暴行罪は示談なしでも不起訴になる?示談なしだと処罰が重くなる?

公開日:2026-07-10

暴行事件を起こしてしまった—。

被害者との示談が成立せず、このまま起訴されて前科がついてしまうのか、不安を抱えていませんか?「示談しないと必ず刑事処分を受けるのか」「示談できなければ重い処罰になるのか」と悩んでいる方も多いはずです。

実は、暴行罪では示談なしでも不起訴になるケースがあります。この記事では、暴行罪の刑罰から、示談なしで不起訴になる可能性、示談を拒否された場合の対処法まで詳しく解説します。適切な対応を知ることで、今後の見通しが立てられるでしょう。

暴行罪の刑罰

暴行罪は、刑法第208条で「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と定められています。殴る蹴るといった行為だけでなく、物を投げつける、胸ぐらをつかむといった有形力の行使も暴行に該当します。

なお、令和7年6月の刑法改正により、懲役刑と禁錮刑が「拘禁刑」に一本化されました。拘禁刑では、刑務作業が義務ではなく改善更生のための処遇として位置づけられます。この変更により、刑罰の内容自体は変わりませんが、受刑者の処遇方法が柔軟になるでしょう。

暴行罪の刑罰は比較的軽いものの、前科がつけば就職や資格取得に影響が出る可能性があります。そのため、不起訴処分を目指すことが重要になってくるのです。

暴行罪は示談なしでも不起訴になる?

示談は、検察官の刑事処分の判断における重要な要素です。基本的には、示談が成立していれば不起訴になる可能性が高まり、示談が成立しなければ、起訴される、または略式命令によって罰金処分となる可能性が高いと言えます。

暴行事件の内容との関連で言えば、例えば、暴行の程度が重い、常習性がある、被害者の処罰感情が強いといったケースでは、示談がないと起訴リスクが高まるでしょう。示談は被害者との関係修復を示す最も有効な手段であり、その有無は処分に大きく影響するのです。

他方、暴行罪のような比較的軽微な犯罪においては、被害者との示談なしでも不起訴になるケースはあり得ます。検察官は事件の内容、被疑者の反省態度、被害者の処罰感情などを総合的に判断して処分を決定します。示談が成立していれば不起訴になる可能性は高まりますが、示談がすべてではありません。

では、どのような状況があれば示談なしでも不起訴になる可能性があるでしょうか?事件の軽重、反省の示し方、事件の経緯などが判断材料になります。次の章で具体的なケースを見ていきましょう。

【注意】示談できれば必ず不起訴になるわけではない

示談の有無は、検察官の処分判断において極めて重要な要素です。示談が成立していれば不起訴になる可能性は大幅に高まります。

ただし、示談が成立したからといって、必ず不起訴になるとは限りません。

示談はあくまで被害者との民事上の和解であり、刑事処分を決めるのは検察官です。たとえば、暴行の程度が著しく悪質である場合、複数回の前科がある場合、組織的な犯行である場合などは、示談が成立していても起訴される可能性があります。仮に示談が成立していても、社会的な影響や再犯防止の観点から刑事責任を問う必要があると判断されるケースもあり得ます。

それゆえ、「示談=不起訴確定」と過信せず、弁護士に相談して事件の性質を正確に把握してもらい、慎重かつ適切な対応をすることが大切です。

行事件における示談なしで不起訴になるケース

示談なしでも不起訴になるのは、どのようなケースでしょうか?ここでは過去に実例のあった3つのパターンを紹介します。事件の状況によっては、示談がなくても検察官が起訴を見送ることがあるのです。

自分の事件がこれらのケースに当てはまるかどうかを確認してみましょう。ただし、最終的な判断は検察官が行うため、該当するからといって必ず不起訴になるとは限りません。あくまで可能性の話として理解しておく必要があります。

事件内容が軽微なもの

暴行の程度が極めて軽く、被害も小さい場合は示談なしでも不起訴になることがあります。

具体的には、一度軽く肩を押した程度、服を引っ張っただけで怪我もなかった、口論の末に一瞬手が触れた程度といった事案です。このような軽微な暴行では、被害者に実質的な損害がほとんど生じていないため、刑事処分の必要性が低いと判断されます。初犯であり、前科前歴がない場合はさらに不起訴の可能性が高まるでしょう。

ただし「軽微かどうか」の判断は難しいもの。自分では軽いと思っていても、捜査機関は違う見方をすることもあります。弁護士に相談して客観的な評価を受けることが大切です。

示談以外の方法で反省を示している

示談が成立していなくても、他の方法で十分に反省を示していれば不起訴になる可能性があります。

たとえば、被害者に対して真摯に謝罪の手紙を送っている、弁護士を通じて謝罪の意思を伝えている、供託や贖罪寄付を行っている、カウンセリングを受けたりして、再発防止のための具体的な取り組みを始めているといったケースです。

検察官は被疑者の反省態度も起訴・不起訴の判断要素として考慮します。形式的な示談がなくても、実質的に反省し更生の意欲があると認められれば、起訴猶予として不起訴処分になることも少なくありません。

こうした対応は弁護士のアドバイスを受けながら進めるのが効果的。自己流では逆効果になることもあるため、専門家の助言を得ましょう。

被害者側にも非がある

事件の発生について被害者側にも一定の落ち度がある場合、示談なしでも不起訴になることがあります。

たとえば、被害者が先に挑発行為をしていた、被害者も暴力を振るおうとしていた、双方が口論をエスカレートさせた結果として暴行に至ったといった状況です。完全な一方的暴行ではなく、喧嘩両成敗的な側面がある事案では、刑事責任が軽減されることがあります。被害者にも過失や不適切な行動があったと認められれば、処罰の必要性が低下するのです。

ただし「被害者にも非がある」と主張する際は慎重に。事実に基づかない主張は逆効果ですし、被害者を更に刺激してしまう恐れもあります。弁護士と相談の上、適切に伝えることが求められます。

暴行罪で示談なしだと処罰が重くなる?

示談なしの場合、処罰が重くなる可能性は確かに存在します。理由を説明しましょう。

示談は被害者の被害回復と加害者の謝罪・反省を形にしたものです。示談が成立していれば「被害者が許している」「損害を賠償した」という事実が、検察官や裁判官の判断に有利に働きます。逆に示談がない場合、被害者の処罰感情が残っていると判断され、起訴される可能性や刑罰が重くなる可能性が高まるのです。

具体的には、不起訴になるはずだった事案が起訴される、罰金刑で済むはずが正式裁判になる、執行猶予がつかず実刑になるといったリスクが考えられます。示談の有無は量刑に直結する重要な要素。示談なしでも不起訴になる可能性はあるものの、示談があった方が明らかに有利であることは間違いありません。

したがって、可能な限り示談交渉を試みることが推奨されます。被害者が示談を拒否している場合でも、諦めずに対応策を検討すべきでしょう。

暴行罪で被害者から示談を拒否された場合の対処法

被害者から示談を拒否されてしまった—。そんな状況でも諦める必要はありません。ここでは示談を拒否された場合の具体的な対処法を紹介します。

示談交渉は一度で成功するとは限りません。タイミングや交渉の仕方を変えることで、拒否されていた示談が成立することもあります。また、示談以外の方法で反省の意思を形にし、処分に反映させることも可能です。適切な対応を知っておくことが、不起訴や軽い処分を目指す上で重要になります。

弁護士に示談交渉を依頼する

被害者が本人との示談を拒否していても、弁護士が代理人として交渉することで示談が成立するケースは少なくありません。

被害者が加害者本人との接触を恐れている、感情的になって冷静な話し合いができない、示談金の適正額が分からず不安といった理由で示談を拒否していることがあります。このような場合、第三者である弁護士が間に入ることで、被害者は安心して交渉に応じられるようになります。弁護士は適正な示談金額を提示し、法律的な観点から説明できるため、被害者の不安を解消しやすいのです。

また、弁護士は交渉のタイミングや方法についても豊富な経験を持っています。一度拒否されても、時間をおいて再度交渉することで成功することもあるでしょう。専門家に任せることで、示談成立の可能性が大きく高まります。

供託・贖罪寄付をして反省を示す

被害者が示談に応じない場合でも、供託や贖罪寄付という方法で反省の意思を形にすることができます。

供託とは、法務局に示談金相当額を預ける制度です。被害者が受け取りを拒否している場合でも、金銭的な誠意を示すことができます。検察官や裁判官は供託の事実を評価し、処分判断の材料にします。一方、贖罪寄付とは、犯罪被害者支援団体などに寄付を行うことで反省の意思を示す方法です。被害者個人への賠償ではありませんが、社会的な償いとして認められます。

これらの方法は示談ほど強力ではありませんが、「反省し更生しようとしている」という姿勢を示せる有効な手段。何もしないよりも、処分に良い影響を与える可能性があります。ただし、供託や贖罪寄付を行うべきかどうか、金額はいくらが適切かといった判断は専門的なため、弁護士に相談して決めることが重要です。

示談を拒否された場合に弁護士に依頼するメリット

示談を拒否された場合、弁護士に依頼することで多くのメリットが得られます。ここでは具体的なメリットを4つ紹介しましょう。

弁護士は刑事事件の専門家として、示談交渉だけでなく刑事手続き全般をサポートします。示談がうまくいかない場合でも、不起訴や軽い処分を目指すための様々な手段を講じることができるのです。早い段階で弁護士に相談することで、選択肢が広がります。

代理人弁護士として被害者と改めて示談交渉できる

前述の通り、弁護士が代理人として交渉することで、被害者が態度を変える可能性があります。

本人が直接交渉すると感情的なもつれが生じやすく、建設的な話し合いが難しくなります。しかし、弁護士という第三者が介入することで、被害者は冷静に対応できるようになるのです。弁護士は法的知識に基づいて適正な示談条件を提示し、被害者の疑問や不安に丁寧に答えます。「きちんとした対応をしてもらえる」という安心感が、示談交渉の再開につながるでしょう。

また、弁護士は交渉のタイミングも見極めます。被害者の感情が落ち着くのを待つ、捜査の進展に応じて交渉する、適切な時期を選ぶことで成功率が高まります。

示談交渉の経過を捜査機関に報告できる

弁護士は示談交渉の経過や状況を、警察や検察といった捜査機関に適切に報告できます。

たとえ示談が成立しなくても、「誠実に交渉を試みた」「被害者が拒否したため成立しなかった」という事実を伝えることが重要です。検察官は処分を決める際に、被疑者の事後的な対応を考慮します。示談交渉を試みたこと自体が反省の証として評価されるのです。

個人で交渉の経過を報告しようとしても、どのように伝えればよいか分かりませんし、適切に評価されないこともあります。弁護士から専門的な立場で報告することで、捜査機関に正確に伝わり、処分に反映される可能性が高まるでしょう。

供託・贖罪寄付に関する相談ができる

供託や贖罪寄付を行うべきか、行う場合はどれくらいの金額が適切かといった判断は、専門的な知識と経験が必要です。

金額が少なすぎれば誠意が伝わらず、多すぎれば経済的な負担が重くなります。また、供託の手続きは法的に複雑で、間違えると無効になることもあります。弁護士に相談すれば、事件の内容や被害の程度に応じた適切な金額をアドバイスしてもらえますし、手続きもサポートしてもらえるのです。

贖罪寄付についても、どの団体に寄付すべきか、寄付の証明をどう捜査機関に提出するかなど、細かいポイントがあります。弁護士の助言を受けることで、これらの対応を効果的に行えるでしょう。

捜査機関に処分意見を主張できる

示談が成立しなかった場合でも、弁護士は検察官に対して不起訴処分を求める意見書を提出できます。

意見書では、事件が軽微であること、被疑者が深く反省していること、供託や贖罪寄付を行ったこと、前科がないこと、再犯の恐れがないことなどを法的な根拠とともに主張します。検察官はこうした意見も考慮して処分を決定するため、弁護士の主張が不起訴につながることもあるのです。

起訴された場合でも、弁護士は裁判で執行猶予や罰金刑を求める弁護活動を行います。法廷での主張、証拠の提出、情状証人の手配など、専門的な対応によって刑罰の軽減を目指せます。示談がなくても、できる限りの弁護活動を尽くすことが重要です。

【事務所紹介】暴行事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑罰(刑事責任)が問題になる刑事事件を中心的に取り扱っている、暴力犯罪事件の刑事弁護実績が豊富な法律事務所です。

暴力犯罪事件は、被害を受けた被害者がすぐに警察に通報することによって、現行犯逮捕や緊急逮捕をされるケースが多い傾向にあります。また、加害者の被害者に対する更なる暴行や威迫等によって刑事手続きを阻害されないよう、逮捕に引き続いて被疑者の身体拘束をする「勾留」が決定される可能性が高い傾向もあります。

このような暴力犯罪事件では、示談をするのかしないのか、示談をしない、あるいは示談できない場合には、どのように情状主張をするべきかについて、暴力犯罪事件に詳しい弁護士に頼むことが非常に大切です。

弊所の特徴①:24時間無料法律相談受付

弊所では刑事事件に関する初回相談は全て無料となっています。

前述のとおり、暴力犯罪事件は、被害を受けた被害者がすぐに警察に通報することによって、現行犯逮捕や緊急逮捕をされるケースが多い傾向にあります。また、加害者の被害者に対する更なる暴行や威迫等によって刑事手続きを阻害されないよう、逮捕に引き続いて被疑者の身体拘束をする「勾留」が決定される可能性が高い傾向もあります。

暴力犯罪事件で逮捕されている場合はもちろんのこと、逮捕されていない場合でも、今後の刑事手続きの流れ、刑事処分の見通し、対応・解決方法、不安や心配事、疑問点など弁護士が丁寧に説明いたします。どんなことでもお気軽にご相談ください。

弊所の特徴②:安心の即日・迅速対応

土日祝日、夜間でも相談・接見(面会)・出頭同行サービスを受け付けております。

お急ぎの方につきましては、お電話を頂いてから24時間以内に相談・接見・出頭同行などの各種弁護サービスを提供しています。弁護士の予定が空いていれば、事案によって電話口で事情をお伺いしてからすぐに相談・接見・出頭同行サービスを受けていただくことも可能です。

弊所の特徴③:経験豊富な弁護士が多数在籍

暴力犯罪事件は、被害を受けた被害者がすぐに警察に通報することによって、現行犯逮捕や緊急逮捕をされるケースが多く、かつ、逮捕後に勾留が決定し、身柄拘束が長期化する可能性も非常に高い犯罪類型です。

弊所では逮捕・勾留された被疑者の方に対して「初回接見サービス」を提供しております。刑事事件の弁護活動経験が豊富な弁護士が留置されている留置所に接見に行って、被疑事実の確認や本人の認識を確認するとともに、今後の捜査の流れ等を説明したり、助言を与えることができます。

また、接見内容を踏まえた上で、ご依頼者様に対し、暴力犯罪事件の流れや刑事処分の見通しを丁寧に説明いたします。

初回接見サービスについて詳しく知りたい方はこちらから▼

初回接見・同行サービス

弊所の特徴④:安心明確な料金体系

弁護士委任契約の説明にあたっては、事前に「弁護士費用一覧」という明確な料金体系をご説明し、十分にご納得いただいてから正式にご契約を結ぶ手順となっております。

「弁護士費用一覧」に記載のない料金は一切いただきませんのでご安心ください。

料金詳細については詳しく知りたい方はこちらから▼

料金表 

解決実績】不起訴処分を獲得した暴行関連事件を紹介

ここでは実際に事務所が依頼を受けた暴行事件で、どのような弁護活動を行ったか紹介します。

事例①:営業先とのトラブルによる暴行事件

営業先の顧客と口論となり、腕を掴む等の暴行をした疑いで逮捕されたというケースです。暴行を受けた相手が警察に通報し、現場に臨場した警察官によって逮捕されています。

担当弁護士は、本人は事実を全面的に認めており、かつ反省もしていること、配偶者による身元引受と生活の監督が期待できる点を意見書にまとめて提出して早期釈放を目指しました。結果、逮捕に引き続いて勾留されることなく釈放され、在宅事件へ切り替わっています。

その後、弁護士を通じて被害者に謝罪と賠償をしたい旨を伝え、交渉の末、本件については刑事処罰を求めないという宥恕条項を含む示談の締結に成功しました。

示談が成立し、弁護士が起訴する必要がなくなったと主張する意見書を検察官に提出した結果、今回の暴行被疑事件について、不起訴処分を獲得することができました。

事例②:対集団との喧嘩状態となった傷害事件

同じクラブ活動に所属している複数の男性集団に喧嘩をしかけられ応戦し、相手の一人を負傷させてしまったというケースです。

弊所に法律相談があった時点で捜査機関の捜査はある程度進んでおり、すでに検察官送致(いわゆる書類送検)されており、担当検察官から「略式命令による罰金刑を検討している」と言われていました。

本ケースは相手集団からの暴行を受けた流れで応戦せざるを得なくなったのであり、安易に自分の非を認めて示談を持ちかけることは悩ましい状況でした。

弁護士は本人の主張や思いを最大限に汲み取り、被害者に対する示談をすることなく、不起訴処分をすることが妥当とする意見書を提出し、緩やかな処分を働きかけました。結果として、被害者との示談なしで(示談交渉を持ちかける働きかけをすることなく)、不起訴処分を獲得することに成功しています。

【お客様の声】ご依頼者様から頂いた感謝の手紙

実際にご依頼者様から頂いた感謝の手紙をご紹介します。
※解決実績とお客様の声は必ずしも同じ事件とは限りません。

暴行罪は示談なしでも不起訴になる可能性はある

ここまで見てきたように、示談できるに越したことはありませんが、暴行罪は示談なしでも不起訴になる可能性があります。事件の内容が軽微である、被疑者が十分に反省している、被害者側にも落ち度があるといった事情があれば、示談がなくても検察官が起訴を見送ることがあるのです。

もちろん、示談の有無は処分に大きく影響します。示談がある方が不起訴になる可能性ははるかに高く、示談なしの場合は起訴リスクや処罰が重くなるリスクが高まることも事実。そのため、可能な限り示談交渉を試みることが推奨されます。

被害者から示談を拒否された場合でも、諦める必要はありません。弁護士に依頼することで示談交渉を再開できる可能性がありますし、供託や贖罪寄付といった代替手段もあります。早い段階で弁護士に相談し、適切な対応を取ることが不起訴や軽い処分を実現する鍵となるでしょう。暴行事件でお悩みの方は、まず専門家に相談してみることをお勧めします。