【ひな形付き】傷害事件における示談書の書き方は?自分で作成できる?

公開日:2026-08-28

傷害事件を起こしてしまった——。相手方への謝罪をどう形にすればいいのか、頭を抱えていませんか?

「示談書を作成しなければならないはわかっている。でも、何をどう書けばいいのか、まったく見当がつかない」と悩んでいませんか?法律の知識がなければ、示談書を作成する事は難しく感じられるものです。

示談書は記載書式や記載内容が法律で定まっているわけではなく、一定の項目を押さえれば当事者間で作成することも可能です。ただし、書き方を誤ると後々大きなトラブルに発展するリスクがあるので注意してください。

この記事では、傷害事件の示談書に必要な記載項目をひな形とともに丁寧に解説します。作成時の注意点や弁護士に依頼するメリットまでまとめているので、ぜひ最後までお読みください。

傷害事件における示談書の効力

示談書とは、当事者間で合意した解決内容を文書にしたものです。 傷害事件の示談書は、事件の内容と、その事件の当事者(被害者と加害者)を明らかにした上で、加害者の謝罪や、加害者から被害者に支払われる示談金の金額、双方に課せられた約束事を記載するのが一般的で、中には被害者の宥恕の意思が記載されることもあります。

示談書が持つ効力は大きく二つあります。一つは民事上の解決、もう一つは刑事手続きへの影響です。清算条項(民事上の紛争を解決する条項)のある示談を締結していれば、被害者は、原則として損害賠償請求権を行使しないことになります。また、宥恕条項(被害者が加害者を許し刑事責任を追及しない旨の条項)のある示談を締結していれば、検察官の起訴・不起訴の判断や、裁判官の量刑に大きな影響を及ぼします。

ただし、示談書はあくまで私文書です。合意内容を守らなかった場合に自動的に強制執行できるわけではありません。確実に法的拘束力を持たせたい場合は、公証役場で「公正証書」として作成することが有効です。示談書の効力を正しく理解したうえで、適切な内容で作成することが大切です。

示談書は自分で作成できる?

結論から言えば、示談書は当事者が自分で作成することも可能です。冒頭で説明したように、 示談書は、記載書式や記載内容が法律で定まっているわけではなく、合意内容が明確に記載されていれば、法的に有効な書類として扱われます。

では、なぜ「自分で作るのは危険」と言われるのでしょうか。

法律知識のないまま示談書を作成すると、記載内容が曖昧だったり、重要な条項が抜けていたりするリスクが高くなります。 特に清算条項や宥恕条項は、将来の紛争を防ぐうえで欠かせない条項です。これらが不十分だと、示談成立後に、追加で慰謝料を請求されたり、示談の成立が刑事手続きに十分に反映されず、厳しい刑事罰が科せられる可能性があります。

また、示談金の相場を知らないまま交渉すると、適正額よりも大幅に高い金額で合意してしまったり、逆に安すぎる示談金を提示して被害者感情を高めてしまう場合もあります。「自分で作成できる」と「適切に作成できる」は別の話ですので、示談書の作成は弁護士に依頼することをお勧めします。仮に、自分で作成する際は、次章で解説する記載項目を漏れなく盛り込むように注意しましょう。

傷害事件における示談書の書き方

傷害事件の示談書には、決まった書式はありませんが、盛り込むべき項目には一定のルールがあります。 以下では、各項目の意味と書き方のポイントを解説します。

事件概要

示談書の冒頭には、どの事件に関する示談書なのかを明確にする必要があります。最低でも、事件の発生日・発生場所・事件の当事者(加害者と被害者)・事件内容を記載する必要があります。

記載例を示すと、次のようになります。

【記載例】
甲(加害者)は、〇〇年〇月〇日、〇〇市〇〇町〇丁目付近において、乙(被害者)に対して暴行を加え、全治〇週間の傷害を負わせた(以下「本件事件」という)。

事件概要を明確にしておくことで、示談書がどの事件に関するものかが一目でわかるようになります。これは後日「別の事件の話だった」というような主張を防ぐためにも重要な記載です。

被害者への謝罪

示談書には、加害者が事件を起こしたことを認め、被害者に対して真摯に謝罪する旨を記載します。謝罪の文言は、単なる形式ではありません。加害者側の反省の意を文書として残すことで、被害者の精神的な区切りにもなります。

【記載例】
甲は、本事件を起こしたことを認め、乙に対して多大な苦痛と損害を与えたことを深く反省し、謝罪する。

謝罪条項が示談書にあることは、刑事手続きにおいて、加害者が犯行を認めて反省していることを示す証拠にもなります。簡潔でも誠実な表現を心がけましょう。

ここで、注意しなければいけないのは、刑事手続きにおいては犯行を否認しているが、被害者に対して謝罪や賠償の意思がある場合です。例えば、被害者に怪我をさせた事実は認めているが、故意的にさせたのではない(暴行の故意がない)時です。この場合、示談書に「本事件を起こしたことを認め」と記載してしまうと、犯行を認めたと捉えかねないので、どういった表現をするかは弁護士に相談する必要があります。

誓約内容

示談書には、再発防止等のための誓約事項を盛り込みます。被害者が最も不安を感じるのは、「また同じことが起きるのではないか」「犯人と偶然にもどこかで出会ってしまうのではないか」という恐怖です。誓約内容を明記することで、被害者の不安を和らげる効果があります。

具体的には、以下のような内容を記載します。

違約金の設定は誓約の実効性を高めるうえで重要なポイントです。金額の相場は事案によって異なるため、弁護士に確認することが望ましいといえます。

また「事件のことを誰にも知られたくない。」「示談したことを誰にも知られたくない。」という思いは、被害者だけでなく、加害者も同じではないでしょうか。そんな時は示談書の中に口外禁止事項を盛り込まなければなりません。

口外禁止事項とは、事件の内容や示談を締結した事実、また示談の内容の一切を正当な理由なく第三者に口外しないという約束です。インターネットが発展し、SNSなどを通じて情報が世界中に拡散される昨今では、平穏な日常を取り戻すために、被害者にとっても、加害者にとっても示談書に口外禁止事項を盛り込むことは必要不可欠かと思われます。

示談金の支払い内容

示談金は、被害者が被った損害に対する補償です。示談書には、示談金の金額・支払い方法・支払い期限を明確に記載します。

【記載例】
甲は乙に対し、本件事件の解決金(示談金)として金〇〇万円を、〇〇年〇月〇日までに、乙の指定する銀行口座に振り込む方法で支払う。

「後で払う」という口約束だけでは、支払いが滞った場合に法的手段を取ることが難しくなります。振込先口座・期日・金額を必ず明記しておかなければなりません

清算条項

清算条項とは、「この示談書に記載した内容以外に、当事者間に債権債務は一切ない」ことを確認する条項です。この条項があることで、示談成立後に「やはり追加の慰謝料を請求する」という主張を防ぐことができます。

【記載例】
甲と乙は、本件事件に関し、本示談書に定めるもののほか、互いに何らの債権債務がないことを確認する。

清算条項は、示談書の中でも特に重要な条項の一つです。この記載がないと示談の「終わり」が曖昧になり、後々のトラブルの原因になります。必ず記載しましょう。

宥恕条項

宥恕(ゆうじょ)とは、「被害者が加害者の行為を許す」という意思表示のことです。これを示談書に盛り込むことで、刑事処分において加害者にとって有利に働く可能性が非常に高くなります。

【記載例】
乙は、甲の本件行為を宥恕し、甲の処罰を望まない。

宥恕の意思が示されることで、検察官が不起訴処分を判断する際の考慮要素の一つになりえます、宥恕があるからといって必ず不起訴になるわけではありません。あくまでも「有利な事情の一つ」として位置づけることが大切です。

【例】傷害事件における示談書テンプレート

ここで傷害事件における示談書のひな形を掲載します。示談書を作成する機会がある場合には参考にしてください。

当事者間での示談は危険?

傷害事件では、加害者と被害者が直接示談交渉を行うケースもあります。しかし、当事者同士での交渉には、さまざまなリスクが潜んでいます。 トラブルを避けるためにも、その危険性を事前に理解しておきましょう。

被害者が示談交渉に応じてくれない

加害者が直接被害者に連絡を取ろうとしても、被害者が交渉自体を拒絶するケースは珍しくありません。 傷害事件の被害者は、加害者に対して強い怒りや恐怖心を抱いていることがほとんどです。加害者から直接連絡が来ること自体が、被害者にとって精神的な苦痛になる場合もあります。

最悪の場合、連絡を取ること自体が「つきまとい」や「脅迫」と受け取られ、新たな問題に発展するリスクもあります。被害者が示談に応じる意思があったとしても、加害者本人から直接アプローチすることで感情的なもつれが生じ、かえって交渉が難航することも少なくありません。

事件とは別のトラブルに発展するおそれも

示談交渉に慣れていない者同士が直接交渉すると、感情的になりやすく、冷静な話し合いが難しくなります。 被害者から「相場を大幅に上回る示談金」を要求されても、断り方がわからずに応じてしまうケースもあります。

また、交渉の過程で言った・言わないの水掛け論になり、示談が成立したかどうかすら曖昧になってしまうこともあります。書面化がなされていなければ、口頭での合意は後から否定されるリスクがあります。示談書の内容が不完全であれば、清算条項の欠落によって追加請求が繰り返される事態にもなりかねません。

傷害事件の示談で弁護士に依頼するメリット

傷害事件で示談を進める場合、弁護士に依頼することで交渉のストレスを大幅に減らすことができ、様々なトラブルを回避することができます。 具体的にどのようなメリットがあるのか、以下で詳しく解説します。

代理人弁護士として被害者と示談交渉できる

弁護士に依頼すれば、加害者本人の代わりに弁護士が被害者と交渉を行います。 被害者側も、直接加害者と話すよりも弁護士を通じた交渉のほうが心理的負担が少なく、交渉に応じやすくなるケースが多いです。

加害者本人が直接コンタクトを取ることで生じる二次トラブルを防ぎながら、円滑に示談交渉を進められる点が最大のメリットといえます。また、弁護士が窓口になることで、交渉内容の記録も適切に管理されます。被害者が「やっぱり示談をなかったことにしたい」と主張した場合にも、合意内容を証拠として対応できます。

適切な内容で示談書を作成できる

法律の専門家である弁護士は、事案の内容に応じた適正な示談金の相場を把握しています。 相場を知らないまま交渉に臨むと、必要以上に高額な示談金で合意させられたり、安い金額を提示することで被害者の怒りを買う可能性がありますが、弁護士が代わりに交渉することで、適切な金額での解決が期待できます。

また、示談書の作成においても、清算条項・誓約内容・宥恕条項などの必要事項を漏れなく盛り込んだ書類を作成してもらえます。後日トラブルが発生した場合にも、法的に有効な書面として活用できる示談書を整えることができます。「書類を作ったのに後でもめた」という事態を防ぐためにも、専門家の関与は心強い存在です。

【事務所紹介】傷害事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の弁護活動を中心に取り扱う法律事務所です。

刑事事件・少年事件は一般の民事事件や行政事件とは内容や担当機関が大きく異なっているため、刑事事件・少年事件の専門知識と弁護活動が必要になります。

弊所は刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を扱う実績豊富な弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、丁寧に対応致します。

弊所の特徴①:24時間無料法律相談受付

弊所では初回の法律相談を無料でご案内しています。ご予約の際は弊所フリーダイヤルにてお待ちしております。

なおフリーダイヤルについては、日中は仕事をしているので夜や早朝しか電話する時間がないといった方でもご安心してご利用いただけるよう24時間年中無休で対応中。ご心配な方は何時でもお気軽にお電話ください。

弊所の特徴②:安心の即日・迅速対応

北は北海道の札幌、南は九州の福岡まで、全国の主要都市12か所に事務所を設けており、日本全国に対応している点も弊所の強みです。

法律相談についてはお客様のご希望の日時でご予約が可能、また弁護士を派遣する初回接見サービスについてはご予約いただいて、最短当日に弁護士を派遣することができます。

今すぐ相談したい、今すぐ活動を開始して欲しいという方のご希望に応えることができる体制を整えておりますのでご安心してご相談ください。

弊所の特徴③:刑事事件に強い弁護士が多数在籍

弊所は開設して10年以上、刑事事件を主に扱っている法律事務所です。

傷害事件のような被害者の存在する事件においては、被害者と示談することができるかどうかが、その後の刑事処分に絶大な影響を及ぼしますが、弊所では、刑事事件における示談の経験が豊富な弁護士による活動をお約束することができます。

刑事事件の弁護活動を熟知した弁護士による、弁護活動を受けることで、きっとご安心していただくことができるでしょう。

弊所の特徴④:安心明確な料金体系

ご契約前に、着手金、報酬金、実費日当等の弁護士費用について明確にし、お客様に納得していただけるまで丁寧に説明させていただいております。

また、弁護士費用についてお客様が不安を感じないように、契約書に弁護士費用一覧表を添付させていただいております。

料金詳細については弊所HPをご覧ください▼

料金表 

【事例紹介】示談が成立した傷害事件を紹介

ここでは実際に事務所が依頼を受けた傷害事件で、どのような弁護活動を行ったか紹介します。

事例①:示談成立+不起訴処分を獲得

酒に酔った状態で、路上においてたまたま居合わせた全く面識のない女性に対し暴行を加え、女性に全治2週間の傷害を負わせたというケースです。犯行直後、女性の通報によって駆け付けた警察官によって現行犯逮捕されています。

選任された弁護士はすぐに被害女性との示談交渉を開始したのですが、当初、被害女性は被害にあったことへの恐怖と、加害者への怒りから示談について難色を示していました。しかし弁護士が粘り強く交渉を重ねたことから最終的に宥恕条項のある示談を締結することができ、男性は不起訴となって釈放されました。

事例②:示談成立+不起訴処分を獲得

知り合いの女性(被害者)と金銭トラブルになった男性は、口論中に感情的になってしまい、被害女性に対して蹴る等の暴行を加えて軽傷を負わせたというケースです。被害女性が警察に被害を訴える意思を示したことから、男性は事件化する前に弁護士を選任し女性との示談を希望しました。

選任された弁護士は、女性が警察に被害を訴える前に示談交渉を開始し、示談金の金額だけでなく、様々な条件を盛り込んだ示談を提案しました。その結果、わずか1週間で示談を締結することができたのです。

示談書には宥恕条項(被害女性が警察に被害を訴えない旨)を盛り込むことができたため、今回の事件は警察沙汰になることなく無事解決することができました。

【お客様の声】ご依頼者様から頂いた感謝のお手紙

実際にご依頼者様から頂いた感謝の手紙をご紹介します。
※解決実績とお客様の声は必ずしも同じ事件とは限りません。

傷害事件で示談書の作成にお困りの方は弁護士へ

自分の起こしてしまった傷害事件を、大事にならないように解決に導くには、事件概要・謝罪・誓約(口外禁止事項を含む)・示談金・清算条項・宥恕条項等項目を盛り込んだ示談書を作成することが重要です。示談書の書式が法律で定められているわけではありませんが、事件を円満に解決するには法的知識が豊富な弁護士に示談書の作成を依頼するのがベストでしょう。

当事者同士での示談交渉は、被害者が応じてくれないリスクや、別のトラブルに発展するリスクを伴います。感情的になりやすい状況だからこそ、冷静かつ適切に交渉を進められる弁護士のサポートが心強い選択肢となるのです

示談書の作成や示談交渉でお困りの方は、まず弁護士に相談することをお勧めします。初回相談を無料で受け付けている法律事務所も多いため、一人で抱え込まずに専門家の力を借りることを検討してみてください。