強盗事件の逮捕で執行猶予を目指す

2020-10-11

強盗事件の逮捕で執行猶予を目指す

強盗事件逮捕され執行猶予を目指すケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、生活に困り、大阪市北区にあるコンビニVに入ると店員に包丁を突き付けながら「売上金を渡せ。さもなくば痛い目をみるぞ」と脅し、売上金8万円を奪いました。
店員が大阪府大淀警察署に通報したことで捜査が開始され、防犯カメラの映像などからAさんの犯行であることが発覚。
Aさんは、強盗罪の容疑で大阪府大淀警察署に逮捕されてしまいました。
Aさんの親類は、報道でAさんの逮捕を知り、なんとか力になれないかと大阪府刑事事件を取り扱う弁護士に相談し、Aさんとの接見に行ってもらうことにしました。
事件の内容を弁護士から報告されたAさんの親類は、Aさんの今後を心配し、執行猶予を目指して弁護活動をしてもらうことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・強盗罪

強盗罪は刑法236条に規定されている犯罪です。

刑法第236条第1項(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

強盗罪の「暴行又は脅迫」は、相手の反抗を抑圧するに足りる程度であることが求められます。
仮に財物を奪うために用いられた暴行や脅迫が相手の反抗を押さえつけるに至らない程度であった場合には、強盗罪ではなく恐喝罪(刑法第249条)となることになります。
また、強盗罪のいう「強取」は、暴行・脅迫によって被害者の反抗を抑圧し、被害者の意思に反して財物の支配を自分(又は第三者)に移すことを指します。
つまり、相手の抵抗を押さえつけるほど強い暴行や脅迫を手段として相手から財物を奪うことで強盗罪が成立するのです。

今回の事例のAさんは、コンビニの店員に包丁を突き付けて脅し、売上金を奪っています。
包丁などの凶器を突き付けられれば、相手に抵抗することは極めて困難になるでしょうから、この行為は強盗罪のいう「暴行又は脅迫」になると考えられます。
これを用いてAさんは売上金という「他人の財物」を奪い取っているわけですから、Aさんには強盗罪が成立すると考えられるのです。

注意すべき点なのは、この強盗罪を犯してしまった際に被害者に傷害を負わせてしまった場合には強盗致傷罪、被害者を死亡させてしまった場合には強盗致死罪が成立するということです。
強盗致死傷罪は裁判員裁判の対象となるため、より入念かつ慎重な対応が求められます。
最初は強盗罪の容疑で逮捕されていても、捜査が進むにつれて被害者の診断書が出てくるなどして強盗致傷罪に引き上げられるということも予想されますから、強盗罪で逮捕されてしまったらそうしたケースも念頭に置きながら弁護活動をしてもらうことが必要です。

・執行猶予を目指す活動

上述のように、強盗罪の法定刑は「5年以上の有期懲役」とされており、罰金刑の規定はありません。
つまり、強盗罪で有罪になってしまえば、執行猶予を獲得しない限り刑務所に行くということになります。

ただし、ここで注意しなければならないのが、執行猶予はつけられる条件が決まっているということです。
執行猶予をつけられる条件として、言い渡された刑罰が「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」でなければいけないというものがあります(刑法第25条)。
しかし、見て頂ければわかる通り、強盗罪の刑罰の下限は5年であるため、この執行猶予獲得の条件に当てはまらないのです。

では、強盗罪では執行猶予を獲得することが絶対にできないのかというと、そうではありません。
情状酌量によって刑罰が減軽されれば、言い渡される刑罰が3年以下の懲役となる可能性があるからです。
もちろん、基本的には強盗罪の刑罰は見てきたとおり「5年以上の有期懲役」ですから、執行猶予を獲得できるまで刑罰を減軽してもらうことは非常に難しいことです。
しかし、示談締結や具体的な再犯防止活動、犯行時の事情などを主張することで積極的に執行猶予を求めていくことで、執行猶予獲得や刑罰の減軽の可能性をあげていくことができます。
まずは刑事事件を取り扱う弁護士に相談し、どういった活動が可能なのか詳しく聞いてみることをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、強盗事件を含む暴力事件のご相談・ご依頼にも対応しています。
お困りの際は、遠慮なく弊所お問い合わせ用フリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。