Archive for the ‘未分類’ Category

【事例解説】喧嘩の仲裁をしたつもりが傷害で捜査を受けることに

2024-12-14

喧嘩の仲裁をしたつもりが傷害で捜査を受けることになった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

けんか

事例 

Aさんが友人と飲んだ帰りに道を歩いていると、友人と通行人Vの肩がぶつかったようで友人と通行人Vが口論をはじめました。 
Aさんはお互いをなだめていましたが、口論がヒートアップして掴み合いに発展し始めたため、友人を守ろうと通行人Vの服を掴んで引き離しました
それに加えて、Aさんは通行人Vの胸の辺りを押して喧嘩をやめるように伝えました。 
通行人Vは相手が2人では分が悪いと考え、その場を立ち去りました
通行人VがAさんに突き飛ばされて怪我をしたと警察に被害届を出したようで、Aさんは警察から呼び出しを受けることになりました
Aさんは喧嘩の仲裁に入ったつもりで、仮に自身の行為が傷害に当たるとしても正当防衛だと考え弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです。)

傷害罪について

傷害罪は、刑法204条(出典/e-GOV法令検索)に規定されています。
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害」とは人の生理機能を侵害することであるとされています。
具体例としては、頭を叩いてたんこぶや内出血を負わせること、刃物で切り傷を負わせることなどが上げられます。 
事例のAさんは、喧嘩の仲裁のためとはいえ通行人Vさんの服を掴んで引き離したり、胸の辺りを押しているため、これにより通行人Vさんが怪我をしていれば、人の生理機能を侵害したとして傷害行為が認められるかもしれません。 

正当防衛について

ある行為が犯罪に当たる行為であっても、それが正当防衛の要件を満たす行為であればその行為の違法性はなく犯罪は成立しません
正当防衛は刑法36条1項に規定されています。

刑法36条1項(出典/e-GOV法令検索)
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない

これからすると、正当防衛は、「急迫性」、「不正の侵害」、「自己又は他人の権利」、「防衛するため」、「やむを得ずにした」という要件が必要であることが分かります

正当防衛が成立する可能性があるか否かは、法律的な判断が必要となりますので、自身で勝手に判断するのではなく法律の専門家である弁護士の見解を聞いてみることをオススメします。 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害事件をはじめとする豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
暴行罪や傷害罪で警察の捜査を受けることになった方は、できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例解説】質店への強盗で男が逮捕

2024-12-07

質店への強盗で男が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

 

事例

Aさんは、お金欲しさに質店に強盗に入り、現場から逃走しました。
警察が現場に駆け付け付近を捜索していたところ、Aさんは見つかってしまい、Aさんは強盗の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。) 

強盗罪とは

強盗罪刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処すると定められています。

強盗罪は、量刑が5年以上の有期懲役となり、重大犯罪の1つです。
簡単に説明すると、金品等を盗むにあたり、相手を凶器で殴ったり、脅したりして無理やり物を奪うような行為が強盗罪です。

相手を殴るなどの行為は、被害者が怪我をし、場合によっては死亡したりすることが非常に発生しやすい状況のため、危険で悪質な犯罪と言えます。
被害者が怪我や死亡した場合は、強盗よりもさらに重い強盗致傷罪が成立することになるでしょう。

暴行・脅迫とは

暴行とは、人の身体に対する不法な有形力の行使を意味します。
例えば、殴る・蹴る・凶器で殴る等の行為です。
脅迫とは、相手に対する害悪の告知を意味します。
例えば、「殴るぞ。監禁してやる。ネットに写真をばらまくぞ。」等が該当し、具体的な基準はありませんが、被害者が恐怖するような言動であれば脅迫に該当してしまう可能性が高いでしょう。
暴行・脅迫がどのようにおこなわれたか、日時や場所などを総合的に考慮して判断されることになります。

強盗事件を起こしてしまったら

できるだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。
強盗罪は、5年以上の有期懲役です。
5年以上の有期懲役である強盗罪は、原則執行猶予がつきません
(執行猶予は3年以下の懲役である必要があります。)
しかし、強盗行為をおこなってしまっても、被害者に真摯に謝罪して示談が成立すれば、刑の減軽がされ、3年以下の懲役が下される可能性があります。
この場合には、執行猶予がつく可能性があるため、示談を成立させることができるかどうかが重要となるため、非常に素早い行動が大切になってきます。

そこで、弁護士に示談交渉を一任されることをおすすめいたします。
被害者が被疑者の示談交渉等を拒絶している場合でも、弁護士とであれば連絡を取ることに応じる場合もあります

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、強盗事件について豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を減軽させたり、執行猶予付判決を得たりすることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】無銭飲食をして逃走の際に店員に暴行

2024-11-29

飲食店で無銭飲食をして逃走する際に、店員を殴って怪我をさせたとして強盗致傷罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

居酒屋

参考事件

飲食店において、代金を支払わずに飲食店を出た男が、追いかけてきた店員を数回殴って、店員に怪我を負わせたとして、強盗致傷罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです。)

強盗致傷罪とは?

強盗の際に、相手に怪我を負わせると「強盗致傷罪」となります。
強盗致傷罪は、刑法第240条(出典/e-GOV法令検索)に「強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し(以下省略)」と定められています。
ご覧のように、強盗致傷罪は、非常に重たい犯罪行為で、起訴されて有罪が確定した場合は、何らかの減軽事由によって執行猶予を獲得できなければ長期服役も考えられる事件です。

無銭飲食がなぜ「強盗」に?

飲食店での食い逃げ(いわゆる無銭飲食)については、詐欺罪が適用されるケースがほとんどですが、犯行態様によっては詐欺罪が成立するために最低限必要とされる要件を満たさないことから、詐欺罪すら成立しない場合もあります。
さて、今回紹介する事件は、逃走する際に店員を殴って怪我をさせたことから「強盗致傷罪」が適用されています。
今回の参考事件、全ての発端は逮捕された男の無銭飲食です。
冒頭で解説したように、無銭飲食に適用されるのは「詐欺罪」のはずが、なぜ、強盗になったのでしょうか?
強盗罪は、一般的に殴る蹴るといった暴行や、刃物を突き付ける等の脅迫によって、人から金品を強取する事によって成立する犯罪ですが、実はこれは強盗罪が定められている刑法第236条1項に該当し、同じ刑法第236条の2項には、2項強盗と呼ばれる強盗行為が定められています
その内容は「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」といったものです。
ここでいう「前項の方法」とは、暴行又は脅迫を意味しています。
つまり、暴行や脅迫によって不法の利益を得ると強盗罪となるのです。
今回の参考事件については、飲食代を支払わないという無銭飲食の行為は、法律上、不法の利益に当たるので、無銭飲食の際に、店員を殴る行為は「強盗罪」に抵触してしまうのです。
そして、その際に相手を怪我させてしまうと強盗致傷罪が成立します

まずは弁護士に相談を・・・
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、強盗致傷事件に関する無料法律相談や、強盗致傷罪で逮捕された方に対する初回接見サービスをご用意し、皆様のご利用をお待ちしております。
刑事事件専門弁護士による、無料法律相談や初回接見サービスをご希望の方は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。

【事例解説】強盗の準備をしていたとして強盗予備罪で逮捕

2024-11-22

強盗をする準備をして強盗予備罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

Aさんは地元の先輩から窃盗をやらないかと誘われお金を持っていそうな外観のVさん宅、先輩を含めた数名と一緒に窃盗に入ることにしました。
犯行日時や役割分担などを決め、もしVさんに見つかった場合にはナイフで脅して金を奪うという計画まで立てました。
また、ナイフや金目の物を入れるためのバッグも用意しました。
ところが犯行直前になって、臆した仲間の1人が警察署に相談をしました。
その情報をもとに、警察が犯行予定日時にVさん宅周辺に張り込みしていたところ、何も知らないAさんらが現れました
すぐさま警官が取り囲み、Aさんらは強盗予備の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

~強盗予備罪とは~

Aさんたちは、仲間と共に窃盗の計画だけでなく、場合によってはナイフで脅すという強盗の計画まで立てて、ナイフやバッグを用意するなどの準備を行っていました。
まだ窃盗や強盗自体を行ったわけではありませんが、このような準備をした時点で強盗予備罪という犯罪が成立してしまいます

刑法第237条(出典/e-GOV法令検索)
強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する

つまり、

強盗目的で
その準備をすると

強盗予備罪が成立します。

①まず、この強盗目的とは、暴行・脅迫を用いて物を奪い取る強盗を最初からするつもりの場合はもちろん、とりあえず空き巣(窃盗)をするつもりだが家主に見つかったら強盗の手段も辞さないという「居直り強盗」の計画がある場合も含まれます

Aさんたちの場合も、最初から強盗で行こうとはしていませんが、場合によってはナイフで脅して金を奪うという強盗をするつもりであったで、①強盗目的があると言えます。

②次に、強盗の準備としては、強盗に必要な凶器などを調達したり、下見に行ったり、凶器などを持ってどの家に入ろうかと物色・徘徊するような行為が該当します。

Aさんたちは凶器となるナイフや現金を入れるバッグを準備していますし、まさにこれら凶器などを持ってVさん宅の近くまで来たわけですから、②強盗の準備をしたといえます

以上により①と②両方を満たすので、Aさんたちには強盗予備罪が成立するといえるでしょう。

~事件はどう進んでいくのか~

逮捕をされたAさんたちは、最初に最大3日間、警察署の留置所等に入れられます
そして、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、被疑者段階で最大20日間の身体拘束がされる可能性があります

勾留がされるか否かは事件次第ですが、前科があったり、今回行った犯罪が重かったり、犯行を否認していると、刑罰から逃れたいとはずだと判断され、逃亡や証拠隠滅の可能性が高いとして勾留されやすくなる傾向にあります。
また、共犯がいる事例では口裏合わせをする可能性があるなどの理由により、証拠隠滅の可能性があると判断される可能性が高くなる傾向にあります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
勾留されたまま起訴された場合には、保釈請求をして認められない限り、身体拘束が続くことになります
そして判決で無罪執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります

~すぐに弁護士にご相談ください~

逮捕されると、いつ釈放されるのかどれくらいの刑罰を受けそうか取調べにはどう対応したらよいのかなど、ご不安の点が多いと思います

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
仮に逮捕されていなかったり、既に釈放された場合には、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
逮捕されると手続きも一気に進んでいきますので、ぜひお早めにご相談ください。

【事例解説】タクシー運転手に暴行後逃走したとして逮捕(前編)

2024-11-13

タクシーの運転手を殴ったあと、料金を支払わずに逃走したとして、強盗致傷の容疑で捜査された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

自営業のAさんは、タクシーに乗車し、目的地に着いた際に運転手から、「次からはこんな短い距離なら乗せないからな」と言われたことにイラついて口論になった結果、激昂し運転手を殴りつけ、運転手がひるんでいる間に、乗車料金1千円を支払わず逃走しました。
運転手からの110番通報によって事件が発覚し、その後、Aさんは、強盗致傷の容疑で、逮捕されました。
Aさんに殴られた運転手は顔を打撲するなどの傷害を負っているようです。
(フィクションです。)

強盗致傷罪について

人に対して暴行すれば「暴行罪」が、そして暴行によって怪我をさせれば「傷害罪」となりますが、それにとどまらず、暴行行為によって、財産上不法の利益を得ると「強盗利得罪(刑法第236条2項)」となります
(強盗)
第236条(出典/e-GOV法令検索)
「 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

さらに、その際に相手に怪我を負わせると「強盗致傷罪(刑法第240条)」となります。
今回の事件の場合、暴行(傷害)によってタクシー料金の支払を免れたということで、刑法でいうところの「財産上不法の利益を得た」ということができ、さらに傷害を負わせているため、強盗致傷罪が成立する可能性が高いでしょう。
(強盗致死傷)
第240条(出典/e-GOV法令検索)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。」

強盗致傷罪の罰則

強盗致傷罪の法定刑は「無期又は6年以上の懲役」です。
この法定刑は非常に厳しい内容で、起訴されて有罪が確定した場合、何らかの減軽事由がなければ執行猶予が付くこともなく刑務所に服役しなければなりません
執行猶予が付くのは3年以内の懲役刑が言い渡された場合に限る

単なる暴行罪だと法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」ですし、傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
また単なる強盗罪だと「5年以上の有期懲役」です。
他の犯罪の法定刑と比べても「強盗致傷罪」の法定刑は、非常に厳しいことが分かります。

まずは弁護士に相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件事件を起こしてしまった方からの法律相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は フリーダイヤル0120-631-881にて、24時間、年中無休で受け付けております。
少しでも不安だと感じておられるのであれば、まずは気軽にお問合せください。

【事例解説】直接暴行をしていないが取調べを受けることに(後編)

2024-11-05

直接暴行をしていないものの傷害の共犯として警察の取調べを受けることになった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

けんか

事例 

建築会社で働いているAは、その会社の社員Vとの険悪な仲でした。ある日、同僚のBとVの悪口を話していた際に、Vを痛めつけてやろうという話になり具体的な暴行計画について話し合うことになりました。
AとBの計画では、AがVを尾行してVの位置をBに随時報告し、タイミングを見計らってBがVを後ろから殴りあとでAも暴行に加わるというものでした。 
計画通り、Vに対してBが殴ることに成功しましたが、攻撃を受けたVが大声をあげて周りに助けを求めたため、AとBはその後の暴行をやめて二人で逃走しました。
Vは頭部裂傷と皮下血種の傷害を負いましたが、大事には至りませんでした。
Vの被害供述をもとにBが取調べに呼ばれ、Aの関与を明らかにしたためAも警察から聴取を受けるに至りました
自身は直接暴行行為を加えていないAは、自分も傷害罪の罪を負うことになるのか気になり弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです)

今回の事例の場合 

Aは、Vに直接暴行行為をしていないため、Aが傷害罪の「正犯」として処罰されるかは、共謀共同正犯が成立するか否かによります。 
共謀共同正犯の成立要件を簡単に検討していくと、共謀についてはAとBはVに暴行を加える計画を綿密に立てており、意志の連絡が十分にあるといえます。
また、どちらも自らの犯罪として実行する意思を有しているため正犯意思も認められそうです。
そうすると、共謀は認められそうです。
次に、AとBの共謀に基づいて、BがVに傷害を加えているため、共謀に基づく実行行為も認められるでしょう。
そうすると、傷害行為に加わっていないAについても共謀共同正犯として「傷害罪」の「正犯」としての責任を負うことになるでしょう

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、主に刑事事件・少年事件を扱っている法律事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、暴行罪や傷害罪で逮捕されてしまった方に対して、弁護士による即日の初回接見のサービスを行っております。その他、お困りの方に対しても、弁護士との無料相談もお受けしております。
無料相談・初回接見の申込はフリーダイヤル0120-631-881で24時間お電話受付中です。

【事例解説】直接暴行をしていないが取調べを受けることに(前編)

2024-10-29

直接暴行をしていないものの傷害の共犯として警察の取調べを受けることになった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

けんか

事例 

建築会社で働いているAは、その会社の社員Vとの険悪な仲でした。ある日、同僚のBとVの悪口を話していた際に、Vを痛めつけてやろうという話になり具体的な暴行計画について話し合うことになりました。
AとBの計画では、AがVを尾行してVの位置をBに随時報告し、タイミングを見計らってBがVを後ろから殴りあとでAも暴行に加わるというものでした。 
計画通り、Vに対してBが殴ることに成功しましたが、攻撃を受けたVが大声をあげて周りに助けを求めたため、AとBはその後の暴行をやめて二人で逃走しました。
Vは頭部裂傷と皮下血種の傷害を負いましたが、大事には至りませんでした。
Vの被害供述をもとにBが取調べに呼ばれ、Aの関与を明らかにしたためAも警察から聴取を受けるに至りました
自身は直接暴行行為を加えていないAは、自分も傷害罪の罪を負うことになるのか気になり弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです)

傷害罪の共謀共同正犯について

刑法60条(出典/e-GOV法令検索)は、「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」と定めています。 
共同正犯は、実行共同正犯共謀共同正犯に分けられます。
一方の、実行共同正犯とは共同行為者全員が実行行為を分担し合って犯罪を実現する場合を言います。
例えば、2人で被害者Vの殺害計画をして、計画に基づきVに2人でそれぞれピストルを発砲し死亡させたような場合です。
このように、2人が共同して実行する意思の下に発砲した場合には、もしいずれの弾が命中したかがわからなくても2人とも実行共同正犯として殺人既遂罪の責任を負います。 
他方の、共謀共同正犯とは、2人以上の者が犯罪を実現するための謀議をし、共犯者の一部の者のみが実行行為を行う場合をいいます。 
これが認められる場合には、実行行為をしていないものについても共同正犯として発生した犯罪事実すべての責任を負うことになります。
成立要件としては、①共謀、②共謀に基づく実行行為が必要となります。

共謀とは、共同犯行の合意形成をいいます。これは意思連絡および正犯意思によって判断されます。 
簡単にいうと、意思連絡は共同犯行の意識について関与者間に意思疎通があったか、正犯意思は自分たちの犯罪を遂行しようとする意識があったかが問題になります。

共謀に基づく実行行為は、共謀に基づいて少なくとも共謀者の1人が実行行為があった場合に認められます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、主に刑事事件・少年事件を扱っている法律事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、暴行罪や傷害罪で逮捕されてしまった方に対して、弁護士による即日の初回接見のサービスを行っております。
その他、お困りの方に対しても、弁護士との無料相談もお受けしております。
無料相談・初回接見の申込はフリーダイヤル0120-631-881で24時間お電話受付中です。

【事例解説】会社の倉庫内での傷害事件(前編)

2024-10-22

会社の倉庫内での傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

倉庫

事例 

会社員のAさんは、会社の倉庫内で荷下ろし作業をしている際に同僚Vさんから作業の順番に文句を言われました。そこから、口論に発展し、カッとなったAさんは同僚Vさんの胸を押して突き飛ばしてしまいました
Aさんから押されたVさんは、後ろに転倒した際に腰や手首を痛める怪我を負ってしましました。 
周囲の従業員から2人は引き離され別々に聴取をされましたが、会社の上司からVが警察に被害届を出すと言っているということを聞かされました。
不安になったAさんは、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

暴行罪・傷害罪について

暴行罪については、刑法第208条(出典/e-GOV法令検索)で、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と規定されています。

ここでいう「暴行」とは,人の身体に対する不法な有形力の行使をいうとされています。この定義だけでは分かりにくいですが、とても広い範囲の、多岐にわたる行為が「暴行」に当たり得ます
殴る,ける,突く,押す,投げ飛ばすなど,身体への接触を伴う物理力を行使する行為は、暴行罪の典型といえます。たとえば、道端で激しい口論となった相手の肩を軽く押す、などでも暴行罪になり得てしまいます。

次に、傷害罪は、刑法204条(出典/e-GOV法令検索)で「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定されています。
傷害罪は、人の身体を「傷害」する犯罪です。
判例によれば、傷害とは人の生理的機能に障害を加えることです(大判明治45年6月20日)。
例えば、相手を殴って出血させたり、骨折させたりする行為は、人の生理的機能に障害を加えることにあたり、傷害罪が成立する可能性があります。
本件では、口論の末にVさんの胸を押して転倒させ、腰や手首に怪我負わせています。これは人の生理的機能に障害を加えたと評価でき、Aさんの行為には傷害罪が成立する可能性が高いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害事件をはじめとする豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
事件後すぐに弁護士に相談することで、事件を早期に解決したり示談により不起訴処分を得られることができるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例解説】盗撮ハンターの男が恐喝罪で逮捕(後編) 

2024-10-15

盗撮ハンターの男が恐喝罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

事例 

Aさんは、盗撮ハンターとして様々な駅で盗撮犯を捕まえて警察に通報する様子を撮影して動画サイトにアップするなどしていました。 
ある日、Aさんが盗撮犯Bを捕まえたところ、Bが気の弱そうな人物であったため「警察に通報されたくなければ50万円を俺に払え」などと言ってBさんを脅迫しました。
Bさんは警察に逮捕されて、家族や職場に発覚することを恐れ近くのATMで現金をおろして50万円をAさんに手渡しました。 
後日、Bさんは盗撮してしまったことを後悔して、警察に自首するとともに目撃者の男に恐喝されて50万円を渡したことを説明しました。
Bさんからの話を聞いた警察は、恐喝事件として捜査を進め、Aさんを恐喝の疑いで逮捕しました。
(フィクションです。)

盗撮ハンターに成立する犯罪 

盗撮ハンターがした行為によっては、前編で解説した恐喝罪の他にもいくつか成立し得る犯罪があります。
まず、生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加えることを告知した場合刑法222条の「脅迫罪」(出典/e-GOV法令検索)が成立する可能性があります。 
具体的には盗撮犯ハンターが、金銭的な要求をしていなかったとしても「会社にいうぞ」などと言って盗撮犯を脅した場合には、脅迫罪に問われる可能性があるでしょう。 

次には、刑法246条の「詐欺罪」(出典/e-GOV法令検索)も成立する可能性があります。
詐欺罪は、簡単にいうと相手を騙して財物や財産上不法の利益を得る行為をした場合に成立します。
具体的には、盗撮ハンターと盗撮の被害者が親族や知り合いでもないのに「被害者が100万円払うなら示談をしても良いと言っている」と申し向け、示談金を受け取った場合です。盗撮犯としては、示談金として支払ったにも関わらず、そのような事実はなかったのですから、お金を騙し取られていることになるからです。 

その他の成立し得る犯罪としては、盗撮ハンターが盗撮犯に殴る・蹴るの暴行をしたような場合は暴行罪や傷害罪が成立する可能性があります。 

弁護士に相談を 

恐喝罪・脅迫罪等の被害者がいる犯罪において軽い処罰を求めるためには、示談を締結することが刑事弁護活動で最も重要です。
被疑者が被害者に対し誠意を持って謝罪をして当事者間の問題解決(示談)に至れば、検察官が起訴することなく事件を終わらせる(不起訴)判断をする可能性が高まります。
ただ、被害者の怒りや被害の程度など、様々な事情から、示談が必ずしも円滑に進むとは限りません
被害者が示談に応じない、あるいは、様々な示談条件を提示してくる等、示談交渉が難航する場合もあり得ますので、刑事事件の示談交渉の経験豊富な刑事事件専門の弁護士に弁護を依頼することを強くお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、主に刑事事件・少年事件を扱っている法律事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、恐喝罪などで逮捕されてしまった方に対して、弁護士による即日の初回接見のサービスを行っております。その他、お困りの方に対しても、弁護士との無料相談もお受けしております。
無料相談・初回接見の申込はフリーダイヤル0120-631-881で24時間お電話受付中です。

【事例解説】盗撮ハンターの男が恐喝罪で逮捕(前編)

2024-10-08

盗撮ハンターの男が恐喝罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

事例 

Aさんは、盗撮ハンターとして様々な駅で盗撮犯を捕まえて警察に通報する様子を撮影して動画サイトにアップするなどしていました。 
ある日、Aさんが盗撮犯Bを捕まえたところ、Bが気の弱そうな人物であったため「警察に通報されたくなければ50万円を俺に払え」などと言ってBさんを脅迫しました。
Bさんは警察に逮捕されて、家族や職場に発覚することを恐れ近くのATMで現金をおろして50万円をAさんに手渡しました。 
後日、Bさんは盗撮してしまったことを後悔して、警察に自首するとともに目撃者の男に恐喝されて50万円を渡したことを説明しました。
Bさんからの話を聞いた警察は、恐喝事件として捜査を進め、Aさんを恐喝の疑いで逮捕しました
(フィクションです。)

盗撮ハンターとは

盗撮ハンターとは、駅や大型ショッピングモールなどの盗撮が起こりやすそうな場所に待ち伏せして盗撮犯を捕まえた後、慰謝料や示談金等の名目で金銭を要求する人たちのことをいいます。
被害女性と結託しているケースもあるようで、被害女性の彼氏などと偽って盗撮犯を脅迫するケースもあるようです。 

盗撮ハンターに成立する犯罪 

まず、盗撮ハンターは盗撮犯の弱みにつけこんで金銭を恐喝する行為ですので、脅迫罪が成立する可能性があります。

刑法第249条(出典/e-GOV法令検索)では、人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処すると規定されています。

本件では、Aは「警察に通報されたくなければ50万円を俺に払え」などと言ってBさんを脅迫して50万円を受け取っています。
Aの行為には恐喝罪が成立するでしょうか。

恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であり、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
まず①について検討すると、本件では、AはBに対して「警察に通報されたくなければ50万円を俺に払え」と脅して金銭を要求しました。
この発言は、警察への通報により自らが刑事処罰を受ける可能性や職場や家族に発覚する可能性を感じさせるものであるので、Bを畏怖させるに足りる脅迫に該当しそうです。
実際に、Bさんは警察に逮捕されて、家族や職場に発覚することを恐れAの要求に畏怖したようです(①)。

次に、②についてですが、反抗を抑圧する程度の脅迫というのは、例えば、拳銃の銃口を突きつけながら「金を出さないと殺す」などと脅す場合です。
犯行を抑圧する程度の脅迫に至っているようであれば恐喝罪ではなく、強盗罪が問題になります。
本件では、Aの脅迫は口頭によるものであり、物理的な暴力や凶器の使用はありませんでしたので、反抗を抑圧する程度にまでは至っていなかったと言えそうです(②)。
以上より、Aの発言は恐喝に当たり、Aには恐喝罪が成立する可能性があります

次回は盗撮ハンターに成立する犯罪の続きを解説します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
ご家族が逮捕されてしまった方など、できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

« Older Entries Newer Entries »