暴行罪と強制わいせつ罪の似たケースと相違点
暴行罪と強制わいせつ罪の似たケースと相違点
<刑事事件例1>
会社員のAさんは、東京都八王子市を営業自動車で巡回中、通行人の女性Vさんに抱きついたうえ胸や下腹部を触ったとして、目撃者からの通報を受けた警視庁南大沢警察署の警察官によって、強制わいせつ罪の疑いで逮捕されました。
<刑事事件例2>
会社員のAさんは、東京都八王子市の飲み屋帰り、酔った勢いで通行人の女性Vさんに抱きついたところ、他の通行人に止められ警察に通報され、駆けつけた警視庁南大沢警察署の警察官によって暴行罪の疑いで警察署に連行され、取調べを受けました。
<刑事事件例3>
会社員のAさんは、東京都八王子市で夕方、登下校中の女子中学生Vさんにわいせつ行為をしようと思って人気のないところ連れて行こうとVさんの腕を引っ張ったところ、Vさんが大きな悲鳴を上げたため逃げ出しました。
後日、警視庁南大沢警察署の犯行現場付近の取り調べでAさんの犯行が発覚し、Aさんは暴行罪の疑いで逮捕されました。
(※上記いずれもフィクションです。)
【女性に抱きついて刑事事件化~わいせつな行為とは?~】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、路上や電車内、公共の建物等において、女性に抱きついたり、それ以上の行為をしてしまったというご相談が寄せられます。
「女性に抱きつく」というご相談において、強制わいせつ罪(刑法176条)と暴行罪(刑法208条)それぞれで刑事事件化したケースがあり、本ブログではその区別や相違について解説します。
強制わいせつ罪では「暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者」と定めており、暴行罪の暴行に加えて「わいせつな行為」が必要であるとしています。
わいせつな行為とは、判例の定義によれば、性欲を刺激、興奮または満足させ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為を言います。
具体的な刑事事件の判例として、陰部に触れること、女性の胸に触れること、キスをすることはわいせつな行為に当たると判断されています。
他方、単なる抱擁(抱きつき)をわいせつ行為と判断した事例はなく、抱きついた上で胸やお尻を触る等の行為がなければ、人の身体に対する有形力の行使として暴行罪で処罰されるに留まるでしょう。
ただし、暴行罪は強制わいせつ罪に比べれば法定刑は軽いですが、繁華街で酔って抱きついた場合など、人目のある場所での暴行罪は現行犯逮捕による逮捕リスクが高いですので、十分に気を付けてください。
また、上記刑事事件例3のように、犯人の実際の目的は強制わいせつであったところ、わいせつ行為に至らず中止した場合において、上記事案のように「腕をひっぱった」「被害者を連れて行こうとした」行為等が暴行罪における「暴行」に該当する場合、強制わいせつ罪と切り離して暴行罪や傷害罪などで立件することも実務上見受けられます。
女性に抱きついてしまい、暴行罪または強制わいせつ罪で刑事事件化してお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料の法律相談または初回接見サービスをご利用ください。