監護者わいせつ・監護者性交等事件

第1 監護者わいせつ・監護者性交等事件の概要

刑法179条1項は「十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条第一項(不同意わいせつ罪)の例による。」とし、刑法179条2項は「十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条第一項(不同意性交等罪)の例による。」としています。

実際の行為は、「わいせつな行為」「性交等」ですので、これらの内容については、不同意わいせつ不同意性交等罪のページをご覧ください。

この監護者わいせつ・監護者性交等罪は、平成29年の刑法改正により新設された罪ですが、いずれも「その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて」というものが要件となっています。この罪が現に適用されたことがないため、文言の解釈は今後の裁判に委ねられていますが、法律が制定された趣旨は、被害者が精神的に未熟で、監護者との関係で精神的・経済的に依存している場合には、抗拒不能とまでは言えないにしても、被害者の有効な同意に基づく行為というのは考えにくいというものです。これまで、この類型の犯罪は、児童福祉法違反(児童福祉法34条1項6号の「児童に淫行させる行為」)として処罰されていましたが、児童福祉法違反の罪が10年以下の懲役または300万円以下の罰金と、強制わいせつ罪より軽く(懲役の上限は同じですが、下限が定められていないことや、罰金刑が定められていないことから、児童福祉法違反の罪の方が軽いとされています。)、にもかかわらずこの類型の犯罪が強制わいせつ罪と実質的に変わらない違法性を有することから、今回の改正に繋がりました。

「現に監護する者」については、親権者(多くの場合は親)のように、法律上の監護権に基づいて監護する者に限られず、事実上被害者を監護する者であればこれに当たります。例えば、事実上被害者を養育している親戚などもこれに該当すると思われます。
しかし、学校の先生や、クラブのコーチなどはこれに入らないと考えられます。

 

第2 弁護活動の例

1 冤罪を主張する

わいせつ・性交等の行為を行っていないにもかかわらず,監護者わいせつ・監護者性交等の容疑をかけられてしまった場合は,直ちに弁護士に依頼すれば,弁護士が,逮捕後すぐに逮捕された本人のもとへ接見に向かい,嘘の自白をしないよう取調べについての対応をアドバイス致します。

また,これらにおいては,被害者の供述が重要な証拠になりますので,無罪・冤罪を主張する場合には,被害者の供述が信用できないことを証拠によって明らかにする必要があります。そこで,弁護士が独自に調査を行い,目撃者や新たな客観的な証拠を探し出すことで,被害者の供述が信用できないことを主張していきます。

 

2 逮捕後の早い段階で弁護士と面会

監護者わいせつ・監護者性交等で逮捕されても,適切な取調べ対応と弁護活動によって早く留置場から出ることができる可能性があります。逮捕された方が早く留置場から出るためには,逮捕の後に勾留されないことが大切です。勾留を阻止するためには,逮捕後の早い段階で,弁護士と面会して取り調べ対応を協議し,身元引受人の協力を得ることが大切です。

その上で,弁護士から検察官や裁判官に対して,罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがないこと,釈放の必要性があることを主張し,釈放してもらうよう働きかけます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,監護者わいせつ・監護者性交等事件を起こされた方に対して,刑事事件を中心に取り扱う弁護士が直接無料相談で対応させていただいております。また,身体拘束されている方のために初回接見サービスもご用意しております。ぜひ一度お問い合わせください。

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