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暴行罪と早期釈放

2019-10-19

暴行罪と早期釈放

暴行罪早期釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ 事例 ~
福岡県北九州市に住むAさんは、職場の同僚であるVさんの胸ぐらをつかんだ暴行罪の容疑で福岡県八幡西警察署に逮捕されてしまいました。
Aさんの妻は、Aさんの早期釈放を望んで、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ 暴行罪 ~

暴行罪とはどんな罪なのでしょうか?
暴行罪は刑法208条に規定されています。

刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

= 暴行罪の「暴行」とは? =
暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。
もっとも典型なのが殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなど直接人の身体に触れる行為が挙げられます。
もっとも、暴行罪の「暴行」は直接人の身体に触れる行為に限らず、

・着衣を強く引っ張る行為
・胸ぐらをつかむ行為
・人に向かって石やガラスコップを投げる行為、棒を振りかざす行為
・毛髪等を切断する行為
・室内で太鼓等を連打する行為
・耳元で拡声器を通じて大声で怒鳴りつける行為
・狭い室内で日本刀を振り回す行為

なども含まれます。
また、最近では、自動車のあおり運転が話題となっていますが、あおり運転行為も暴行罪の「暴行」に当たることがあります。

=「人を傷害するに至らなかったとき」=
次に、暴行罪傷害罪の違いについて解説いたします。

暴行罪は「人を傷害するに至らなかったとき」、つまり、人に何らかの怪我や障害を負わせなかった場合に問われる罪です。
怪我や障害を相手に負わせてしまった場合は、傷害罪(刑法204条、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)に問われます。
つまり、傷害罪は

・暴行の故意(人に傷害を負わせるつもりがなかった場合)で結果的に傷害を負わせた場合
・傷害の故意(人に傷害を負わせるつもりがあった場合)で結果的に傷害を負わせた場合

の2種類のケースが考えられることに注意が必要です。

~ 勾留前に釈放されるかも?(早期釈放) ~

逮捕された場合でも、早期釈放を実現できる可能性があります。。
以下、逮捕から勾留まで段階別にご紹介いたします。

= 逮捕から送致まで =
逮捕後は、警察官による「弁解録取」という手続を受けます。その上で釈放か否かの判断がなされます。
この時点で、私選の弁護士が選任されており、弁護士から警察官に対する働きかけが行われれば、働きかけがない場合に比べ釈放される可能性は高まるといえるでしょう。
それでも釈放されない場合は、逮捕のときから48時間以内に事件と被疑者を検察官の元へ送致する手続きが取られます。
  
= 送致から勾留請求まで =
事件と被疑者が検察官の元へ送致される手続きが取られた場合、検察官の元でも、警察官と同様「弁解録取」という手続を受けます。
その上で、釈放か否かの判断がなされます。
この時点で、私選の弁護士が選任されており、弁護士から検察官に対する働きかけが行われれば、働きかけがない場合に比べ釈放される可能性は高まるといえるでしょう(逮捕後にご依頼いただく場合は、はやくてこの時点から働きかけを行うことが可能となるでしょう。)。
具体的には、検察官へ意見書や上申書を提出するなどします。
それでも釈放されない場合は、勾留請求という手続が取られたことになります。
  
= 勾留請求から勾留決定まで =  
勾留請求されると、今度は、裁判官による「勾留質問」の手続を受けます。
その上で、釈放か否かの判断がなされます。
この時点で、私選の弁護士が選任されており、弁護士から裁判官に対する働きかけが行われれば、働きかけがない場合に比べ釈放される可能性は高まるといえるでしょう。具体的な働きかけは検察官に対するのと同様です。
それでも釈放されない場合は、勾留決定が出たことになります。
ただし、勾留決定が出た場合でも、それに対する不服申し立てをして釈放を求めていくことは可能です。

早期釈放をお望みの場合は、はやめに弁護士への弁護活動のご依頼をご検討ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談の予約を受け付けております。

傷害事件と欠格事由

2019-10-14

傷害事件と欠格事由

傷害事件欠格事由について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~
京都市山科区在住で不動産業を営んでいるAさんは,業績が思うように伸びずストレスが溜まっていた。
そんな折,Aさんが京都市山科区の居酒屋でお酒を飲んでいたところ,肩がぶつかったということでVさんと口論になった。
AさんはカッとなりVさんを突き飛ばしたところ,Vさんは転倒し打撲傷を負ってしまった。
店員の通報により駆け付けた京都府山科警察署の警察官によりAさんは傷害罪の疑いで現行犯逮捕された。
ところでAさんは業務上宅建士の資格が不可欠であり,なんとかして事件が不起訴とならないか弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に弁護を依頼した。
(フィクションです)

~国家資格と刑事事件~

様々な国家資格には何らかの違法な行為をしてしまった場合などに免許や資格を停止・剥奪するいわゆる欠格事由が定められています。
原則的に国家資格を基礎づける法律に,すなわち弁護士であれば弁護士法,医師であれば医師法などに資格の剥奪や停止が規定されています。
基本的には,業務に関して不正な行為や重大な違反があった場合,禁錮以上の刑罰に処せられた場合が欠格事由となります。
禁錮以上の刑罰については,資格によって,刑期満了から一定期間の経過によって復権すると定められている場合もあります。

今回のAさんのような宅建士,宅地建物取引士の場合には禁錮以上の刑に処せられた場合,刑期の満了から5年間は欠格となる旨定められています。
また,一定の罰金刑に処せられた場合も禁錮以上の刑に処せられた場合と同様に5年間欠格事由となります。
一定の罰金刑とは宅建業法違反,暴力的な犯罪,背任罪などをさし,宅建業法に具体的に条文を指定して定められています。
傷害罪(刑法204条)も指定されていますので,傷害罪によって罰金刑に処せられてしまった場合,Aさんは5年間は宅建士の資格を欠格してしまうことになります。
したがって,Aさんが宅建士の資格を欠格しないためには事件を不起訴にする必要があります。

~不起訴にするためには~

刑事事件を起こしてしまった場合,原則として事件は警察から検察官に送致され,検察官は事件を起訴するかどうかを判断します。
証拠が不十分な場合や,別の真犯人が発覚した場合などを除いて,原則として検察官が送致を受けた事件は起訴されると考えた方がいいでしょう。
ただし,検察官は事件後の情状などによってはあえて処罰を科す必要がないと考え,起訴猶予とする場合もあります。

起訴猶予となった場合には,不起訴処分の一種ですので罰金などの刑罰が科せられることはありません。
事件後の情状とは具体的には被害者と示談が成立しているかどうかが重要です。
罪の重さ等の事情にもよりますが,被害者との間で示談が成立している,すなわち当事者間で解決がなされているという場合にはあえて国家が処罰を科す必要はないと判断されることも少なくありません。

もっとも,傷害事件の場合,前科がある場合や被害者が重傷を負ってしまった場合などは示談が成立していても起訴されてしまう可能性は高いでしょう。
しかし,示談が成立していることは量刑の際に考慮され,執行猶予付きの判決などになる可能性が高くなります。
そのため,刑事事件では示談を成立させることが非常に重要となります。

傷害事件の場合,知人同士であればご自身で示談交渉が可能かもしれません。
しかし,今回のケースのように被害者は赤の他人である場合も多いでしょう。
そのような場合には示談交渉をしようとしても連絡先すらわからないことがほとんどです。
弁護士であれば,検察官などから被害者の連絡先を取り次いで頂くことによって示談交渉をすすめることができる可能性も出てきます。
もちろん,知人同士であっても直接示談交渉をすることで不要なトラブルを招いてしまうことも考えられますから,刑事事件を起こして被害者の方と示談を考えている場合には刑事事件に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
傷害事件に限らず,刑事事件を起こしてしまい示談交渉をお考えの方は0120-631-881までご相談ください。
事務所での法律相談は初回1時間無料です。

恐喝事件を起こし任意取調べ

2019-10-09

恐喝事件を起こし任意取調べ

恐喝事件任意取調べについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~
横浜市戸塚区に住んでいるAさんは、知人Vが行っている不貞行為を知り、これを奇貨として、Vからお金を得ることを企図しました。
AさんはVをファミリーレストランに呼び出し、Vと相手女性がラブホテルに入っていく様子を撮影したビデオを示して「これが奥さんにバレたらどうなるだろうか。黙っておいてやるから50万円だせ。奥さんにバレて慰謝料を請求されたら、50万円では済まないぞ」などと申し向けました。
怖くなったVはAさんに50万円を渡しましたが、後日、Aさんから金を脅し取られたとして神奈川県戸塚警察署に相談しました。
その結果、Aさんは神奈川県戸塚警察署から恐喝事件の被疑者として話を聞きたいと呼び出しを受けました。
(フィクションです)

~恐喝罪について~

恐喝罪は、人を恐喝して、財物を交付させる犯罪です。
上記の方法により、財産上の利益を得、又は他人にこれを得させた場合も同様です。
起訴され、有罪判決が確定すると、10年以下の懲役に処せられます。

恐喝行為は、相手方に対して、その反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫又は暴行を加え、財物交付を要求することをいいます。
「恐喝」というと、害悪の告知、すなわち、脅迫によって財物を交付させるイメージが強いですが、暴行によって財物が交付された場合であっても、恐喝罪が成立することがあります。
反抗を抑圧する程度の脅迫、暴行がなされた場合は、強盗罪の成否が検討されます。

恐喝行為における脅迫は、脅迫罪、強要罪のように、相手方又はその親族の生命、身体、自由、名誉、財産に対するものに限られないので、被害者の妻に不倫の事実を暴露する、などと申し向ける行為も、恐喝に該当することになります。

ケースのAさんは、不倫をしているVに対し、Vの妻にこれを暴露するぞ、と脅迫しています。
これにより、Vが不倫の発覚する事態につき畏怖し、口止め料として50万円を交付したのですから、Aさんの行為が恐喝罪を構成するものと判断される可能性は高いでしょう。

なお、恐喝罪は未遂も処罰されます。
したがって、Aさんが不倫を暴露しない代わりに50万円を支払え、と申し向けた段階で恐喝罪は未遂として処罰されうる段階に達し、その後Vさんがお金を渡さなかったとしてもAさんは恐喝未遂で処罰されます。

~恐喝罪で呼び出し…Aさんは今後どうなる?~

現在、Aさんは在宅で捜査されています。
逮捕されなければ、警察の呼び出しに応じて出頭し、取調べを受けることになります。
Aさんとしては、逮捕される可能性がとても気にかかると思います。
逮捕されるリスクを高める行為として、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがあると判断されうる行動をとることが挙げられます。
具体的には、捜査機関が任意出頭を求めているのに、正当な理由なく出頭しない、Vさんと接触し、自身に不利な供述をしないよう働きかける、いきなり長期間自宅を留守にする、などといった行動が挙げられます。

逮捕・勾留されると、捜査段階だけで、最長23日間もの間身体拘束を受けることになります。
起訴されると、起訴後勾留として、さらに身体拘束が続くことになります。
勾留が長期化すると、Aさんの社会復帰に対し、深刻な悪影響を与えることになります。
弁護士と会うことはもちろんできますが、留置場の外で弁護士と話すことと、接見室でアクリル板越しに話すこととでは、大きな違いがあります。
自ら逮捕されるリスクを高める行動をとってしまわないように、まずは弁護士と相談し、どのように行動すればよいかアドバイスを受けましょう。

~弁護士に恐喝事件の示談交渉を依頼~

今回の場合、Vと示談を成立させることにより、様々なメリットを得ることができます。
具体的には、当事者間で事件が解決しているものとして、逃亡、罪証隠滅のおそれがないと判断される可能性が高まり、逮捕されるリスクが低減します。
さらに、検察官が最終的にAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決定するのですが、Vと示談が成立していることは、被害が回復したという犯罪後の情況として、Aさんにとって有利に考慮される可能性が期待できます。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられないので、前科がつくこともありません。
そうでなくとも、示談締結という事実によって刑罰が減刑される可能性が高まります。
示談を成立させることには、刑事手続上、大きなメリットがあるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースのような事件もご相談いただけます。
恐喝事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

ひったくり強盗で緊急逮捕

2019-10-04

ひったくり強盗で緊急逮捕

~ケース~
Aさんは、東京都国立市内の路上において、自転車に乗っていたVを横から蹴り倒し、Vの頭部を踏みつける等してその反抗を抑圧し、かごに入っていたバッグを強取しました。
Vの通報により、警視庁立川警察署の警察官が付近を2時間程検索していたところ、犯行場所から5キロメートルほど離れた路上において、通報で聞いていた犯人の容姿に酷似したAさんを発見したので、職務質問を行いました。
Aさんは上記犯行を認めていたものの、「職務質問は任意だ」と主張し、今にも逃亡しそうな様子であったので、警視庁立川警察署の警察官は、強盗罪の疑いでAさんを緊急逮捕しました。
(フィクションです)

~ひったくりをするとどのような犯罪が成立するか?~

ひったくりをおこなった場合、窃盗罪、恐喝罪、強盗罪の成否が検討されることになります。

窃盗罪は、他人の財物を窃取する犯罪であり、法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です(刑法第235条)。
恐喝罪は、その名の通り、人を恐喝して財物を交付させる犯罪であり、法定刑は10年以下の懲役です(刑法第249条)。
強盗罪は、暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取する犯罪であり、法定刑は5年以上(20年以下)の有期懲役です(刑法第236条)。

強盗罪における暴行・脅迫は、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものでなければなりません(判例・通説)。
ひったくりを行った際になされた暴行がこれに至らない場合は、強盗罪は成立せず、窃盗罪、恐喝罪の成否が検討されます。

ひったくり事件において、「反抗を抑圧するに足る暴行」と認定された裁判例をいくつか紹介します。
東京高等裁判所昭和38年6月28日判決は、自転車に乗って通行中の女性の後ろから、原付で追い越しざまに女性が右手で自転車のハンドルとともに堤げ手のバンドを握っていたハンドバックを無理に引っ張って奪い取ろうとした事案につき、同女の抵抗を抑圧するに足る暴行に当たると判示しました。

今回のケースにおいては、自転車に乗っていたVを横から蹴り倒し、Vの頭部を踏みつける等の暴行を加え、かごに入っていたバッグを強取した、というものですから、「反抗を抑圧するに足る暴行」が行われたと判断される可能性が高いと思われます。
したがって、Aさんに強盗罪が成立する可能性は高いでしょう。

~緊急逮捕とは?~

Aさんによる犯行後、10分程度で警察が到着し、Aさんが犯行場所の近くで見つかった、という場合には、現行犯人として逮捕することができます。
しかし、Aさんは犯行時刻から2時間程経過し、犯行場所から5キロメートル離れた場所で発見されているので、現行犯人として認めることは困難です。
この場合に、Aさんを急いで確保する必要がある場合には、「緊急逮捕」という処分を行うことができます。

緊急逮捕」は、
①検察官、検察事務官又は司法警察職員が、
②死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合において、
③急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき
に、理由を告げて行うことができます(刑事訴訟法第210条)。
逮捕する際に逮捕状は必要ありませんが、逮捕後、直ちに裁判官に緊急逮捕状を請求しなければなりません。
逮捕状が発付されない場合は、直ちに釈放されます。

Aさんを逮捕したのは警察官(司法警察職員のひとつです)であり、強盗罪が長期20年の懲役にあたる罪であること、Aさんの容姿が通報により伝達された容姿と酷似していること、Aさん自身が犯行を認めたこと、Aさんが今にも逃亡しそうな様子であったことを考慮すると、ケースの緊急逮捕は適法であったと考えられます。

~強盗事件で緊急逮捕されたら弁護士へ~

強盗事件は凶悪犯罪とされており、証拠がそろえば起訴され刑事裁判となる可能性が十分考えられます。
先ほど確認したように、強盗罪の法定刑も非常に重いものですから、少しでも有利な解決を望まれる方が多いでしょう。

こうした場合、被害者と示談を成立させることにより、示談を成立させていない場合と比べて、有利な量刑による判決を期待することができます。
被害の程度や犯行態様によっては、示談締結により不起訴処分となる可能性も出てきます。

そして、さらに刑の減軽事由(今回のケースの場合は特に酌量減軽)があれば、執行猶予付き判決の獲得も視野に入れて活動することができます。
接見にやってきた弁護士に、今後どのように行動すべきか、ということについて助言を受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、強盗事件の解決についてももちろんご相談いただけます。。
ご家族がひったくり強盗事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

共同親権者の子供の連れ去りと略取罪

2019-09-29

共同親権者の子供の連れ去りと略取罪

東京都渋谷区に住む会社員男性のAさんは、妻Bさんと別居し(子供C君(小学3年生)はBさんと同居)、離婚裁判の係争中でした。
ある日、Aさんは、C君となかなか面会させてくれないBさんの態度に腹を立て、小学校から一人で帰宅するC君を見つけ、抵抗するC君の腕を引っ張って車の助手席に乗せ、自宅へ連れ去りました。
その後、Bさんの通報を受けた警視庁原宿警察署の警察官がAさん宅を訪れ、C君はAさんと一緒に食事を摂っているところ保護されました。
Aさんは、警視庁原宿警察署未成年者略取罪で逮捕されました。
Aさんは、「俺にはCに対する監護権があるから逮捕には納得がいかない。」などと話しています。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~ 未成年者略取罪とは ~

まず、Aさんが逮捕された未成年者略取罪の内容からご説明いたします。
未成年者略取誘拐罪は刑法224条に規定されています。

刑法224条
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
※未成年者=20歳未満の者

刑法229条
第224条の罪(略)は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

「略取」とは、略取された者の意思に反する方法、すなわち暴行、脅迫を手段とする場合や、誘惑に当たらない場合でしかも相手方の真意に反する方法を手段として、未成年者を自分や第三者の支配下に置くこと、「誘拐」とは、欺罔(騙すこと)や誘惑を手段として、他人を自分や第三者の支配下に置くことをいいます。
「誘拐」と「略取」とをあわせて「拐取」ということもあります。

なお、本件では、C君がAさんの連れ去りに抵抗しており同意していないものと思われますが、未成年者が連れ去り行為に同意していた場合は未成年者略取罪は成立するでしょうか?
この点については、未成年者略取罪が何を保護しよう(守ろう)としているのかと関係があります。
すなわち、未成年者略取罪は、未成年者の自由のほか、親権者など保護監督者(本件の場合、Bさん)の監護権をも保護しようとしている、と考えるのが通説、判例です。
よって、未成年者を誘拐した場合には、未成年者の行動の自由・権利を侵害するだけでなく、保護監督者が未成年を保護監督する自由・権利をも侵害したということになるのです。
そのため、未成年者が同意をしていたとしても、その保護監督者が同意しない以上は未成年者誘拐罪が成立し得るということになります。

~ 共同親権者の子供の連れ去りに対する判例の考え ~

判例(平成17年12月6日)は、本件と似たような事例で、被告人(Aさん)の行為は、未成年者略取罪の構成要件に該当することは明らかとして上で、被告人が親権者の1人であることは、その行為の違法性が例外的に阻却されるかどうかの判断において考慮されるべき事情であると解されるとしています。
そして、違法性が阻却されるかどうかは、当該行為(連れ去り行為)が社会通念上許容されるものであるかどうかという観点から判断されるべきところ、判例での事案では、

・被告人の連れ去り行為が、子どもの監護上必要とされるような特段の事情は認められない
・行為態様が粗暴で強引なものである
・子どもが自分の生活環境についての判断・選択の能力が備わっていない2歳の幼児である
・その年齢上、常時監護養育が必要とされるのに、略取後の監護養育について確たる見通しがあったとも認め難い

ことなどから、家族間における行為として社会通念上許容され得る枠内にとどまるものと評することはできず違法性を阻却する事情を認めることはできないとしています。

以上の判例の考え方からすれば、共同親権者の連れ去り行為が直ちに未成年者略取罪に結び付くものではなく、当該行為が社会通念上許容されるものである場合は違法性が阻却され本罪が成立しない場合もあります。
仮に、こうした主張をする場合は、その主張を基礎付ける事実を的確に挙げていかなければなりません。
だからこそ、弁護士に相談・依頼することが重要といえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
未成年者略取事件などの刑事事件少年事件でお悩みの方、お困りの方などは、お気軽に弊所の弁護士にご相談ください。
弊所では、24時間、専門のスタッフが無料法律相談、初回接見サービスのご予約を電話で受け付けております。

被害者の同意と刑事事件②~傷害罪の場合~

2019-09-24

被害者の同意と刑事事件②~傷害罪の場合~

福岡市南区に住むAさんは、お金に困っていたことから自己名義の自動車にかけていた任意保険会社から保険金をだまし取ろうと考えました。
そこで、Aさんは、同じくお金に困っていた知人Bさんに自動車の保険金詐欺をもちかけ、話し合った結果、Aさんが車を運転する加害者役、Bさんが車に轢かれる被害者役を務めることになりました。
そして、Aさんは、Bさんめがけて自動車を運転したところ、アクセル、ハンドル操作を誤り、想定以上のスピードで自動車をBさんに衝突させてしまいました。
そして、その衝撃でBさんを路上に転倒させ、路上に頭を強く打ち付けさせてBさんを意識不明の状態にしてしまいました。
慌てたAさんは、110番、119番通報しました。
そして、Aさんは駆け付けた福岡県南警察署の警察官に、保険金詐欺のため自動車事故を装ったことなどを話すと、傷害罪で逮捕されてしまいました。
その後、Bさんは死亡したことから、Aさんに対する容疑は傷害罪から傷害致死罪に切り替わりました。
(フィクションです。)

前回の「被害者の同意と刑事事件①」では、

・被害者の同意(承諾)の意義
・被害者の同意によって犯人(被疑者、被告人)が不可罰とされるための要件
・被害者の同意によって影響を受ける犯罪とそうではない犯罪

についてご紹介し、傷害罪については、被害者の同意によって影響を受ける、つまり、「行為の違法性がなくなり(阻却され)」、その結果、犯人は処罰されないことがある、ということもご紹介しました。
今回は、ではなぜ、Aさんが傷害罪傷害致死罪に問われているのかご説明いたします。

~Bさんの同意は有効な同意ではない?~

BさんはAさんからの誘いに同意し、被害者役を買って出ているようです。
しかし、前回ご紹介しましたが、被害者の同意が本来の同意といえるためには、「被害者の同意に基づいてなす(Aさんの)行為が、その目的、動機、方法、態度、程度等において国家・社会の倫理規範に違反せず、社会的相当性を有すること」が必要なのです。
この点、Aさんの行為の目的は「保険金詐欺」ですから、その目的・動機において社会的相当性を有するものとは到底いえません。
したがって、Bさんの同意は有効な同意とは認められないのです。

判例も(昭和55年11月13日)「被害者が身体傷害を承諾したばあいに傷害罪が成立するか否かは、単に承諾が存在するという事実だけでなく、右承諾を得た動機、目的,、体傷害の手段、方法、損傷の部位、程度など諸般の事情を照らし合せて決すべきものであるが、本件のように、過失による自動車衝突事故であるかのように装い保険金を騙取する目的をもって、被害者の承諾を得てその者に故意に自己の運転する自動車を衝突させて傷害を負わせたばあいには、右承諾は、保険金を騙取するという違法な目的に利用するために得られた違法なものであって、これによって当該障害行為の違法性を阻却するものではないと解するのが相当である。」としています。

Aさんは運転する車をBさんにぶつけ、意識不明という重症を負わせていますから、この時点で傷害罪が成立します。

~殺すつもりがない場合は傷害致死罪~

そして、傷害と(相当)因果関係のある死亡という結果を発生させてしまった場合は傷害致死罪に問われてしまいます。
殺すつもりがあった場合は殺人罪ですが、殺すつもりがなかった場合は傷害致死罪に問われます。

刑205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

なお、詐欺罪は、保険会社に対する欺罔行為、つまり保険担当員に対する保険金請求申し込み行為があってはじめて成立する犯罪ですから、その行為すらない本件では詐欺罪は成立しません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談の予約を受け付けております。

被害者の同意と刑事事件①~傷害罪の場合~

2019-09-19

被害者の同意と刑事事件①~傷害罪の場合~

福岡市南区に住むAさんは、お金に困っていたことから自己名義の自動車にかけていた任意保険会社から保険金をだまし取ろうと考えました。
そこで、Aさんは、同じくお金に困っていた知人Bさんに自動車の保険金詐欺をもちかけ、話し合った結果、Aさんが車を運転する加害者役、Bさんが車に轢かれる被害者役を務めることになりました。
そして、Aさんは、Bさんめがけて自動車を運転したところ、アクセル、ハンドル操作を誤り、想定以上のスピードで自動車をBさんに衝突させてしまいました。
そして、その衝撃でBさんを路上に転倒させ、路上に頭を強く打ち付けさせてBさんを意識不明の状態にしてしまいました。
慌てたAさんは、110番、119番通報しました。
そして、Aさんは駆け付けた福岡県南警察署の警察官に、保険金詐欺のため自動車事故を装ったことなどを話すと、傷害罪で逮捕されてしまいました。
その後、Bさんは死亡したことから、Aさんに対する容疑は傷害罪から傷害致死罪に切り替わりました。
(フィクションです。)

~被害者の同意(承諾)と刑事事件~

被害者の同意とは、法益(本件の場合、(Bさんの)身体・生命の安全)の帰属者たる被害者(Bさん)が、自己の法益(身体・生命の安全)を放棄し、その侵害に承諾又は同意を与えることをいいます。
かつては、この被害者の承諾によって、「守るべき法益(保護法益)がなくなった」ことを根拠に、(Aさんの)行為の違法性がなくなり(違法性が阻却され)不可罰となる、と考えられていました。
ところが、近年は、その「守るべき法益がなくなったこと」に加え、(Aさんの)の行為の「社会的相当性」も必要とする、という考え方が主流です。

~被害者の同意によって不可罰とされるための要件~

以上の考え方から、被害者の承諾によって不可罰とされるためには以下の要件が必要とされています。

1 承諾の内容が、被害者自ら処分し得る個人的法益に関するものであること
純然たる国家的法益や社会的法益については、一個人が処分可能な法益ではないため、承諾によって不可罰となることはあり得ません。

2 承諾自体が有効なものであること
承諾は、承諾能力を備えた者の真意に出た真摯なものでなければなりません。幼児や高度の精神病者による承諾や、強制等による承諾は有効な承諾とはいえません。

3 承諾が内心にとどまらず、外部に表明されていること 
ただし、明示的に表明されたもの、黙示的に表明されたものであるとを問いません

4 承諾が行為時に存在すること
事後的に与えられた承諾は無効です。

5 承諾に基づいてなす行為が、その目的、動機、方法、態度、程度等において国家・社会の倫理規範に違反せず、社会的相当性を有すること
上記の行為に社会的相当性を求める考え方からの帰結です。

本件Bさんの同意が有効か否かは、「被害者の承諾(同意)と刑事事件②」で検討することとします。

~被害者の同意があれば全て不可罰?~

仮に、被害者の同意が有効であったとしても、全ての罪において不可罰とされるわけではありません。
被害者の同意と罪の関係については以下のように分類されます。

1 被害者の同意が犯罪の成否に影響しない罪
児童買春、児童ポルノに関する罪、13歳未満の者に対する強制わいせつ罪、強制性交等罪

2 被害者の同意が刑の減軽事由とされる罪
同意殺人罪、同意堕胎罪

3 被害者の同意がないことが明示又は黙示的に犯罪の成立要件とされ、したがって被害者の同意があれば犯罪不成立となる罪
住居侵入罪、窃盗罪

4 被害者の同意によって犯罪の客体の法的性質に変更が生じ、別の罪が成立し得る罪
他人の非現住建造物等放火罪(刑法109条1項)について、その客体に放火しても、所有者が同意していれば、自己所有の非現住建造物等放火罪(刑法109条2項)に 準じて処断される

5 被害者の同意によって違法性が阻却される罪
  
以上から、傷害罪は「5」に当たりそうです。
にもかかわらず、Aさんは逮捕されていますから、それはどうしてかということを次回ご説明したいと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
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現住建造物等放火罪と殺人罪

2019-09-14

現住建造物等放火罪と殺人罪

京都府亀岡市在住のAさん(45歳)は、一緒に暮らす妻と息子を道連れに焼身自殺をしようと、深夜、自宅に火を放ち、自宅と離れを全焼させました。
その時、眠っていたAさんの妻と息子は火事になっていることに気付かず、一酸化炭素中毒によって死亡してしまいました。
しかし、Aさんは怪我を負ったものの無事であり、通報を受けた京都府亀岡警察署の警察官により、Aさんは現住建造物等放火罪殺人罪の疑いで逮捕されました。
(これはフィクションです)

~現住建造物等放火罪~

今回Aさんが逮捕された際の容疑の1つである現住建造物等放火罪は、刑法108条に規定されています。

刑法108条
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉄鉱を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

〇放火
「放火」(放火行為)とは、目的物の焼損を惹起させる行為のことをいいます。
目的物に点火する行為や、目的物を燃やすために媒介物に点火する行為などが「放火」にあたります。

また、消火義務があるにもかかわらず、消火をしなかった場合も「放火」にあたるとされています。

〇焼損
「焼損」の意味については、争いがありますが、裁判所の判例は昔から一貫して独立燃焼説を採用しています。
独立燃焼説とは、「火が媒介物を離れて目的物が独立に燃焼を継続しうる状態になったこと」をいいます。
新聞紙やガソリンなどの媒介物が無くても建物などが燃える状態が「焼損」にあたります。

〇現に人が住居に使用(現住性)
「現に人が住居に使用し」ている状態とは、犯人以外の者が起臥寝食の場所として日常使用している状態のことをいいます。
犯人以外の者には、家族や同居人も含まれます。(共犯である場合は除きます)

また、日常使用しているのならば、住居の中に、現に人がいる必要性はありません。
たまたま、外出していた時に放火をした場合でも、現住建造物等放火罪に該当します。

今回の事件で言えば、Aさんの自宅に火を放つ行為は「放火」にあたり、その結果自宅と離れは全焼しているため、「焼損」にあたるでしょう。
また、自宅は、Aさんの家族が起臥寝食の場所として日常使用されているため、「現に人が住居に使用し」ていたといえるでしょう。
そのため、Aさんには現住建造物等放火罪が成立する可能性は極めて高いです。

~殺人罪との関係~

放火し、これによって人を殺害した場合は、現住建造物等放火罪殺人罪の両方が成立します。
この時どのような処罰がされるのでしょうか。

刑法第54条1項
1個の行為が2個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

1つの行為が数個の罪名に触れる場合を「観念的競合」といいます。
観念的競合になった罪は、「最も重い刑により処断」されます。
例えば、A罪が1月以上15年以下の懲役であり、B罪が3年以上10年以下の懲役である場合にA罪とB罪が観念的競合になる場合は、刑罰は3年以上15年以下の範囲で処断されることになります。

現住建造物等放火罪殺人罪は、同じ1つの行為によるものであるので、観念的競合となります。
現住建造物等放火罪の刑罰は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役であり、殺人罪も同様であるため、刑罰は現住建造物等放火罪殺人罪の刑罰と同じものになります。

放火事件では、様々な法律判断がされることになります。
そのため、1度弁護士に状況を整理してもらうことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、京都府亀岡市放火事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

兵庫県伊丹市の恐喝事件

2019-09-09

兵庫県伊丹市の恐喝事件

Aさんは自動車の運転中、兵庫県伊丹市のとある交差点で信号を待っていたところ、男性が赤色信号を見落として交差点に進入したため、Aさんの車と衝突事故を起こしました。
男性の一方的な過失によりAさんは治療費入院費など合計300万円の損害を被りました。
Aさんは男性に300万円を請求しましたが一向に払ってくれません。
そこでAさんは男性に対し、「早く300万円を支払ってくれ。支払わなければあんたの家族も同じ目に合うかもしれないな」と言いました。
その言葉に男性は畏怖しAさんに300万円を支払いました。
その後、Aさんは男性が300万円を支払った経緯について兵庫県伊丹警察署に相談していることを耳にしました。
不安になったAさんは刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)

今回のAさんの事例で問題となるであろう犯罪は、以下の条文に規定されている恐喝罪です。

刑法第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

恐喝罪の「恐喝」とは脅迫または暴行を用いて人から金銭などを交付させることをいいます。
刑法上の恐喝罪にあたるかは、条文に書かれた構成要件に該当するかが問題となります。

1、恐喝罪の成立要件

恐喝罪が成立するためには、①「恐喝行為」⇒②「相手方の畏怖」⇒③「畏怖に基づく交付行為」⇒④「財物の移転」⇒⑤財産的損害が発生すること、これらが因果関係によって貫かれていること、および故意が必要となります。

まず、①「恐喝行為」とは財物交付に向けて行われる脅迫または暴行であって、その反抗を抑圧するに至らない程度の行為をいいます。
脅迫とは人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいますから、「痛い目にあわすぞ」といった何らかの法益の侵害を内容とする告知が必要です。
この告知は本人以外の親族に対するものも含まれます。
本件でAさんは「支払わなければあんたの家族も同じ目に合うかもしれないな」と発言しています。
この発言は男性の家族に対する害悪の告知に当たり得るので、脅迫を行ったとして恐喝行為があったと認められてしまう可能性があります。

次に、②「相手方の畏怖」とは、これは相手が恐喝行為により畏怖=簡単に言えば怖がることが必要となるということです。
今回の場合男性はAさんの発言に畏怖していることから、仮にAさんの発言が恐喝行為にあたれば、男性が恐喝行為により畏怖したこととなってしまいます。

そして、③「畏怖に基づく交付行為」および④「財産的利益の移動」とは、相手方の畏怖と交付行為と財物の移転に因果関係が認められることを必要としています。
本件で男性は、300万円をAさんに交付していることから、300万円という財物が男性からAさんのもとに移転していることがわかります。
これが男性の畏怖から行われたものであれば因果関係が認められる可能性があります。

最後に、⑤「財産的損害の有無」ですが、本件では男性はAさんに対して事故で300万円の損害を与えていることから、300万円はもともとAさんに支払われるべきものであり、男性に財産的損害はないようにも思えます。
しかし、恐喝罪は窃盗罪等と同じく個別財産の罪であり、被害者を畏怖させその占有する財物を交付させた場合は財産的損害が発生したと言えます。
本件でも、300万円がAさんに交付されて財物の移転がある以上、恐喝行為があったと認められれば財産的損害も有るとされる可能性があります。

そして、犯罪が成立するには基本的に故意が必要とされますが、故意とは犯罪事実の認識・認容をいいます。
今回の場合であれば、Aさんは男性を恐喝することについて認識していれば、恐喝罪の故意があったと認められることになります。

以上のような成立要件に該当すれば恐喝罪が成立し得ます。
では、こうした成立要件に該当すれば、犯罪は成立してしまうのでしょうか。

2、違法性阻却事由

恐喝罪の成立要件に該当する場合でも、違法性が阻却される場合があります。
債務に対する恐喝罪に該当する場合でも、権利の行使という正当な目的があり、権利の範囲内であってその手段が社会的相当性の範囲内といえれば違法性が阻却されると考えられます。

本件でもAさんは事故で被った300万円を回収するという目的があり、その300万円を超えることなく男性に支払いを求めています。
そこでその手段が社会的相当性の範囲内と言えれば、違法性は阻却される可能性があります。
手段が社会的相当性の範囲内であるかどうかについては、その手段の態様や当時の状況等、様々な事情を考慮して判断されます。

恐喝罪の成立は、法律の条文に加え条文の解釈や事件の具体的な内容など、さまざまな要素から判断することになります。
その判断には専門的な知識が必要となりますので、専門家である弁護士の見解を聞くようにしましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件恐喝事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスを行っています。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間お待ちしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

事後強盗事件と弁護活動

2019-09-04

事後強盗事件と弁護活動

Aさんは、大阪府池田市にある駅の近くにあるスーパーマーケットで万引きを行った。
しかしAさんがスーパーから出た直後に、Aさんによる万引きを目撃していた店員Vが追いかけてきて、Aさんの腕をつかんだ。
しかし、Aさんは、このままでは警察に捕まってしまうと思い、Vさんを路上に突き飛ばし、そのまま逃走した。
後日、防犯カメラの映像から、Aさんによる犯行が発覚し、事後強盗罪の容疑でAさんは大阪府池田警察署に逮捕された。
Aさんの逮捕を知ったAさんの家族は、刑事事件に強いと評判の法律事務所に初回接見を依頼した。
(上記の事例はフィクションです。)

~事後強盗罪~

刑法238条
「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。」

窃盗犯が財物を取り返される事を防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために暴行又は脅迫をした場合には「事後強盗罪」と呼ばれる犯罪として処罰されます。

万引き行為については窃盗罪が成立することになりますから、上記事例のAさんのように、万引き後に逮捕を免れるために暴行を行った場合についても事後強盗罪が成立するおそれがあります。
なお、事後強盗罪については、未遂処罰規定が存在することから、仮に窃盗が成功せずに未遂に終わった場合であっても、その後に暴行又は脅迫を行えば事後強盗未遂罪として処罰されることになります。

事後強盗罪は、強盗罪と同様の法定刑ですから、法定刑は5年以上の有期懲役となり、大変重い刑罰が科せられることになります。
また、暴行によって被害者に怪我をさせてしまった場合には、強盗致傷罪というさらに重い犯罪が成立することになります(強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の有期懲役となっています)。

~弁護士の活動~

もっとも、強盗罪における暴行又は脅迫については、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものである必要があると考えられています。
このため、事後強盗罪における暴行又は脅迫についても、同程度のものでなければならないと考えられています。

上記の例では、AさんによるVさんへの暴行が、Vさんの反抗を抑圧する程度のものでなければ、Aさんは強盗罪としてではなく窃盗罪と暴行罪として処罰され、罰金刑で済む可能性があります。
(窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金、暴行罪の法定刑は2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料と定められています)

そのため、Aさんが「手を振り払ったにすぎず、それほど強い暴行をはたらいたわけではない」と主張しているのであれば、弁護士としては、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行は行っていないと主張する活動をすることになります。
一方で、突き飛ばしたとなると相当強い暴行となり、犯行を抑圧する程度のものとなってしまいます。
もっとも、法律上事後強盗といえるとしても、暴行の程度がそれほど重くないのであれば、本人の反省や示談次第で暴行罪と窃盗罪として処分することもあるようです。

このような主張については、刑事事件についての正確な知識や経験がない被疑者本人が一人で行うことは大変困難であるといえます。
そのため、事後強盗罪で逮捕されてしまった場合には、出来る限り早い段階で、刑事事件に精通した弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に取り扱っている弁護士が多数在籍しております。
弊所の弁護士が被疑者(被告人)や被害者、目撃者の方の話を聞くことによって事件の内容を把握し、必要に応じて被害者との示談交渉などを行うことになります。
このような弁護活動によって、被告人に不当な処分がなされることを防ぎ、適切な量刑判断がなされるように捜査機関や裁判所に働きかけることになります。
弊所では、24時間、無料相談のご予約、初回接見サービスを受け付けております。
刑事事件についてお悩みの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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