【事例解説】喧嘩の通報で駆け付けた警察官に暴行(前編)
喧嘩の通報で駆け付けた警察官に暴行を加えた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aは、繁華街で友人らと食事をした後に商店街を歩いていると、通行人Vと肩がぶつかって口論のあと殴り合いになり、周囲が警察に通報しました。
到着した警察の対応に苛立ったAは、酒に酔っていたこともあり、警察官を殴ってしまいました。
(フィクションです)
前編では通行人に対する暴行について解説いたします。
1 暴行罪・傷害罪
まずAのVに対する暴行罪もしくは傷害罪の成立が問題となります。
事の転機となった、通行人とすれ違いざまに肩がぶつかるということについては、繁華街や狭い商店街の通路などではわざとでなくとも十分ありえることですし、酔ってフラフラしている状態であればなおさらですのでそれ自体は犯罪になりません。
ただし意図的であれば肩をぶつける程度でも十分暴行罪に該当し得ます。
その後、口論のあとに殴り合いになったとのことですが、どちらが先に殴った、あるいはこちらは全く殴っていない、などと弁解するようなケースもあります。
相手が襲いかかってきたので反撃したというような主張であれば、正当防衛の成否が問題となります。
取調べにおいて例えば正当防衛を主張するとなった場合、事件によっては高度な法律的判断が求められますので、あらかじめ弁護士にアドバイスをもらうことが非常に有益です。
正当防衛などではなく、単に腹が立ったので殴ったというような場合は暴行罪が成立します。
それによって相手が「傷害」の被害が発生していれば、暴行罪ではなく傷害罪として立件されるでしょう。
たとえば治療を要する打撲傷や裂傷などがはっきりした傷害といえるようなものがあれば、より重い傷害罪として捜査される可能性があります。
暴行罪は、「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と定められていますが、傷害罪はより重く、その法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
2 まずは弁護士に相談を
ご家族等が暴行や傷害罪、公務執行妨害罪の当事者となり警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にぜひ一度ご連絡ください。
逮捕・勾留されると、被疑者段階で最長23日間、身体拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は家族や友人など外部との接触を制限され一人きりとなる、留置施設で一挙手一投足を監視・規制される環境に身を置くことになるなど、被疑者が感じる不安やストレスは相当なものであると考えられます。
また、勾留による身体拘束中は、職場に出勤したり、学校に登校したりすることができなくなります。
仮に23日間も職場を無断で欠勤すれば、職場から解雇される可能性が極めて高く、身柄拘束前の社会生活を送ることが難しくなるでしょう。
このように、勾留による身体拘束にはさまざまな不利益が生じることが考えられるため、少しでも早く被疑者を身体拘束から解放することが重要となります。
上記の通り、殴り合いといっても、事件によって状況は様々であり、正当防衛などの例が分かりやすいように法的知識を踏まえた上で取調べに臨むことで、その後の処分に大きな差がつくこともあり得ます。