犯した強盗致死罪は、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた」場合に当たりますので、Aさんの事件は通常の刑事手続と同じ流れで進むことになります。
【17歳のお子さんが事件を起こしてしまったら】
原則逆送の対象事件についても、法律上、「調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは」(少年法20条2項)例外的に逆送にならず、家庭裁判所が事件を担当することになります。
強盗致死罪については非常に高い割合で逆送の決定がなされていますが、それでも具体的な事件内容や、少年が置かれている状況などによっては、逆送を回避することができる可能性があります。
このような可能性を少しでも高めるためには、弁護士がいち早く事件に介入することが必要になるでしょう。
また、仮に逆送を回避することができなかったとしても、その後の刑事裁判に備えて、早いタイミングで弁護士から事件についてアドバイスを得ておくことは非常に有益です。
そのため、お子さんが事件を起こして警察に逮捕されているという場合は、弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件のみならず少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
17歳のお子さんが事件を起こしてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】15歳の女子中学生が殺人未遂罪で逮捕
【報道解説】15歳の女子中学生が殺人未遂罪で逮捕
15歳の女子中学生が殺人未遂罪の疑いで逮捕された場合の法的責任や手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「東京都渋谷区の路上で20日夜、女性2人が刺された事件で、警視庁は21日、殺人未遂罪の疑いで現行犯逮捕した少女について、埼玉県戸田市に住む中学3年の女子生徒(15)と発表した。
容疑を認め、『死刑になりたくて、たまたま見つけた2人を刺した』と供述しているという。
発表によると、女子生徒は20日午後7時20分頃、渋谷区円山町の路上で、歩いていた杉並区のパート従業員の女性(53)と娘(19)に背後から近づき、背中や腹などを包丁(刃渡り約8・5センチ)で刺して、それぞれ重傷を負わせた疑い。
娘の背中の刺し傷は深さ約10センチに達し、母親は両肩や腹、背中の4か所を切られていた。」
(令和4年8月21日に読売新聞オンラインで配信された報道より引用)
【15歳の中学生が死刑になることはあるのか?】
報道では、殺人未遂罪の疑いで逮捕された15歳の女子中学生の方が「死刑になりたい」旨の供述をしているとのことです。
15歳の中学生が事件を起こした場合に死刑になることがあるのでしょうか。
そもそも、犯行時に20歳に満たない人(この年齢層の人を男女問わずに「少年」と呼びます)が事件を起こした場合は、少年法が適用されますので、原則として刑罰が科されることはなく、家庭裁判所が少年に対する最終的な処遇を決定することになります。
もっとも、例外的に、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、家庭裁判所が、調査の結果、刑事処分を相当と判断したときは、検察官に事件を送致(逆送)して通常の刑事手続で事件が事件が処理されることになります。
殺人未遂罪の法定刑は、殺人罪と同じく死刑または無期もしくは5年以上の懲役となっていますので、報道の15歳の女子中学生は今後、家庭裁判所から逆送されて通常の刑事手続で手続が勧められる可能性があります。
ただ、法定刑に死刑が定められている殺人未遂事件が通常の刑事手続で処理されたとしても、未遂罪については刑を減軽することができますので(刑法43条)、殺人未遂罪で有罪となった場合に死刑が科されることはまず無いと言ってよいでしょう。
また、そもそも少年法51条1項では「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。」と規定されていますので、犯罪を犯した時点で18歳未満の少年は、たとえ殺人未遂罪ではなく殺人罪を犯した場合であっても死刑になることはありません。
以上より、15歳の中学生については、殺人未遂罪で有罪判決となった場合でも死刑になる可能性はありません。
【お子さんが警察に逮捕されてお困りの方は】
これまでの説明の通り、15歳の中学生が殺人未遂罪で有罪となった場合は、最高でも無期刑という拘禁期間を定めずに言い渡さずに刑務所で拘禁する刑罰になり、死刑が科されることはありません。
しかし、無期刑という刑罰も非常に重い処罰であり、今後の少年の人生に重大な影響を及ぼすことに変わりはありません。
15歳の少年が事件を起こした場合に少年法が適用された場合でも、警察による捜査段階では、大人の刑事事件と基本的には同じになりますので、逮捕の後には勾留という処分がなされて身柄が長期間にわたって拘束される可能性があります。
そのため、15歳の中学生のお子さんが警察に逮捕されたという場合はいち早く弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
お子さんが刃物で人を傷つけて警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。