いじめ

いじめと刑事手続

近年,大きな社会問題となっている学校でのいじめの問題は,事案により傷害罪や暴行罪といった粗暴犯として処罰されることもあります。

2014年度の小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は,18万8057件で,前年よりも増加しています。

学校でのいじめは,事件の性質上,子ども同士での争いとなりますから,警察が介入するということになると,保護者やご親族も巻き込まれるかたちになります。

また,学校内での事件になりますから,学校との関係での対応も必要になってきます。

学校でのいじめ事件で刑事事件化された際には,20歳未満の未成年であれば,少年法が適用され少年事件となります。

少年事件手続は,成人の刑事事件と異なる点が多くありますので,留意しなければなりません。

特に,少年事件の場合には,捜査のための身体拘束期間である勾留の後,観護措置として,警察から少年鑑別所に移されることがあります。

この場合,勾留の後,少年鑑別所での生活を余儀なくされますから,成人の刑事手続と比較して,身体拘束期間が長くなる危険性があります。

また,少年事件の場合,刑事裁判ではなく少年審判というかたちで裁判官の判断がなされますが,相手方と示談をしたからといって審判がなくなるわけではないという点も成人事件の場合と異なる点になります。

なお,故意に被害者を死亡させた事件等,家庭裁判所の判断として刑事裁判にかけた方が良いということになりますと,再度検察官のもとに事件が送られて,成人の刑事事件と同様に扱われることになります(これを逆送といいます)。

 

いじめの場合に問題となりうる犯罪

  1. 身体的暴力を伴う場合:傷害罪,暴行罪など
  2. 心理的圧迫を伴う場合:脅迫罪,強要罪,ストーカー規制法違反など
  3. 物的損害を伴う場合 :器物損壊罪,恐喝罪など
  4. 性的暴力を伴う場合 :不同意わいせつ罪,不同意性交等罪,各都道府県の迷惑行為防止条例違反など

 

いじめの加害者として疑いをかけられた方へ

1 弁護士を通じて不起訴や無罪・不処分になるよう主張する

身に覚えがないにも関わらず,いじめを原因とする傷害や暴行などの容疑を掛けられてしまった場合,成人されている場合であれば,弁護士を通じて,警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対して,不起訴処分又は無罪判決になるよう主張する必要があります。20歳未満の未成年であれば,付添人弁護士を通じて、不起訴処分又は少年審判で不処分となるよう捜査機関や家庭裁判所の裁判官に主張する必要があります。

 

2 被害者への被害弁償及び示談交渉を行うことが急務

いじめなどによる傷害や暴行などの事実関係に争いのない場合,弁護士を通じて,被害者への被害弁償及び示談交渉を行うことが急務になります。

被害届が提出される前に,被害者に対して被害を弁償して示談を成立させることができれば,成人されている場合,警察未介入のまま前科をつけずに事件を解決できる可能性があります。

事件としてすでに警察が介入している場合であっても,被害者との間で,被害弁償及び示談を成立させることで,逮捕・勾留による身柄拘束を回避して早期に職場復帰や社会復帰が出来る可能性を高めることができます。

 

3 少年のためになる処分を目指す

事件が家庭裁判所に送られた場合には,家庭裁判所で少年審判が開かれます。

少年審判では,審判の対象となる非行事実のほか,要保護性に関する判断もなされます。

これを両方考慮した上で,最終的な処分が下されることになります。

要保護性に関しては,家庭裁判所調査官による調査結果が重要になります。

事件が家庭裁判所に送られて審判が開かれることになった場合でも,弁護士としては,被害者との間で被害弁償及び示談を成立させるとともに,少年本人に被害者のことを考えさせるなどして反省を促し,できる限り少年本人にとって更生につながる処分を目指します。

 

4 身柄拘束を解くための弁護活動

逮捕・勾留されてしまった場合や観護措置決定がされてしまった場合には,事案に応じて,証拠隠滅や逃亡のおそれがないこと,心身鑑別の必要性がないことを主張し,釈放等による身柄拘束を解くための弁護活動を行います。

 

いじめの被害に遭われた方へ

いじめの問題は,学校の内部で起きているという特殊性がありますが,それらの被害を被った場合,加害者の行為が,暴行罪・傷害罪などに該当する場合には,告訴や被害届を提出して加害者の刑事責任を追及することも考えられます。

告訴と被害届は,捜査機関に対する被害申告という点では共通していますが,告訴は受理すると捜査機関に捜査義務が生じるのに対し,被害届の提出の場合は捜査義務までは生じないという点で違いがあります。

告訴は口頭でも可能ですが,捜査義務との関係で警察が告訴を受理に慎重になる場合が多いです。

この場合には,できる限りの証拠を集めた上で,弁護士に告訴状の作成と提出を依頼するほうが確実でしょう。

 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,学校等でのいじめでお困りの方に対して,刑事事件に強い弁護士が初回無料で法律相談いたします。

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