自殺関与罪を弁護士に相談

2021-02-21

自殺関与罪を弁護士に相談

自殺関与罪弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件法律事務所が解説します。

〜事例〜

Aさんは、千葉県八千代市に住んでいる友人のVさんが交際相手との関係や家族関係にひどく悩んでいることを聞き、その都度相談に乗っていました。
VさんはAさんに相談する際、たびたび「生きているのが苦しいからもう死んでしまいたい」と言うようなことを話していました。
ある日、Vさんが「もう耐えきれない。死んでしまおうと思う」といったことを繰り返していたことから、AさんはVさんを不憫に思い、「練炭なら苦しくないらしい。道具は用意してあげる」と言って、煉炭などを購入し、Vさんに渡しました。
その後、VさんはAさんの用意した練炭等の道具を使って自殺してしまい、千葉県八千代警察署の捜査が始まりました。
捜査の結果、Aさんが練炭等の道具を準備していたことがわかり、Aさんは自殺幇助罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・自殺関与罪と自殺幇助罪

日本では、自殺という行為自体が罰されることはありません。
自殺自体が違法な行為ではないという説や、自殺という行為が違法な行為だとしても処罰するほど大きな違法性はないという説、自殺という行為は違法な行為ではあるものの自殺する状況にまである人を非難することはできないという説など様々な説がありますが、総じて自殺すること自体を罰することはできないと考えられているためです。
ですから、自殺をした人が自殺をしたことによって何か犯罪に問われるということはありません(自殺をしたことで別の犯罪に触れる可能性はあります。)。

しかし、その自殺に別の人が関与していた場合は話が変わってきます。
自殺した本人ではなく、その自殺に関わっていた人がいた場合、その人については自殺関与罪と呼ばれる犯罪が成立する可能性が出てくるのです。

刑法第202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

ここで、自殺に関わった人を違法だということに違和感をもつ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、自殺するという行為自体が違法であろうとなかろうと、自殺に関与するということは処罰すべきであると考えられています。
例えば、そもそも自殺する行為は違法な行為であるとする立場に立って考えてみましょう。
自殺に関与するということは、その違法な行為に関わる共犯者となるため、違法なことと考えられます。
対して自殺する行為は違法ではないという立場に立った場合でも、自殺に関与するということは、本人のみがすることのできる生命に関する意思決定に他人が影響を及ぼして生命を害する行為をすることになります。
こうしたことから、どういった立場に立ったとしても、自殺に関与する行為は違法なものであるとと考えられているのです。

今回のAさんの逮捕容疑である自殺幇助罪は、先ほど条文を挙げた自殺関与罪と呼ばれる自殺に関連した犯罪のうちの1つです。
刑法第202条の条文のうち、「人を教唆し若しくは幇助して自殺させ」たという部分に当たるのが自殺関与罪であり、自殺を「教唆」した場合には自殺教唆罪、自殺を「幇助」した場合には自殺幇助罪と呼ばれます。
なお、刑法第202条後段の「人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した」という部分にあたる場合には、嘱託殺人罪または同意殺人罪に問われることになります。

自殺幇助罪の「幇助」とは、簡単に言えば手助けをすること、その行為をすることを容易にすることを指します。
つまり、自殺をしようと思っている人に対して自殺をすることを容易にする手助けをすると、自殺幇助罪が成立するのです。

ここで重要なのは、自殺幇助罪はあくまですでに自殺を決意した人に対して自殺をする手助けをした際に成立する犯罪であるということです。
自殺を考えていない人に自殺をする意思を持たせた場合は、自殺幇助罪ではなく、自殺教唆罪や、状況によっては殺人罪が成立する可能性が出てきます。
さらに、たとえ手助けの気持ちでしたといえど、自殺をしたいという人に対して直接手を下すようなことをすれば、自殺幇助罪ではなく嘱託殺人罪が成立する可能性が出てくることになるでしょう。

今回のAさんは、Vさんが自殺するための練炭を用意してVさんに渡しているようです。
Aさんが練炭を用意したことで、Vさんの自殺はすることが容易になったと言えます。
そして、Vさんは元々自殺をする決意を持っていたところにAさんがそういった手助けをしているわけですから、今回Aさんには自殺幇助罪が成立すると考えられるのです。

自殺関与事件では、人の生命に関わる犯罪であることも関連して刑罰も重く、そして捜査も厳しいものになることが予想されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門弁護士が逮捕直後から丁寧にフォローを行います。
まずはお気軽にご相談ください。