福岡県北九州市内の公務執行妨害事件

2019-04-12

福岡県北九州市内の公務執行妨害事件

~ケース~
Aさんが休日に福岡県北九州市の繁華街を歩いていたところ、パトロール中の福岡県八幡東警察署の警察官に挙動不審者として職務質問を受けました。
Aさんが職務質問を拒否したので、警察官は応じるよう説得を続けましたが、Aさんはこれをしつこく感じ、苛立ちから警察官の顔面を殴打してしまいました。
警察官に怪我はありませんでしたが、Aさんは公務執行妨害罪の現行犯として逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~公務執行妨害罪を解説~

公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加える犯罪です。
裁判で公務執行妨害罪の有罪が確定すると、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処せられます。

今回Aさんが警察官からされた職務質問は、警察官職務執行法第2条1項を根拠とする職務行為です。
つまり、警察官が職務質問する際に暴行や脅迫をすれば公務執行妨害罪となりえるということになります。
違法な公務に保護を与える必要はないので、公務執行妨害罪のいう「職務」は適法でなければならないと解されていますが、Aさんのケースの職務質問は適法と判断される可能性が高いと思われます。
適法な職務質問を行う警察官に対し、顔面を殴打する暴行を加えたものと判断されれば、公務執行妨害罪が成立する可能性は極めて高いでしょう。

~逮捕されたAさんはどうなるか~

逮捕されれば警察で取調べを受けることになりますが、取調べ後も釈放せず、身体拘束を続ける必要があると判断された場合、逮捕時から48時間以内に被疑者は検察に送致されます。
検察では、検察官が取調べを行います。
その上で、身柄を受け取ったときから24時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかを決めます。
勾留請求がなされた後は、裁判官がAさんを勾留するかどうかを検討します。
勾留するべきであると判断されれば、勾留決定が出され、最長10日間、勾留延長がなされると、さらに最長10日間身体拘束をされます。
以上を合計すると、捜査段階で最長23日間身体拘束をされることになります。

~Aさんはどうするべきか~

勾留されるとしばらく外に出ることができないので、勤務先から解雇されるなど生活への悪影響が懸念されます。
そのため、なるべく早い段階から、弁護士に相談して身柄解放活動を依頼すべきです。

公務執行妨害事件において、被害者の公務員に怪我がなく、被疑者の身元がはっきりしており、逃亡・罪証隠滅のおそれがなければ、比較的短期間の身体拘束ですむ可能性を期待することもできます。
身柄解放活動を依頼された弁護士は検察官、裁判官に対し、勾留の要件を満たさないことを主張し、勾留をさせないよう働きかけます。

勾留されてしまったとしても、身体拘束の期間はなるべく短い方が被疑者やその周囲にとってよいのは言うまでもないでしょう。
勾留されてしまった場合には、勾留決定に対する不服申し立て(「準抗告」といいます)を行ったり、勾留延長をしないよう働きかけたり、勾留期間を短縮するよう求めたりすることが考えられます。

~不起訴処分の獲得を目指す~

現在の日本では、一旦起訴されると無罪判決を獲得するのは極めて困難です。
有罪判決を受けてしまうと前科がつくことになり、今後の社会生活に悪影響を与えることがあります。
不起訴処分を獲得できれば、そもそも裁判にかけられることがないので、前科がつかずにすみます。
Aさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めるのは検察官です。
弁護士は、検察官に対し、Aさんに有利な事情を説明し、不起訴処分とするよう働きかけることができます。

~贖罪寄付を検討~

不起訴処分の獲得に向けた活動として、被害者と示談をすることが挙げられますが、公務執行妨害事件においては、被害者が警察官であるため、示談交渉を拒否される場合がほとんどです。
そのため、弁護士会や慈善団体に寄付をする「贖罪寄付」を行うことが考えられます。
被害者の損害を賠償するものではないため、効果は示談に比べて一般的に落ちますが、贖罪の意思を示すことができるので、処分内容が検討される際、Aさんに有利な事情として訴えかけることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件を専門とする弁護士が多数在籍しており、公務執行妨害事件の解決実績も豊富です。
福岡県北九州市内でご家族、ご友人が公務執行妨害事件を起こし、逮捕されてしまった方は、0120-631-881までお問い合わせください。
福岡県八幡東警察署までの初回接見費用:4万1,540円)