大阪市福島区の暴行事件で正当防衛を争う

2019-02-16

大阪市福島区の暴行事件で正当防衛を争う

~ケース~
大阪市福島区に住むAは、会社の同僚のBと金銭トラブルを抱えていた。
ある日、Aは友人のCと共に、大阪市福島区内の飲食店で酒を飲んでいたところ、たまたま同じ店いたBが「はよう金返さんかい」と怒鳴り込んできた。
Aは、Cとの食事を邪魔されたことに腹が立ったが、喧嘩はよくないと思い、そのまま店を出た。
AとCが、飲食店を出たところ、追いかけてきたBがAの顔面を手拳で殴打しようとした。
AとCは、このままでは怪我をしてしまうと思い、二人掛かりでBに対して体当たりをした。
Bは一瞬ひるんだものの、さらにAを殴ろうとしてきたため、AとCはそのままBを押し倒し、2人でBの体を押さえつけた。
Bは、AとCに体を押さえつけられたことにより、抵抗するのを止め、大人しくしていた。
しかしAは、Bが自分を殴ろうとしてきたことに腹が立ち、落ちていた石でBの顔面を殴打したところ、Bは失神し、全治1か月の怪我を負った。
(上記の事例はフィクションです)

~防衛行為の一体性と過剰防衛~

上記の事例において、AはCと共同して、Bに対して、暴行を加えています。
上記事例でのAの暴行行為としては、①体当たり行為、②押さえつけ行為、③石で殴打した行為が挙げられます。
上記事例では、Aのどの暴行行為について、どのような犯罪が成立するのか(又は成立しないのか)が問題となります。

仮にAの上記①~③の行為を一つずつ独立した行為として考えた場合、以下の通り、Aには傷害罪のみが成立すると考えられます

・①の体当たり行為及び②押さえつけ行為
これらの暴行行為については、この暴行行為によってBが怪我をしたわけではないので、形式的には暴行罪の構成要件を満たします。

もっとも、AとCは、Bからの殴打行為を逃れるために①及び②の行為を行ったといえます。
そのため、Bの殴打行為という「急迫不正の侵害」が存在するといえ、、AとCは、Bの殴打行為からAを守るという防衛の意思に基づいて上記行為を行っているといえます。
さらに、BのAに対する暴行を防ぐためには、①及び②の行為を行う必要性があったといえ、①及び②の行為はBの殴打行為と比較して、過剰な行為とまではいえません。
したがって、①及び②の行為については、「やむを得ずにした行為」にあたり、正当防衛が成立して暴行罪は成立しない可能性があります。

・③の石での殴打行為
この暴行行為については、この暴行行為によってBが全治1ヶ月の「傷害」を負っていることから、Aさんの行為はより重い傷害罪の構成要件を満たします。

また、正当防衛における「急迫」とは、法益侵害の危険が現に存在するか、間近に差し迫っていることをいいます。
本件では、BはAさんとCに体を押さえつけられたことにより、抵抗を止めていることから、③の行為の時点においては、Aさんの生命、身体に対する危険は既に存在していなかったものといえます。
したがって、Bによる「急迫不正の侵害」は存在せず、③の行為について正当防衛は成立しません。
さらに、そもそも侵害の急迫性がない以上、過剰防衛についても成立しないといえます。

次に、Aさんの①~③の行為を一連一体のひとつの行為として考えてみます。

Aさんの①~③の行為によってBは全治1か月の「傷害」を負っていることから、Aさんの一連の行為は傷害罪の構成要件を満たします。
また、上記の通り、一連の行為の開始時点では、Bによる「急迫不正の侵害」及びAの防衛の意思が認められます。
もっとも、②の行為によって既にBが抵抗を止めている以上、引き続きなされた③の行為については、防衛行為としての相当性を欠くものといえます。
そのため、Aさんの一連行為は「やむを得ずにした行為」にあたらないといえます。
したがって、Aさんの一連の行為は「防衛の程度を超えた行為」(刑法36条2項)として過剰防衛となり、Aさんは刑の減軽、免除を受ける可能性があります。

以上より、Aさんの行為を一連一体として捉えた場合、Aさんには傷害罪が成立しますが、過剰防衛として、その刑は減軽、免除される可能性があり、①~③の行為を独立して捉えた場合とで結論が異なります。

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