コンビニで消火器を使用し逮捕

2020-04-06

コンビニで消火器を使用し逮捕

今回は、コンビニ店内において、嫌がらせ目的で消火器を使用した場合に成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは、兵庫県淡路市内のコンビニにおいて、目的の商品が無いことに腹を立て、店員に因縁をつけるなどしていました。
Aさんは店員の態度に立腹し、店内にあった消火器を使用し、店内を粉末だらけにしてしまいました。
Aさんは駆け付けた兵庫県淡路警察署の警察官により、威力業務妨害罪の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~威力業務妨害罪とは?~

文字通り、「威力を用いて人の業務を妨害」する犯罪です(刑法第234条)。

【「威力」とは?】
「威力」とは、人の意思を制圧するような勢力をいい、暴行や脅迫はもちろん、社会的地位、経済的地位、権勢を利用した威迫、多衆・団体の力の誇示、物の損壊など、およそ人の意思を制圧するに足りる勢力の一切をいいます。
コンビニ店内で消火器の粉末を放射すれば、消火器の噴射自体が人を怖がらせるさせるものである上、粉末が片付くまで営業を中止せざるを得ないと思われるので、「威力」に該当する可能性が高いと思われます。

【「業務」とは?】
「業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業をいいます。
公務が「業務」に該当するかなど、議論のあるポイントではありますが、コンビニの営業が「業務」に該当することに異論はありません。

【「妨害」に該当するには?】
現実に業務遂行が妨害されることは必要ではなく、これらに対する妨害の結果を発生させるおそれのある行為があれば足りると解されています。
ケースの場合、消火器の粉末が片付くまでコンビニの営業を中止せざるを得ないと考えられるので、「妨害」に該当する可能性が高いでしょう。

以上の事実関係によれば、Aさんは、威力を用いて(消火器をコンビニ店内で放射して)、他人の業務を妨害したものということができると考えられます。
したがって、Aさんに威力業務妨害罪が成立する可能性は高いでしょう。

法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。

~逮捕後の手続~

逮捕された段階で最長72時間、身体拘束を受ける可能性があります。
さらに、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可をすれば、さらに最長20日間、勾留と呼ばれる身体拘束を受ける可能性があります。

裁判が始まる前の捜査段階において、最長23日間、外に出られなくなる可能性があるということです。

その後、刑事裁判が始まると、保釈が認められない限り、さらに身体拘束が続いていく可能性もあります。

~早期の身柄解放と軽い処分の実現~

身体拘束が長引くと、①身体的・精神的に重い負担がかかる、②会社や学校に行くことができず、不利益な処分を受けることになってしまうなどの弊害が生じます。
なるべく早く外に出ることが、円滑な社会復帰のために重要です。

【身柄解放活動のポイント】
①勾留を防ぐ、②勾留後の不服申し立て、③被害者との示談が主なポイントになるでしょう。

逮捕されても、勾留されなければ、72時間以内に釈放されます。
勾留された場合であっても、その取消等を求めて不服申し立てを行うことができます。
ただし、一旦裁判官が勾留を許可しているので、勾留に対する不服申し立てはハードルが高いといえます。
そもそも勾留の決定がされないように迅速な弁護活動を受けることが重要となります。

また、被害者と示談が成立すれば、罪証隠滅・逃亡のおそれがないと判断され、釈放される可能性が高まります。

【不起訴処分の獲得】
検察官は、Aさんの有罪を立証できる証拠を有している場合であっても、その裁量により、Aさんを刑事裁判にかけないという判断(不起訴処分)を行うことができます。
今回は大目に見てもらうということです。
適切な弁護活動を通じ、不起訴処分を獲得できれば、前科が付かずに刑事手続きが終了します。

不起訴処分は難しくても、公開の法廷での刑事裁判を受けずに、簡易な手続で罰金刑になる略式裁判で済む可能性もあります。

こういった軽い処分を目指すためにも、示談は重要となってきます。
なんら被害者に謝罪・賠償をしない場合と比べると、印象が良くなるわけです。

~弁護士にご相談を~

とはいえ身柄解放に向けた手続きや示談交渉の方法など、わからないことだらけだと思います。
事件解決に向けたアドバイスを致しますので、ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご自身やご家族が偽計業務妨害などで捜査を受けた場合には、ぜひご相談ください。