埼玉県和光市の公務執行妨害事件

2019-05-02

埼玉県和光市の公務執行妨害事件

~ケース~
埼玉県和光市在住のAさんは仕事の帰りに同僚とお酒を飲んでいた。
帰宅途中,Aさんは通りがかりの埼玉県朝霞警察署の警察官Vに職務質問を受けた。
その際,VはAさんの鞄の中身を確認しようとし,Aさんは酔っていたこともあり,「何で鞄の中を見るんだ!お前に何の権限があるんだ!」と言いながらVを突き飛ばした。
Vはその場に転倒したがすぐに立ち上がり,Aさんは公務執行妨害罪の現行犯として逮捕された。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に初回接見を依頼した。
(フィクションです)

~公務執行妨害罪~

公務執行妨害罪は刑法95条1項に次のように規定されています

「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」

公務執行妨害罪が成立する公務員の職務は適法である必要があるとされていますので,今回のケースでは,まずはVのAさんに対する職務質問が適法な職務であったかが問題となります。

そもそも警察官による職務質問は何を根拠に行われるのでしょうか。
警察官のによる職務質問は警察官職務執行法第2条に基づいて行われています。
条文は次のようになっています。

警察官職務執行法第2条
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
(2項以下略)

お酒を飲んで酔っている人の場合には,前段の異常な挙動が見られるとして職務質問を行うことは許されると考えられます。
そのため,今回のケースのVによる職務質問は警職法2条により適法なものであったといえるでしょう。
ただし,職務質問はあくまでも任意の捜査ですので応じない相手の腕を掴むといった有形力の行使は原則許されておらず,犯罪の予防という目的との兼ね合いで適法であったかが判断されることになります。

さて,今回のケースでは職務質問自体は適法であったと思われますが,鞄の中を確認する所持品検査まで職務質問として許されているのでしょうか。
職務質問の際の所持品検査は条文上に規定はありませんが判例によって,職務質問に不随して所持品検査をすることが認められています。
そうすると,鞄の中身を無理やり確認しようとしたといった有形力の行使があったといえない場合には任意の捜査として鞄の中身を確認するといった所持品検査も適法なものといえるでしょう。

こうしたことから,AさんがVを突き飛ばした行為は適法な公務員の職務の執行に対して行われた暴行といえ,Aさんには公務執行妨害罪が成立すると考えられます。

~弁護活動~

公務執行妨害罪となるケースでは,警察官とのトラブルでカッとなって手を出してしまったというケースが多く見られます。
そのような場合,その場で相手の警察官に現行犯逮捕されてしまうことが多いでしょう。
相手が怪我をしていないなど軽微なものであれば本人の態度や反省などによって微罪処分となる場合もあるようです。

相手が怪我をしてしまったというような場合等は通常の事件として検察に身柄を送致されますが,公務執行妨害罪は性質上,罪証隠滅のおそれが少ないといえます。
そのため,弁護士が勾留の必要がないといった意見書や,ご家族の方による上申書などを提出することによって勾留されずに釈放され在宅事件となる場合も多いです。
万が一勾留されてしまった場合には弁護士は勾留に対する準抗告申立をし,1日でも早い身柄解放を目指します。

公務執行妨害罪の起訴率はおおよそ50%ですが,前科もなく,事件が悪質でなく,本人がきちんと反省しているといったような場合には不起訴処分となる場合もあります。
起訴されてしまった場合でも,公務執行妨害罪では略式起訴となる場合も多いです。
略式起訴となれば,刑事裁判を受ける必要がなく,書面で罰金刑の処罰を受けることになります。
また,刑事裁判となってしまっても,前科ない場合などは執行猶予付きの判決や,罰金刑となる場合が多いです。
しかし,略式起訴や執行猶予付判決であっても前科となってしまいますので,不起訴処分を目指すことが重要になります。
公務執行妨害罪の場合,できるだけ早い段階で弁護士に弁護を依頼することで,入念な準備のもと不起訴を目指していくことが可能となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
公務執行妨害罪を起こしてしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約を24時間受付けております。
埼玉県朝霞警察署までの初回接見費用:39,600円)