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【報道解説】女性に抱きついて暴行で逮捕

2022-10-31

【報道解説】女性に抱きついて暴行で逮捕

面識の無い女性に背後から抱きついたとして暴行罪の疑いで男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「神奈川県茅ケ崎署は2日、暴行の疑いで、住所不定、無職の男(53)を逮捕した。
逮捕容疑は、1日午後2時40分ごろ、茅ケ崎市茅ケ崎3丁目の温浴施設内エレベーターで、同市内に住む従業員の女性(47)に背後から抱きついた、としている。
調べに対し『ハグしただけで暴行はしていない』と供述し、容疑を否認している。」

(令和4年10月2日にカナコロ:神奈川新聞社で配信された報道より引用)

【抱きつきは暴行罪になる?】

今回取りあげた報道では、逮捕された男性が警察の取り調べにおいて「ハグをしただけで暴行はしていない」と供述しているようです。
刑法208条が規定する暴行罪は、殴る蹴るなどの暴力行為をした場合に成立する犯罪だと思われている方がいるかもしれませんが、後ろから女性に抱きつく(ハグをする)行為は暴行罪に当たる行為になりますので、逮捕された男性には暴行罪が成立する可能性が高いと言えます。
ちなみに、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、又は拘留若しくは科料となっています。

【抱きつきは強制わいせつ罪になる?】

報道を読んだ方の中には、抱きつく(ハグをする)行為は刑法176条の強制わいせつ罪ではないのかと思われた方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、見知らぬ女性に抱きつく(ハグをする)という行為は、場合によっては強制わいせつ罪や、その未遂罪が成立する可能性があります。

刑法176条では、13歳以上の者に対しては、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立するとしています。
そのため、被害者の反抗を著しく困難にする程度に抱きついたという場合は刑法176条の強制わいせつ罪における「暴行」に当たることになりますので、そうして抱きついた上で、被害者の胸や下半身をまさぐったり、無理やりキスをしたりなどのわいせつな行為をした場合には、強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと考えられます。

他にも、たとえば、後ろから抱きつくと同時に被害者の胸を揉んだというような暴行わいせつ行為が一緒に行われた場合にも強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと言えます。
また、わいせつな行為を実際には行わなかったものの、わいせつな行為を行う目的で抱きついたのであれば、強制わいせつ罪未遂罪が成立する可能性もあります。

以上のように、抱きつき行為が具体的にどのような態様であったのか、抱きついた後に被害者に対して行った行為がどのようなものであったか、どのような目的で抱きついたのか等の事情によっては、強制わいせつ罪強制わいせつ罪未遂罪が成立する可能性があります。
このような強制わいせつ罪の法定刑は、6か月以上10年以下の懲役となっています。

【暴行の疑いで刑事事件化したら】

取り上げた報道では、男性は暴行の疑いで逮捕されていますが、男性が女性に背後から抱きついたという事件ですので、今後の捜査では、男性が女性にわいせつな目的で抱きついたのか、抱きついた際に女性の身体のどこを触ったのかなどの抱きつき行為をしたときの具体的な状況などが詳しく捜査されることが予想されます。
抱きつき行為の目的や、その具体的な状況次第によっては、暴行事件ではなく、強制わいせつ事件強制わいせつ罪未遂事件として手続きが進んでいく場合もあり得ます。

先ほど説明した暴行罪強制わいせつ罪の法定刑を比べるとわかるように、強制わいせつ罪の法定刑には罰金が定められていませんので、仮に検察官が事件を強制わいせつ事件として起訴した場合に必ず正式な裁判が開かれることになります。
従って、暴行罪よりも強制わいせつ罪のほうが重い犯罪であるといえますので、事件が暴行事件として処理されるのか、強制わいせつ事件として処理されるのかはその後の手続が大きく異なる可能性があります。

そのため警察の取り調べにおいては、取り調べを担当する警察官の誘導に引っかかって、抱きつき行為が強制わいせつ罪に当たるようなものであったと虚偽の自白してしまわないよう、取調べには十分注意して臨む必要があります。
警察署の取調室という密室で、取調べのプロである警察官を相手に虚偽の自白を行わないようにするためには、事前に弁護士に相談して警察での取調べ等の対応についてアドバイスを得ておくことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
女性に抱きついて暴行の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】体罰暴行事件で逮捕

2022-10-20

【報道解説】体罰暴行事件で逮捕

暴行事件示談解決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

埼玉県本庄市の私立中学校で、中学生に対して竹刀で突くなどの暴行を加えたとして、教員の男性が、令和4年8月25日に暴行容疑で逮捕された。
男性は剣道部の監督で、去年12月に、稽古中に部員の男子中学生に対し、顔を手で叩き竹刀でのどや脇腹を突く暴行を複数回加えた疑いが持たれている。
警察は、男性の指導日誌やスマートフォンなどを押収していて、部活動で日常的な体罰があったかどうかを調べている。
複数の生徒が暴行を受けたとみられている。
(令和4年8月25日に配信された「読売新聞オンライン」より抜粋)

【体罰暴行事件の刑事処罰とは】

部活の指導中に、物理的な接触等の「人の身体に対する不法な有形力の行使」があった場合には、刑法の「暴行罪」が成立する可能性があります。
また、「有形力の行使」により怪我を負わせた場合には、刑法の「傷害罪」が成立します。

暴行罪の法定刑は、「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」とされており、傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。

暴行罪傷害罪のどちらが成立するかは、被害者側の怪我の病院診断書が、警察に提出されているかどうかが、判断の分かれ目になることが多いです。
弁護士に依頼して、被害者側との示談を成立させることで、被害届を取り下げたり、病院診断書の提出を阻止することが、刑事処罰の軽減のために重要な弁護活動となります。

【体罰暴行事件の示談解決】

暴行傷害事件においては、被害者側との示談が成立しているかの事情や、治療費や慰謝料支払いが済んでいるかの事情や、被害者が加害者を許しているかの事情が、刑事処罰の判断に大きく影響すると考えられます。

刑事事件に強い弁護士に依頼することで、被害者側との示談交渉を行い、被害届の取下げ等の、加害者を許す意思を含む示談を成立させることが、不起訴処分や刑罰軽減に結び付きます。
学校での体罰暴行事件では、被害者が未成年となるため、その保護者との示談交渉となります。
また、被害者が複数人いる場合には、それぞれの被害者との示談交渉をまとめる必要が出てくるケースも想定されます。

まずは、体罰暴行事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

体罰暴行事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【事例解説】万引きが事後強盗致死傷罪に発展したら

2022-10-09

【事例解説】万引きが事後強盗致死傷罪に発展したら

万引き事後強盗致死傷罪に発展した場合を想定し、その刑事責任と刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「17歳のAさんは、遊ぶお金が欲しかったので、万引きした商品をフリマサイトで転売しようと思い、本屋で万引きをする計画を立てました。
Aさんは本屋で周りの様子を窺って、人が近くにいないことを確認して漫画本を数冊万引きしました。
店員VさんがAさんの万引きに気が付き、VさんがAさんに声をかけたので、Aさんは万引きした本をもって逃げ出しました。
このとき、Aさんは捕まえに来たVさんに体当たりをしました。
Vさんはこの衝撃で後ろに倒れ、頭をコンクリートの縁石に強く打ち付けてしまい、その後搬送先の病院で死亡しました。
結局、Aさんは他の店員に捕まってしまい、警察に事後強盗致傷罪(後に事後強盗致死罪に切り替え)の疑いで逮捕されました。」

(この事例はフィクションです)

【単なる万引きが重罪に】

万引きは刑法235条に定める窃盗罪に当たる行為ですが、刑法には、一定の場合に窃盗をした人を、より罪が重い強盗とすることを定めている規定があります。
その規定が事後強盗罪を規定する刑法238条です。

刑法238条は、窃盗の犯人が、盗んだ物を取り返されることを防ぐ目的、逮捕を免れる目的、罪証を隠滅する目的のいずれかの目的で、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として取り扱うということを定めています。

Aさんは、万引きした後で、Vさんに逮捕されることを免れる目的で、体当たりという「暴行」を加えていますので、事後強盗罪として扱われることになるでしょう。
そして、Aさんは、暴行を加えた際にVさんを死亡させているので、Aさんには刑法240条の強盗致死罪が成立することになるでしょう。

強盗致死罪の法定刑は、死刑または無期懲役となっています。

【17歳の少年が強盗致死事件を起こした場合の法的責任】

17歳の少年刑事事件を起こした場合、少年法が適用されることになりますので、事件については家庭裁判所に全て送られることになります。
そのため、刑事事件を起こした少年に対して刑事裁判が開かれて刑事罰が科されることはなく、家庭裁判所少年の最終的な処遇を決定するというのが基本になります。

ただし、いくつかの場合には、少年でも、大人と同様に刑事裁判が開かれて刑事罰が科される場合があり、こうした家庭裁判所から事件が検察官に送られて通常の刑事手続と一緒になることを「逆送」と言います。
逆送となる場合については少年法に定められていますが、今回取り上げた事例に関係するものとしては少年法20条2項があります。

少年法20条2項は、事件の時に16歳以上の少年が、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた」場合には、原則として逆送しなければならないことを定めています。
17歳のAさんが犯した強盗致死罪は、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた」場合に当たりますので、Aさんの事件は通常の刑事手続と同じ流れで進むことになります。

【17歳のお子さんが事件を起こしてしまったら】

原則逆送の対象事件についても、法律上、「調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは」(少年法20条2項)例外的に逆送にならず、家庭裁判所が事件を担当することになります。

強盗致死罪については非常に高い割合で逆送の決定がなされていますが、それでも具体的な事件内容や、少年が置かれている状況などによっては、逆送を回避することができる可能性があります。
このような可能性を少しでも高めるためには、弁護士がいち早く事件に介入することが必要になるでしょう。

また、仮に逆送を回避することができなかったとしても、その後の刑事裁判に備えて、早いタイミングで弁護士から事件についてアドバイスを得ておくことは非常に有益です。
そのため、お子さんが事件を起こして警察に逮捕されているという場合は、弁護士にご相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件のみならず少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
17歳のお子さんが事件を起こしてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】15歳の女子中学生が殺人未遂罪で逮捕

2022-09-28

【報道解説】15歳の女子中学生が殺人未遂罪で逮捕

15歳の女子中学生が殺人未遂罪の疑いで逮捕された場合の法的責任や手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「東京都渋谷区の路上で20日夜、女性2人が刺された事件で、警視庁は21日、殺人未遂罪の疑いで現行犯逮捕した少女について、埼玉県戸田市に住む中学3年の女子生徒(15)と発表した。
容疑を認め、『死刑になりたくて、たまたま見つけた2人を刺した』と供述しているという。
発表によると、女子生徒は20日午後7時20分頃、渋谷区円山町の路上で、歩いていた杉並区のパート従業員の女性(53)と娘(19)に背後から近づき、背中や腹などを包丁(刃渡り約8・5センチ)で刺して、それぞれ重傷を負わせた疑い。
娘の背中の刺し傷は深さ約10センチに達し、母親は両肩や腹、背中の4か所を切られていた。」

(令和4年8月21日に読売新聞オンラインで配信された報道より引用)

【15歳の中学生が死刑になることはあるのか?】

報道では、殺人未遂罪の疑いで逮捕された15歳の女子中学生の方が「死刑になりたい」旨の供述をしているとのことです。
15歳の中学生が事件を起こした場合に死刑になることがあるのでしょうか。

そもそも、犯行時に20歳に満たない人(この年齢層の人を男女問わずに「少年」と呼びます)が事件を起こした場合は、少年法が適用されますので、原則として刑罰が科されることはなく、家庭裁判所少年に対する最終的な処遇を決定することになります。

もっとも、例外的に、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、家庭裁判所が、調査の結果、刑事処分を相当と判断したときは、検察官に事件を送致(逆送)して通常の刑事手続で事件が事件が処理されることになります。
殺人未遂罪の法定刑は、殺人罪と同じく死刑または無期もしくは5年以上の懲役となっていますので、報道の15歳の女子中学生は今後、家庭裁判所から逆送されて通常の刑事手続で手続が勧められる可能性があります。

ただ、法定刑に死刑が定められている殺人未遂事件が通常の刑事手続で処理されたとしても、未遂罪については刑を減軽することができますので(刑法43条)、殺人未遂罪で有罪となった場合に死刑が科されることはまず無いと言ってよいでしょう。

また、そもそも少年法51条1項では「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。」と規定されていますので、犯罪を犯した時点で18歳未満の少年は、たとえ殺人未遂罪ではなく殺人罪を犯した場合であっても死刑になることはありません。

以上より、15歳の中学生については、殺人未遂罪で有罪判決となった場合でも死刑になる可能性はありません。

【お子さんが警察に逮捕されてお困りの方は】

これまでの説明の通り、15歳の中学生が殺人未遂罪で有罪となった場合は、最高でも無期刑という拘禁期間を定めずに言い渡さずに刑務所で拘禁する刑罰になり、死刑が科されることはありません。
しかし、無期刑という刑罰も非常に重い処罰であり、今後の少年の人生に重大な影響を及ぼすことに変わりはありません。

15歳の少年が事件を起こした場合に少年法が適用された場合でも、警察による捜査段階では、大人の刑事事件と基本的には同じになりますので、逮捕の後には勾留という処分がなされて身柄が長期間にわたって拘束される可能性があります。
そのため、15歳の中学生のお子さんが警察に逮捕されたという場合はいち早く弁護士にご相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
お子さんが刃物で人を傷つけて警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】過失により空気銃で射撃して負傷させる重過失致傷罪

2022-09-17

【報道解説】過失により空気銃で射撃して負傷させる重過失致傷罪

許可を得ずに所持していた空気銃で従業員の頭を誤ってしまい、重過失致傷罪の疑いで逮捕された場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「北海道別海町の牧場で、従業員の男性が誤って空気銃で撃たれた事件で、逮捕・送検された男が『カラスのことばかり考えていた』と話していることがわかりました。
重過失傷害の疑いで、検察に身柄を送られたのは、別海町の酪農業・A容疑者です。
A容疑者は15日朝、牧場内のカラスを駆除しようと空気銃を発砲し、誤って従業員のVさんの頭を撃った疑いが持たれています。
Vさんは意識は戻りましたが重傷です。
A容疑者は容疑を認めていて『カラスのことばかり考えていた』と話しているということです。
空気銃はVさんの物で、A容疑者は所持などの許可を受けておらず、警察は銃刀法違反の疑いでも調べています。」

(8月18日にHTB北海道ニュースで配信された報道より一部匿名にして引用)

【重過失致傷罪とは?】

刑法211条では
「業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。」
と規定しており、前段で業務上過失致死罪を、後段で重過失致死傷罪を定めています。

重過失致死傷罪」とありますが、「重過失致死傷罪」という犯罪があるのではなく、重大な過失によって、被害者の方が死亡した場合の「重過失致死罪」と、怪我した場合の「重過失致傷罪」の2つの犯罪を便宜上まとめて表記する際に「重過失致死傷罪」という言葉が用いられることになります。
報道では、Vさんは死亡していませんので、「重過失致傷罪」の疑いでAさんは逮捕されています。

【どのような場合に銃刀法違反になる?】

Aさんは重過失傷害罪の疑いで逮捕されましたが、現在はさらに銃刀法違反の疑いについても警察で捜査を受けているとのことです。
銃刀法3条では、一定の場合を除いて「鉄砲」を「所持」することを禁止しています。

この「鉄砲」には「空気銃」も含まれます(銃刀法2条1項」が、「圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるもの」(銃刀法2条1項)という条件を満たす「空気銃」でなければなりません。
このような「空気銃」を所有していなくても、わずかの間でも自分の手で持つといった形で「所持」してしまうと、銃刀法31条の3第1項によって、1年以上10年以下の懲役刑が科される可能性があります。

報道では、Aさんは空気銃を実際に発砲したことは認めているようですので、今後は、Aさんが発砲した空気銃銃刀法が定める「空気銃」に該当するのか、Aさん個人に銃刀法が例外的に所持を認める事由があるかといったことが捜査されることが予想されます。

【重過失致傷罪、銃刀法違反の疑いで逮捕されてお困りの方は】

取り上げた報道のように、ご家族の中に、重過失致傷罪銃刀法違反の疑いで警察に逮捕された方がいるという場合は、弁護士に依頼して、初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
この初回接見を通して、弁護士から事件の概要や、今後の手続の流れ、事件がどのような見通しとなるかということを説明してもらうことができるでしょう。

いち早く弁護士刑事弁護活動を行ってもらうことで、重過失致傷罪に関しては、被害者の方と示談交渉を進めて示談を締結することができれば、被疑者にとって有利な事情となりますし、また、被害者がいない銃刀法違反に関しては、贖罪寄附をするなどして事件について真摯に反省していることを示すことができれば、こちらも被疑者にとって有利な事情となるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
突然、ご家族の中で、重過失致傷罪銃刀法違反の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】外国籍の男性が傷害、器物損壊で逮捕

2022-09-06

【報道解説】外国籍の男性が傷害、器物損壊で逮捕

外国籍の男性が、傷害器物損壊の疑いで逮捕された場合の刑事責任や行政処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「今年4月、三重県鈴鹿市でガスの供給を止めに来た業者の男性をバットで殴ったなどとして、36歳のブラジル国籍の男が逮捕されました。
逮捕されたのは、三重県鈴鹿市に住むブラジル国籍の無職、A容疑者(36)です。
警察によりますと、A容疑者はことし4月、プロパンガスの供給を止めようと自宅を訪ねてきた男性作業員(38)に対し、頭を木製のバットで殴りケガさせたうえ、乗ってきた車も殴ってドアをへこませるなどした疑いが持たれています。
男性は頭を打撲しましたが軽傷ということです。
A容疑者はプロパンガスの料金を数カ月支払っておらず、男性が作業することを告げると、木製バットを持って玄関から出てきて犯行に及んだということです。
調べに対し、A容疑者は『殴ったりしていない』などと容疑を否認していて、警察が経緯を詳しく調べています。」

(令和4年8月16日に東海テレビで配信された報道より一部匿名にして引用)

【外国籍の人が日本で犯罪を起こすと退去?】

外国籍の方が傷害器物損壊事件を起こしたとして有罪判決が出されてしまうと、在留資格に影響を及ぼします。

出入国管理及び難民の認定に関する法律(「出入国管理法」や「入管法」と略されます)24条では、退去強制となる事由を定めており、その中には、事件を起こして有罪判決となった場合を退去強制事由としているものがあります。

どのような罪で有罪判決となったのか、また事件を起こした外国籍の方がどのような資格で在留しているのかということで規定が分かれるのですが、今回の取り上げた傷害器物損壊で仮に有罪判決となった場合は、出入国管理法24条4号リが定める退去強制事由と、同法24条4号の2が関係することになるでしょう。

出入国管理法24条4号リ本文では、無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた場合を退去強制事由としています。
この例外として同号リには但書が規定されていて、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であってその刑のうち執行が猶予されなかつた部分の期間が1年以下の者については退去強制事由に当たらないとしています。

傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっており、器物損壊罪の法定刑は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料となっていますので、いずれも1年を超える懲役刑が法定刑として定められていますので、傷害罪器物損壊罪実刑判決となった場合は、退去強制事由に当たる可能性があります。

また、出入国管理法24条4号の2では、別表第一の上欄の在留資格で在留する者が一定の罪で有罪判決となった場合の退去強制事由を定めています。
別表第一の上欄の在留資格とは活動類型資格と呼ばれ、具体的には、外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習、文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在、特定活動の在留資格があります。
このような在留資格を有する者が、傷害の罪で懲役刑に処せられた場合は、執行猶予を獲得したとしても退去強制事由となります。

【外国籍の人が犯罪を起こしてしまったら】

外国籍の方が傷害器物損壊事件を起こしてお困りの方は、まずは弁護士に相談して、刑事処分がどのようなものになるのか、また事件が自身の在留資格にどのような影響を与えるのかということについて専門的な知識に基づくアドバイスを貰うことをお勧めします。
傷害事件器物損壊事件のような被害者の方がいる事件の場合には、被害者の方と示談を締結することができれば、不起訴処分を獲得する可能性が高まりますので、在留資格に与える影響を最小限に抑えることが期待できるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所であり、外国籍を持つ方の刑事弁護活動をした経験がある弁護士が在籍しております。
傷害事件器物損壊事件を起こしてしまいお困りの外国籍の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】高校生が強盗致傷罪で逮捕

2022-08-26

【報道解説】高校生が強盗致傷罪で逮捕

男子高校生強盗致傷罪の疑いで逮捕された場合の法的責任と手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「滋賀県警東近江署などは31日までに、強盗致傷の疑いで、ともに県内の高校に通う東近江市の17歳と16歳の男子高校生2人を逮捕した。
逮捕容疑は共謀し、6月15日午後11時ごろ、東近江市内の路上で、同市の会社員男性=当時(30)=を羽交い締めにして棒状のもので殴って頭部打撲のけがを負わせ、現金12万円などが入った手提げかばんを奪おうとした疑い。
男性が抵抗したためにかばんを奪えず、走って逃走したという。

(令和4年7月31日に京都新聞より配信された報道より引用)

【強盗致傷罪とは】

報道では17歳と16歳の男子高校生2人が強盗致傷罪の疑いで逮捕されたとあります。

相手方の反抗を抑圧する程度の暴行脅迫を加えた上で現金などの財物を奪う行為は強盗罪(刑法236条)にあたる行為になりますが、この強盗の機会に、被害者の方に怪我を負わせてしまった場合は、強盗致傷罪(刑法240条)が成立することになります。

この強盗致傷罪は、財物を奪うことに成功していなくとも、暴行脅迫を加えた上で被害者の方が怪我すれば、成立することになります。
そのため、今回取り上げた報道では、男子高校生は、現金が入った被害者の方の手提げかばんを奪い去ることはできなかったとのことですが、強盗をしようと被害者の方を羽交い締めにして棒状のもので殴り、頭部打撲のけがを負わせとのことですので、強盗致傷罪が成立することになります。

なお、強盗致傷罪の法定刑は無期または6年以上の懲役となっており、刑法の中でも罪が重い部類の犯罪であると言えるでしょう。

高校生強盗致傷逮捕されたら】

犯罪を犯した人が、犯行時に14歳以上20歳未満の場合は、少年法という法律が適用されることになりますので、警察や検察による捜査の後は家庭裁判所に事件が送致されて家庭裁判所が最終的な少年の処遇を決定するという流れが基本になります。
このように少年法が適用される場合は、通常の刑事手続とは異なる流れで事件が進んでいくことになりますが、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件については、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分が相当であると家庭裁判所が認めるときは、事件を検察官に送致(「逆送」といいます)して、通常の刑事事件と同様に取り扱われる場合があります。
強盗致傷罪は懲役刑のみが定められている犯罪ですので、逆送がなされる可能性があります。
なお、仮に、強盗致傷事件が検察官に逆送されて起訴となった場合は裁判員裁判の対象になります。

このように、17歳と16歳の高校生強盗致傷の疑いで逮捕された場合は、複雑な手続きで事件が進んでいくことになりますので、早期に弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士に相談されることで、今後の手続きについての説明や、弁護士に依頼した場合に、弁護士がどのような活動を採ることができるのかなどといったことについての説明を受けることが期待できるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
高校生のお子さんが強盗致傷罪の疑いで逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】威力業務妨害罪で逮捕

2022-08-15

【報道解説】威力業務妨害罪で逮捕

【報道紹介】

「『札幌パルコ』で、28日、爆弾騒ぎがあり、客が避難するなど一時、騒然となりました。
警察は、関与したとみられる男を逮捕しました。
28日午後3時前、男の声で『パルコに爆弾を仕掛けた』と110番通報がありました。
札幌市中央区の『札幌パルコ』は、客や従業員を一時避難させ、警察官らが店内を捜索しましたが、不審物は見つかりませんでした。
警察は午後3時すぎ、JR札幌駅近くの別の商業施設で、ナイフを持っていたとして、57歳の男を現行犯逮捕しました。
男は、札幌パルコの件で電話をかけたことを認めているということです。
警察は威力業務妨害の疑いでも捜査しています。

(令和4年7月28日にHBC北海道放送より配信された報道より引用)

【威力業務妨害罪とは?】

威力を用いて人の業務妨害した場合には威力業務妨害罪が成立します(刑法234条)。
「威力を用いて」とは、業務妨害の手段として、人の自由意思を制圧するに足りる勢力を示すことを意味しています。
そしてそのように威力を用いたことによって実際に人の業務妨害された場合に威力業務妨害罪が成立するのは当然ですが、実際に人の業務妨害されなくても業務妨害するに足りる行為なされたのであれば威力業務妨害罪が成立すると考えられています。

威力業務妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。

今回取り上げた報道では、逮捕された男性が商業施設に爆弾を仕掛けたと110番連絡をした疑いがあり、警察による捜査を受けているとの記載があります。
爆弾を仕掛けたと連絡したことにより威力業務妨害罪が成立した例として、仙台地方裁判所平成27年3月30日判決があります。
この裁判例では、被告人が在籍していた大学に対して、3回にわたって爆破予告などを内容とする書面を大学に送付したことで、大学職員らに対して警察への通報や講義の休校などの措置をとることを余儀なくさせて大学職員らの正常な業務の遂行に支障を生じさせたとして、威力業務妨害罪の成立を認め、被告人に懲役1年6か月、執行猶予3年の判決を下しました。

このように今回取り上げた報道と同種の裁判例もありますので、逮捕された男性が実際に爆弾を仕掛けたと110番通報したのであれば、威力業務妨害罪が成立する可能性が高いということができるでしょう。

【威力業務妨害罪で警察の捜査を受けている方は】

威力業務妨害罪で警察の捜査を受けてお困りの方は、まずは一度弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士に事件について相談することで、今後の事件の見通しなどについて専門的な知見に基づくアドバイスを得ることができるでしょう。

威力業務妨害罪罰金刑のみならず懲役刑も定められている犯罪ですので、場合によって検察官に起訴されると公開の裁判が開かれる可能性があります。
刑事裁判が開かれると事件解決のために時間が掛かってしまいますので、事件の早期解決を目指される場合は、すぐに弁護士に相談するのが良いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
威力業務妨害罪について警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】強盗罪の共犯で逮捕、勾留、接見禁止

2022-08-04

【報道解説】強盗罪の共犯で逮捕、勾留、接見禁止

強盗共犯事件で逮捕され、勾留が決まった際に接見禁止が付いた事例に関する刑事責任と刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「お金に困っていたAさんは、SNSで募集していた『高額バイト』に応募しました。
そこで、Aさんは、SNSでやり取りしていた人の指示のもと、面識のないBさんと一緒に、東京都でひとり暮らしをしているVさんの家に押し入って、強盗をする計画を立てました。
その計画に基づいて、AさんらはVさん宅に押し入り、AさんがVさんにナイフを突きつけている間に、BさんがVさんの家から現金や貴金属を盗み出しました。
Bさんは、ひと通り金目の物を盗み出した後にAさんを置いてさっさとVさんの家から逃げ出しました。
Bさんが逃げ出したことに気が付かずにVさんの家に留まっていたAさんは、近所の人の通報により駆け付けた警察官に現行犯逮捕されました。
Aさんは逮捕後に勾留が決まりましたが、その際に接見禁止決定が出されました。
Aさんの両親は、勾留期間中にAさんと接見できないことを知り、弁護士に相談しました。」
(この事例はフィクションです)

【強盗の共犯事件】

相手方の反抗を抑圧する程度の暴行脅迫を用いて現金などの財物を奪う行為は、強盗罪に当たります。
事例では、AさんがナイフをVさんに突きつけるという脅迫行為をしている間に、Bさんが財物を奪っていて、それぞれ役割を分担しています。
そうすると、Aさんは脅迫をしただけで財物を奪っていないですし、Bさんは財物を奪っただけで脅迫行為をしていないので、それぞれ強盗罪が成立することにならないのではないかと思われるかもしれません。
しかし、AさんとBさんは事前に強盗罪をすることについて共謀していて、その共謀に基づいて強盗をしています。
このような場合は、「共同して犯罪を実行した」(刑法60条)といえますので、Aさんは自身がやっていない財物を奪った行為について、Bさんは自身がやっていないVさんに対する脅迫行為について、それぞれ自分が行ったものとして責任を負うことになります。
その結果、AさんもBさんも強盗罪(刑法236条1項)が成立することになるでしょう。
強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっています。

なお、AさんとBさんには強盗罪の他に住居侵入罪(刑法130条前段)が成立します。
住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。

【接見禁止決定とは】

事例では、Aさんに勾留が決まった際に接見禁止決定が出されています。
勾留期間中は、親族や友人といった弁護人以外の人は、被疑者と法令の範囲内で接見することができます(刑事訴訟法207条1項、80条)が、例外的に被疑者と接見ができなくなる場合があります。
それが、裁判所が、親族や友人などの弁護人以外の者が被疑者と接見することを禁止する決定(接見禁止決定)を出した場合です。
接見禁止決定は、被疑者が「逃亡又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」(刑事訴訟法81条)に出すことができます。
「逃亡又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」があるか否かは個別の事件の具体的事情に基づいて判断されることになりますが、殺人などの重大事件や、共犯者がいる事件、薬物事件、組織的な犯行による事件の場合には、比較的接見禁止が認められることが多いと言えます。

【接見禁止を解除してもらうには?】

ただでさえ身柄を拘束されている状態で肉体的・精神的なストレスがかかるなかで、それに加えて家族の人と面会ができないとなることは、勾留中の被疑者にとって非常に苦痛に感じられることになるでしょう。
また、ご家族の方にとっても、勾留中の被疑者の様子が気がかりで不安に思うなかで、逮捕されてから一度も面会できないという事態は早期に解消される必要があります。
このように、勾留されている被疑者と家族との接見を早期に実現するためには、弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士であれば、裁判所に対して接見禁止決定について不服を申し立てる準抗告という手続をとることができます。
家族との接見を認めても「逃亡又は罪証を隠滅する」おそれがないということを、具体的な事実に基づいて主張し、その言い分が裁判所に認められれば、家族との接見が実現することになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です
ご家族の方の中に勾留されている方がいて接見禁止決定がついていて接見ができずにお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください

【報道解説】刃物の暴力犯罪で暴力行為等処罰法違反で逮捕

2022-07-24

【報道解説】刃物の暴力犯罪で暴力行為等処罰法違反で逮捕

【報道紹介】

刃物を用いた脅迫暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

「父親に包丁を突きつけ脅迫したとして7月17日、47歳の男が逮捕されました。
暴力行為等処罰に関する法律違反現行犯逮捕されたのは、富山県の自称・内装業の47歳の男です。
警察によりますと、男は7月17日午後11時59分ごろ、同市東区に住む80代の父親が住む自宅で父親に包丁を突きつけ『ぶっ殺すぞ』などと脅迫したということです。
男は仕事で札幌市を訪れていましたが、自ら『これから親父(おやじ)を殺す』と110通報し、それを受けて現場に警察官が駆け付けたところ、男が包丁を手にしていたためその場で逮捕したということです。
調べに対し、男は『包丁を突きつけたのは間違いない』等と容疑を認めているということです。
警察は動機などを詳しく調べることにしています。

(令和4年7月18日に北海道ニュースUHBで配信された報道より引用)

【暴力行為等処罰に関する法律とは?】

暴力行為等処罰に関する法律暴力行為等処罰法)という法律をご存知でしょうか。
人を殴ったり、殴って怪我をさせた場合には、それぞれ刑法が規定する暴行罪傷害罪という犯罪に当たることになります。
暴力行為等処罰法は、多人数の集団で暴行を働いた場合や、拳銃や刃物などを用いて人を怪我させた場合などについて、刑法に定める暴行罪傷害罪よりも重く処罰するための法律で、大きく次の5つの場合について規定しています。

暴力行為等処罰法1条では、暴行罪(刑法208条)、脅迫罪(刑法222条)、器物損壊罪(刑法261条)の罪を、実際に多人数の集団で行った場合や、多人数の集団であるかのように装って行った場合、又は包丁などの凶器を示して行った場合を処罰の対象にしています。
報道では、逮捕された男性は被害者である父親に対して包丁を突きつけて「ぶっ殺すぞ」と脅迫をした疑いがあるとのことですので、この暴力行為等処罰法1条に当たると考えられます。
暴力行為等処罰法1条の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。

暴力行為等処罰法1条の2第1項では、銃砲刀剣類を用いて人の身体を傷害した場合を規定していて、その法定刑は1年以上15年以下の懲役となっています。
なお、実際に、鉄砲刀剣類を用いて相手に怪我をさせなかったとしても、未遂犯として処罰される可能性があります(同条2項)。

暴力行為等処罰法1条の3では、常習的に傷害罪(刑法204条)、暴行罪(刑法208条)、脅迫罪(刑法222条)、器物損壊罪(刑法261条)を犯した者が、人を傷害したときは1年以上15年以下の懲役を科すと規定しています。
なお、このような者が、人を傷害していない場合は3月以上5年以下の懲役が科せられることになります。

暴力行為等処罰法2条では、財産上不正の利益を得る目的で第1条の方法によって、面会を強請したり、自身の要求に従わせようと強引な主張をして脅す(強談威迫)行為をした者は1年以下の懲役又は10万円以下の罰金を科すとしています。

暴力行為等処罰法3条1項では、第1条の方法によって、殺人罪(刑法199条)、傷害罪(刑法204条)、暴行罪(刑法208条)、脅迫罪(刑法222条)、強要罪(刑法223条)、威力業務妨害罪(刑法234条)、建造物等損壊罪(刑法260条)、器物損壊罪(刑法261条)を犯す目的で、金品などの財産上の利益や職務を供与したり、その申込や約束をしたりする場合や、事情を知った上で供与を受けたり、要求や約束をした者は6月以下の懲役又は10万円以下の罰金を科すとしています。
また、第1条の方法によって、公務執行妨害罪(刑法95条)を犯す目的で、暴力行為等処罰法3条1項の行為をした者は6月以下の懲役若は禁錮又は10万円以下の罰金が科されることになります(暴力行為等処罰法3条2項)。

【暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されてしまったら?】

ご家族の方が暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されてしまったら、まずは弁護士に初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
単なる暴行罪傷害罪だと思っていたら、実は暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されたという場合が考えられますので、一体どのような罪で逮捕されたのか、事件が今後どのような手続で進められるのか、事件の見通しがどのようなものであるかなどといったことについて、初回接見に向かった弁護士から直接説明できることが期待できるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族の方が暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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