強制性交等罪の否認事件

2020-09-06

強制性交等罪の否認事件

強制性交等罪否認事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさん(30代男性)は、知人であるVさん(30代女性)と飲み会で意気投合し東京都中央区にあるホテルへ行き、性行為をしました。
すると数日後、警視庁築地警察署から、「強制性交等事件の被疑者として話を聞きたい」と連絡がありました。
AさんとしてはVさんとはお互い合意の上で性行為をしたと思っていたものの、近日中に思い当たる節がなかったため、Vさんとの件ではないかと思っています。
しかし、Aさんはあくまで合意の上での行為であったと思っているため、どのように対応していくべきなのか困ってしまい、強制性交等事件も取り扱っている刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・強制性交等罪

刑法改正により強制性交等罪が新設されてから3年が経ちました。

刑法第177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

強制性交等罪は、旧強姦罪よりもより重い5年以上の有期懲役という法定刑が定められ、さらにその対象の行為が、性器の挿入を伴ういわゆる「本番行為」だけでなく、肛門性交や口腔性交もその対象とされました。
また、旧強姦罪の被害者は女性に限定されていましたが、強制性交等罪では被害者に男女の限定がなくなりました。
そして、旧強姦罪が親告罪であったのに対して強制性交等罪は非親告罪となり、被害者等の告訴権者が告訴しなくとも起訴することが可能となりました。

・強制性交等罪の否認事件

今回の事例のAさんのように、「お互いの合意の上だ」と思って性行為等を行ったのに相手方はそう思っておらず、強制性交等罪の被害を受けたと被害届や告訴がなされてしまうケースは少なくありません。
このような場合、無理矢理行為をしたわけではなく合意があったと思って性行為をした、と主張するのであれば、容疑を認めない、いわゆる「否認」をしていくことになります。

強制性交等事件を否認する場合には、ただ「合意の上だと思っていた」と主張するだけではなく、どのような事情があったから合意の上だと思ったのか、客観的に見て合意があったように見えたのかどうか、当時の当事者の関係性はどうであったのか、などの事情を詳細に検討し整理しておく必要もあります。

また、強制性交等事件に限らず、刑事事件で容疑を否認をする場合には取調べで厳しく追及される可能性があります。
1人で取調べを受ける中で、被疑者として持っている権利や受け答えのポイントを把握せずに対応してしまえば、意図していない自白をしてしまったり誘導に乗ってしまったりする可能性もあります。
取調べで供述したことは後々裁判で証拠として使用される可能性もあるため、否認事件では取調べから対応を注意しなければならないのです。

さらに、否認事件の場合、容疑を認めていない=逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕されてしまう可能性もあります。
しかし、「逮捕されたら困るからやっていないけど認めよう」と対応してしまえば、冤罪となってしまいます。
弁護士であれば逮捕をせずに捜査を求める活動や、逮捕後釈放を求める活動をすることができますので、逮捕・勾留のような身体拘束への対応も含めて、まずは弁護士に相談することが望ましいといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、否認事件についてのご相談も受け付けています。
否認事件は対応がデリケートであるからこそ、刑事事件専門の弁護士がお力になります。
まずはお気軽に0120-631-881までお問い合わせください。