複数人での強制性交等事件(旧集団強姦事件)
複数人での強制性交等事件(旧集団強姦事件)
複数人での強制性交等事件(旧集団強姦事件)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
東京都八王子市に住む男子大学生Aさんは、友人のBさんやCさん、同級生である女子大生Vさんと一緒に自宅で飲み会をしていました。
Aさんは、以前からVさんに好意を寄せていたこともあり、Vさんが席を立った際にBさんやCさんにそのことを相談しました。
すると、BさんやCさんが「今なら手を出せる」と言ってきたことから、AさんはBさんらと一緒になって嫌がるVさんを押さえつけ、無理矢理性交をしました。
Aさん宅を出たVさんがすぐに警視庁八王子警察署に通報したことから捜査が開始され、Aさんらは強制性交等事件の被疑者として逮捕されることとなりました。
Aさんが逮捕されたと聞いて驚いたAさんの両親は、すぐに接見対応を受け付けている弁護士事務所に相談し、弁護士を逮捕されているAさんの元へ派遣することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・複数人での強制性交等事件(旧集団強姦事件)
今回のAさんは、複数人でVさんに無理矢理性交するという強制性交等事件を起こして逮捕されています。
刑法改正前は、複数人で被害者に無理矢理性交した場合には「集団強姦罪」という犯罪が成立していました。
旧刑法第178条の2
2人以上の者が現場において共同して第177条又は前条第2項の罪を犯したときは、4年以上の有期懲役に処する。
旧刑法では、単独で無理矢理性交をした場合に成立する強姦罪が3年以上の懲役に科せられることになっていて、集団強姦罪ではそれよりも重く、刑罰の下限が引き上げられている形で刑罰が定められていました。
これは、集団で強姦するということが単独犯よりもより悪質であると考えられていたことによります。
対して、改正後の刑法では、集団強姦罪という犯罪は削除され、さらに強制性交等罪を集団で行うことによる「集団強制性交等罪」といった犯罪は存在しません。
では、集団で強制性交等をした場合には罰せられなかったり、集団という事情を考慮されなかったりするのかというと、そうではありません。
強制性交等罪の条文を確認してみましょう。
刑法第177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
刑法が改正されて新設された強制性交等罪は、旧強姦罪や旧集団強姦罪よりもさらに刑罰が重くなっており、最低でも5年の懲役に処せられることになっています。
つまり、単独で強制性交等をした場合であっても旧集団強姦罪よりも重い刑罰となることから、旧集団強姦罪の規定は不要となったということなのです。
前述のように「集団強制性交等罪」という特別の規定があるわけではありませんが、集団で強制性交等をした場合には、その事情が考慮されて5年以上の有期懲役という範囲の中で刑罰が決められるということになるのです。
複数人で強制性交等をするということは、先ほど旧集団強姦罪でも触れた通り、単独犯よりも悪質性が高いと判断されやすいと考えられます。
複数人での強制性交等事件でも、単独犯の強制性交等事件と同様、まずは被害者の方への謝罪や弁償を伴う示談交渉をしていくことが代表的な弁護活動の1つとして挙げられるでしょう。
しかし、今回のAさんのように本人が逮捕されている場合にはなかなか謝罪の取次ができないことが考えられますし、そうでなくても強制性交等事件の被害者としては、被疑者に対して怒りや恐怖を抱いていることが多いでしょう。
当事者同士での示談交渉はさらに溝を深めてしまうリスクもありますし、そもそも謝罪の場すら設けられないことも考えられます。
だからこそ、まずは弁護士に相談・依頼し、間に入ってもらうことで示談交渉を開始できる可能性を上げることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、複数人での強制性交等事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
まずはお気軽に、0120-631-881までお問い合わせください。