傷害罪で被害者が示談に応じない場合の対処法は?示談しないと起訴される?

傷害事件を起こしてしまった——。そんな状況で、まず頭に浮かぶのが「示談」という選択肢ではないでしょうか。
被害者に謝罪したい、早期に解決したい、そう思っているのに「被害者が示談に応じてくれない」という壁にぶつかって困っていませんか。どうすれば示談に応じてもらえるのか、このまま示談できなければ起訴されてしまうのか——不安は尽きません。
しかし、被害者が示談に応じないからといって必ずしも起訴されるわけではありません。ただし、示談の成否は処分の結果に大きく影響するのも事実です。
この記事では、傷害罪で被害者が示談に応じない場合のリスク・理由・対処法を順番に解説します。早期解決を目指す方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
傷害罪で不起訴を目指すには示談が重要
傷害罪において、示談の成立は不起訴処分を得るうえで非常に強力な材料になります。なぜなら、検察官が起訴・不起訴を判断する際、被害者との関係修復や被害回復の有無を重視するからです。示談が成立していれば、「被害者が許した」という事実が加害者に有利に働きます。
一方で、示談はあくまでも判断材料のひとつにすぎません。示談さえ成立すれば必ず不起訴になるわけではなく、傷害の程度・前科の有無・事件の経緯なども総合的に考慮されます。それでも、示談の成立が不起訴の可能性を大きく引き上げるのは間違いありません。
示談は単なる金銭的な解決手段ではなく、被害者への誠実な謝罪と被害回復の意思を示す行為でもあります。被害者の感情に寄り添いながら丁寧に交渉することが、示談成立への近道です。
傷害罪は被害者が示談に応じないと起訴される?
被害者が示談に応じなければ必ず起訴されるのか——この点が最も気になるところでしょう。結論からいえば、示談不成立=起訴確定ではありません。示談の有無は検察官の判断に影響しますが、それだけで起訴・不起訴が決まるわけではありません。
傷害の軽重、加害者の反省の程度、事件の背景など、さまざまな要素が考慮されます。ただし、示談が成立していない場合は不起訴の可能性が下がるのも事実であり、できる限り示談成立を目指す努力を続けることが大切です。
傷害罪の起訴率
傷害罪の起訴率について、法務省の統計データを参照すると実態が見えてきます。
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年度 |
起訴人員 |
不起訴人員 |
起訴率(概算) |
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令和5年 |
約10,000人 |
約24,000人 |
約30% |
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令和6年 |
約10,000人 |
約25,000人 |
約29% |
この数字からわかるのは、傷害罪であっても約70%が不起訴になっているという事実です。示談の成否に加え、前述のとおり複数の要素が考慮された結果といえます。
傷害罪で被害者が示談に応じない場合のリスク
示談が成立しない状況には、いくつかの現実的なリスクが伴います。「どうせ無理だ」とあきらめるのではなく、リスクを正しく理解したうえで対策を講じることが大切です。
起訴される可能性が高まる
示談が成立していない場合、検察官に対して「被害者の処罰感情が解消されていない」という印象を与えてしまいます。その結果、不起訴の可能性が相対的に低くなります。
刑事手続において、被害者の意思は大きな比重を持ちます。被害者が「厳しく処罰してほしい」と申告した場合、検察官がその意向を無視するのは難しい状況です。特に傷害の程度が重い場合や、被害者が強く処罰を望んでいる場合には、起訴に踏み切られるリスクが高まります。
示談交渉を放棄せず、弁護士を通じて粘り強く交渉を続けることが、起訴リスクを下げる現実的な手段です。
後に民事訴訟を起こされる可能性がある
示談が成立しないまま刑事手続が終了した場合、被害者が民事訴訟で損害賠償を請求してくる可能性があります。
示談が成立すれば通常「民事上の請求は行わない」という条項が盛り込まれます。しかし示談がなければその合意がないため、後から民事で慰謝料・治療費・逸失利益などを請求される可能性は十分にあります。
刑事処分を受けた後にさらに民事訴訟で争うのは、時間的にも精神的にも大きな負担です。示談は民事上のリスクを同時に解消するためにも、早期に対応することが望ましいでしょう。
傷害罪で被害者が示談に応じない理由
被害者が示談を断る背景には、必ず何らかの理由があります。その理由を理解せずに交渉を続けても、状況は改善しません。まずは被害者の立場に立って考えてみましょう。
加害者に対する処罰感情が強い
傷害被害を受けた方は、恐怖・怒り・精神的苦痛といった強い感情を抱いていることが多いです。「お金で解決したくない」「きちんと刑事罰を受けてほしい」という思いが、示談拒否につながるケースは珍しくありません。
被害者にとって示談は「加害者を許すこと」に感じられる場合もあります。そのため、いくら誠実に交渉しようとしても、感情的な壁が立ちはだかることがあります。
このような場合に有効なのが、弁護士を通じた丁寧な謝罪と交渉です。直接のやり取りでは感情的になりやすい場面でも、第三者である弁護士が間に入ることで、冷静な対話が生まれやすくなります。
示談金・示談内容に納得していない
提示した示談金額が低すぎる、謝罪文の内容が不十分、示談条件に納得できない——そうした理由で示談を断るケースも多いです。
被害者にとって示談金は、被った損害や苦痛への補償です。加害者側が一方的に決めた金額では、納得感が得られないのは当然といえます。また、「再発防止の約束がない」「謝罪の誠意が感じられない」といった内容面での不満も示談拒否の原因になります。
この場合は、被害者の意見をしっかり聞き、示談金額や内容を見直すことで、合意に至る可能性が出てきます。
傷害罪で被害者が示談に応じない場合の対処法
被害者が示談に応じてくれないとき、何もできないわけではありません。適切な対処を取ることで状況が好転する場合があります。主な対処法を3つ紹介します。
弁護士に弁護活動を依頼する
当事者同士での交渉は、感情的な対立を生みやすいです。被害者が加害者からの直接連絡を拒否しているケースも多くあります。そこで有効なのが、刑事弁護の経験豊富な弁護士への依頼です。
弁護士が間に入ることで、被害者が冷静に話を聞いてくれる環境が整いやすくなります。「弁護士からの連絡なら話を聞く」という被害者は少なくありません。弁護士は交渉のプロとして、被害者の感情を尊重しながら合意形成を目指します。
示談金・示談内容を見直す
示談に応じない理由が金額や内容への不満にある場合、まずは被害者の主張をしっかりと聞くことが先決です。被害者が何に不満を感じているのかを把握し、それに応じた修正を加えることで、交渉が前進する可能性があります。
示談金額を増額する、謝罪文をより丁寧な内容に改める、再発防止の誓約を盛り込む——こうした対応が、被害者の翻意につながることもあります。金額だけでなく、内容全体を見直す視点が大切です。
別の手段で反省を示す
どうしても被害者が示談に応じない場合でも、まだ手段はあります。供託と贖罪寄付の2つが代表的な方法です。
供託とは、示談金相当の金額を法務局に預ける手続きのことです。被害者が受け取りを拒否していても、加害者側が「賠償の意思と能力がある」ことを示す証拠になります。
贖罪寄付とは、法テラス等の公的な機関・団体などに寄付を行うことで被害者への謝罪・反省の気持ちを間接的に表明する方法です。これらは検察官や裁判官に対して、加害者の反省の深さを伝える重要な材料となります。
被害者が示談拒否した場合に弁護士に依頼するメリット
示談交渉を弁護士に任せることには、複数の具体的なメリットがあります。「自分でやってみたが断られた」という場合でも、弁護士の介入で状況が変わることは十分ありえます。
弁護士として被害者と示談交渉できる
弁護士が交渉することで、被害者が話し合いのテーブルに着きやすくなります。加害者本人からの連絡は拒絶していた被害者が、弁護士からのアプローチには応じるケースは実際に多くあります。
弁護士は法的な説明を丁寧に行いながら、被害者の権利や利益を尊重した交渉を進めます。感情的にならず、専門家として誠実に対応することで、被害者の心理的な壁が下がっていきます。
適切な金額・内容で示談できる
示談交渉を素人が行うと、金額の設定や条件の文言に問題が生じることがあります。低すぎる金額は被害者の感情を逆なですることもあります。弁護士は傷害の程度・治療費・精神的損害などを踏まえた適切な示談金額を算定できます。
また、示談書の内容も重要です。「清算条項」「口外禁止条項」「宥恕条項(ゆうじょじょうこう)」など、必要な条項を正確に盛り込むことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
供託・贖罪寄付といった別の手段を提案できる
示談が成立しない場合の代替手段として、弁護士は供託や贖罪寄付といった方法を適切なタイミングで提案してくれます。どの手段が最も有効かは状況によって異なるため、専門家の判断が欠かせません。
これらの手段を活用することで、示談が成立しなかった場合でも「被害者への誠意ある対応をした」という事実を刑事手続の中で示すことができます。検察官・裁判官に対して、加害者の反省の深さを伝える重要な材料となります。
【事務所紹介】傷害事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の弁護活動を中心に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件は一般の民事事件や行政事件とは内容や担当機関が大きく異なっているため、刑事事件・少年事件の専門知識と弁護活動が必要になります。
弊所は刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を扱う実績豊富な弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、丁寧に対応致します。
弊所の特徴①:24時間無料法律相談受付
弊所では初回の法律相談を無料でご案内しています。ご予約の際は弊所フリーダイヤルにてお待ちしております。
なおフリーダイヤルについては、日中は仕事をしているので夜や早朝しか電話する時間がないといった方でもご安心してご利用いただけるよう24時間年中無休で対応中。ご心配な方は何時でもお気軽にお電話ください。
弊所の特徴②:安心の即日・迅速対応
北は北海道の札幌、南は九州の福岡まで、全国の主要都市12か所に事務所を設けており、日本全国に対応している点も弊所の強みです。
法律相談についてはお客様のご希望の日時でご予約が可能、また弁護士を派遣する初回接見サービスについてはご予約いただいて、最短当日に弁護士を派遣することができます。
今すぐ相談したい、今すぐ活動を開始して欲しいという方のご希望に応えることができる体制を整えておりますのでご安心してご相談ください。
弊所の特徴③:刑事事件に強い弁護士が多数在籍
弊所は開設して10年以上、刑事事件を主に扱っている法律事務所です。
傷害事件のような被害者の存在する事件においては、被害者と示談することができるかどうかが、その後の刑事処分に絶大な影響を及ぼしますが、弊所では、刑事事件における示談の経験が豊富な弁護士による活動をお約束することができます。
刑事事件の弁護活動を熟知した弁護士による、弁護活動を受けることで、きっとご安心していただくことができるでしょう。
弊所の特徴④:安心明確な料金体系
ご契約前に、着手金、報酬金、実費日当等の弁護士費用について明確にし、お客様に納得していただけるまで丁寧に説明させていただいております。
また、弁護士費用についてお客様が不安を感じないように、契約書に弁護士費用一覧表を添付させていただいております。
料金詳細については弊所HPをご覧ください▼
【事例紹介】示談が成立した傷害事件を紹介
ここでは実際に事務所が依頼を受けた傷害事件で、どのような弁護活動を行ったか紹介します。
事例①:飲食店の従業員に対する傷害事件
飲食店に行った際に、従業員の態度に腹を立てて足を蹴ったり頭を殴ったりしたというケースです。店側が警察に通報し、現場に駆け付けた警察官によって傷害罪で現行犯逮捕されました。
逮捕されたことを知った家族から弊所に依頼があり、担当弁護士は早急に被害者である従業員の方との示談交渉を進めました。弁護士から飲食店に連絡を取り、治療費の支払いや店を出入り禁止とする誓約を付けることで、無事に示談が成立しました。
示談成立後すぐに検察へ示談成立を報告してからしばらくして、起訴しないと検察から報告があり、不起訴処分として事件を終えることができました。
事例②:婚約者に対する傷害事件
婚約者との今後の相談で意見が合わず、口論の末に相手を殴ってしまったというケースです。その後、婚約者が警察に通報したため、逮捕されました。
逮捕されたことを知った家族から依頼を受け、担当弁護士は被害者である婚約者に連絡を取り、示談交渉を行うことにしました。しかし、婚約者は示談に否定的だったため、相手の心情を汲み取りながら誠意を持ってい交渉を進めていった結果、示談に応じてもらうことができ、最終的に示談締結に至りました。
検察に示談締結を報告したところ、数日後に不起訴処分が決定されて無事に事件は終了となりました。
【お客様の声】ご依頼者様から頂いた感謝のお手紙
実際にご依頼者様から頂いた感謝の手紙をご紹介します。
※解決実績とお客様の声は必ずしも同じ事件とは限りません。


傷害罪で被害者が示談に応じない場合は弁護士へ相談を
この記事では、傷害罪で被害者が示談に応じない場合のリスク・理由・対処法を解説しました。
改めてポイントを整理します。
- 示談不成立でも必ず起訴されるわけではないが、起訴リスクが高まるのは事実
- 示談が成立しなければ、後から民事訴訟で損害賠償を請求される可能性がある
- 被害者が示談に応じない背景には、処罰感情の強さや示談内容への不満等がある
- 対処法として、弁護士への依頼・示談内容の見直し・供託や贖罪寄付が有効
示談交渉は、知識と経験が求められる専門的な作業です。特に被害者の感情が激しい事件では、一般の方が単独で対応するのは難しい状況です。
早期に刑事弁護の経験を持つ弁護士に相談することが、最も確実な解決への道です。「もう無理かもしれない」とあきらめる前に、まず専門家に状況を話してみてください。