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大阪府箕面市の過剰防衛傷害事件

2019-06-16

大阪府箕面市の過剰防衛傷害事件

~ケース~

Aさん(20代男性)は,大阪府箕面市内の街を歩いている際,すれ違いざまにVさんと肩がぶつかった。
AさんはVさんに軽く謝ったが,AさんはVさんから因縁を付けられた。
その後,AさんとVさんは口論になり,VさんがAさんの胸倉を掴み頬に平手打ちをした。
その後もVさんが暴行を続けようとしたので,カッとなったAさんはVさんの右頬を殴打し,Vさんは全治1週間の怪我を負った。
通行人の通報で駆けつけた大阪府箕面警察署の警察官によってAさんは傷害事件の被疑者として事情を聞かれることになった。
なお,Aさんは趣味でボクシングジムに通っており,プロボクサーのライセンスを持っていた。
(フィクションです)

~傷害罪~

今回のケースでは,AさんはVさんを殴って怪我を負わせてしまっているので傷害罪(刑法204条)が成立すると考えられます。
傷害罪の法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

~正当防衛~

しかし,AさんはVさんから胸倉を掴まれ平手打ちをされた事に反撃したのですから,正当防衛(刑法36条)は成立しないのでしょうか。
刑法36条1項は「急迫不正の侵害に対して,自己又は他人の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない。」と定めています。
正当防衛は犯罪に該当する行為を「罰しない」という強力な規定になっていますので,適用されるかどうかは具体的な要件を満たす必要があります。

まず,正当防衛は急迫不正な侵害に対して行われなければなりません。
急迫とは法益の侵害が切迫していること,不正とは違法であること,侵害とは権利に対する実害や危険があることを言います。
今回のケースでは,AさんはVさんから現に暴行を受けていますので急迫不正な侵害があったといえるでしょう。

では,AさんはVさんに平手打ちをされ,カッとなって殴っていますが,このような場合でも防衛のための行為と言えるのでしょうか。
怒りや逆上などから反撃した場合には,防衛とは異なる動機となりますので「防衛の意思」は存在せず,正当防衛は成立しないと考えられていました。
しかし,急に他者から攻撃を受けた場合に冷静さを保って防衛の目的のみから反撃することは難しいでしょう。
そのため,裁判所は防衛の意思の内容を「急迫不正の侵害を認識しつつ,これを避けようとする単純な心理状態」と解釈を変更し,憤激や逆上から反撃行為を加えても直ちに防衛の意思がないとされることはなくなりました。
従って,AさんはVさんの攻撃(平手打ち)に対してカッとなったとはいえ,反撃として殴打したのですから,正当防衛が直ちに成立しないとは言えないでしょう。

加えて,正当防衛に必要な要件の1つである「やむを得ずした」とは,防衛行為が必要かつ相当であることと解されています。
必要性とは,反撃行為が権利を防衛する手段として必要最小限度の行為であるとする理解が有力です。
また,裁判所は「やむを得ずした」か否かを,必要性よりも相当性の有無という形で判断する傾向が強いようです。
相当性は結果の相当性および手段の相当性によって判断されます。
結果の相当性とは守ろうとした法益に対し,防衛行為がもたらした結果が著しく不均衡ではないことを言います。
たとえば,洗濯物を盗まれないように犯人を死亡させてしまった場合などは結果が著しく不均衡であるといえます。
手段の相当性とは,防衛行為と侵害行為の危険性の均衡をいいます。
この手段の危険性は客観的に判断され,相当性は,具体的状況の下において社会通念を基準として判断されます。

さて,今回のケースではAさんはVさんの顔を殴り返したという事案です。
問題は,Aさんはプロボクサーのライセンスを持っていたということで,一般の人が他人を殴った場合と事情が異なります。
一般の人に比べて格闘技の有段者やプロライセンスを持っている場合,攻撃行為の危険性が高いと判断されます。
その為,Aさんのような場合,防衛の手段として相当性を欠くと判断されてしまう可能性も出てくるでしょう。

~過剰防衛~

刑法36条2項は「防衛の程度を超えた行為」=過剰防衛について情状により任意的減免を認めています。
防衛の程度を超えるとはやむを得ない程度,つまり相当性を超えることを意味します。
先ほど触れたように,Aさんの反撃行為はボクシングのプロライセンスを持っていることから相当性を超えていると判断されてしまい,正当防衛とならない可能性もあります。
しかし,過剰防衛であると認めてもらえれば,刑の減免が認められる場合もあります。
こうした正当防衛過剰防衛が問題となるような刑事事件では,まずは刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
正当防衛過剰防衛の主張をお考えの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
警察署等での初回接見や事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。

腹いせの業務妨害事件で逮捕

2019-06-11

腹いせの業務妨害事件で逮捕

~ケース~
Aさんは埼玉県朝霞市内のコンビニを利用したところ、店員の態度が悪く感じ、これに因縁をつけたところ、口論になりました。
その場は収まり、Aさんは帰宅したのですが、怒りをしずめることができませんでした。
後日、Aさんは先日の腹いせにと画びょうを3000個用意し、コンビニを再訪した後、床にばらまいてしまいました。
店員は埼玉県朝霞警察署に通報し、Aさんは駆け付けた埼玉県朝霞警察署の警察官に威力業務妨害罪の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
コンビニは画びょうが撤去されるまで2時間ほどの間、営業を中止する事態になりました。
(フィクションです)

~威力業務妨害罪について~

威力業務妨害罪とは、威力を用いて人の業務を妨害する犯罪であり、威力業務妨害罪で起訴され、有罪が確定すれば3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(刑法第234条)。
お店や団体に嫌がらせや、腹いせを行った結果、威力業務妨害罪の疑いで検挙されるケースがあります。

(「威力」とは?)
威力業務妨害罪の「威力」とは、人の自由意思を制圧するに足る勢力をいい、暴行・脅迫よりも広い概念です。
「威力」と認められた裁判例として、①客が満員のデパートの食堂配膳部に蛇をまき散らした場合(大審院昭和7年10月10日判決)、②競馬場の最も重要な本馬場に、幅約2メートル、長さ約120メートルにわたり平釘1樽分をまいた場合(大審院昭和12年2月27日判決)などがあります。

今回のケースの場合について検討します。
コンビニの床に画びょうが3000個もまかれている場合、これを踏みつけたり、あるいは転倒した際、体に刺さるおそれがあることから、安全確保のため営業をいったん中止せざるを得なくなると思われます。
以上のことから、コンビニに画びょうをまく行為は、人の自由意思を制圧するに足る勢力と考えられるので、「威力」に該当する可能性が高いでしょう。

(「業務」について)
「業務」とは、人(自然人、法人その他の団体を含みます)が職業その他社会生活上の地位に基づき継続して従事する事務をいいます。

今回のコンビニの場合、通常、法人である株式会社か、自然人である個人が営利目的で営業しています。
コンビニの営業は、経営者である自然人又は法人が職業その他社会生活上の地位に基づき継続して従事する事務と考えられるので、「業務」に該当するものと思われます。
なお、コンビニの営業は営利目的で行われますが、「業務」に該当するために営利性が必要というわけではなく、政党の結党大会のようなものであっても、「業務」に該当しえます。

(「妨害した」について)
判例によれば、威力業務妨害罪の成立には、実際に業務が妨害された結果の発生は必要ではなく、業務を妨害するに足りる行為が行われればよいとされています。

今回のケースのコンビニは画びょうが撤去されるまで2時間程営業が不能となっていますので、明らかに「妨害」されたものと考えられます。

以上のことから、Aさんがコンビニの床に画びょうをまいた行為が、威力業務妨害罪を構成する可能性は極めて高いと思われます。

~逮捕されたら、まずは初回接見を検討~

弁護士に事件について話し、今後の手続きの進行、処分の見込み、取調べの対応方法につきアドバイスを受けることをおすすめします。
取調べでは、取調官からかなりきつい態様で質問され、負担に感じることがあるかもしれません。
弁護士に事件について話をすることにより、心理的な安心感を得られる効果も期待できます。
当番弁護士は、逮捕されている場合に、初回の1回だけ無料で接見にやってきます。
ただし、身柄解放活動、より有利な処分(不起訴、軽い量刑の判決)の獲得に向けた活動を行うことはできません(私選弁護人として選任すればこの限りではありません)。
国選の弁護士は、接見後の活動を行うことができますが、一定の要件を満たした上で、勾留決定が出ている段階でないと付けられないので、逮捕当日に接見を受けることは通常できません。(逮捕から勾留まで2~3日かかることが通常です)
また、自分で弁護士を選ぶことができないため、しばしば付けられた弁護士と相性が合わない、やる気が感じられないといった不満を持つ方もおられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、有料で初回接見を行っております。
弁護士のスケジュールが空いていれば、逮捕当日に接見を受けていただくこともできます。
また、弁護士費用等の条件が折り合えば、接見を行った弁護士を私選弁護人として選任していただくことも可能です。
ご家族、ご友人が威力業務妨害事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

脅迫罪と強要罪

2019-06-06

脅迫罪と強要罪

神奈川県横須賀市に住むAさんは,スマートフォンを使って,ゲーム仲間Vさんに「最終通告です。大勢を敵に回しており,攻撃される準備が行われている,逃げたまえ」などというメールを送信し,Vさんに引っ越しを余儀なくさせたという強要罪の容疑で,神奈川県田浦警察署から呼び出しを受けています。
Aさんは,脅迫罪強要罪の違いや今後の対応などに暴力事件を含む刑事事件専門弁護士無料相談を申込みました。
(実際に存在した事例を基に作成しています)

~ はじめに ~

上の事例をみて脅迫罪強要罪?と判断に迷われた方おられるのではないでしょうか?
そこで,まずは,脅迫罪強要罪の内容について解説したいと思います。

~ 脅迫罪 ~

脅迫罪は刑法222条に規定されています。

1項 生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は,2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も,前項と同様とする。

= 害を加える旨の告知(害悪の告知) =
害悪の告知は,一般に人を畏怖させるに足りる程度のものでなければならないとされています。
人を畏怖させるに足りるものであったか否かは,告知に至るまでの経緯,告知した人(年齢,性別など),告知内容,告知された相手(年齢,性別など)などの状況から判断されます。
したがって,同じ内容でも人,相手などによっては「害悪の告知」と認められることもあれば,認められないこともあります。
過去の判例(昭和35年3月18日)では,「出火御見舞申上げます,火の用心に御注意」が害悪の告知と認定されましたが,これは暴力団組員から同じ暴力組員への脅迫行為に関する事例判断です。

* 「夜道を歩くときは気をつけろよ」 *
例えば,企業のSNSアカウントに「(企業をを運営する)社長さん,夜道を歩くときは気を付けろよ」等書き込みをしたらどうでしょうか。
あくまで企業のSNSアカウントに対しての行為なので,社長に対して「告知した」とは言いづらそうですが,例えば,この文言を社長自身のSNSアカウントに投稿したら脅迫罪となる可能性は高いでしょう。
SNSでの軽率な発言であっても,脅迫罪に当たり得ることは肝に銘じておいた方がよさそうです。

~ 強要罪 ~

強要罪は刑法223条に規定されています。

1項 生命,身体,自由,名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し,又は暴行を用いて,人に義務のないことを行わせ,又は権利の行使を妨害した者は,3年以下の懲役に処する。

強要罪でも「害悪の告知」が必要とされています。
ただし,強要罪は,結果として相手方に義務のないことを行わせ,又は権利の行使を妨害したことが必要ですから,強要罪の「害悪の告知」はその程度のものであることが必要とされています。

~ 脅迫罪と強要罪の違い ~

脅迫罪強要罪は大きく,以下の違いがあります。

= 犯罪の性質,要件の違い =
以上からもお分かりいただけますように,脅迫罪は「害悪の告知」をしただけで成立する罪,強要罪は「害悪の告知」+「人に義務のないことを行わせること」あるいは「権利の行使を妨害したこと」が必要です。
また,脅迫罪の「害悪の告知」は,それによって相手方が畏怖したかどうかは問わないとされているのに対し,強要罪の「害悪の告知」は,結果として相手方に義務のないことを行わせ,又は権利の行使を妨害するに足りる程度のものである必要があります。

= 法定刑の違い =
脅迫罪2年以下の懲役又は30万円以下の罰金で,強要罪3年以下の懲役です。
両者を比べてみるとよく分かりますが,強要罪には罰金刑がありません。
つまり,強要罪で起訴されると必ず正式裁判を受ける必要が出てきます。
裁判所は,土日は開廷してくれませんから,会社員の方であれば休暇を取る必要があります。
また,慣れない法廷という場は極度に緊張するものです。
判決が出るまでは「刑務所に行かなければならないだろうか」などと不安が続きます。
対して,脅迫罪は選択刑として罰金刑がありますから,そのような不安や緊張に悩まされなくて済む場合もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,脅迫罪強要罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
強要罪については特に,検察官が起訴する前に被害者と示談を成立させ,不起訴処分獲得を目指すことが重要です。
お困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881で,無料相談,初回接見サービスをお申し付けください。

警視庁福生警察署で逮捕~正当防衛

2019-06-01

警視庁福生警察署で逮捕~正当防衛

【事件】
仕事から帰宅途中のAさんは、東京都羽村市にある公園に差し掛かったところで若者に因縁をつけられました。
「睨んだだろう」と言う若者に対して、全く身に覚えのないAさんは「睨んでいない」と主張しましたが、その態度に若者は激高しました。
若者が手に持っていたサバイバルナイフを振りかざし今にも襲い掛かろうとしたので、Aさんは手に提げていた通勤バッグで若者の頭を殴りました。
走って立ち去ろうとしたAさんでしたが、騒ぎを聞きつけた警視庁福生警察署の警察官に暴行罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その時、若者は脳震盪で病院に搬送されていました。
Aさんは、「自分は正当防衛をしただけなのに犯罪になってしまうのか」と不安になり、家族が接見を依頼した弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

【正当防衛】

急迫不正の侵害に対し、自分または他人の生命・権利を防衛するため、やむを得ずにした行為を正当防衛といいます。
正当防衛が認められれば、違法性がないとして仮に起訴されても無罪になります。

以下、少し細かく正当防衛が成立するための要件についてご紹介します。

・急迫不正の侵害があること
自分や他人に危険が今まさに差し迫っており、その危険の発生原因が正当な理由に基づかない場合に、急迫不正の侵害があると言うことができます。

・自己又は他人の権利を防衛するためにとられた行為であること
ここでいう権利とは、広く一般的に法律等で保護されている権利を意味します。
危険が自分自身や、あるいは他人のこれらの権利を脅かそうとしている際に、その権利を守る目的でなされた行為である必要があります。

・やむを得ずにした行為であること
防衛者がその行為を行わなければ、危険にさらされた権利が守れないものであったといえなければなりません。
また、攻撃内容に対して、反撃内容がその強さに応じた相当なものでなくてはなりません。
例えば、素手で殴りかかってきた相手に対してけん銃で反撃したような場合には相当であるとは言えず、そうした場合、過剰防衛であるかどうかが問題となりえます。

・侵害者に向けられた行為であること
防衛行為と認められるためには、反撃が侵害者に向けられていなければなりません。
もし反撃行為が全く関係のない第三者に当たった場合には、その第三者との関係では緊急避難の問題となり、侵害者との関係では、反撃行為が各種未遂罪の行為に該当する場合に正当防衛の問題として扱われる場合があります。

ドラマなどでよく正当防衛という言葉を耳にすると思いますが、これらの細かい条件をそれぞれクリアしないと、法律的には正当防衛と認められるのは難しくなります。
逆に、正当防衛が認められれば、その行為については犯罪が成立しないことになります。

【Aさんの場合】

Aさんは若者を殴って気絶させていますので、客観的にはAさんは暴行罪あるいは傷害罪の容疑で警察の捜査を受けることになります。
ここで、Aさんがバッグで若者を殴って気絶させたことについて正当防衛が成立するかどうかみていきましょう。

まずAさんは若者にナイフで襲われており、侵害の急迫性が認められます。
また、若者のナイフで襲い掛かる行為は正当行為等で正当化されるものではなく、不正性も認められます。

Aさんのバッグによる攻撃(反撃)は、ナイフで襲い掛かろうとしている若者から身を守るためにとられたもので、そうしなければAさんの身体が傷つけられたでしょう。
したがってAさんの反撃は自身の身体ないし生命という自己の権利・利益を守るためにとられた行為であるといえます。

Aさんは逃げる余裕もないまま、他に身を守る方法もなく若者をバッグで殴っています。
殺傷性のあるナイフに対してAさんの武器はバッグであり、反撃手段の強度も相当であると考えられ、そうすると「やむを得ずにした行為」の要件は満たされると考えられます。

また、この反撃はAさんを襲った若者に対してとられた行為で、侵害者に向けられた行為です。

以上より、Aさんがバッグで殴った行為が正当防衛であると認められる可能性は非常に高いといえます。

しかし、警察官の厳しい取調べ等、捜査の過程で自分にかけられた暴行や傷害の容疑内容を認めるような発言をしてしまった場合、起訴されてしまったり、最悪の場合前科がつくことになってしまうかもしれません。
もし身を守るためにとった行為に暴行や傷害の容疑がかけられてしまった場合は、お早めに刑事事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。
早い段階で適切な対応をすることにより、不起訴処分や無罪を得られる可能性が高くなります。

正当防衛の状況下でとられた行為について逮捕されてしまった方、ご家族やご友人が警視庁福生警察署に逮捕されてしまった方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
警視庁福生警察署までの初回接見費用:39,000円

傷害致死罪で逮捕・同時傷害の特例

2019-05-27

傷害致死罪で逮捕・同時傷害の特例

Aは、普段よりそりの合わなかったVを、東京都豊島区にある行きつけの店に呼出し因縁をつけた上で、暴行を加えた。
Vは、同店内から逃げ出したところ、同店の常連であったBと遭遇し、Vを恨んでいたBはその場で暴行を加えた。
これらの暴行の結果、傷害を負ったVは死亡するに至った。
しかし、当該傷害が、AとBどちらの暴行により生じたかは不明である。
なお、Vの死亡結果と、Bの暴行との間には因果関係が認められることが分かっている。
通報を受けて捜査していた警視庁池袋警察署の警察官は、Aを傷害致死罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、暴力事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~傷害致死罪と同時傷害の特例(刑法207条)~

本件では、Aに同時傷害の特例が適用され、傷害致死罪(刑法205条)で逮捕されています。
同時傷害の特例とは、耳慣れない方も多いかもしれませんが、刑法207条によって規定されています。
刑法207条は、
・「2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において」
・「それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは」
・「共同して実行した者でなくても、共犯の例による」
という、非常に特殊な規定になります。

刑法60条は、「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と、共犯の中でも共同正犯について定めていますが、本来本条が適用されるには、2人以上の間に共謀が必要とされています。
刑法207条はこのような共謀がない場合にも、共同正犯が成立することを認める特殊な規定なのです。
さらに、本条は本来は検察官が負うはずの挙証責任を、被告人側に転換する(行為と結果の因果関係の不存在を被告人側に負わせる)点においても、特異な規定であり、学説上も批判が根強く主張されているところでもあります。

このような特例が置かれた趣旨については、傷害の結果が明らかであるにもかかわらず、当該傷害について誰も刑事責任を負う者がいなくなってしまう事態を回避するための特例との考え方が通説とされています。
この点、近年の判例(最高裁平成28年3月24日決定)は、本条の適用に関し、まず「共犯関係にない2人以上」の「各暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有するもの」であり、「同一の機会に行われたものである」場合には「各行為者において、自己の関与した暴行が傷害を生じさせていないことを立証しない限り、傷害についての責任を免れない」としました。
さらに上記判例は、「共犯関係にない2人以上の暴行による……刑法207条適用の前提となる事実関係が証明された場合には、いずれかの暴行と死亡との間の因果関係が肯定されるときであっても、各行為者について同条の適用は妨げられない」としています。

これは、207条は暴行と死亡結果の因果関係を問題とするものではなく、あくまで暴行と「傷害」結果の因果関係が不明な場合に適用される規定であることを示したものと考えられます(上述のとおり207条では、「その傷害を生じさせた者を知ることができないとき」という文言が使われています。)。
したがって、本件Aが「当該傷害を惹起する危険性」を有する暴行を、「同一の機会」に行ったと認められば、207条の適用を介して、傷害致死罪(刑法205条)の罪責を負う可能性が生じることになるのです。

~同時傷害の特例における弁護活動~

弁護士としては、本条の適用について、Aの暴行が本当に「同一の機会」によるものであるのかを検討する必要があるでしょう(この点に関し判断した裁判例として、上記判例の差戻審である名古屋地判平成28年11月25日があります)。
さらに、207条が因果関係の挙証責任を被告人側に転換している規定である以上、Aによる暴行とVの傷害との結果の間に因果関係がないということを積極的に立証するという特殊な立証活動が求められることになります。
仮に、因果関係がないことが証明されれば、Aが負う刑事責任は暴行罪(あるいは傷害罪)の程度にとどまることになり、その法定刑に大きな差が生じることになるため、弁護士の立証活動が重要になることは言うまでもありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害致死(同時傷害の特例)事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
傷害致死罪で起訴されてしまうと、裁判員法2条1項2号により裁判員裁判の対象となる可能性もあります。
傷害致死事件といった暴力事件で逮捕された方のご家族は、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお早めにお問い合わせいただくことをおすすめいたします。

福岡県直方市の落書き事件

2019-05-22

福岡県直方市の落書き事件

~ケース~
福岡県直方市在住のAさんは市民団体に所属しており,熱心な活動家であった。
ある年,福岡県直方市の市長選に所属する市民団体と政治思想を相いれないXが当選した。
AさんはXが市長となったことに抗議するために福岡県直方市内のX氏の後援会事務所の外壁にスプレーで抗議の声明を大書した。
その後,防犯カメラや目撃者の証言などによりAさんは福岡県直方警察署建造物損壊罪の疑いで逮捕された。
(フィクションです)

~落書き~

今回のケースでAさんは建造物損壊罪で逮捕されています。
建造物損壊罪は刑法260条で次のように規定されています。

刑法260条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

ここで,軽犯罪法1条33号の次のような規定も確認しておきましょう。

軽犯罪法1条33号
みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者

他人の建造物へ落書きする行為は軽犯罪法1条33号の「汚した者」に該当するといえますので,落書き行為は軽犯罪法違反となると考えられます。

ところで,今回のケースではAさんは建造物損壊罪の疑いで逮捕されています。
外壁などに落書きをすることは建造物損壊罪のいう「損壊」に当たるのでしょうか。
損壊とは客体の用法に従って使用することを事実上不可能にする行為をいいます。
物理的に破壊し,またはその形態を変更することは必ずしも必要ではなく,本来の目的に使用することができない状態にする行為も含まれます。

裁判所(東京地判平成16・2・12)は刑法260条の「損壊」について以下のように述べています。

建造物の本来の効用を滅却あるいは減損させる一切の行為をいい,物理的に建造物の全部又は一部を毀損する場合だけではなく,その外観ないし美観を著しく汚損することによっても,建造物の効用を実質的に滅却ないし減損させたと認められる場合があり,このような場合には,たとえその建造物の本質的機能を害するには至らなくても,その行為は「損壊に」当たるとするのが相当である。
軽犯罪法1条33号との関係では,建造物の外観ないし美観を汚損する行為が建造物損壊罪所定の損壊にまで当たるといえるか否かについては,建造物の性質,用途ないし機能との関連において,汚損行為の態様,程度,原状回復の難易度等,諸般の事情を総合考慮して,社会通念に照らし,その汚損によってその建造物の効用が滅却ないし減損するに至ったか否かを基準として判断すべきである。

裁判となった事件は,区立公園の公衆便所の外壁にラッカースプレーで外壁をほとんど埋め尽くすような形で「反戦」「戦争反対」などと書いたものです。
この事件では落書きを洗剤やシンナーなどで消去することが出来ず,壁面の再塗装でしか消去できず,再塗装には7万円の費用がかかるということで,建造物損壊罪のいう「損壊」であると認定されました。

~Aさんの場合~

Aさんの行為が建造物損壊罪となるかどうかはAさんが行った行為が上記の「損壊」の要件に当たるかどうかによります。
たとえば,水で簡単に消せるというような場合には原状回復が容易ですので軽犯罪法違反にとどまるといえます。
しかし,裁判になった事件のように,シンナーなどを使っても消すことが出来ず,再塗装が必要であるような場合には建造物損壊罪が成立してしまうでしょう。

建造物損壊罪の法定刑は5年以下の懲役刑のみですので,起訴されてしまった場合には刑事裁判が開かれることになります。
しかし,建造物損壊罪は危険が生じるような物理的な損壊の場合や今回のケースのような損壊というように事案によって犯行態様が異なります。
今回のケースのような落書きが損壊とされた場合,損壊の認定は原状回復の困難さ等が要件となっています。
そのため,再塗装の費用などを被害弁償として被害者の方に支払うことで検察官が事件を不起訴とする可能性もあります。
被害弁償などをして不起訴を目指す場合または建造物損壊罪となるか軽犯罪法違反となるかを争うような場合には刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士に依頼するのをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
建造物に落書きをしてしまい逮捕されてしまった方,警察に呼ばれお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。
福岡県直方警察署までの初回接見費用:41,400円)

【虐待】傷害罪の幇助で逮捕・無罪主張

2019-05-17

【虐待】傷害罪の幇助で逮捕・無罪主張

京都市左京区に住んでいるAは、夫Bが自らの子であるV(8歳)に対し、虐待行為をし怪我を負わせていたにも関わらず、これを止めることもせず黙認し続けていた。
近所の人からの通報により、虐待行為が発覚し、京都府下鴨警察署の警察官は、AをVに対する傷害罪の容疑で逮捕した。
これに対し、Aは一貫として犯行を否認している。
Aの家族は、暴力事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~虐待事例と共犯~

本件では、BがVに対して傷害行為をしたことは明らかですが、A自体は何もしていません。
刑法が原則として(明文のない限り)作為による犯罪行為のみを処罰していることからすると、Aは何ら刑事責任を負うことはないとも思えます。
刑法204条に規定されている傷害罪も、「人の身体を傷害した者」は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と、「人の身体を傷害」するという積極的な行為の処罰を前提とした規定となっています。

まず、犯罪を直接的に実行していない者が第1次的な刑事責任を負う場合として(共謀)共同正犯(刑法60条)があります。
もっとも、これが成立するには、共犯者間での共謀のほか、自己の犯罪として何らかの積極的な役割を果たしたことが求められるため、本件のようなケースでは(共謀)共同正犯の責任まで負わせることは難しいと考えられます。

仮に共同正犯としての責任を問うことは難しいとしても、幇助犯(62条1項)として犯罪の成立が考えられます。
幇助犯とは、正犯の犯罪の実行を容易する者をいいます。
これは、不作為による場合でも成立すると考えられており、具体的には本件のように夫(や妻)が子に対する虐待をしている場合に、妻(や夫)がこれを止めない場合に犯罪阻止義務違反として問題になることになります。
すなわち、犯罪を阻止しないことが、正犯の犯罪を容易にしているという点で不作為による幇助行為として刑事責任の対象になってくるのです。
したがって、本件では、AにBの子Vに対する傷害行為(虐待)を阻止する義務があったのか等が争点になってくると考えられます。

~家族内の虐待事件と刑事弁護活動~

まず、弁護士としては、Aのような何ら作為を行っていない者に刑事責任を負わせていいのか、本人の言い分も含めしっかりと検討する必要があるでしょう。
特に虐待事件では、家庭内環境など様々な要因を調査・分析する必要があります。
例えば、虐待事件においては、Aが恒常的にBから暴力(ドメスティック・バイオレンス等)を受けていた等、犯罪被害者である側面を有することも多く、本当に虐待を止めることができたのか具体的な検証が必要になります。
したがって、弁護士としては、Aに幇助犯を含め刑罰を伴う刑事責任を負うべき事案なのかを慎重に判断し、場合によっては無罪主張をしていくことも考えられるでしょう。

こういった虐待事件が報道などで耳目を集めると、どうして子どもを守れなかったのかという批判が世間からなされることも少なくありません。
しかし、そういった感情的批判と、当該行為が刑罰によって処罰されるべきものであるかは、全く別物であるというべきであり、被疑者の言い分に真剣に耳を傾けるのが弁護士としての重要な職務となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、虐待による傷害事件を含む暴力事件に強い刑事事件専門の法律事務所です。
正犯事件のみならず、(従属的な)共犯事件についても経験が豊富な弁護士刑事事件についての弁護活動をうけたまわります。
無罪主張を含め、不起訴や無罪獲得といった被疑者のための弁護活動を行ってまいります。
傷害事件虐待)で逮捕された方のご家族は、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐお問い合わせください。
京都府下鴨警察署までの初回接見費用:35,000円)

神戸市長田区の恐喝事件

2019-05-12

神戸市長田区の恐喝事件

~ケース~
神戸市長田区在住のAさんは,Vさんとともに合同会社Xを設立した。
しばらくしてAさんとVさんは不仲になり,Aさんは合同会社Xを退職することになった。
その際,Aさんは退職金として100万円受け取ることになり,内金として50万円を受取った。
その後,Vさんが残りの50万円を払わなかったため,Aさんは友人であるBおよびCとVさんの下へ赴いた。
その場でAさんらはVさんに対し「要求に応じないと五体満足でいられなくなるかもしれんぞ」「こんなことまでさせられてる俺たちの顔を立ててもらおうか」などと言いVさんを畏怖させて,退職金の残金50万円をAさんに交付させた。
Vさんは兵庫県長田警察署に被害届を出し,Aさんは恐喝罪の疑いで逮捕された。
(判例をもとにしたフィクションです)

~脅迫と恐喝~

刑法において,相手方を畏怖させる行為を脅迫罪として規定しています。
相手方を畏怖させた上で,権利の行使を妨害し,義務なきことを強制した場合には強要罪が,金銭その他の財物を交付させた場合には恐喝罪が成立し,条文は以下のとおりです。

刑法第222条(脅迫罪)
生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は,2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

刑法第223条(強要罪)
生命,身体,自由,名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し,又は暴行を用いて,人に義務のないことを行わせ,又は権利の行使を妨害した者は,3年以下の懲役に処する。

刑法第249条(恐喝罪)
人を恐喝して財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。

法定刑についてみると,脅迫罪には罰金刑が定められていますが,強要罪や恐喝罪の場合には罰金刑が定められていません。
そのため,強要罪や恐喝罪で起訴されてしまうと正式な刑事裁判を受けることになります。

今回のケースでは,AさんがVさんから受け取った50万円は退職金としてAさんが受け取る権利を有する金銭になります。
すなわち,AさんはVさんに50万円の支払いを要求する正当な権利を有していたのですが,Vさんを脅すことによって権利の行使をした場合にも恐喝罪となってしまうのでしょうか。
これについて裁判所は,他人に対して権利を有する者が,その権利を実行することは,その権利の範囲内でありかつその方法が社会通念上一般に認容すべきものと認められる程度を超えない限り,何ら違法の問題を生じないけれども,その範囲程度逸脱するときは違法となり,恐喝罪が成立することがあるとしています(最三小判昭和27・5・20)。

今回のケースでは,Aさんらは「五体満足でいられなくなるかもしれんぞ」等と告知しており,もし要求に応じない場合はVさんに危害を加えるような態度を示しており,Vさんもそれによって畏怖したといえてしまいますので,権利行使の手段として社会通念上一般に認容すべきものと認められる程度を逸脱しているとされる可能性が非常に高くなります。

~恐喝罪と起訴~

恐喝罪として起訴されてしまうと罰金刑がありませんので正式な刑事裁判を受けることになります。
ケースのもととなった事件では,3万円の債権に対し6万円を交付させたという事件で,恐喝罪となるのは本来受け取ることができた金額を超えた部分だけであると争っていましたので正式裁判になりました。
裁判の結果として,本来受け取ることが出来る金額を超えた部分だけでなく,交付させた金額全体に恐喝罪が成立すると判示されました。

司法統計によると,2017年検察庁で扱われた恐喝事件の内起訴されたのは31.7%です。
初犯であったり,被害金額が大きくない,被害者との示談が成立しているといった場合には不起訴となる可能性は高いでしょう。
また,起訴されてしまっても初犯であれば被害金額や犯行態様にもよりますが執行猶予付きの判決となることが多いようです。

今回のケースではAさんはVさんから本来貰える金額しか交付を受けていませんので,恐喝してしまった行為について謝罪などをしVさんから許してもらうことによって不起訴となる可能性もあります。
しかし,脅迫や恐喝などの場合,被害者の方は恐怖心から加害者と会ってくれるということは少ないと思われます。
そういった場合には,弁護士が間に入ることで被害者の方と話し合いができ,謝罪や示談などを円滑に進めることが可能になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
脅迫罪や強要罪,恐喝罪に問われてしまいお困りのかたは0120-631-881までお気軽にお電話下さい。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
兵庫県長田警察署までの初回接見費用:35,200円

騒音による傷害事件(大阪市此花区)

2019-05-07

騒音による傷害事件(大阪市此花区)

~ケース~
大阪市此花区在住のAさんは,以前よりから確執のあったマンションの隣室のVさんに向けて嫌がらせのためにラジオの音声や目覚まし時計のアラームなどの騒音を大音量で鳴らし続けた。
Aさんは約半年間,Vさんに向かって早朝から深夜までラジオ音声やアラームを鳴らし続けた。
Vさんはその騒音による精神的ストレスで慢性的な頭痛を訴えるようになった。
Vさんが大阪府此花警察署に相談したところ,被害届を提出することとなり,Aさんは傷害罪の疑いで大阪府此花警察署に逮捕された。
(実際にあった事件をもとにしたフィクションです)

~「傷害」の意義~

傷害罪は刑法204条に「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定されています。
「人の身体を傷害」するとは人の身体の生理機能を害することを言います。
いわゆる通常の外傷を負わせた場合に限られず,病気をうつした場合や,人を失神させた場合なども「傷害」に含まれます。

「傷害」は通常,暴行,すなわち有形力の行使によって行われます。
しかし,有形力の行使がなくても,無形的な手段によって成立する傷害罪も考えられます。
たとえば,被害者に栄養剤だと騙して下剤を飲ませて下痢を起こさせる,脅迫して精神病に追い込む場合などがこうした傷害罪のケースとなるでしょう。
判例は,嫌がらせの電話で精神に異常をきたした場合にも傷害罪を認めています(東京地判昭和54・8・10)。
無言電話によってPTSDを生じさせた場合も傷害罪となるとされています(福岡高判平12・5・9)。
また,落とし穴に被害者を誘導し自ら落下させたという場合も傷害罪が成立すると考えられます。
今回のケースのように大音量のラジオなどの騒音で慢性頭痛症等に陥らせた場合に傷害罪となるのは上記のような判例を考えると当然だと思われます。

ここで,刑法は故意処罰が原則となっていますので,傷害罪が成立するには傷害発生に関する認識が必要です。
今回のケースでは,早朝から深夜まで大音量の騒音を流すという嫌がらせをしています。
その為,AとしてはこれによってVの身体になんらかの生理的障害が発生してもよいと考えているといえそうです。
このような場合には,未必的な故意があるとされ罰せられます。

~弁護活動~

今回のケースのもととなった事例はニュースでも大きく取り上げられました。
もととなった騒音による傷害事件の事例では「音楽を大音量で鳴らし続ける行為は、被害者に精神的ストレスを与え、身体の生理的機能を害するもので傷害罪にあたる」「傷害の確定的な故意があり犯行は陰湿。」と認定され,最終的に懲役1年8月の実刑判決が下されました。
ただし,もととなった事例では加害者は罪を認めず,被害者に対する謝罪などを一切しておらず「執拗かつ陰湿。反省の態度が感じられず、再犯の可能性も強い」と認定された結果,実刑判決となったと思われます。

傷害罪の場合,傷害の程度や前科などにもよりますが被害者の方へ謝罪をする,治療費や慰謝料を支払うなど,示談を成立させれば実刑判決とならない可能性が高くなります。
ただし,傷害事件をはじめとする刑事事件では,示談交渉をしようとしても被害者の方は直接加害者と会ってくれないという場合も多いです。
そのような場合,弁護士であれば,警察や検察から被害者の情報を教えて頂くことによって被害者の方と示談交渉ができる場合もあります。
示談交渉をすることによって,事案によっては不起訴処分の獲得や略式罰金によって正式裁判を回避することに繋がることも考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
騒音などの嫌がらせ行為によって傷害罪に問われてしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
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大阪府此花警察署までの初回接見費用:35,300円)

埼玉県和光市の公務執行妨害事件

2019-05-02

埼玉県和光市の公務執行妨害事件

~ケース~
埼玉県和光市在住のAさんは仕事の帰りに同僚とお酒を飲んでいた。
帰宅途中,Aさんは通りがかりの埼玉県朝霞警察署の警察官Vに職務質問を受けた。
その際,VはAさんの鞄の中身を確認しようとし,Aさんは酔っていたこともあり,「何で鞄の中を見るんだ!お前に何の権限があるんだ!」と言いながらVを突き飛ばした。
Vはその場に転倒したがすぐに立ち上がり,Aさんは公務執行妨害罪の現行犯として逮捕された。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に初回接見を依頼した。
(フィクションです)

~公務執行妨害罪~

公務執行妨害罪は刑法95条1項に次のように規定されています

「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」

公務執行妨害罪が成立する公務員の職務は適法である必要があるとされていますので,今回のケースでは,まずはVのAさんに対する職務質問が適法な職務であったかが問題となります。

そもそも警察官による職務質問は何を根拠に行われるのでしょうか。
警察官のによる職務質問は警察官職務執行法第2条に基づいて行われています。
条文は次のようになっています。

警察官職務執行法第2条
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
(2項以下略)

お酒を飲んで酔っている人の場合には,前段の異常な挙動が見られるとして職務質問を行うことは許されると考えられます。
そのため,今回のケースのVによる職務質問は警職法2条により適法なものであったといえるでしょう。
ただし,職務質問はあくまでも任意の捜査ですので応じない相手の腕を掴むといった有形力の行使は原則許されておらず,犯罪の予防という目的との兼ね合いで適法であったかが判断されることになります。

さて,今回のケースでは職務質問自体は適法であったと思われますが,鞄の中を確認する所持品検査まで職務質問として許されているのでしょうか。
職務質問の際の所持品検査は条文上に規定はありませんが判例によって,職務質問に不随して所持品検査をすることが認められています。
そうすると,鞄の中身を無理やり確認しようとしたといった有形力の行使があったといえない場合には任意の捜査として鞄の中身を確認するといった所持品検査も適法なものといえるでしょう。

こうしたことから,AさんがVを突き飛ばした行為は適法な公務員の職務の執行に対して行われた暴行といえ,Aさんには公務執行妨害罪が成立すると考えられます。

~弁護活動~

公務執行妨害罪となるケースでは,警察官とのトラブルでカッとなって手を出してしまったというケースが多く見られます。
そのような場合,その場で相手の警察官に現行犯逮捕されてしまうことが多いでしょう。
相手が怪我をしていないなど軽微なものであれば本人の態度や反省などによって微罪処分となる場合もあるようです。

相手が怪我をしてしまったというような場合等は通常の事件として検察に身柄を送致されますが,公務執行妨害罪は性質上,罪証隠滅のおそれが少ないといえます。
そのため,弁護士が勾留の必要がないといった意見書や,ご家族の方による上申書などを提出することによって勾留されずに釈放され在宅事件となる場合も多いです。
万が一勾留されてしまった場合には弁護士は勾留に対する準抗告申立をし,1日でも早い身柄解放を目指します。

公務執行妨害罪の起訴率はおおよそ50%ですが,前科もなく,事件が悪質でなく,本人がきちんと反省しているといったような場合には不起訴処分となる場合もあります。
起訴されてしまった場合でも,公務執行妨害罪では略式起訴となる場合も多いです。
略式起訴となれば,刑事裁判を受ける必要がなく,書面で罰金刑の処罰を受けることになります。
また,刑事裁判となってしまっても,前科ない場合などは執行猶予付きの判決や,罰金刑となる場合が多いです。
しかし,略式起訴や執行猶予付判決であっても前科となってしまいますので,不起訴処分を目指すことが重要になります。
公務執行妨害罪の場合,できるだけ早い段階で弁護士に弁護を依頼することで,入念な準備のもと不起訴を目指していくことが可能となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
公務執行妨害罪を起こしてしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
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埼玉県朝霞警察署までの初回接見費用:39,600円)

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