【事例解説】18歳の特定少年による強盗事件

2023-09-15

 18歳の特定少年による強盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 18歳のフリーターのAさんは、お金に困っていたので強盗の闇バイトに応募しました。
 Aさんは、指示役の指示に従って、東京都内にある買取ショップで、店員に包丁を突きつけて「金を出せ」と脅して、現金数百万円を奪い取りました。
 強盗から数日後、店内や近くに設置されていた防犯カメラの映像が決め手になって、Aさんは強盗罪の疑いで警察に逮捕されました。
(この事例はフィクションです)

18歳の少年が強盗事件を起こすとどうなる?

 事例のように、包丁を突きつけながら「金を出せ」と相手を犯行を抑圧するに足りる程度の脅迫を用いて現金を奪い取る行為は刑法236条1項の強盗罪に当たる行為です。
 Aさんの年齢は18歳ですので、普段の生活の中では成人として扱われていますが、少年法は20歳未満の者が犯罪を犯した場合を適用対象にしていますから、18歳のAさんの強盗事件には少年法が適用されることになります。

特定少年の取り扱い

 20歳未満である18歳、19歳の少年が犯罪に当たる行為をした場合にも少年法が適用されますが、少年法では18歳、19歳の少年を「特定少年」として、18歳未満の少年とは異なる取り扱いをしています。
 そのひとつに、特定少年の場合は、原則として逆送の対象となる事件が18歳未満の少年が犯した事件よりも拡大されています。

「逆送」とは

 特定少年の場合は、原則として逆送の対象となる事件が拡大されているということについて理解するためには、そもそも「逆送」とはどのような意味なのかを理解する必要があります。
 少年法が適用される少年事件の場合は、警察官や検察官によって必要な捜査が終了した後は、事件を検察から家庭裁判所に送致して、家庭裁判所が最終的な少年の処遇を決定するという流れで通常は手続きが進められることになります。
 逆送とは、検察から事件の送致を受けた家庭裁判所から、再び検察に事件を送致することです。
 逆送がなされると、通常の刑事手続によって進められることになりますので、検察官によって起訴されて、刑事裁判で有罪となれば刑事罰が科されることになります。

特定少年の場合の原則逆送対象事件について

 少年法上、原則として逆送となる事件については、犯行時に16歳以上の少年が殺人や傷害致死といった故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合だけですが(少年法20条2項参照)、特定少年の場合には、この特則が定められており、原則として逆送となる事件が拡大されています。
 具体的には、少年法62条2項に定められており、
・少年法20条2項の場合と同様に、犯行時に16歳以上の少年が殺人や傷害致死といった故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合(少年法62条2項1号参照)
の他に、
・犯行時に18歳以上の少年が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯した場合(少年法62条2項2号参照)
にも、原則として「逆送」されることになりました。

 強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっており、短期1年以上の懲役刑に当たる罪に該当しますので、事例のように18歳の特定少年が強盗事件を起こした場合は、原則として逆送の対象になり、起訴されて、最終的に強盗罪の前科が付く可能性があります。

18歳・19歳のお子さんが強盗罪の疑いで警察に逮捕されたら

 18歳・19歳の特定少年が起こした強盗事件は原則として逆送の対象になりますが、だからといって、特定少年が強盗事件を起こした場合に必ず逆送されるということではありません。
 原則として逆送の対象になる特定少年による強盗事件の場合でも、例外的に「犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるとき」(少年法62条2項但し書き)は逆送されずに通常の少年事件の流れによって手続きが進められることになります。
 このような逆送回避を実現するためには、いち早く弁護士に相談して、弁護士から適切なサポートを受けられることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件といった刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
 18歳・19歳のお子様が強盗罪の疑いで警察に逮捕されてしまい、お困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。