【事例解説】生徒を殴り怪我を負わせたダンススクールの講師を傷害で逮捕

2024-06-02

態度の悪い生徒を殴って怪我を負わせたとして、傷害罪の容疑でダンススクールの講師が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

ダンススクール

事例

東京都新宿区の人気ダンススクールで講師を務めるAは、熱心な指導と何人もの生徒をプロとして輩出してきた実績で有名であった。
ある日のレッスンで遅刻してきた生徒Vがいたので、みんなの前で注意をしたところ、態度を改めずに反論を続けたため、Aは感情を抑えきれず、Vの顔を殴ってしまった
殴られたVは倒れこんで顔面に打撲を負い、レッスン途中で家に帰ってしまった。
帰宅したVが怪我をしていることに気づいた両親が、新宿警察署に連絡したところ、Aは逮捕され、傷害罪の容疑で取調べを受けることとなった。
Aは警察の取調べで、「Vの態度があまりにもひどく、感情的になって殴ってしまった。深く反省している」と容疑を認めている。
Vは病院で診察を受けた結果、顔面打撲の他に軽い脳震盪の症状も認められ、数週間の治療を要することが判明した。

傷害罪とは

本件で、ダンススクールの講師であるAは、態度の悪い生徒Vの顔面を殴ってしまい、傷害罪の疑いで逮捕されるに至ったようです。

刑法204条(出典/e-GOV法令検索)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、人の身体を「傷害」する犯罪です。
判例によれば、傷害とは人の生理的機能に障害を加えることです(大判明治45年6月20日)
例えば、相手を殴って出血させたり、骨折させたりする行為は、人の生理的機能に障害を加えることにあたり、傷害罪が成立する可能性があります。
本件Aは、レッスンに遅刻して注意されても反省を色を示さなかったVを殴った結果、顔面打撲と軽い脳震盪で全治数週間の怪我を負わせて、Vの生理的機能に障害を加えたようです。
したがって、Aには傷害罪が成立する可能性があります。

逮捕後の弁護活動

本件で容疑者は逮捕されています。
逮捕自体は最大72時間ですが、この間に勾留の必要があるかどうかが検察官と裁判官により判断され、検察官が請求をし裁判官が勾留が必要だと判断した場合、さらに10日間身柄を拘束されることになります。

身柄拘束中は、Aは講師として出勤することができなくなります
この場合には、長期間にわたって出勤できないことを理由に解雇される可能性があります。
したがって、身体拘束の長期化を防ぐために、検察官と裁判官に勾留の必要がないことを説明するべきです。
刑事事件に詳しいわけではない一般の人にとって、検察官と裁判官に何をどう説明したら勾留の必要がないと判断してもらえるのか、よく分からないでしょうから、ご家族が逮捕された場合は、弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士は、検察官と裁判官に対し、意見書を提出して、勾留の必要性がないことを説明することができます。
適切なタイミングで説得力のある意見書を提出するためにも、ご家族が逮捕された場合にはできるだけ早く弁護士にご相談ください。

また、傷害罪のような被害者のいる犯罪では、起訴・不起訴や量刑の判断において、被害者側と示談を締結できているかどうかが大きな意味を持ちます。
早期に示談が成立すれば、不起訴処分となる可能性がありますし、仮に起訴されたとしても執行猶予がつく可能性がありますから、やはりできるだけ早く弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は傷害事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
傷害事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。