Archive for the ‘未分類’ Category

傷害罪で正当防衛を主張

2019-12-03

傷害罪で正当防衛を主張

傷害罪正当防衛を主張するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Aさんは、Aさんが所有する東京都中央区の宅地に立ち入り「立入禁止」と記載された看板を設置しにやってきたVさんに対して、Vさんの胸を両手で突き転倒させ、頭部打撲のケガを負わせたとして、警視庁月島警察署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族から依頼を受けた刑事事件に強い弁護士がAさんに初回接見したところ、Aさんは、「Vさんの胸を突きけがをさせてしまったことは間違いないが、これは私が所有する宅地の権利を守るためにやったのだ」と話していました。
そこで、刑事事件に強い弁護士は、正当防衛による無罪主張を検討しています。
(フィクションです。)

~ 傷害罪 ~

傷害罪は刑法204条に規定されています。

刑法204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。 

これが傷害罪の規定ですが、暴行罪(刑法208条)の規定をみると傷害罪がどんな罪かより明らかとなります。

刑法208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

つまり、人に暴行を加え、よって、人の身体を傷害させた場合傷害罪が成立します。

ここで「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいい、殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなどがその典型といえるでしょう。
「傷害」とは、人の生理的機能の障害をいい、例えば切傷や打撲、火傷などのほか、失神や抑うつ症、睡眠障害などもこれに含まれます。
そして、暴行行為、又は傷害行為と傷害との間に因果関係があることが必要です。
この因果関係の考え方についても諸説ありますが、基本的には「その行為がなかったならばその結果は発生しなかった」という関係が認められれば因果関係を認められるとされています。

なお、傷害罪は、相手を怪我させようとする意図で怪我させた場合はもちろん、相手を怪我させるつもりはなくても結果的に怪我させた場合でも成立することに注意が必要です。

~ 正当防衛 ~

ある行為が犯罪に当たる行為であっても、それが正当防衛の要件を満たす行為であればその行為の違法性はなく犯罪は成立しません。
正当防衛は刑法36条1項に規定されています。

刑法36条1項
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

これからすると、正当防衛は、「急迫性」、「不正の侵害」、「自己又は他人の権利」、「防衛するため」、「やむを得ずにした」という要件が必要であることが分かります。

事例では、Aさんの土地に立ち入るという「急迫不正の侵害」行為をしたVさんに対して、Aさんが自己の土地という「自己の権利」を「防衛するため」に、Vさんの胸を両手で突き倒した行為が「やむを得ずにした」行為がどうかが問題となります。
この点、「やむを得ずにした行為」とは、権利を防衛するための手段として必要最小限度のものであることを意味します。
ここで重要なのは、「手段」として必要最小限度であればよいということであり、「結果」が必要最小限度であることまで要求されていないということです。

上の事案の基となった裁判例においては、被告人と被害者の間には体格差等があることや、被害者が後退して転倒したのは被告人の力のみによるものとは認め難いこと等の事情を踏まえて、「暴行の程度は軽微であったというべき」としたうえで、「そうすると、本件暴行は、被告人らの主として財産的権利を防衛するために被害者の身体の安全を侵害したものであることを考慮しても、いまだ被害者らによる上記侵害に対する防衛手段としての相当性の範囲を超えたものということはできない。」として、「本件暴行については、刑法36条1項の正当防衛が成立して違法性が阻却される」と判断されました。
これからすると、Aさんの行為についても、正当防衛の成立が認められる余地はあると考えられます。
正当防衛が成立すると犯罪は不成立となるため刑罰が科されることはありません。

このような正当防衛の成否については、なかなか自分だけで考えづらい部分がありますから、弁護士に相談することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
傷害事件正当防衛の成否についてお悩みの方は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。

居酒屋で暴行事件を起こし逮捕

2019-11-28

居酒屋で暴行事件を起こし逮捕

居酒屋で暴行事件を起こして逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは、福岡県田川市の居酒屋でお酒を楽しんでいる最中、隣席の客Vさんが話している内容が気に食わず、口論を持ちかけました。
Vさんは冷静に対応していましたが、Aさんは怒りを抑えることができず、Vさんの左肩を右手の拳で殴打してしまいました。
居酒屋の店員の通報により駆け付けた福岡県田川警察官にも「Vさんが悪いんだよ」「口喧嘩をして何が悪い」などと言い、一向に落ち着く気配がなく、警察官はAさんを暴行罪の現行犯として逮捕しました。
(フィクションです)

~暴行罪について~

暴行罪の「暴行」とは、人の身体に対し不法に有形力を行使することをいいます。
暴行罪につき有罪が確定すると、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処せられます(刑法第208条)。
なお、暴行を行い、被害者に傷害を負わせてしまった場合には、暴行罪ではなく、傷害罪が成立し、有罪判決を受ける場合には15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。

暴行罪が成立するには、人の身体に対し有形力を行使する故意が必要です(傷害するつもりで傷害の結果が発生しなかった場合も含みます)。
したがって、たまたま腕が他人に当たってしまったという場合には、暴行罪が成立することはありません。
なお、暴行を行い、傷害結果が発生した場合には、傷害の故意がなくても傷害罪が成立します。

~暴行に該当する具体例~

人を殴ったり、蹴ったりする行為が暴行罪を構成することはもちろんですが、

・他人の被服をつかんで引っ張り、又は取り囲んで自由を拘束して電車に乗り込むのを妨げる行為(大審院昭和8年4月15日判決)
・顎紐をかけて被っていた巡査の帽子を奪い取る行為(東京高裁昭和26年10月2日判決)
・食塩を他人の顔、胸などに数回振りかける行為(福岡高裁昭和46年10月11日判決)

などについても、裁判例により暴行罪の暴行に該当すると判示されています。

また、他人をくすぐったり、タバコの煙を吹きかける行為などについても、暴行と判断される可能性があります。
以上のように、暴行罪の暴行に該当する行為の範囲はかなり広いということができます。

~暴行罪で逮捕されたAさんの今後は?~

逮捕後は、警察署に引致され、弁解を録取された後、取調べを受けることになります。
釈放されず、留置の必要があると認められると、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。

送致を受けた検察官も、Aさんを取調べ、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決めます。

勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留されます。

逮捕・勾留されると、捜査段階で最長23日間もの間身体拘束を受けることになります。
反面、暴行事件は、送致される段階、あるいは送致後の検察官の段階で釈放されることも多いです。
より早期に弁護士に依頼し、適切な身柄解放活動を行うことにより、早期の身柄解放を実現できる可能性が高まります。

さらに、Vさんと示談を成立させることも重要です。
勾留が付く前に示談が成立すれば、勾留請求又は勾留決定がなされずに釈放される可能性が高まります。
また、勾留がついてしまった後でも、示談が成立すれば、釈放されることもあります。
そして、示談が成立すれば、ケースの暴行事件に関連してVさんから損害賠償請求を受けるリスクもなくなります。
示談には多くのメリットがあり、刑事事件においては、被疑者・被告人の身体拘束期間を短くし、有利な処分(不起訴処分、より軽い量刑による判決)を獲得できる可能性を高めるための重要な活動と位置付けられています。
接見にやってきた弁護士に、示談交渉、示談の効果についてアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、暴行事件の解決実績も豊富です。
ご家族が暴行事件を起こしてしまい、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

債権回収と恐喝事件

2019-11-23

債権回収と恐喝事件

債権回収恐喝事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

京都府南丹市在住のAさんは、友人のBさんに20万円を貸していたが、約束していた返済期日になってもBさんがお金を返そうとせず、返済が遅れていることについてのBさんからの謝罪などもなかったことから、Bさんに対して怒りを募らせていた。
後日Aさんは、何としてもBさんに20万円を返済させようと考え、Bさんの自宅に行きBさんに強く返済を迫った。
しかし、BさんはAさんの返済要求に対し「もう少し待ってくれ」と言うばかりで具体的な返済計画なども話そうとしなかった。
Bさんの対応に激怒したAさんは、「いい加減にしろ。舐めたことを言っているとお前やお前の家族を殺すぞ。」とBさんに対して怒鳴りつけた。
Bさんは、Aさんが本気だと考えその場で20万円を返済したが、Aさんのことが怖くなり、京都府南丹警察署に通報。
Aさんは恐喝事件の被疑者として取調べを受けることになってしまった。
(上記の事例はフィクションです)

~権利行使と恐喝~

恐喝罪の「恐喝」とは、暴行又は脅迫を手段とし、その反抗を抑圧するに至らない程度に相手方を畏怖させ、財物の交付を要求することをいいます。
今回の事例の場合、AさんがBさんからお金を返してもらうために脅迫を手段とした場合、貸した金銭を返金するように言う行為は正当な行為といえるため、恐喝罪が成立するかが問題になります。

まず、恐喝罪は他人の財産を侵害する財産犯としての性質を有していることから、恐喝罪が成立するためには、被害者に財産上の損害が発生している必要があると考えられています。
上記の事例の場合、被害者であるBさんはAさんに借りていた20万円を返済したに過ぎないことから、Bさんには財産上の損害は何ら発生していないとも思えます。
もっとも、恐喝罪は個別財産に対する犯罪であることから、財産の交付行為があればその交付した財産そのものを損害として観念できると考えられています。
BさんはAさんに20万円を借金の返済として交付していることから、Bさんに20万円の損害が発生していると考えることができます。
そのため、被害者たるBさんに20万円の財産上の損害が生じているといえます。

また、刑法35条は「法令又は正当な業務による行為は、罰しない。」と規定しています。
AさんはBさんに対し20万円を貸しており、民法上AさんはBさんに対し貸金返還請求をなし得る立場にあることから、AさんがBさんから20万円の交付を受けた行為は、法令上正当な行為として、刑法35条より違法性が阻却され恐喝罪が成立しないとも思えます。
もっとも、仮にお金を貸していたとしても、過度な暴行や脅迫を行った上で借金を無理矢理にでも返済させるような行為については、法令上認められた正当な行為とはいえず、恐喝罪が成立することになるといえます。

では、どの程度までなら許され、どの程度からが恐喝となるかということですが、判例では「他人に対して権利を有する者が、その権利を実行することは、その権利の範囲内でありかつその方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を超えない限り、何等問題も生じない」とされています。
上記の事例の場合、AさんはBさんに対し貸していた金の20万円分のみを返済させたにすぎず、Aさんの行為は権利の範囲内であるといえます。
もっとも、AさんはBさんに対してBさんやBさんの家族を殺すと怒鳴りつけ、これによりBさんはAさんは本気だと考えており、Aさんの要求に応じなければBさんやBさんの家族の生命身体に危害が加えられると畏怖したと言えます。
返金を要求した行為及びBさんを怒鳴りつけて脅迫した行為が、社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を超えており、恐喝罪が成立する可能性があります。

このように、恐喝事件については、その解決のために専門的な法的知識や経験が必要となります。
そのため、恐喝事件の加害者となってしまった場合には刑事事件に強い弁護士に相談し、恐喝事件の詳細な流れや見通しを聞いてみましょう。

恐喝事件などの刑事事件でお困りの方は、まずは弊所の弁護士まで、ご相談ください
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、弁護士による初回無料法律相談のご予約を24時間いつでも受け付けています(0120-631-881)。
まずはお気軽にお電話ください。

児童虐待と刑事罰

2019-11-18

児童虐待と刑事罰

児童虐待刑事罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

神戸市垂水区に住む女性Aさんは、旦那、Xちゃん(3歳)と二人暮らしでした。
ところが、Aさんは、ある日、同級生のBさんと偶然街で会ったことをきっかけに交際をはじめたところ、徐々にXちゃんに対する育児を放棄するようになりました。
そして、Aさんが自宅に戻ったところ、床の上でぐったりとしているXちゃんを見つけ、どうしていいかわからず110番通報しました。
Aさんは、駆け付けた兵庫県垂水警察署の警察官に「3日間、食事など与えていなかった。」「交際相手Bから自宅に帰ることを止められていた。」などと話しましたが、Vさんが死亡したとの連絡が入ったことを受けて保護責任者遺棄致死罪で逮捕されてしまいました。
逮捕の通知を受けたAさんの母親は驚き、刑事事件の実績、経験が豊富な弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 児童虐待とは ~

児童虐待による悲惨な事件が後を絶ちません。
児童虐待による痛ましい事件は頻繁に報道されています。

ところで、「児童虐待」の定義については、児童虐待の防止等に関する法律という法律(以下、児童虐待防止法)の2条に規定されています。
それによると、児童虐待とは保護者(略)がその監護する児童(18歳に満たない者をいう。以下同じ)について次に掲げる行為をいうとされています。
そして、「次に掲げる行為」とは、以下の行為です。

1号 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれがある暴行を加えること(身体的虐待)
2号 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること(性的虐待)
3号 児童の心身の発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること(ネグレクト)
4号 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(略)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと(心理的虐待)

以上からすると、Aさんの行為は3号の児童虐待に当たりそうです。

~ 児童虐待防止法で処罰されるの? ~

では、Aさんの行為が「児童虐待」に当たるからといって、Aさんが児童虐待防止法で処罰されるかといえばそうではありません。
同法には、児童虐待そのものを処罰する規定は設けられていないのです。
それは、以下でご紹介するように、「児童虐待」に当たる行為も刑法などのその他の法律に規定されている罪で処罰することが可能だからです。

~ 児童虐待と刑法(刑事罰) ~

では、児童虐待行為がどんな罪に当たり得るのか、前記各号につきそれぞれご紹介いたします。

1号については、暴行罪(刑法208条)、傷害罪(刑法204条)で処罰される可能性があります。
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
なお、傷害させ、児童(人)を死亡させた場合は傷害致死罪(刑法205条)で処罰される可能性があります。
傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役です。

2号については、強制わいせつ罪(刑法176条)、強制性交等罪(刑法177条)、監護者わいせつ罪(刑法179条1項)、監護者性交等罪(刑法179条2項)で処罰される可能性があります。
強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」、強制性交等罪は「5年以上の有期懲役」、監護者わいせつ罪は強制わいせつ罪と同様、監護者性交等罪は強制性交等罪と同様です。

3号については、保護責任者遺棄罪(刑法218条)で処罰される可能性があります。
法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。

児童(人)を傷害、死亡させた場合は保護責任者遺棄致傷罪保護責任者遺棄致死罪(刑法218条)で処罰される可能性があります。
前者の法定刑は「3月以上15年以下の懲役」、後者の法定刑は「3年以上の有期懲役」です。

4号について、行き過ぎた暴言は暴行罪、それによって精神的な障害を患った場合などは傷害罪で処罰される可能性もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、児童虐待に関する刑事事件少年事件も取り扱う、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談、初回接見サービスのお申し込みを24時間受け付けております。

エアコン室外機放火事件で逮捕

2019-11-13

エアコン室外機放火事件で逮捕

エアコン室外機放火事件での逮捕について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事件】

Aさんは痴情のもつれから大阪市中央区に住むVさんとトラブルになっていました。
AさんはVさんに報復したいと考え,Vさん宅のエアコンの室外機に火を放ちました。
これによって室外機は完全に焼損してしまいましたが,あとは外壁が焦げたのみでした。
Vさんが被害届を提出したことで捜査が開始され,Aさんは大阪府南警察署逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

【現住建造物等放火罪】

人が住居として利用している建造物や人が現在している建物などに放火する行為は現住建造物等放火罪に当たる可能性があります。
現住建造物等放火罪は刑法第108条に規定されています。

刑法第108条
放火して,現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物,汽車,電車,艦船又は鉱坑を焼損した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

現住建造物等放火罪の法定刑は死刑または無期もしくは5年以上の懲役で,殺人罪(刑法第199条)と同じ重いものとなっています。

現住建造物等放火罪の客体は,現に人が住居に使用し,または現に人がいる建造物,汽車,電車,艦船,鉱坑です。
このうち建造物とは,家屋や家屋に類似する建築物で,屋根があって壁または柱により支持されて土地に定着し,少なくともその内部に人が出入りできるものをいいます。

次に,「現に人が住居として使用し」ているとは,犯人以外の人が寝起きし食事をとる(起臥寝食と表現されます)場所として日常使用していることを意味します。
現に人が住居として使用していることを,当該建造物等に現住性があるといいます。
この現住性の理解によれば,その建造物等が居住者の生活の本拠である必要はありません。
また,毎日住居として利用されていなくとも,断続的に住居として使用されていれば現住性が認められ得ることになります。

さらに,大きな建造物の一部に現住部分がある場合は,全体が現住建造物になります。
これに関して,過去の判例では宿直室のある学校校舎,楽屋に人が寝泊まりしている劇場,待合業を営む家の離れ座敷,社務所や守衛詰所に人が寝泊まりする神社社殿などに現住性が認められています。
現住性の判断は,起臥寝食の場所としてそのために必要な家財道具の重要部分が運び出されたかどうか等の客観的事情と,居住者が起臥寝食の場所として使用する可能性を残しているかという意味での居住の意思の有無を併せて考慮してなされます。

今回Aさんが放火したのは,Vさんの住宅(現住建造物)に取り付けてあるエアコンの室外機です。
放火した箇所が現住建造物等の一部であればそれを焼損すると現住建造物等放火罪が成立するのに対し,放火した箇所が現住建造物等の一部でない場合は現住建造物等に延焼させる意図があってもその時点では現住建造物等放火未遂にとどまります。
従来,建造物の一部であるかの判断基準は毀損しなければ取り外すことのできない状態にあるかどうかというものでしたが,現在では,従来の基準では建造物等の一部とされていた設備であっても適切な工具等の使用により毀損せずとも取り外しが可能であるものも多く用いられています。
このような物については建造物等の一部と認めてもよいことから,基準を緩和し,容易には取り外すことのできない状態にある物であれば,建造物等放火罪における建造物等の一部と認められる可能性が高いです。
エアコンの室外機は適切な工具を使えば建造物を壊さなくても取り外すことは可能ですが,一般人が容易に取り外せる物ではないため,建造物の一部といえそうです。

【現住放火事件の弁護活動】

現住建造物等放火罪はその法定刑の重さから被疑者となれば逮捕や勾留されることが考えられます。
逮捕や勾留は被疑者が逃亡したり犯罪の証拠等を隠滅する恐れがある場合になされるものです。
よって依頼を受けた弁護士は依頼者によのような恐れがないことを示すことで逮捕や勾留の阻止を図ることになるでしょう。

また,刑法第25条の規定により,法定刑の下限が5年以上の懲役である現住建造物等放火罪では情状酌量等により刑の減軽がされない限り執行猶予はつきません。
情状酌量の判断基準としては,初犯かどうか,十分に反省しているか,焼損が軽微で人身に被害が及んでいないか,被害者との示談が成立しているかなどがあります。
現住建造物放火罪の場合,裁判員裁判の対象事件ですから,裁判員にもそういった事情が伝わるよう,工夫した公判弁護活動が行われることが求められます。

情状酌量のための事情の1つには,被害者との示談締結の有無があります。
そのため,弁護士が依頼者と被害者との間に入り依頼者の利益のために示談交渉に臨むことが考えられます。
弁護士が間に入ることで,被疑者と直接やり取りするのははばかられるという被害者の方でも示談交渉の場に臨んでくれることが期待できます。

現住建造物等放火罪の疑いをかけられた場合をはじめ,刑事事件では対処スピードがとても重要です。
現住建造物等放火罪の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されて困っている方,大阪府南警察署で取調べを受けることになってしまった方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

器物損壊罪で告訴取消し、不起訴なら

2019-11-08

器物損壊罪で告訴取消し、不起訴なら

器物損壊罪での告訴取消し不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

埼玉県鶴ヶ島市に住むAさんは、自宅近くのVさん方駐車場に停めてあったVさんの車のボンネット等を金づちで数回叩き、Vさんの車を損壊(損害額約30万円)させました。
これを見たVさんは埼玉県西入間警察署に告訴状を提出し、捜査の結果、Aさんが犯人であることが特定され、Aさんは埼玉県西入間警察署器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
Vさんがここ数か月間、同様の被害を受けていたことから、駐車場に防犯カメラを設置していたところ、Aさんの犯行の姿が撮影されており犯人の特定につながったようです。
逮捕の通知を受けたAさんの両親は対応に困り、まずは刑事事件の実績、経験が豊富な弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ 器物損壊罪とは? ~

器物損壊罪は、刑法261条に規定されています。

刑法261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

「前三条に規定するもの」とは、公用文書等(刑法258条)、私用文書等(刑法259条)、建造物等(刑法260条)を指しますから、器物損壊罪の対象(客体=「他人の物」)とは、これら以外の有体物ということになります。
ちなみに、動物も「物」に含まれます。
ここでの「損壊」とは動物以外への毀棄、「傷害」とは動物に対する毀棄をいいます。
毀棄とは、物理的な毀損・破壊行為のみならず、ひろく物の本来の効用を失わせる行為を含むと解されています。

器物損壊罪の罰則は、上記のとおり「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。
科料(1万円未満)も定められていますが、器物損壊罪において科料が科されるケースは稀だと思います。

~ 器物損壊事件の発覚経緯は? ~

事例のような器物損壊罪はどうして発覚するのでしょうか?
まず、一番多いのは、警察官や被害者らによる現認事案です。
被害者が繰り返し被害に遭っていたところ、現場に張り込んでいた警察官らが犯行を現認して発覚するというパターンです。
その他にも、目撃者の供述、現場及びその付近の防犯ビデオ映像等から後日発覚するというパターンもあります。

~ 告訴取消し、不起訴 ~

器物損壊罪は、告訴がなければ公訴を提起(起訴)することができない罪で、これを「親告罪」と言います。
ですから、Aさんが公訴を提起されず、裁判を受けずに済むため(不起訴を獲得するため)には、Vさんに告訴を取消してもらう必要があります。

刑法264条
第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ控訴を提起することができない。

Vさんに告訴を取り消してもらうためには、まずはVさんに対し真摯に謝罪し、速やかに示談交渉に移る必要があるでしょう。
しかし、当事者間での示談交渉は感情のもつれなどもあって非常に困難を伴いますから、被害者との示談交渉はに弁護士に依頼することをお勧めいたします。
弁護士であれば適切な内容で示談を成立させることが可能であり、その結果、Vさんに告訴を取消していただき、不起訴という刑事処分を獲得できる可能性も上がります。
また、この場合、Aさんに前科も付きません。

接見、告訴取消し、不起訴処分獲得なら刑事事件の実績、経験豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士へご依頼ください。
被疑者として逮捕された方がいる場合には、初回接見サービスのご依頼を受けた後、速やかに逮捕された方との接見をいたします。
その後、正式なご契約をいただいた後に告訴取消し、不起訴処分獲得へ向けて弁護活動を開始します。
まずはお問い合わせを、0120-631-881までお電話ください。

脅迫事件で逮捕・弁護士の活動

2019-11-03

脅迫事件で逮捕・弁護士の活動

脅迫事件の逮捕と弁護士の活動について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例
Aは,自らの気に入らない政治的集会が神奈川県川崎市で開催されることを知り,「集会当日,参加者の身に何があっても知らない」「俺はやる気だ」などと,集会が開催される自治体の職員に対し,電話で申し向けた。
集会の開催者から相談を受け,捜査を開始した神奈川県中原警察署の警察官は,Aを脅迫罪の疑いで逮捕した。
逮捕を知ったAの家族は,脅迫事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~脅迫罪の成立について~

近年,インターネット等のコミュニケーションツールの発達もあり,安直な動機から脅迫行為に及び,逮捕されてしまうというようなケースが増えています。
本件では,政治的集会およびその開催者に害悪を加えると告知するという行為により,Aは脅迫罪(刑法222条1項)により逮捕されてしまっています。
同条項は,「生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は,2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」旨を定めています。
もっとも,本件では,実際には告知内容に該当するような行為は行われていません。
この点については,どのように考えられているのでしょうか。

まず,一般的に我々が想像する犯罪というと,窃盗罪のような財産犯が代表格として挙げられるかと思います。
財産犯は侵害犯に分類され,犯罪(既遂)の成立には財産に対する現実的な侵害が要求されます。

これに対し,本件脅迫罪のような犯罪は,危険犯,それも抽象的危険犯とされています。
危険犯とは,侵害犯とは異なり,刑法が保護の対象とするものに対する危険があることのみによって成立する犯罪です。
そして,その中でも抽象的危険犯とは,そのような危険が現実的なものでなくとも,一般的・類型的な危険さえ認められれば成立する犯罪です。
このような抽象的危険犯は何も特別な犯罪ではなく,現住建造物等放火罪など刑法典にも多く規定されている犯罪なのです。
また,脅迫罪には未遂規定がなく,既遂犯としてのみ処罰されることにも注意が必要でしょう。

本件では,人を畏怖させるに足りる害悪の告知があったそのことだけで,上記のような一般的・類型的な危険が認められるといえ,脅迫罪における「脅迫」という要件を満たすものと考えられます。 
本件のように,「脅迫」内容たる害悪の告知に該当するような行為を,実際には行っていなくても,脅迫罪の成立が認められるのです。

~脅迫事件における弁護活動~

本人が犯罪事実(被疑事実)を否認している場合(いわゆる否認事件)と,そうでない場合(いわゆる自白事件)で,弁護士による弁護活動の方針も変わってきます。
前者(否認事件)であれば,黙秘権の行使等も含め,捜査機関に相対するにあたって被疑者にとって何がベストな対応なのかを,分かりやすくそして時には被疑者を勇気づけるような活動を行うことが考えられます。
今般,誤認逮捕事案が広く報道されたように,逮捕されたからといって犯人であるとは限らないことは改めて言うまでもないことでしょう。
後者(自白事件)であれば,もちろん前科前歴の有無や事件の態様にもよりますが,早期の被害者との示談等を含め,起訴猶予(不起訴)を目指した弁護活動がまずは考えられるところです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,脅迫罪を含む暴力・粗暴事件も多数扱う刑事事件専門の法律事務所です。
上記のように,事件内容や逮捕されてしまった被疑者の言い分などによって,弁護士がなすべき弁護活動もおのずと変わってきます。
脅迫事件で逮捕されてしまった方のご家族は,365日24時間通話可能のフリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐお問い合わせください。

傷害致死事件を起こし逮捕

2019-10-29

傷害致死事件を起こし逮捕

傷害致死事件とその逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~
Aさん(25歳)は、東京都多摩市の居酒屋で酒を飲んでいた際、隣の席の客Vと些細な出来事でトラブルになり、居酒屋の玄関を出て殴る蹴るの喧嘩をしてしまいました。
AさんがVの顔面を拳で殴った際、Vがよろめいて転倒し、頭部を強打したことにより、Vは搬送先の病院で死亡しました。
Aさんは通報を受けて駆け付けた警視庁多摩中央警察署の警察官により、傷害罪の疑いで現行犯逮捕され、近く、被疑事実が傷害致死罪に切り替えられる見込みです。
(フィクションです)

~傷害致死罪とは?~

傷害致死罪は、身体を傷害し、よって人を死亡させる犯罪です。
法定刑は、3年以上(20年以下)の有期懲役となっており、非常に重い犯罪類型ということができます。
殺人罪と異なり、殺意が行為者にないことが傷害致死罪の特徴です。
今回のケースの場合は、Vを殴打した手段が素手の拳であったことから、殺意がないと判断されたものと思われます。
反対に、素手の拳ではなく、ナイフで被害者の胸を刺した、というような場合には、現行犯逮捕される時点で殺意があるものと判断され、殺人未遂罪で検挙される可能性が高いと思われます。
この場合は、被害者の死亡が確認された後、被疑事実が殺人罪の既遂に切り替えられると思われます。

なお、傷害致死事件は、傷害については故意の犯罪行為ですので、裁判員裁判法第2条1項2号により、裁判員裁判対象事件です。

裁判員裁判法
第2条 地方裁判所は、次に掲げる事件については、次条又は第3条の2の決定があった場合を除き、この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は、裁判所法第26条の規定にかかわらず、裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
1 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
2 裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)

*裁判所法第26条2項2号は死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪が対象です。

~傷害致死罪で逮捕…その後は?~

逮捕後は、被疑者=Aさんは警察署に引致された後、弁解の録取、取調べを受けます。
留置の必要が認められるとき、警察は逮捕時から48時間以内にAさんの身柄を検察へ送致します。
身柄を受け取った検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するかを決めます。
勾留請求に対し、裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められるときは、さらに最長10日間勾留が延長されます。
釈放されないまま捜査が進行する場合、検察官は、勾留の満期日までにAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めます。

先ほど触れたように、傷害致死罪は裁判員裁判の対象となりますから、Aさんが傷害致死罪で起訴されると、「公判前整理手続」が行われます(裁判員裁判法第49条)。
公判前整理手続では、検察官の証明予定事実、検察官が立証に用いる証拠が開示され、争点が整理されます。
公判前整理手続が開始されてから、第1回公判期日が開かれるまで、数か月かかることがあります。

~Aさんの身柄解放活動~

傷害致死罪は非常に法定刑が重く、その罪責の重さから、逃亡のおそれがあると判断される可能性が高いということができます。
したがって、勾留後に釈放される可能性は低く、また、保釈される可能性も比較的低いということができます。
一方で、既に述べたとおり、傷害致死罪は裁判員裁判対象事件であり公判前整理手続きが行われますので、そのままでは長期間身体を拘束されたままになってしまいます。
また、勾留されたままでは、膨大な証拠資料について検討することもままなりません。
したがって、早期に身柄を解放されることがより重要となってきます。
信頼できるAさんの身元引受人を用意するなどし、可能な限り早期の身柄解放を実現できるよう活動しなければなりません。

~可能な限り有利な量刑による判決を目指す~

傷害致死事件における被害者及びその遺族の損害額は非常に大きく、数千万、億単位の損害が生じることも充分予想されます。
したがって、経済的な理由から、示談を成立させることは困難でしょう。
それでも、被害者の遺族に謝罪し、可能な限り損害を賠償することにより、真摯に反省していることを裁判所に訴えることはできます。
さらに、今後のAさんの生活を支援、監督する方を用意するなどし、よりAさんにとって有利な事情を積み重ねることが重要です。
弁護士のアドバイスを受けながら、事件解決に向けて行動していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が傷害致死事件を起こし逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

親族による死体遺棄罪

2019-10-24

親族による死体遺棄罪

親族による死体遺棄罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

東京都荒川区在住のAさんは、寝たきりで介護が必要だった妻Vさんと2人暮らしをしていました。
そして、ある日、Aさんは寝室においてVさんがベットの上で息をしておらず、死んでいるのに気づきました。
Aさんは「警察などに届け出れば自分が殺人犯として扱われてしまう。」などと強く思い込み、怖くなってそのままVさんの遺体を放置していました。
ところが、その後、Aさんは警視庁南千住警察署死体遺棄罪で逮捕されてしまいました。
死体の異臭がひどく、近所の住民から警視庁南千住警察署あてに「遺体が放置されているのではないか」との通報が寄せられたところ、警視庁南千住警察署の警察官がAさん宅へガサ(捜索)に入り、本件が発覚したようです。
(フィクションです。)

~ 親族による死体遺棄罪 ~

死体遺棄罪は刑法190条に規定されています。

刑法190条
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以上の懲役に処する。

「遺棄」とは、通常は、社会通念上の埋葬とは認められない方法で死体などをその現在の場所から他の場所に移して放棄することをいいます。
したがって、殺人犯が、死体を単に現場に放置したまま立ち去ったとしても、一般には、殺人罪のほか死体遺棄罪は成立しません。
しかし、例外的に、その死体について葬祭の義務を負う者が、葬祭の意思なく死体を放置してその場所から立ち去った、あるいは放置し続けていた場合は、不作為による遺棄に当たり死体遺棄罪が成立することがあります。

~ 親族による遺体遺棄でその他疑われる犯罪 ~

今回のケースのような場合、死体への関与が疑われるわけですから、死体遺棄罪以外に殺人に関する罪に問われる可能性はあります。

= 殺人罪 =
刑法199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

なお、何かをした、という作為のみならず、何もしない、という不作為にも「殺す行為」に当たるとされることがあります(このような犯罪を不真正不作為犯といいます)。
特に、近年では、児童虐待、高齢者虐待でこの殺人罪(不真正不作為犯に問われているケース)が目立ってきています。 

= 自殺関与罪、同意殺人罪 =
刑法202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

自殺は本来不可罰とされています。
しかし、自分の命をどうするのかは他人の手に委ねられるべきものではなく、自分自身で決めるものです。
また、命の断絶について他人の手に委ねることをよしとする世の中としてしまうと、他に生きる選択肢があるにもかかわらず、容易に死を選択してしまう世の中になってしまうとも限りません。
そこで、他人の命を絶つことはやはり違法とし、処罰することとしているのです。

「~自殺させ」までの部分が「自殺関与罪」に関する規定です。
「幇助して自殺させる」とは、既に自殺の決意のある者の自殺行為に援助を与え、自殺を遂行させることをいいます。
他方で、「教唆して自殺させる」とは、自殺の意思のない者に自殺を決意させて、自殺を遂行させることをいいます。
幇助行為は、例えば、自殺志願者に自殺器具を与えるなどの有形的(物質的)方法によるものであると、「君は死んだ方がいい」「死んだ方が楽になるよ」などとの言葉をかけるなどの無形的(精神的)方法によるものであるとを問わないとされています。
また、積極的手段(作為)であると消極的手段(不作為)によるものであるとを問わないとされています。

次に、「又は」以下の部分が「同意殺人罪」に関する規定です。
「嘱託を受け」とは、被害者から積極的に殺害を依頼されることで、承諾を得てとは、被害者から殺害されることについての同意を得ることをいいます。
「嘱託・承諾」があったといえるためには、①被害者自身が行ったものであること、②事理弁別能力のある被殺者の自由かつ真実の意思に出たものであること、③被殺者の殺害に着手する以前になされたものであること、が必要とされています。

仮に、これらの条件を満たさない場合は、殺人罪(刑法199条)に問われかねませんから注意が必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件少年事件でお悩みの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。
24時間、無料法律相談、初回接見サービスの受け付けを行っております。

暴行罪と早期釈放

2019-10-19

暴行罪と早期釈放

暴行罪早期釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ 事例 ~
福岡県北九州市に住むAさんは、職場の同僚であるVさんの胸ぐらをつかんだ暴行罪の容疑で福岡県八幡西警察署に逮捕されてしまいました。
Aさんの妻は、Aさんの早期釈放を望んで、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ 暴行罪 ~

暴行罪とはどんな罪なのでしょうか?
暴行罪は刑法208条に規定されています。

刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

= 暴行罪の「暴行」とは? =
暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。
もっとも典型なのが殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなど直接人の身体に触れる行為が挙げられます。
もっとも、暴行罪の「暴行」は直接人の身体に触れる行為に限らず、

・着衣を強く引っ張る行為
・胸ぐらをつかむ行為
・人に向かって石やガラスコップを投げる行為、棒を振りかざす行為
・毛髪等を切断する行為
・室内で太鼓等を連打する行為
・耳元で拡声器を通じて大声で怒鳴りつける行為
・狭い室内で日本刀を振り回す行為

なども含まれます。
また、最近では、自動車のあおり運転が話題となっていますが、あおり運転行為も暴行罪の「暴行」に当たることがあります。

=「人を傷害するに至らなかったとき」=
次に、暴行罪傷害罪の違いについて解説いたします。

暴行罪は「人を傷害するに至らなかったとき」、つまり、人に何らかの怪我や障害を負わせなかった場合に問われる罪です。
怪我や障害を相手に負わせてしまった場合は、傷害罪(刑法204条、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)に問われます。
つまり、傷害罪は

・暴行の故意(人に傷害を負わせるつもりがなかった場合)で結果的に傷害を負わせた場合
・傷害の故意(人に傷害を負わせるつもりがあった場合)で結果的に傷害を負わせた場合

の2種類のケースが考えられることに注意が必要です。

~ 勾留前に釈放されるかも?(早期釈放) ~

逮捕された場合でも、早期釈放を実現できる可能性があります。。
以下、逮捕から勾留まで段階別にご紹介いたします。

= 逮捕から送致まで =
逮捕後は、警察官による「弁解録取」という手続を受けます。その上で釈放か否かの判断がなされます。
この時点で、私選の弁護士が選任されており、弁護士から警察官に対する働きかけが行われれば、働きかけがない場合に比べ釈放される可能性は高まるといえるでしょう。
それでも釈放されない場合は、逮捕のときから48時間以内に事件と被疑者を検察官の元へ送致する手続きが取られます。
  
= 送致から勾留請求まで =
事件と被疑者が検察官の元へ送致される手続きが取られた場合、検察官の元でも、警察官と同様「弁解録取」という手続を受けます。
その上で、釈放か否かの判断がなされます。
この時点で、私選の弁護士が選任されており、弁護士から検察官に対する働きかけが行われれば、働きかけがない場合に比べ釈放される可能性は高まるといえるでしょう(逮捕後にご依頼いただく場合は、はやくてこの時点から働きかけを行うことが可能となるでしょう。)。
具体的には、検察官へ意見書や上申書を提出するなどします。
それでも釈放されない場合は、勾留請求という手続が取られたことになります。
  
= 勾留請求から勾留決定まで =  
勾留請求されると、今度は、裁判官による「勾留質問」の手続を受けます。
その上で、釈放か否かの判断がなされます。
この時点で、私選の弁護士が選任されており、弁護士から裁判官に対する働きかけが行われれば、働きかけがない場合に比べ釈放される可能性は高まるといえるでしょう。具体的な働きかけは検察官に対するのと同様です。
それでも釈放されない場合は、勾留決定が出たことになります。
ただし、勾留決定が出た場合でも、それに対する不服申し立てをして釈放を求めていくことは可能です。

早期釈放をお望みの場合は、はやめに弁護士への弁護活動のご依頼をご検討ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談の予約を受け付けております。

« Older Entries