居酒屋で集団暴行で逮捕
居酒屋で集団暴行で逮捕
【刑事事件例】
東京都国分寺市在住の自営業のAさんは、市内の居酒屋で友人らとお酒を飲んでいましたが、同席していた友人のVさんに対し、「前からお前のことが気にくわなかった」と言って、携帯電話で金属バット等を持った別の友人らを呼びよせ、集団で暴行を加え、Vさんに全治2週間の傷害を負わせました。
通報によって駆けつけた警視庁小金井警察署の警察官によって、Aさんらは凶器準備集合罪および傷害罪の疑いで現行犯逮捕されました。
警察の調べに対し、Aさんは「友人らがVを殴ったが、自分は暴力を振るっていない」として一部事実を否認しています。
(フィクションです。)
【集団による暴力犯罪】
集団による暴力犯罪では、複数の加害者(被疑者)が関与するゆえ、その一部が被疑事実を否認することが多く見受けられます。
上記事例では、Aさんは暴力行為をしていないと傷害罪の事実について否認していますが、凶器準備結集罪の成立を否定することは難しいと思われます。
刑法208条の2によれば、他人の生命、身体、財産に対して共同で害を加える目的で集合した場合で、凶器を準備して、またはその準備があることを知って集合した者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられ(凶器準備集合罪。同条第1項)、同じ条件で集合させた者は、3年以下の懲役が科されます(凶器準備結集罪。同条第2項)。
ゆえに、仮に「自分は凶器を準備していない」という弁解をしたとしても、それだけでは凶器準備集合(結集)罪の成立を否定することにはなりません。
また、仮に傷害罪成立のための暴行をふるっていなかった場合でも、その集団暴行の勢いを補助した者には、刑法206条の現場助勢罪が成立し、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料が科される可能性もあります。
さらに、集団暴行によって傷害を与えた場合で、誰の暴行が傷害に至ったか判明しない場合、特例として集団暴行したすべての者に傷害罪の共犯が成立するとされています(同時傷害の特例。刑法207条)。
このように、集団暴行による刑事事件では、形式的な事実の否認だけでは犯罪の成立を否定することが困難である場合が多いため、刑事責任の発生の有無については刑事事件に詳しい弁護士に相談することが良いでしょう。
集団暴行による刑事事件でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。