家庭内暴力による傷害罪で逮捕

2022-03-14

家庭内暴力による傷害罪で逮捕

<刑事事件例1>
東京都青梅市在住の飲食店従業員の女性Aは、ときどき8歳の娘Vが言うことを聞かなくなったり、大声で泣き喚いたりすることにストレスを感じており、ある日、Vがテレビの音量を非常に大きくしたことに対して「うるさいから音を下げなさい」と命じたにも関わらず、Vが言うことを聞かず、テレビの音量を下げようとしなったことに腹を立て、Vに向かってテレビのリモコンを投げつけました。
リモコンはVの顔に直撃し、Vが多量の血を流したため、Aの母(Vの祖母)が急いで手当てしました。
Aの母は、普段からAのVに対するしつけが行き過ぎて暴力を振るうことに不安を感じており、このままではVがさらにひどい怪我を負うかもしれないと危惧し、警視庁青梅警察署に対してAによる家庭内暴力のことを相談した結果、後日、警察は逮捕令状を持ってA宅を訪れ、Aを傷害罪の疑いで逮捕しました。
AがVの顔にテレビリモコンを投げつけて傷害を負わせた事実に対して、Aさんは「Vに当てようとして投げた訳ではない」と事実を一部否認しています。

<刑事事件例2>
東京都青梅市在住の建設作業員の男性Aは、妻が不在の際、友人らを自宅に招いて酒を飲んで時間を過ごし、客が帰った後、12歳の息子Vが来客に対して挨拶をせず態度が悪かったと責めて、Vに対して清掃用具の棒でVの身体を何度も殴りつける暴行を行い、Vは打撲や内出血等の傷害を負いました。
翌日帰宅したAの妻(Vの母)がVの怪我に気付き、Vを伴って警視庁青梅警察署に相談に行った結果、警察はAさんを傷害罪の疑いで逮捕しました。
警察の調べに対し、Aさんは「酒を飲んでかっとなって行き過ぎたしつけをしてしまった」と被疑事実を認めています。
(上記いずれもフィクションです。)

昨今、子どもに対するしつけが行き過ぎた結果、家庭内暴力に発展し、暴行罪傷害罪または傷害致死罪等で刑事事件化に至ったケースが連日のように報道されています。

特に、千葉県野田市の父親による家庭内暴力の結果、児童が死亡してしまったケースについては、事前に児童相談所が家庭内暴力の実態に気付き、児童を保護することが出来たのではないかとの指摘もされており、今後、児童相談所に対する権限強化する方向での意見が強まっています。

子どもに対する家庭内暴力を捜査機関が認識した場合、昨今は、その親である被疑者を迅速に逮捕する傾向が非常に強くなっています。
特に、親が子どもに対する暴力を行い、その結果傷害が生じた後に家庭内暴力が捜査機関に発覚したケースでは、児童相談所による児童の保護では緊急迅速な児童の保護が間に合わないことが強く懸念されるため、加害者である親を逮捕し、被害者である子どもから切り離すことで、さらなる家庭内暴力を阻止するという側面もあると思われます。

子どもの生命と身体の安全を最優先するという趣旨からすれば、このような対応には納得がいきますが、しかし、家庭内暴力の加害者である親が逮捕された場合、重大な問題が生じます。
それは、加害者である親の逮捕、そしてその後の勾留決定等によって、親が最大20日ほど身柄を拘束され、社会から切り離される結果、親が職を失うことになる可能性が高まり、これが転じて、その親に扶養されていた子どもの生活費や教育費にも影響を及ぼすことになるという点です。

このため、子どもに対するしつけが行き過ぎたために暴行罪傷害罪の疑いで逮捕されてしまった場合、その暴行の事実について争いがないのであれば、心からの反省を示し、二度とこのような暴力行為が繰り返されないよう誓い、様々な対策をとることを捜査機関または裁判所に示し、身柄を釈放してもらうよう働きかけることが重要になります。

この点、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、親の子どもに対する傷害罪逮捕されてしまった方からの初回接見後、受任させていただいたケースが複数あり、逮捕後、検察官による勾留請求に対し、被疑者の心からの謝罪と再犯防止のための様々な対策を行うことを効果的に主張し、被疑者の身柄解放に成功した事例がございます。

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