傷害事件で示談金が払えない場合はどうなる?払えない場合の対処法は?

公開日:2026-09-11

傷害事件を起こした場合、被害者と示談を成立させることは不起訴を獲得する上で重要なポイントになります。

しかし、被害者側から提示された示談金が高額で払えない場合や、そもそも示談金を払えるほどの資力がない場合もあります。示談金を払えないことで有罪になってしまうのではないかと心配な方もいるのではないでしょうか。

本記事では、傷害事件で示談金が払えない場合に起こり得るリスクについて解説していきます。示談金が支払えない場合の対処法や弁護士に示談交渉を依頼するメリットについても解説していくので、お困りの方はぜひ参考にしてください。

傷害事件における示談金の相場

傷害事件を解決するための「示談金」については、まずは傷害事件において認められるべき賠償金を基に決められます。

賠償金の額については様々な判断要素により判断され、その額は個別の事案によって変わりますので傷害事件の示談金には「この金額が正解」という絶対的な基準はありません。被害者が負った怪我の程度などによって、当該事件において相当な賠償金の額や示談金の額は変わってくるでしょう。

怪我の重さは大きく「軽傷」と「重傷」に分けて考えると整理しやすくなります。

軽傷とは打撲・擦り傷など、通院が数回程度で済む怪我のこと。重症とは骨折など長期間の通院や入院が必要な怪我、後遺症が残るような怪我のことをいい、軽傷よりも示談金が高額になることが一般的です。

事件の態様や被害結果、加害者の謝罪の姿勢、被害者の精神的苦痛の程度など、さまざまな要因が被害者側から提示される示談金の金額に影響します。適正な金額での示談を行うためには弁護士に相談するのが望ましいといえるでしょう。

傷害事件における示談金の内訳

示談金はひとつの費目から成り立っているわけではありません。複数の損害費目を積み上げた合計額が、相当な賠償額となりそれを基に示談金の提示額となることが一般的です。

内訳を正確に理解していないと、交渉の場で「なぜこの金額なのか」が説明できず、話し合いが難航する恐れがあります。以下の3つが主な構成要素です。

治療費・入院費等

怪我の治療にかかった費用は、示談金の中でも最も基本的な項目です。

通院にかかる診察費・薬代はもちろん、入院が伴う場合は入院費用も含まれます。また、通院のための交通費(電車・タクシー代など)も実費として請求対象になるのが一般的です。

治療が長引けば長引くほど、この費目は膨らみます。骨折で数か月にわたるリハビリが必要なケースでは、治療費だけで数十万円に達することもあります。被害者が実際に支払ったレシートや領収書をもとに算定されるため、おおむね客観的な金額が示されます。

休業損害(休業補償)

怪我によって仕事を休まざるを得なかった場合、その期間に得られなかった収入を補填する費目が休業損害です。

たとえば、骨折で2か月間仕事ができなかった場合、その間の給与相当額が賠償金に上乗せされます。会社員であれば給与明細、自営業者であれば確定申告書などをもとに金額が計算されます。

注意したいのは、被害者の職業や収入が高いほど、休業損害の額も大きくなるという点です。同じ怪我でも、日当の高い職種の被害者であれば、示談金全体が跳ね上がることがあります。

慰謝料(迷惑料・謝罪金等)

事件によって被害者が受けた精神的苦痛に対して支払う費目が慰謝料です。迷惑料・謝罪金と呼ばれることもあります。また通院や入院期間に対して発生する慰謝料もあります。

治療費や休業損害と違い、「いくらが妥当か」を数字で示しにくい項目です。そのため、被害者の感情や事件の悪質性が金額に反映されやすく、交渉が難航しやすい費目でもあります。

被害者が深く傷ついている場合や、暴行の態様が悪質だった場合には、慰謝料の要求額が相場を大きく上回ることもあります。示談交渉では、この慰謝料の部分をめぐって被害者側と加害者側の対立が起こることがしばしばあります。

※上記以外にも事案によっては後遺障害による逸失利益(消極損害)など問題となる損害費目はあります。事案に応じて問題になる費目は様々ですので傷害事件(特に被害結果が重傷である事件)については早急に弁護士に相談することをお勧めします。

傷害事件で示談金が払えない場合はどうなる?

「払えない」という事実を伝えるだけでは、問題は解決しません。示談が成立しないまま放置すると、加害者にとって深刻なリスクが生じます。

では、具体的にどんな事態が起こり得るのか。大きく分けて2つのリスクがあります。

起訴されるリスクが高まる

示談が成立しているかどうかは、検察官が起訴・不起訴を判断する際の重要な考慮要素のひとつです。

示談が成立すれば、「被害者との間で解決済み」として不起訴処分になる可能性が高まります。逆に、示談が成立しない場合は、「被害者の処罰感情が残っている」と判断され、起訴となる可能性が上がります。

起訴されれば刑事裁判に発展し、有罪判決が下れば前科がつきます。傷害罪の法定刑は「15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」(刑法第204条)と定められており、事案の重さによっては実刑となるケースもあります。示談金を払えないことが、有罪判決という形で人生に影響を与えるリスクがあることを理解しておきましょう。

被害者が民事訴訟を起こす可能性が高まる

示談が成立しなければ、被害者は民事訴訟という手段を取ることができます。

民事訴訟では、裁判所が損害賠償額を決定します。示談交渉であれば交渉の余地があった金額も、裁判では判決として確定してしまうため、一方的に支払いを命じられるリスクがあります。

さらに、裁判で敗訴した場合、給与や銀行口座への強制執行(差し押さえ)が行われる可能性もあります。示談交渉の段階で話し合いにより解決できていれば避けられた事態が、訴訟に発展することで回避困難となるケースも考えられます。

傷害事件で示談金が払えない場合の対処法

示談金が払えない状況でも、「何もできない」ということはありません。被害者との話し合いの中で、現実的な解決策を模索することが大切です。

ただし、交渉の仕方を誤ると被害者の感情を逆なでし、かえって話がこじれる恐れがあります。慎重かつ誠実な姿勢で臨みましょう。

分割での支払いを提示する

一括での支払いが難しい場合、分割払いを提案するという方法があります。

たとえば「月々〇万円ずつ支払う」という形で支払い計画を提示し、被害者に同意してもらえれば、示談を成立させることが可能です。

ただし、分割払いには被害者の同意が必要です。被害者側が「分割では困る」と拒否する権利もあるため、必ずしも認めてもらえるとは限りません。

また、分割払いの示談は、一括払いの示談と比べて「示談としての効果が弱まる」と評価されるケースもあるため注意が必要です。具体的には、不起訴処分への影響力が一括払いよりも低くなる可能性があります。誠意を示す意味でも、できる限り早期に、できる限り多くの金額を支払う姿勢を見せることが大切です。

払える限度での示談金を提示する

もうひとつの方法は、現在の資力で払える範囲の金額を誠実に提示し、減額交渉を行うことです。

被害者から高額な示談金を求められている場合でも、「この金額しか用意できない」という現状を正直に伝え、理解を求めることは決して不誠実ではありません。

ただし、交渉の仕方には細心の注意が必要です。「この金額しか払えない」と一方的に告げると、被害者の感情を逆なでし、交渉が決裂するリスクがあります。謝罪の気持ちを前面に出しながら、丁寧かつ誠実に事情を説明することが求められます。

こうした繊細な交渉は、素人が単独で行うのは難しいのが実情です。弁護士に示談交渉を依頼することを強くお勧めします。

示談金が払えない場合に弁護士に相談するメリット

示談交渉は、感情が絡む難しい場面です。加害者が直接被害者と話し合おうとすると、感情的になりやすく、かえって関係を悪化させることも少なくありません。

弁護士に依頼することで、交渉がスムーズに進む可能性が高まります。具体的なメリットを見ていきましょう。

代理人弁護士として被害者と示談交渉できる

弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として被害者側と交渉を進めます。

加害者本人が被害者に直接連絡を取ることは、場合によっては被害者にとって大きなストレスや恐怖になります。弁護士が間に入ることで、被害者に余計な負担をかけずに話し合いを進められるというメリットがあります。

また、弁護士は交渉のプロです。感情的になりやすい場面でも冷静に対応し、双方が納得できる着地点を探ることができます。加害者が「謝りたい気持ちはあるけれど、直接会うのは怖い」という状況でも、弁護士を通じて誠意を伝えることが可能です。

適切な示談金を提示することができる

弁護士は、傷害事件の示談交渉における適切な金額の相場感を熟知しています。

「払えない」という状況の中でも、加害者が支払える範囲で、かつ被害者が納得できる金額を見極めて提示することが可能です。単に低い金額を提示するだけでは被害者の反発を招きますが、法的根拠に基づいた説明を添えることで、交渉がまとまりやすくなります。

また、示談書の作成も弁護士に任せれば、法的に有効な書面として整えられます。後々「話が違う」というトラブルを防ぐためにも、弁護士のサポートは心強い存在です。

【事務所紹介】傷害事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の弁護活動を中心に取り扱う法律事務所です。

刑事事件・少年事件は一般の民事事件や行政事件とは内容や担当機関が大きく異なっているため、刑事事件・少年事件の専門知識と弁護活動が必要になります。

当事務所は刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を扱う実績豊富な弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、丁寧に対応致します。

弊所の特徴①:24時間無料法律相談受付

弊所では初回の法律相談を無料で承っています。

法律相談のご予約はフリーダイヤルにて受付中。なおフリーダイヤルについては、24時間、年中無休で対応していますので、何時でもお気軽にお電話ください。

弊所の特徴②:安心の即日・迅速対応

北は北海道の札幌、南は九州の福岡まで、全国の主要都市12か所に事務所を設けており、日本全国に対応している点も弊所の強みです。

法律相談についてはお客様のご希望の日時でご予約が可能、また弁護士を派遣する初回接見サービスについてはご予約いただいて、最短当日に弁護士を派遣することができます。

今すぐ相談したい、今すぐ活動を開始して欲しいという方のご希望に応えることができる体制を整えておりますのでご安心してご相談ください。

弊所の特徴③:経験豊富な弁護士が多数在籍

弊所は開設して10年以上、刑事事件を主に扱っている法律事務所です。

傷害事件のような被害者の存在する事件においては、被害者と示談することができるかどうかが、その後の刑事処分に絶大な影響を及ぼしますが、弊所では、刑事事件における示談の経験が豊富な弁護士による活動をお約束することができます。

刑事事件の弁護活動を熟知した弁護士による、弁護活動を受けることで、きっとご安心していただくことができるでしょう。

弊所の特徴④:安心明確な料金体系

ご契約前に、着手金、報酬金、実費日当等の弁護士費用について明確にし、お客様に納得していただけるまで丁寧に説明させていただいております。

また、弁護士費用についてお客様が不安を感じないように、契約書に弁護士費用一覧表を添付させていただいております。

料金詳細については弊所HPをご覧ください▼

料金表 

【解決実績】実際に依頼を受けて示談成立した傷害事件

ここでは実際に事務所が依頼を受けた傷害事件で、どのような弁護活動を行ったか紹介します。

事例①:泥酔状態での傷害事件で示談成立

酒に酔って路上で初対面の被害者様に対し暴行を加えて怪我をさせたことにより逮捕されてしまったというケースです。

被害者は全治2週間の怪我を負ってしまったことで、ご依頼者様に対する処罰感情がありましたが、弁護士の粘り強い示談交渉にて宥恕条項ありの示談を成立することができました。

捜査機関に対して、示談が成立していることや弁護士が提出した書類の判断もあり、不起訴の処分の獲得にいたりました。

▼詳しい弁護活動を知りたい方はこちら

【お客様の声】酒に酔っての傷害事件で逮捕 示談によって不起訴を獲得

事例②:金銭トラブルでの傷害事件で示談成立

金銭的なトラブルから口論になった際、相手の腹部辺りを蹴るなどの暴行を加えたというケースです。

弊所に法律相談に来られた時点では、まだ警察が介入していなかったため、担当弁護士は事件化阻止を目指し、すぐに被害者との示談交渉を始めました。

ご依頼者様は、事件発生後すぐに示談を申し向けたとのことでしたが、その時は示談を拒否されたという経緯がありました。改めて弁護士が代理人として示談交渉の連絡を行ったところ、お話を聞いていただけることになりました。

そして示談交渉の結果、刑事処罰を求めないという宥恕条項を記載した示談を締結することができ、刑事事件化を阻止することができました。

▼詳しい弁護活動を知りたい方はこちら

【お客様の声】傷害事件を示談締結により事件化阻止

【お客様の声】ご依頼者様から頂いた感謝のお手紙

実際にご依頼者様から頂いた感謝の手紙をご紹介します。
※解決実績とお客様の声は必ずしも同じ事件とは限りません。

傷害事件で示談金を払えない場合は弁護士へ相談を

傷害事件を起こしてしまったにもかかわらず、被害者側から要求された示談金が払えないというのは、確かに苦しい状況だと言えるでしょう。しかし、払えないからと言って、そのまま放置することが最も危険です。

示談が成立しなければ、起訴リスクが高まり、民事訴訟に発展する可能性もあります。早期に動き出すことが、最終的な被害を最小限に抑えることにつながります。

分割払いの提案や減額交渉など、できる対処法はあります。ただ、これらの交渉を加害者本人が行うのは難しく、誤った進め方が状況を悪化させることもあります。弁護士に相談すれば、代理人として被害者と交渉し、現実的な金額での示談成立を目指すことができます。

「払えないから諦めよう」ではなく、「払えない中でも最善の対処をしよう」という姿勢が大切です。まずは弁護士に相談し、現状を整理することから始めましょう。