【事例解説】部活を辞めた後輩を脅迫 暴力行為等処罰法違反で逮捕(前編)

2024-05-05

部活を辞めた大学の後輩に対して、集団を装い脅迫した事件について、前編・後編に分けて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

けんか

事例紹介

関西の大学に通う大学生のAさんは、大学の柔道部の主将として、全国大会で優勝するため同期や後輩を練習に励んでいました。
Aさんが厳しい練習メニューを作成したところ、2年の後輩の1人であるVが部活動に来なくなり周囲の人たちに部活動の不満を言っていると知りました。
Aさんは内心穏やかでなかったものの気にしないようにしようとしていました。
しかし、Vさんに触発されて部活動をやめると言い出す後輩が複数で現れ柔道部が存続の危機になってしまったので、Vが諸悪の根源と考え、Vに電話で「お前好き勝手言っとるみたいやのう。柔道部全員で殺しに行くから待っとけ」と言ってしまいました。
怖くなったVは、両親と連絡し被害届を警察に提出することにしました。
後日、Aさんは警察に逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
前編では脅迫罪の成否についてを、後編では暴力行為等処罰法の成否について解説します。

脅迫罪について

刑法221条1項(出典/e-GOV法令検索)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

本件では、Aさんは、全国大会優勝に向けて柔道部の主将として部活を引っ張っていたところ、後輩の1人であるVさんが退部し柔道部の悪口を吹聴した結果、柔道部が存続の危機になったようです。
大事な柔道部がVさんによって存続の危機に晒されたと考えたAさんは、Vさんに対し「柔道部全員で殺す」と言ってしまったようなので、脅迫罪が成立する可能性があります。

脅迫罪における脅迫とは、一般人を畏怖させるに足りる害悪を告知することを言います。
Aさんは、Vさんを殺してやると言っています。
これは、生命に対する害悪の告知と言えます。
一般に殺してやると言われれば恐怖を感じるでしょうから、本件では脅迫罪が成立する可能性があります。

本件では、VさんはAさんに殺すと言われ怖くなって両親に相談したようです。
仮に、Vさんが非常に強くて、Aさんをはじめとする柔道部員全員と戦っても勝てるから怖くないと考えていた場合にも脅迫罪は成立するのでしょうか?
この点について、判例は、脅迫を受けたものが現実に畏怖したことは必ずしも必要ではなく、一般人を畏怖させることができる程度の害悪の告知を、被害者が認識しさえばよいとしています(大判明治43年11月15日)。
したがって、Vさんがものすごく強くてAさんの発言に対し恐怖を感じていなかったとしても、そのことを理由に脅迫罪の成立は妨げられません。

弁護士に相談を

本件のように被害者のいる犯罪では、示談を成立させることが非常に重要となります。
早い段階で示談が成立すれば、起訴猶予による不起訴処分となるかもしれません。
仮に起訴されたとしても、量刑が、示談が成立していることを踏まえて軽くなる可能性もあるからです。

もっとも、加害者自ら示談交渉のため被害者と連絡を取ろうとするのはおすすめできません。
本件では、Aさんから殺すと言われて怖い思いをしたVさんは、たとえAさんが反省し謝罪したと思っていたとしても、Aさんとは一切連絡を取りたくないと思うかもしれません。

そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者本人とやりとりすることを強い嫌う被害者であっても、弁護士相手であれば交渉に応じてくれることは少なくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、脅迫事件、暴力行為等処罰法違反事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
ご家族が脅迫罪や暴力行為等処罰法違反で警察に逮捕されてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
無料法律相談、初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。