少年の暴力犯罪と少年法改正による特定少年の手続

2022-03-25

少年の暴力犯罪と少年法改正による特定少年の手続

少年による暴行罪傷害罪などの暴力事件を取り上げ、令和4年4月1日から施行される改正少年法との関連で今後変化する少年事件の手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

東京都八王子市在住の無職Aさん(18歳)は、深夜に仲間で集まっては窃盗喧嘩をするなど非行を繰り返していました。
ある日、Aさんの所属する少年グループと対立する少年らと喧嘩になり、AさんはVさん(19歳)に対して殴る蹴るの暴行を行った結果、Vさんは搬送先の病院で死亡しました。
警視庁高尾警察署は、この集団喧嘩に関わった少年らを全員傷害罪の疑いで逮捕し、10日間の勾留が決定しました。
Aさんは取調べをしている警察官から、罪名を傷害致死罪に切り替えて捜査を進めると言われ、今後刑事裁判を受けることになるだろうと言われました。
不安になったAさんは、国選弁護人を指定しましたが、まだ弁護士接見に来てくれません。
Aさんの両親は、Aさんと面会した際、Aさんが今後どれぐらい長く勾留され、どのような法律上の責任を負うことになるのか不安になり、まだ接見に来てくれない国選弁護人は頼りにならないと思い、刑事事件少年事件を専門とする私選弁護士に相談をすることにしました。

(上記刑事事件例はフィクションです。)

【少年法改正】

令和3年5月21日に少年法改正法案が成立し、今年令和4年4月1日から施行されます。
この少年法改正は、同日づけの成年年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正とセットになって、今後の刑事事件および少年事件に大きな影響を与えることになります。

今回の少年法改正は、従来よりも重い法律上の責任を与える民法改正と足並みをそろえるべく、罪を犯した18歳、19歳の者を「特定少年」と位置づけ、17歳以下の少年とは異なる法的手続きが行われることになります。

少年法上の「少年」とは20歳未満の者であり、この点に少年法改正による変更はありません。
ですので、「特定少年」についても、少年法改正後も少年法が適用されることには変わりありません。
よって、基本的には「特定少年」の少年事件は、原則として全件家庭裁判所に送致され、家庭裁判所で処分を下されることになります。

ただし、従来から、たとえ少年事件であっても一定の重大事件であれば成年と同じく刑事裁判手続へ差し戻す検察官への「逆送」という規定がありました。上記のような傷害致死事件については、重大事件として、原則として逆送対象事件となり、成人と同様に刑事裁判手続で懲役刑になる可能性が高くなります。
また、「特定少年」の少年事件では、今回の少年法改正により、逆送の対象となる範囲が従来より拡大されることになり、「死刑、無期懲役または短期1年以上の懲役・禁錮の罪」に該当する事件が逆送範囲に加わるため、例えば、現住建造物等放火罪強盗罪強制性交等罪組織的詐欺罪などの少年事件が原則として逆送され、成年と同じく刑事裁判を経て刑事責任を負うことになります。

また、少年事件は、少年の実名や写真等の報道が原則禁止されているところ、少年法改正によって、特定少年の事件が逆送され、検察官によって起訴されて刑事裁判が決定した場合には、少年の実名や写真等の報道が可能となります。

【少年事件も刑事事件専門の弁護士へお任せ】

少年法改正によって、今後「特定少年」として成年と同じ刑事責任を負うことになる事案が増加することが予想されます。
刑事事件の手続き自体に成年と少年の区別はありませんが、とはいえ少年の精神年齢の未熟さや環境に対する影響の受けやすさを考慮すれば、被疑者または被告人として厳しい責任追及を受ける少年に寄り添って刑事弁護活動を行うことができる弁護士が今後より一層必要とされます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門として国内で数少ない法律事務所であり、成年の刑事事件不起訴獲得や執行猶予獲得はもちろん、少年不起訴処分獲得や保護観察処分の獲得などで多くの実績をあげ、依頼者様から高く評価をいただいております。

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