居酒屋で暴行事件を起こし逮捕

2019-11-28

居酒屋で暴行事件を起こし逮捕

居酒屋で暴行事件を起こして逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは、福岡県田川市の居酒屋でお酒を楽しんでいる最中、隣席の客Vさんが話している内容が気に食わず、口論を持ちかけました。
Vさんは冷静に対応していましたが、Aさんは怒りを抑えることができず、Vさんの左肩を右手の拳で殴打してしまいました。
居酒屋の店員の通報により駆け付けた福岡県田川警察官にも「Vさんが悪いんだよ」「口喧嘩をして何が悪い」などと言い、一向に落ち着く気配がなく、警察官はAさんを暴行罪の現行犯として逮捕しました。
(フィクションです)

~暴行罪について~

暴行罪の「暴行」とは、人の身体に対し不法に有形力を行使することをいいます。
暴行罪につき有罪が確定すると、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処せられます(刑法第208条)。
なお、暴行を行い、被害者に傷害を負わせてしまった場合には、暴行罪ではなく、傷害罪が成立し、有罪判決を受ける場合には15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。

暴行罪が成立するには、人の身体に対し有形力を行使する故意が必要です(傷害するつもりで傷害の結果が発生しなかった場合も含みます)。
したがって、たまたま腕が他人に当たってしまったという場合には、暴行罪が成立することはありません。
なお、暴行を行い、傷害結果が発生した場合には、傷害の故意がなくても傷害罪が成立します。

~暴行に該当する具体例~

人を殴ったり、蹴ったりする行為が暴行罪を構成することはもちろんですが、

・他人の被服をつかんで引っ張り、又は取り囲んで自由を拘束して電車に乗り込むのを妨げる行為(大審院昭和8年4月15日判決)
・顎紐をかけて被っていた巡査の帽子を奪い取る行為(東京高裁昭和26年10月2日判決)
・食塩を他人の顔、胸などに数回振りかける行為(福岡高裁昭和46年10月11日判決)

などについても、裁判例により暴行罪の暴行に該当すると判示されています。

また、他人をくすぐったり、タバコの煙を吹きかける行為などについても、暴行と判断される可能性があります。
以上のように、暴行罪の暴行に該当する行為の範囲はかなり広いということができます。

~暴行罪で逮捕されたAさんの今後は?~

逮捕後は、警察署に引致され、弁解を録取された後、取調べを受けることになります。
釈放されず、留置の必要があると認められると、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。

送致を受けた検察官も、Aさんを取調べ、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決めます。

勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留されます。

逮捕・勾留されると、捜査段階で最長23日間もの間身体拘束を受けることになります。
反面、暴行事件は、送致される段階、あるいは送致後の検察官の段階で釈放されることも多いです。
より早期に弁護士に依頼し、適切な身柄解放活動を行うことにより、早期の身柄解放を実現できる可能性が高まります。

さらに、Vさんと示談を成立させることも重要です。
勾留が付く前に示談が成立すれば、勾留請求又は勾留決定がなされずに釈放される可能性が高まります。
また、勾留がついてしまった後でも、示談が成立すれば、釈放されることもあります。
そして、示談が成立すれば、ケースの暴行事件に関連してVさんから損害賠償請求を受けるリスクもなくなります。
示談には多くのメリットがあり、刑事事件においては、被疑者・被告人の身体拘束期間を短くし、有利な処分(不起訴処分、より軽い量刑による判決)を獲得できる可能性を高めるための重要な活動と位置付けられています。
接見にやってきた弁護士に、示談交渉、示談の効果についてアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、暴行事件の解決実績も豊富です。
ご家族が暴行事件を起こしてしまい、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。