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【報道解説】少年による強盗致傷事件

2023-06-08

【報道解説】少年による強盗致傷事件

大阪府東大阪市強盗致傷罪少年事件の刑事責任および法的手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

令和5年5月21日未明に、東大阪市内の路上で、男子大学生(21歳)の頭や背中を殴るなどの暴行を加え、怪我をさせたとして、男子高校生4人が傷害の疑いで、大阪府布施警察署などに逮捕された。
大学生はバッグを奪われたと話していて、警察は強盗致傷の疑いでも捜査している。
逮捕されたのは、大阪市鶴見区に住む男子高校生(16歳)と、東大阪市に住む16歳と17歳の男子高校生3人の計4人。
歩いていた大学生が、若い男4人に襲われてショルダーバッグを奪われたことから、警察は強盗致傷事件として捜査していて、付近の防犯カメラの解析や聞き込みなどから4人を特定した。
(令和5年5月22日に配信された「読売テレビニュース」より抜粋)

【強盗致傷事件の刑事処罰】

暴行脅迫を用いて、他人の物を盗った場合には、刑法の「強盗罪」に当たるとして、刑事処罰を受けます。
強盗行為の過程で、被害者が怪我をした場合には、「強盗致傷罪」が成立して、さらに罪が重くなります。

・刑法 240条(強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。」

強盗致傷事件は、法定刑の中に無期懲役刑が含まれることから、裁判員裁判の対象事件とされており、裁判官3人と一般国民から選ばれた裁判員6人の合議により、裁判が開かれます。

【少年事件の捜査の流れ】

20歳以上の成人による、普通の刑事事件の場合には、警察取調べによる調書作りや証拠集め等の捜査活動が行われた後に、検察庁での起訴不起訴の判断がなされて、起訴されれば刑事処罰を受ける流れとなります。

他方で、20歳未満の少年が犯罪行為を起こした少年事件の場合には、刑事処罰は予定されておらず、警察取調べが終わった後は、家庭裁判所に事件書類が送られて、少年自身の普段の素行等が、家庭裁判所の調査官により調査され、少年の保護処分を決めるための「少年審判」という手続きが行われます。

また、数の少ない事例にはなりますが、「少年による重大犯罪」については、家庭裁判所少年審判に付さずに、成人と同じ刑事事件の手続きをとるという「逆送」(検察官送致)が行われるケースもあります。
原則として、逆送の対象となる事件としては、「16歳以上の少年による、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件」や、「18歳以上の少年による、死刑、無期又は短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件」が挙げられます。

まずは、強盗致傷事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

大阪府東大阪市強盗致傷事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】部活動指導の傷害罪で逮捕

2023-05-28

【報道解説】部活動指導の傷害罪で逮捕

高校の部活動指導者による生徒に対する行き過ぎた指導で怪我をさせ、傷害罪逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「千葉県内の県立高校でバレーボール部の女子部員にボールを投げつけてけがを負わせたとして、松戸署は29日、男性教諭(50)(東京都港区)を傷害容疑で逮捕した。
発表によると、男性教諭は5月2日午前8時15分頃、高校の体育館で顧問を務めていたバレー部の練習中、女子部員の顔にボールを数回投げつけ、全治1週間のけがを負わせた疑い。
女子部員がプレーでミスしたことに腹を立てたとみられる。
男性教諭は容疑を一部否認しているという。」

(令和4年6月29日に読売新聞オンラインの報道を基に、事実を一部変更したフィクションです。)

【部活動の指導が犯罪に?】

一般的に、体罰を伴う等の厳しい指導について「スパルタ指導」や「しごき」と称することがあります。
そして、学校の部活動などにおいても、指導者が生徒達に威圧的な指導をしている場面を目にしたことがある方がいらっしゃるかもしれません。
もちろん、単に厳しい指導であれば刑事罰に問われることはないかもしれませんが、体罰を伴う行き過ぎた指導は、法令に抵触して刑事罰に問われる場合があります。

今回取り上げた報道も、バレーボールの指導中に行った振る舞いが犯罪に当たるとの理由で逮捕されたと考えられるケースです。
バレーボールの練習中に、指導者が生徒の顔にボールを数回投げつけて、全治1週間の怪我を負わせたということであれば、これは刑法204条が定める傷害罪に当たる可能性が高い行為になりますので、今回、警察は指導者の方を逮捕するに至ったのでしょう。

なお、傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。

【傷害を負わせる意図、故意】

報道のような事件において傷害罪が成立するためには、ボールを投げて怪我をさせたという事実に加えて、生徒の顔をめがけてボールを投げつけてやろう、あるいは怪我を負わせてやろうという意思のもとにボールを投げたという場合や、顔に当たっても構わないあるいは怪我をしても構わないという意思のもとでボールを投げたということが必要になります。
仮に、このような意思がなく、生徒に当てるつもりは全くなかったが、誤って顔をボールに当ててしまい、それによって生徒が怪我をしたということであれば、傷害罪ではなく、刑法209条の過失傷害罪が成立する可能性があります。
過失傷害罪の法定刑は、30万円以下の罰金又は科料となっており、傷害罪の法定刑よりも軽くなっています。

【部活動の指導で被害届を出されたら】

学校の中で起きた事件には警察が介入することはないと思われるかもしれませんが、学校内で起きた事件についても、犯罪に当たる可能性があり、事件について被害届を提出するといった方法で警察に報告すれば、警察が動き出して学校内の事件が一気に刑事事件へと発展する可能性は当然ありますし、場合によっては、今回取り上げた報道のように逮捕に至るという可能性は十分にあります。

そのため、部活動で生徒に対して行き過ぎた指導を行ってしまい、生徒に被害届を出されてお困りの方は、まずは、弁護士に相談して、事件の見通しや、今後の対応方法等についてアドバイスをもらうことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
部活動の指導に関して警察に被害届を出されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】自動車ひきずり殺人未遂事件

2023-05-17

【報道解説】自動車ひきずり殺人未遂事件

兵庫県三田市自動車事故傷害事件殺人未遂事件の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道事例】

兵庫県三田市の消防士の男性(43歳)が、知人女性(43歳)を車でひきずり殺害しようとしたとして、殺人未遂罪の疑いで、警察署に逮捕された。
女性は病院へ搬送されたが、右ひざをケガしているとのこと。
事件当時、男性は知人女性と口論になり、車へ乗り込み立ち去ろうとしたところ、女性が車にしがみついた状態で車を急発進させ、約10m引きずった。
警察の取調べに対して、男性は「殺してやろうという思いはなかったが、早く立ち去りたいという思いでアクセルを踏み込んだ」と、容疑を一部否認している。
(令和5年5月7日に配信された「MBS NEWS」より抜粋)

【自動車事故と殺人未遂事件の違い】

自動車を運転していて、過失により人をひいてしまった人身事故のケースでは、自動車運転処罰法の「過失運転致死傷罪」が成立し、「7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金」という法定刑で、刑事処罰を受ける可能性が考えられます。

他方で、故意に被害者に怪我をさせようとして自動車でひいた場合や、「被害者が怪我をするかもしれないけれども、それでも構わない」と考えて自動車でひいた場合には、「傷害罪」が成立する可能性があります。
刑法の「傷害罪」の法定刑は、「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。

また、故意に被害者を殺害しようとして自動車でひいた場合や、「被害者が死亡するかもしれないけれども、それでも構わない」と考えて自動車でひいた場合には、「殺人罪」(殺人未遂罪)が成立する可能性があります。
刑法の「殺人罪」(殺人未遂罪)の法定刑は、「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」とされています。

事件捜査の初期段階での警察取調べにおいて、事件当時の状況や心境を、容疑者がどのように供述するかが、その後の刑事処罰の判断に大きく影響することとなります。
まずは、自動車ひきずり事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。

【逮捕後の身柄拘束の流れ】

人身事故を起こして逮捕された後は、2、3日以内に「さらに10日間の身柄拘束(勾留)を続けるかどうか」という勾留判断がなされます。
逮捕勾留されれば、逮捕後12、3日程度(勾留期間が延長されれば最長22、3日程度)で、担当の検察官により、刑事処罰の起訴不起訴の判断がなされる流れとなります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

自動車ひきずり事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【事例解説】車内の刃物が警察官に発見され刑事事件化

2023-04-14

【事例解説】車内の刃物が警察官に発見され刑事事件化

車の中に置いていた刃物が警察官に見つかったために捜査が始まったケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「Aさんは、自分の車のコンソールボックスの中に刃体の長さが5・8センチメートルのサバイバルナイフを防災用に入れていました。
ある日、車を運転中に警察の職務質問を受けました。
その際に車の中の捜索を受けて、警察官がコンソールボックスの中に置いてあったサバイバルナイフを見つけたために軽犯罪法違反として捜査が開始されることになりました。
Aさんは、サバイバルナイフを押収されて、また警察官から『後日、事情聴取を行うために警察に呼びだすから』と言われました。 
(この事例は、令和5年3月2日読売新聞の記事を参考にしたフィクションです。)

【刃物を携帯・所持の罪】

正当な理由がなく、刃物を所持していたり、隠して携帯していたりすると罪に問われる可能性があります。
どのような罪に問われる可能性があるかは、所持・携帯していた刃物の刃体の長さによって異なります。

事例のAさんのように、刃体の長さ6センチメートル以下の刃物を隠して所持していたという場合には、軽犯罪法1条2号に違反する可能性があります。
軽犯罪法1条2号に違反すると、拘留(1日以上30日未満の期間、刑事施設に収容すること)または科料(1000円以上1万円未満の金銭を納付すること)が科される可能性があります。

また、所持していた刃物の刃体の長さが6センチメートルを超える場合は、軽犯罪法ではなく銃刀法22条に違反する可能性があります。
銃刀法22条に違反すると、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が課される可能性があります(銃刀法31条の18第2項2号)。

【銃刀法違反でお困りの方は】

刃物を所持・携帯していたとして、銃刀法違反軽犯罪法違反の罪が成立する為には、刃物を所持・携帯していたことに「正当な理由がない」ことが必要になります。
そのため、警察の取り調べでは、どういった経緯で刃物を所持・携帯することになったのかと聞かれることになるでしょう。
このような取り調べにおいて警察官の誘導に乗ってしまって自身に不利な調書が作成されないように、銃刀法違反軽犯罪法違反の疑いで警察の取調べを受ける予定があるという方は、事前に弁護士に相談されることをお勧めします。

警察官が取り調べで誘導することがあるのかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、警察官に誘導されてしまって自身に不利なことを供述してしまうことはあり得ることです。
実際に、3月2日の読売新聞では、車内に十徳ナイフを隠して携帯していたとして軽犯罪法違反の罪で起訴された男性が無罪となったニュースが報道されていましたが、この事件の裁判では、被告人の男性が捜査段階において警察官の誘導に乗せられて供述した可能性があると指摘されています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
銃刀法違反軽犯罪法違反の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】保育士が園児に暴行して書類送検

2023-03-23

【報道解説】保育士が園児に暴行して書類送検

保育士園児暴行を働いた疑いで書類送検された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「去年、千葉県松戸市の認可保育所で、園児の頭を叩くなどの暴行を加えたとして、当時保育士だった女性2人が書類送検されました。
去年10月、園内で30歳の女性は当時1歳の男の子の頭を手で叩き、31歳の女性は当時2歳の男の子の右手を引っ張り、頭をおもちゃのふたで叩くなどの暴行を加えた疑いがもたれています。
31歳の女性は容疑を認め、30歳の女性は容疑を否認しているということですが、警察は起訴を求める『厳重処分』の意見を付けて書類送検しました。」
(令和5年2月10日にTBSNEWSDIGで配信された報道より一部抜粋して引用)

【暴行罪は軽い犯罪?】

今回取り上げた報道は、当時保育士であった女性が園児に対する暴行の疑いで検察に書類送検されたというものです。

刑法208条に規定されている暴行罪が成立するためには、「暴行」をする必要がありますが、「暴行」とは人の身体に対する不法な有形力の行使と定義されています。
分かりづらい定義かと思いますが、人の身体に向けて物理的に攻撃をした場合は「暴行」に当たることになります。
そのため、人の手を引っ張ったり、人の頭を叩くといった行為をした場合は暴行罪として罪に問われる可能性があります。

暴行罪と聞くと大したことのない刑が軽い犯罪だと思われるかもしれませんが、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています。
法定刑に懲役刑が定められていますので、捜査の段階で暴行の事実について認めている場合でも、事件の具体的な状況次第によっては、検察官によって起訴されて正式な刑事裁判が開かれてしまうということもあり得ます。

【前科が付くと保育士になることができない?】

報道では、事件当時保育士であった被疑者2名が書類送検されたということですが、書類送検とは、警察での捜査の結果をまとめた書類を検察に送ることを意味しています。
捜査書類を受け取った検察官は、被疑者を暴行罪として起訴するかどうかの判断をすることになります。

ところで、保育士資格には、児童福祉法のなかで保育士になることができない一定の場合が定められています。
具体的な条文を挙げて説明しますと、児童福祉法18条の5柱書では、「次の各号のいずれかに該当する者は、保育士となることができない。」と規定して、保育士になることができない場合として、第1号から第5号までの5つの場合を規定してます。

そして、5つの場合のひとつである第2号では「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者」と規定しています。
この児童福祉法18条の5第2号によれば、刑事裁判の結果、執行猶予が付かずに懲役刑や禁固刑となった者であれば刑の満了から2年間は保育士にになることができませんし、また、執行猶予付きの判決であった場合でも執行猶予の期間満了から2年間は保育士になることができないことになります。

【暴行罪で前科を付けたくないとお考えの方は】

先ほども説明した通り、暴行罪の法定刑には懲役刑が定められていますので、事件によっては、暴行罪起訴されて刑事裁判が開かれた結果として執行猶予付きの有罪判決となった場合、執行猶予の期間が満了してから2年の間は保育士になることができません。

このように、国家資格の中には前科が付くとその効力を失うものがありますから、暴行事件といった刑事事件を起こしたことで前科がついて仕事ができなくなるといったことを避けたいとお考えの方は、いち早く弁護士刑事弁護活動の依頼をされることをお勧めします。
弁護士に依頼することで、弁護士は、前科が付くことを回避するために検察官に起訴を猶予してもらうように交渉をしたり、仮に起訴されて裁判で有罪となったとしても仕事への影響がないような判決を求めるといったことができるようになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
暴行罪前科が付くことを避けたいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】刃物切りつけ傷害事件で逮捕

2023-03-12

【報道解説】刃物切りつけ傷害事件で逮捕

横浜市保土ケ谷区で生じた傷害罪銃刀法違反刑事事件を例に、その刑事責任と刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

横浜市保土ケ谷区のJR保土ケ谷駅近くの路上で、令和5年2月1日午後8時ごろ、被害者男性(28歳)がすれ違いざまに、加害者に刃物のようなもので太ももを切りつけられ、全治1カ月の怪我を負った。
神奈川県警は、令和5年2月4日に、男性(62歳、会社員)を傷害容疑で逮捕した、と発表した。
男性は「刃物で切りつけることもしていないのでわかりません」と容疑を否認しているという。
埼玉県川口市でも、1日午後6時半ごろ、すれ違いざまに何者かに太ももを切りつけられる傷害事件が2件あり、神奈川県警と埼玉県警が関連を調べている。
(令和5年2月4日に配信された「朝日新聞デジタル」より抜粋)

【傷害罪と銃刀法違反の違い】

他人に物理的な力を加えて、怪我をさせた場合には、「傷害罪」に当たるとして、「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という法定刑の範囲で、刑事処罰を受けます。

・刑法 204条
「人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」

他方で、正当な理由なしに、刃物を持って外を出歩き、他人に刃物を向けたような場合には、「銃刀法違反」に当たるとして、「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」という法定刑の範囲で、刑事処罰を受ける可能性が考えられます。

銃刀法 22条
「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。」

銃刀法では、刃の長さが6cmを超える包丁や、8cmを超えるナイフなどが、取締りの対象とされており、その長さ以下の刃物を、正当な理由なしに持ち歩いた場合には、「軽犯罪法違反」に当たるとして処罰される可能性があります。

【傷害事件で逮捕された場合の刑事弁護活動】

傷害事件逮捕された場合に、容疑者が事件をやっていないと否認しているケースと、事件を起こしたことを認めているケースでは、弁護対応の方針が異なります。

傷害の否認事件の場合には、捜査機関による厳しい取調べ尋問が行われることが予想されるため、弁護士と「やっていない否認主張」につき、綿密に打ち合わせをして、事件当時の状況や容疑者のアリバイなどを、明確に根拠立てて供述していく必要があります。

他方で、傷害の認め事件の場合には、警察取調べの供述方針を弁護士と検討するととともに、被害者に対する謝罪や慰謝料支払いによる示談交渉を行い、被害者側からの許しを得ることが、刑事処罰の軽減のために重要となります。
被害者側とコンタクトを取り、示談交渉を進めていくためには、刑事事件に強い弁護士に依頼して、被害者との間を弁護士が仲介する形を取ることが必要となります。

傷害否認事件でも認め事件であっても、まずは、傷害事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

横浜市保土ケ谷区傷害事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】酒に酔ってタクシー運転手を殴り、料金を踏み倒して逮捕

2023-02-18

【報道解説】酒に酔ってタクシー運転手を殴り、料金を踏み倒して逮捕

酒に酔った状態でタクシー運転手を殴って料金を踏み倒したとして強盗罪の疑いで警察に逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

埼玉県警川越署は7日、タクシー運転手暴行を加え、乗車料金を支払わなかったとして、強盗容疑で、富士見市鶴馬、自称会社員の男(22)を逮捕した。
逮捕容疑は、6日午後8時35分ごろから同40分までの間、川越市岸町3丁目の路上に停車した八潮市のタクシー運転手男性(65)のタクシー脇で、男性の足をけるなどの暴行を加え、乗車料金約1万8千円を支払わなかった疑い。」

(令和5年1月8日に埼玉新聞で配信された報道より一部抜粋して引用)

【利益強盗罪(2項強盗)とは?】

強盗罪」と聞くと、被害者の方を殴った上で金目の物を奪い去るという行為をイメージするかと思いますが、今回取り上げた報道では逮捕された男性はタクシー運転手から売上金を奪い去った訳ではありません。
今回取り上げた報道の男性は、支払うべきタクシーの乗車料金の支払いを免れた疑いがあるとのことですが、実際に金目の物を奪い去らなくとも強盗罪が成立する場合があります。
このような場合に成立する強盗罪を、利益強盗罪または2項強盗罪と表現することがあります。
なぜ、2項強盗罪と表現するかというと、この場合に刑法236条2項に規定する強盗罪が成立することになるからです。

刑法236条には1項と2項の2つの規定があります。
刑法236条1項では、
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」
と規定しています。
刑法236条2項では、
「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする」
と規定しています。
刑法236条2項は、要するに、暴行又は脅迫を用いて財産上の利益を自身が得た場合や、他人に財産上不法な利益を得させた場合も強盗罪が成立するとして、5年以上の有期懲役に処するということが記載されています。
なお、条文上「財産上不法の利益」という言葉となっていますが、これは「財産上の利益」が「不法」なものであるということではないと考えられています。

今回取り上げた報道のようにタクシーの運転料金の支払いを免れたというケースでは、犯人の懐に何かプラスの利益が入ってきた訳ではありませんが、支払う義務がある運転料金の支払いを免れたということで懐から出ていくはずのお金が出ていかなかったという意味で「財産上の利益」を得たということができます。
そのため、被害者の反抗を抑圧するような「暴行」を加えたことでタクシー運転代金の支払い債務を免れるという「財産上の利益」を得た場合には、2項強盗罪が成立することになるでしょう。

【ご家族が強盗罪の疑いで逮捕されてお困りの方は】

強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役刑となっていますから、比較的重い犯罪であるといえます。
ただ、弁護士がいち早く被害者の方と示談を締結することができれば、不起訴になる、すなわち前科が付かずに強盗事件を解決することも可能な場合があります。
そのため、ご家族が強盗罪の疑いで警察に逮捕されたということを知ったら、真っ先に弁護士にご相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が強盗罪の疑いで逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】携帯電話を奪って器物損壊罪で逮捕

2023-01-27

【報道解説】携帯電話を奪って器物損壊罪で逮捕

警察に通報されることを避けるために相手の携帯電話を奪い去ったとして器物損壊罪逮捕されたケースに刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「警察によると、A容疑者は予約していたタクシーが乗り場にいなかったため、受付カウンターで運転手の男性と口論になり、運転手が警察に通報しようとしたところ、スマートフォンを奪ってそのまま立ち去ったということです。」

(令和4年12月20日に関西テレビで配信され報道より一部抜粋して引用)

【相手の携帯電話を奪い去ったのに窃盗罪ではないのか?】

今回取り上げた報道のAさんは器物損壊罪の疑いで逮捕されています。
Aさんはタクシー運転手の方の携帯電話を奪い去っていますが、このように相手の物を勝手に奪い去るというのは窃盗罪が成立するのではないかと思う方がいらっしゃるかもしれません。

窃盗罪は刑法235条に規定されている犯罪で、仮に窃盗罪起訴されて有罪となると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。
このような窃盗罪が成立するためには、相手の物を奪った際の犯人の心の中に「権利者を排除して他人の物を自己の所有物とし、その経済的用法に従って使用し処分する意思」という意思が存在する必要があります。
この意思のことを不法領得の意思といいます。

盗んだ物を転売して利益を得ようとするために相手の物を勝手に持ち去った場合には、不法領得の意思が認められることになりますが、今回のAさんは、奪い去った携帯電話をそのまま使用する目的であったり、転売しようとする目的があった訳ではありません。
Aさんは、あくまで、タクシー運転手の方が警察に通報しないように電話をさせない目的で携帯電話を奪い去っていますので、このような目的は不法領得の意思があるとは言えない可能性が高いです。
そのため、Aさんには窃盗罪が成立する可能性が低いと言えるでしょう。

なお、記事中ではAさんが携帯電話を奪った旨の記載がありますので、強盗罪が成立するのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、強盗罪の成立に当たっても不法領得の意思が要求されますので、不法領得の意思がない場合は強盗罪は成立しません。
また、そもそも強盗罪が成立するためには、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行脅迫を加えたことによって相手の物を奪い去る必要がありますが、このような暴行脅迫を加えたのでければ強盗罪は成立しません。

【相手の携帯電話を奪い去ったのに器物損壊罪?】

それでは、どうして携帯電話を壊した訳でもないのに器物損壊罪の疑いで逮捕されたのでしょうか。
器物損壊罪は刑法261条に規定されている犯罪で、「他人の物を損壊」した場合に成立する犯罪です。

器物損壊罪が成立する典型的なケースは相手の持ち物を物理的に破壊することですが、実は器物損壊罪の成立に当たって必要とされる「損壊」というのは、その物を本来の目的で使用することができない状態にすることを意味します。
そのため、相手の持ち物を物理的に破壊したときはもちろん、相手の持ち物を持ち去って持ち物を使用できなくさせる行為も「損壊」に当たることになります。

連絡手段である携帯電話を奪い去る行為は、携帯電話の本来的な用法である連絡手段としての使い方を害しているといえるでしょうから、Aさんには器物損壊罪が成立する可能性が高いと言えるでしょう。
器物損壊罪の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料となっています。

【器物損壊の場合の刑事弁護活動】

器物損壊罪は刑法264条によって親告罪という犯罪に当たりますので、器物損壊罪については、被害者の方の告訴がないと検察官は起訴することができません。
そのため、器物損壊罪の場合の刑事弁護活動としては、弁護士を通して被害者の方との示談をして被害者の方に告訴を取り下げてもらうことが非常に重要になるでしょう。

示談締結によって告訴を取り下げてもらうことができれば、検察官は器物損壊罪について起訴をすることができませんから、器物損壊罪について前科が付くことはありません。
このような示談交渉は、刑事事件弁護活動の経験が豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
器物損壊の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方、被害者の方との示談をお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】中学校内の暴力で少年が暴行罪で逮捕

2023-01-16

【報道解説】中学校内の暴力で少年が暴行罪で逮捕

中学校で同学年の生徒を抱きかかえて3階の窓から体を外に出したとして、暴行罪の疑いで14歳の中学生逮捕された刑事事件少年事件の報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「広島県福山市の中学校で、同学年の生徒を抱きかかえたまま、体を校舎3階の窓から外に出す暴行を加えたとして、福山市内に住む14歳の少年が逮捕されました。
警察によりますと男子中学生は10月20日の午前11時50分ごろ、福山市にある中学校で、校舎3階にあるトイレの窓から、同級生の男子中学生(13)を仰向けに抱きかかえたまま、体を外に出す暴行を加えた疑いが持たれています。
窓は地上からの高さがおよそ8メートルでした。
被害を受けた生徒の保護者から相談を受けた警察が、学校や目撃した別の生徒の話を聞くなどして、男子中学生逮捕しました。
調べに対し男子中学生は『窓の外に出したりしていない』と話しているということです。」

(令和4年11月29日にRCC中国放送より配信された報道より引用)

【中学生が暴行罪で逮捕?】

今回取り上げた報道では、学校内で起きた事件で14歳の男子中学生暴行の疑いで逮捕されています。
確かに、人を抱きかかえるという行為は人の身体に対する有形力の行使として刑法208条の暴行罪に当たる可能性がある行為ですが、単に生徒同士でふざけ合っていただけではないのかと思われた方がいるかと思います。

確かに、学校内で生徒同士がふざけ合っていただけなら警察が逮捕に踏み出す可能性は低いですが、今回の事件では人を抱きかかえただけではなく、抱きかかえて地上から8メートルにある3階の窓から身体を外に出した疑いがあるとのことです。
仮に地上8メートルの3階から人が落ちた場合、落ちた人が死亡する可能性がありますので、本当に落とそうとしたのであれば、人を抱きかかえて窓から体を外に出す行為は殺人未遂に当たり得る行為になります。
殺人未遂となれば重大事件になります。

報道では、警察が14歳の男子中学生逮捕する前に学校や事件を目撃した生徒に話を聞いていたとのことですので、警察としてはこうした逮捕前の捜査によって単に中学生がふざけ合ったのではないと判断して、更なる事案の解明のために、まずは逮捕が確実に認められるであろう暴行罪で14歳の男子中学生逮捕したものと考えられます。

【14歳の中学生が逮捕されると今後どうなるのか?】

14歳の中学生が犯罪に当たる行為をしてしまうと少年事件として取り扱われることになります。
少年事件の場合は、通常の刑事事件のように検察官が事件を起訴するかどうかを決定するのではなく、全ての事件が家庭裁判所に送られることになり、家庭裁判所が刑罰の代わりに最終的な少年の処遇を決定することが原則となります。

このように少年事件の場合は通常の刑事事件とは異なる手続きとなりますが、事件が家庭裁判所に送致される前の捜査段階においては14歳の中学生の場合であっても基本的に通常の刑事事件と同じになりますので、逮捕された少年がすぐに帰宅することができない場合があります。

まず、14歳の中学生であっても、検察官は一定の条件のもとに逮捕後72時間以内に勾留請求をすることができます。
検察官の勾留請求が裁判官に認められると、少年の身柄は原則として10日間、延長すると最長20日間にわたって、警察署の留置施設などに拘束されることになります。

これに加えて少年事件の場合は、勾留の代わりに観護措置という手段(「勾留に代わる観護措置」といいます。)によって、逮捕後も少年の身柄が拘束されることがあります。
観護措置」とは、事件が家庭裁判所に送られた後に家庭裁判所が事件や少年について調査するために行うことをいい、①在宅で家庭裁判所調査官の観護に付すものと②少年を都道府県に設置されている少年鑑別所で拘束するものの2つがありますが、②の少年鑑別所少年の身柄を拘束するものが大多数です。

勾留に代わる観護措置」とは、文字通り、この観護措置勾留の代わりに行って、逮捕した少年の身柄を鑑別所で拘束することを言います。
勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が勾留に代わる観護措置の請求を出した日から10日間で、勾留の場合と異なって延長することができません。

以上は、事件が家庭裁判所に送致される前の話ですが、事件が家庭裁判所に送致されてからも、さきほども登場した観護措置によって少年の身柄が鑑別所に拘束される場合があります。
この観護措置の期間は原則として2週間ですが、期間を継続する必要があれば1回に限り更新することができますので、4週間にわたって身柄が拘束されることになります。

また、例外として死刑、懲役又は禁錮に当たる事件で、犯行の動機、態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実といった非行事実の認定に関して証人尋問・鑑定・検証を行うことを決定したものや、既に証人尋問・鑑定・検証を行ったたものについて、少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合は、観護措置の期間を更に2回更新することができます。
そのため、例えば少年が自分はやっていないと事件を否認しているときなどは最大で8週間の観護措置が取られる場合があり得ます。

このように14歳の中学生のお子さんが逮捕されたという場合は、長期間にわたって身柄が拘束されるおそれがあります。
長期間身柄が拘束されるとお子さんの学校生活への影響が大きく、将来に不利益となる可能性もあり得ますので、中学生のお子さんが逮捕されたということを知った場合は、いち早く弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
お子さんが警察に暴行の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】従業員を決闘させて決闘罪で逮捕

2023-01-05

【報道解説】従業員を決闘させて決闘罪で逮捕

従業員決闘をさせたとして決闘罪逮捕された希少な刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「ガールズバーで働く女性従業員と元従業員決闘させたとして大阪府警天満署は17日、大阪市福島区、同店の実質経営者、A容疑者(30)を決闘容疑で逮捕した、と発表した。
同署は認否を明らかにしていない。
発表によると、A容疑者は、8月3日午後11時35分頃、同市北区の歩道で、ガールズバーで働く10歳代の従業員と元従業員の女性2人に対し、『お前らタイマン(決闘)したらええやんけ』と言い、実際に飲食店内で殴り合いをさせた疑い。
1人は顔や頭に打撲のけがを負った。
同署は女性2人も同容疑で調べている。」

(令和4年11月18日に読売新聞オンラインで配信された報道より一部匿名にして引用)

【決闘の処罰根拠】

今回取り上げた報道では、逮捕された男性は女性2人に決闘をさせた疑いがあるとのことです。
決闘については、明治22年に定められた法律である「明治二十二年法律第三十四号(決闘罪ニ関スル件)」という法律が刑事罰を規定しています。
この決闘罪ニ関スル件によれば、決闘については次の4つの場合に罰則が科されることになります。

決闘を挑んだ人、決闘の挑戦に応じた人は6カ月以上2年以下の懲役(1条)
決闘を行った人は2年以上5年以下の懲役(2条)
決闘の立ち合いをした人や決闘の立ち合いを約束した人は1ヶ月以上1年以下の懲役(4条1項)
決闘が行われることを知ったうえで決闘の場所を貸与・提供した人は1ヶ月以上1年以下の懲役(4条2項)

今回取り上げた報道では、女性たちが決闘をした場所が逮捕された男性が経営する飲食店内であったことが読み取れますので、決闘が行われることを知って場所を提供したとして、決闘罪ニ関スル件4条2項に違反した可能性が考えられるでしょう。

【決闘とは】

このように決闘を行った場合や決闘に関与した場合には刑事罰が科されることになるのですが、そもそも「決闘」とはどのような行為を言うのでしょうか。
決闘」の定義について、法律上定めはありませんが、過去の最高裁裁判所の判例において「決闘」を「当事者間の合意により相互に身体又は生命を害すべき暴行をもつて争闘する行為」と定義したものがあります(最高裁判所昭和26年3月16日判決)。

【決闘の結果としての傷害や殺人】

取り上げた報道では、実際に決闘を行った女性2人のうち1人が顔や頭に打撲の怪我を負っているとのことです。
こうして決闘によって相手を怪我させた場合には、別途刑法204条の傷害罪が成立することになりますが、決闘罪ニ関スル件3条によってこの傷害罪決闘に関する罪のうち刑罰が重い方で処罰されることになります。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっていますので、決闘の相手を怪我させた場合はより重い傷害罪で処罰されることになるでしょう。

また、仮に決闘相手を死亡させた場合には、殺意がなければ刑法205条の傷害致死罪が、殺意があれば刑法199条の殺人罪が成立すると考えられます。
傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役刑で、殺人罪の法定刑は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役刑となっていますので、決闘の相手を死亡させた場合には傷害致死罪殺人罪として処罰されることになると考えられます。

【決闘に関して警察の捜査を受けてお困りの方は】

決闘に関して警察の捜査を受けられている方は、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士に相談することで、そもそも決闘に関してどのような罪が成立するのか、決闘に関する罪以外にも成立する犯罪がないのか、複数の罪の成立が考えられる場合にはどのような罰が科される可能性があるのかといった事件の見通しなどについて説明を受けることができますので、今後に備えてどのような対応を取ればよいのかといったことを知ることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
決闘の疑いで警察に捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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