【報道解説】外国籍の男性が傷害、器物損壊で逮捕

2022-09-06

【報道解説】外国籍の男性が傷害、器物損壊で逮捕

外国籍の男性が、傷害器物損壊の疑いで逮捕された場合の刑事責任や行政処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「今年4月、三重県鈴鹿市でガスの供給を止めに来た業者の男性をバットで殴ったなどとして、36歳のブラジル国籍の男が逮捕されました。
逮捕されたのは、三重県鈴鹿市に住むブラジル国籍の無職、A容疑者(36)です。
警察によりますと、A容疑者はことし4月、プロパンガスの供給を止めようと自宅を訪ねてきた男性作業員(38)に対し、頭を木製のバットで殴りケガさせたうえ、乗ってきた車も殴ってドアをへこませるなどした疑いが持たれています。
男性は頭を打撲しましたが軽傷ということです。
A容疑者はプロパンガスの料金を数カ月支払っておらず、男性が作業することを告げると、木製バットを持って玄関から出てきて犯行に及んだということです。
調べに対し、A容疑者は『殴ったりしていない』などと容疑を否認していて、警察が経緯を詳しく調べています。」

(令和4年8月16日に東海テレビで配信された報道より一部匿名にして引用)

【外国籍の人が日本で犯罪を起こすと退去?】

外国籍の方が傷害器物損壊事件を起こしたとして有罪判決が出されてしまうと、在留資格に影響を及ぼします。

出入国管理及び難民の認定に関する法律(「出入国管理法」や「入管法」と略されます)24条では、退去強制となる事由を定めており、その中には、事件を起こして有罪判決となった場合を退去強制事由としているものがあります。

どのような罪で有罪判決となったのか、また事件を起こした外国籍の方がどのような資格で在留しているのかということで規定が分かれるのですが、今回の取り上げた傷害器物損壊で仮に有罪判決となった場合は、出入国管理法24条4号リが定める退去強制事由と、同法24条4号の2が関係することになるでしょう。

出入国管理法24条4号リ本文では、無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた場合を退去強制事由としています。
この例外として同号リには但書が規定されていて、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であってその刑のうち執行が猶予されなかつた部分の期間が1年以下の者については退去強制事由に当たらないとしています。

傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっており、器物損壊罪の法定刑は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料となっていますので、いずれも1年を超える懲役刑が法定刑として定められていますので、傷害罪器物損壊罪実刑判決となった場合は、退去強制事由に当たる可能性があります。

また、出入国管理法24条4号の2では、別表第一の上欄の在留資格で在留する者が一定の罪で有罪判決となった場合の退去強制事由を定めています。
別表第一の上欄の在留資格とは活動類型資格と呼ばれ、具体的には、外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習、文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在、特定活動の在留資格があります。
このような在留資格を有する者が、傷害の罪で懲役刑に処せられた場合は、執行猶予を獲得したとしても退去強制事由となります。

【外国籍の人が犯罪を起こしてしまったら】

外国籍の方が傷害器物損壊事件を起こしてお困りの方は、まずは弁護士に相談して、刑事処分がどのようなものになるのか、また事件が自身の在留資格にどのような影響を与えるのかということについて専門的な知識に基づくアドバイスを貰うことをお勧めします。
傷害事件器物損壊事件のような被害者の方がいる事件の場合には、被害者の方と示談を締結することができれば、不起訴処分を獲得する可能性が高まりますので、在留資格に与える影響を最小限に抑えることが期待できるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所であり、外国籍を持つ方の刑事弁護活動をした経験がある弁護士が在籍しております。
傷害事件器物損壊事件を起こしてしまいお困りの外国籍の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。