殺人・殺人未遂事件で不起訴は目指せる?実際に不起訴になった事例も紹介

殺人や殺人未遂事件を起こしてしまった—。
このような重大な事件を起こした場合、起訴されて裁判になるのではないかと不安を感じていませんか?家族が逮捕されて、今後どうなるのか見通しが立たず不安な日々が続いている方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、殺人事件・殺人未遂事件であっても、状況によっては不起訴処分を獲得できる可能性があります。この記事では、殺人罪・殺人未遂罪で問われる刑罰から、不起訴を目指せるケース、弁護士に相談するメリットまで詳しく解説します。
殺人罪・殺人未遂罪で問われる刑罰
殺人罪・殺人未遂罪は、刑法で定められた非常に重い犯罪です。ここでは、それぞれの罪で科される刑罰について、条文を引用しながら具体的に説明します。
殺人罪
殺人罪は刑法第199条に規定されており、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する」と定められています。
この条文からわかるように、殺人罪の法定刑は極めて重い罪だと言えるでしょう。最も重い場合で死刑、続いて無期懲役、拘禁刑の場合でも最低5年以上の刑期が科されます。なお、令和7年6月1日からは、懲役刑と禁錮刑が統合されて「拘禁刑」に変更されています。
殺人罪が成立するためには、故意に人の生命を奪う意思(殺意)があったことが必要になります。この殺意の有無が、後述する不起訴処分を目指す上でも重要なポイントとなるでしょう。
殺人未遂罪
殺人未遂罪は刑法第203条に規定されており、同条では「第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する」と定められています。
つまり、殺人を実行しようとしたものの、結果として被害者が死亡しなかった場合に成立する犯罪です。刑法第43条本文では「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる」と規定されているため、殺人未遂罪の場合は殺人罪よりも刑が軽減される可能性があります。
ただし、「減軽することができる」という任意的減軽であり、必ず減軽されるわけではありません。事案の悪質性や結果の重大性によっては、殺人罪に準じた重い刑罰が科されることもあるでしょう。
殺人・殺人未遂事件は不起訴を目指せる?
殺人や殺人未遂といった重大事件でも、不起訴処分を獲得できる可能性は全くない訳ではありません。
ここでは、殺人事件と殺人未遂事件それぞれについて、不起訴を目指せる可能性について解説します。
殺人事件の不起訴は極めて稀
まず、殺人事件で不起訴処分を獲得できるケースは極めて稀であることを理解しておきましょう。殺人罪が法定刑に死刑を含む最も重い犯罪の一つであり、社会的影響が極めて大きいためです。
検察官は公訴を提起するかどうかを判断する際、犯罪の軽重や情状、証拠の有無などを総合的に考慮しますが、人の生命を奪った殺人事件では、よほど特殊な事情がない限り起訴されるのが通常でしょう。
ただし、不起訴の可能性がないわけではありません。事件の犯人であると断定することができないと判断された場合(犯人性)、後述するように殺意の存在の立証が不十分と判断された場合(殺意の不存在が認められても殺人罪ではなく傷害致死罪で起訴される可能性は残ります)や、心神喪失状態が認められたりした場合には、不起訴処分となる可能性があります。
殺人未遂事件は不起訴になる可能性もある
殺人未遂事件については、殺人事件と比較すると不起訴処分を獲得できる可能性は高くなります。
最も大きな理由は、被害者が死亡していないという点です。被害者の生命が奪われていないため、被害者との示談が成立すれば、検察官が起訴猶予という判断をする余地が生まれます。特に、被害者が加害者の処罰を望まない旨の意思を示している場合は、不起訴の可能性がさらに高まるでしょう。
もちろん、殺人未遂罪も重大犯罪であることに変わりはありません。犯行態様が悪質であったり、被害者の傷害の程度が重かったりする場合には、示談が成立していても起訴される可能性があります。しかし、適切な弁護活動によって示談を成立させることができれば、不起訴処分を目指すことは十分可能です。
殺人・殺人未遂事件で不起訴となり得るケース
殺人や殺人未遂事件で不起訴処分を獲得するには、どのような事情が必要でしょうか。ここでは、不起訴となり得る具体的なケースについて解説します。
殺意がなかったことの証明
殺人罪と殺人未遂罪の成立には、殺意の存在が不可欠な要件となっています。
そのため殺意がなかったことを証明できれば、殺人罪や殺人未遂罪では起訴されず、傷害罪や傷害致死罪などの殺人罪よりも軽い罪での起訴、あるいは不起訴処分となる可能性があります。例えば、暴行を加えるつもりはあったものの死に至らせる意図はなかった場合や、偶発的な事故であった場合などが該当するでしょう。
ただし、殺意の有無は被疑者の内心の問題であるため、客観的に証明することは容易ではありません。凶器の種類、攻撃した部位、回数、犯行前後の言動など、様々な客観的事実から総合的に判断されます。
殺意がなかったことを裏付ける証拠が重要となるため、まずは弁護士に相談することをお勧めいたします。弁護士に依頼することで必要な証拠を丁寧に収集していくことができるでしょう。
事件当時の精神状態
刑法第39条第1項では「心神喪失者の行為は、罰しない」と規定されています。そのため事件当時、心神喪失の状態にあったことが認められれば、不起訴処分となる可能性があります。
心神喪失とは、精神の障害により事物の是非善悪を弁識する能力またはその弁識に従って行動する能力が欠如している状態を指します。統合失調症や重度のうつ病などの精神疾患により、責任能力が認められない場合、刑事責任を問うことができません。
また、心神耗弱の状態であった場合は、同条第2項により「その刑を減軽する」とされています。心神喪失には至らないものの、責任能力が著しく減退していた場合などがこれに当たります。この場合は不起訴にはなりませんが、量刑判断において有利な事情として考慮される可能性があるでしょう。
精神鑑定などを通じて、当時の精神状態を客観的に明らかにしていくことが重要です。
被害者との示談
殺人未遂事件においては、被害者との示談が成立することで不起訴処分の可能性を高めることができます。
示談とは、加害者が被害者に対して謝罪と賠償を行い、被害者が加害者を許すという当事者間の合意です。示談が成立し、被害者が加害者の処罰を望まない意思を示せば、検察官は起訴猶予という判断をする可能性が高まります。特に、被害者の傷害の程度が比較的軽く、初犯である場合などは、示談の効果が大きいでしょう。
ただし、殺人事件の場合は被害者が亡くなっているため、被害者本人との示談はできません。遺族との示談という形になりますが、遺族感情を考えると示談交渉は非常に困難を極めます。それでも、誠意をもって謝罪と賠償を行い、遺族の処罰感情を和らげることができれば、量刑判断において有利に働く可能性はあります。
殺人・殺人未遂事件を起こした場合は弁護士へ相談
殺人や殺人未遂といった重大事件を起こした場合、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。
ここでは、弁護士に依頼することで得られる具体的なメリットについて解説します。専門家のサポートを受けることで、より良い結果につながる可能性が高まるでしょう。
現在の状況や今後の見通しが分かる
弁護士に相談することで、現在置かれている状況や今後の手続きの流れについて詳しく知ることができます。
刑事事件の手続きは複雑で、一般の方には分かりにくい部分が多いと思われます。逮捕から起訴、裁判に至るまでの流れや、それぞれの段階でどのような対応が必要かを理解することは、適切な判断を下す上で欠かせません。弁護士は、事件の内容や証拠関係を分析し、起訴される可能性や予想される刑罰、不起訴を目指すための方策などを具体的にアドバイスしてくれます。
また、家族が逮捕された場合、いつ釈放されるのか、面会はできるのかといった疑問にも答えてもらえます。不安な状況の中で、専門家から明確な見通しを示してもらえることは、精神的な支えにもなるでしょう。
逮捕時の接見や取調べに対するアドバイスが受けられる
弁護士に依頼しておくことで、逮捕された場合でも、すぐに弁護士が接見に向かうことができます。
逮捕後の被疑者は、家族であっても面会が制限されることがありますが、弁護士には接見交通権が認められているため、いつでも面会が可能。弁護士は接見を通じて、取調べでの供述方法や注意点について具体的なアドバイスを行ってくれるでしょう。取調べでは、警察官や検察官から厳しい追及を受けることもありますが、不利な供述を強要されないよう、適切な対応方法を指導してもらえます。
特に、自白を強要されそうになった場合や、事実と異なる調書に署名を求められた場合の対処法など、実践的なアドバイスが受けられます。取調べでの供述内容は裁判でも重要な証拠となるため、早い段階から弁護士のサポートを受けることが大切です。
弁護士から捜査機関や裁判所とやり取りができる
本人や家族に代わって、弁護士が代理人として捜査機関や裁判所とやり取りを行うことができます。
刑事手続きの中では、警察、検察、裁判所など様々な機関とのやり取りが必要になります。しかし、法律の専門知識がない一般の方が、これらの機関と対等に交渉することは困難だと思われます。弁護士は法律の専門家として、捜査機関に対して適切な主張を行うことができます。それにより被疑者・被告人の権利を守ることができます。
例えば、勾留に対する準抗告の申立てや、保釈請求など、身柄拘束からの解放を求める手続きを代理で行います。また、検察官に対しては、不起訴処分を求める意見書を提出するなど、有利な処分を得るための働きかけを行うことができます。法律の専門家が適切に対応することで、手続き上の不利益を避けることができると言えるでしょう。
代理人弁護士として被害者と示談交渉ができる
本人や家族に代わって、弁護士が代理人として被害者との示談交渉を行うことができます。
被害者との示談交渉は不起訴処分を目指す上で非常に重要となります。しかし、加害者本人や家族が直接被害者に接触しようとすると、かえって被害者の恐怖心や怒りを増幅させてしまう恐れがあります。弁護士が間に入ることで、冷静かつ適切な交渉が可能になるでしょう。
弁護士は、被害者の心情に配慮しながら、誠意ある謝罪と適切な賠償額の提示を行います。示談が成立すれば、被害者から宥恕(許し)の意思表示を得られる可能性もあり、これは検察官の判断に大きく影響します。殺人未遂事件では特に、示談の成否が処分を左右する重要な要素となるため、刑事事件について経験豊富な弁護士に任せることが賢明です。
【解決実績】弊所で依頼を受けた類似事件
ここでは実際に事務所が依頼を受けた類似事件で、どのような弁護活動を行ったか紹介します。
家族に対する殺人未遂事件で示談成立+不起訴処分を獲得
同居している家族を刃物で複数回刺したというケースです。現場に駆け付けた警察官により殺人未遂罪で逮捕されました。また、本人には精神的な問題を抱えていたことが発覚しました。
逮捕後すぐにご家族様からのご依頼を受けて弁護活動を開始しました。殺人未遂事件は、他の事件と比べても証拠の種類が複雑になったり、専門的な知識や対応力が必要になります。
依頼を受けた弁護士は数多くの接見を通して、連日行われる取調べに対するアドバイスや心身のケアを行いました。そして事件時の精神状態や事件に至るまでの家庭環境等、必要な証拠を収集し、同時に被害者様との示談交渉を行い、処罰を求めない旨の示談書を作成しての示談締結を行いました。
必要な弁護活動を行った結果、不起訴処分の獲得に至りました。
【お客様の声】ご依頼者様から頂いた感謝の手紙
実際にご依頼者様から頂いた感謝の手紙をご紹介します。
※解決実績とお客様の声は必ずしも同じ事件とは限りません。



殺人・殺人未遂事件で不起訴を目指すなら弁護士へ
殺人や殺人未遂事件は、人生を大きく左右する重大な刑事事件です。不起訴処分を獲得することは容易ではありませんが、適切な弁護活動によって可能性を高めることができます。
殺意の不存在や心神喪失の立証、被害者との示談交渉など、専門的な知識と経験が求められる対応が必要不可欠といえるでしょう。一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で刑事事件に精通した弁護士に相談することをお勧めいたします。
早期の相談が、より良い結果につながります。