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【事例解説】ラーメン屋に侵入してオーナーからレジ金を奪い取った男を強盗罪で逮捕

2024-07-22

ラーメン屋に侵入してオーナーからレジ金を奪い取った男が強盗罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

居酒屋

・事件概要

大阪府曾根崎警察署は大阪府内の配送会社に勤務する男(30)を強盗罪の疑いで逮捕しました。男は、夜間営業を終えたラーメン屋に侵入し、レジに入っていた売上金を奪い取った疑いが持たれています。
事件当夜、ラーメン屋のオーナーが閉店後の片付けをしていたところ、男が店に押し入り、「レジを開けて金を出せ」と言いながら持ち込んだナイフをオーナーに突きつけました
男は取り調べに対し、「ギャンブルで負けて借金がかさんでしまい、どうしてもお金が必要だった」と容疑を認めています。
(フィクションです。)

強盗罪について

刑法236条1項(出典/e-GOV法令検索)

暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

本件で男は強盗罪の疑いで逮捕されています。
強盗罪とは、拳銃などの凶器を使うなどして、被害者が抵抗できない状態にした上で無理矢理財産を奪い取る犯罪です。

本件の男は、夜間営業が終わり店内にオーナーしかいない状態のラーメン屋に侵入し、ナイフを突きつけたようです。
ナイフで刺されるようなことがあれば、被害者が死亡したり怪我をしたりといったことが発生しやすいと言えますから、強盗罪は、とても危険で悪質な犯罪と言えます。
強盗罪の法定刑が5年以上の有期懲役と非常に重たいのも、単に人の財産に対する侵害行為にとどまらず人の生命・身体・自由に対する侵害行為という側面も有する犯罪であるためです。

・手段としての「暴行又は脅迫」

強盗罪の場合、暴行・脅迫は財物を無理やり奪い取る手段として規定されていますから、本罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは、反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知を言います。
また、反抗を抑圧するに足りる程度とは、簡単にいうと、抵抗することが困難な程度のことをいいます。

この判断は、暴行又は脅迫の態様、行為者及び被害者の状況、日時や場所などを総合考慮して判断されますが、特に重視されるのは、暴行又は脅迫の態様です。
例えば、拳銃やナイフなどの人を殺めたり怪我させたりする危険性の強い凶器を使用した場合には、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫と判断される可能性が高くなります。

本件では、容疑者の男は、レジ金(財物)を奪い取るために、ナイフをラーメン屋のオーナーに対して突きつけたようです。
ラーメン屋のオーナーが男性であったとしても、刺されれば命に関わる怪我を負う可能性が非常に高いナイフを成人男性から突きつけられれば、反抗するのは難しいと言えると思われます。
したがって、男のナイフを突きつける行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の有形力の行使、すなわち強盗罪における暴行にあたりそうです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件をはじめとする豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
早い段階で弁護士に依頼していれば、長期間の身柄拘束を防ぎ、解雇を防ぐことができるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例解説】恐喝の疑いで会社員の男を逮捕②

2024-07-08

「事故を会社に黙って欲しければ口止め料を払え」と恐喝した疑いで会社員の男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事故

・事例

京都府南警察署は、南区内のバス会社に勤務する男性Aを恐喝の疑いで逮捕しました。
Aは同僚のVが自家用車で交通事故を起こした現場に偶然居合わせ、その事故の事実を利用して金銭を脅し取ろうとした疑いが持たれています。
ある日、Vが私用で車を運転していた際に交差点で他の車両と衝突事故を起こしました。
事故の被害は軽微でしたが、会社に報告せずに隠そうと考えたVは、現場に居合わせたAに対し口止めを依頼しました。
Aはこれを利用し、「事故のことを会社にばらされたくなければ、50万円をよこせ」と脅迫しました。
マイホームを購入したばかりのVは、会社にばれてクビなる恐怖のあまり、Aに対してその場で10万円を支払い、残りの金額を後日支払うことを約束させられました。
しかし、Vはその後、恐喝されたことを家族に相談し、その家族の勧めで警察に通報しました。
南警察署に逮捕されたAは、取り調べに対し「株で失敗して金がなかった」と容疑を認めています。
(フィクションです。)

・なるべく早く弁護士に相談を

恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役です(出典/e-GOV法令検索)。
執行猶予がつくためには、量刑が3年以下であることが条件の1つですから、恐喝罪を犯した場合、執行猶予がつかない可能性があります。

量刑を3年以下にするための方法として、被害者との間で示談を成立させることがあります
ただし、示談交渉は、逮捕されているかどうかに関わらずご自分で行うことは望ましくありません。

本件Aは、同じバス会社で働くVが事故を起こした現場に偶然居合わせたことをお金を巻き上げるチャンスと捉えて、事故をばらされたくなければ50万円を支払えなどと脅したようですから、VはAに対して強い処罰感情を有しており、Aが謝罪のために連絡しても応じてくれない可能性が高いです。

そこで、示談交渉は弁護士に一任することをおすすめします加害者本人ではなくその弁護士が相手であれば、被害者が示談交渉に応じてくれることは珍しくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くしたり執行猶予付判決や不起訴処分を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お電話は0120-631-881で承っています。

 

【事例解説】恐喝の疑いで会社員の男を逮捕①

2024-07-01

「事故を会社に黙って欲しければ口止め料を払え」と恐喝した疑いで会社員の男が逮捕された事件について、2回に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事故

・事例

京都府南警察署は、南区内のバス会社に勤務する男性Aを恐喝の疑いで逮捕しました。
Aは同僚のVが自家用車で交通事故を起こした現場に偶然居合わせ、その事故の事実を利用して金銭を脅し取ろうとした疑いが持たれています。
ある日、Vが私用で車を運転していた際に交差点で他の車両と衝突事故を起こしました。
事故の被害は軽微でしたが、会社に報告せずに隠そうと考えたVは現場に居合わせたAに対し口止めを依頼しました。
Aはこれを利用し、「事故のことを会社にばらされたくなければ、50万円をよこせ」と脅迫しました。
マイホームを購入したばかりのVは、会社にばれてクビなる恐怖のあまり、Aに対してその場で10万円を支払い残りの金額を後日支払うことを約束させられました。
しかし、Vはその後、恐喝されたことを家族に相談し、その家族の勧めで警察に通報しました。
南警察署に逮捕されたAは、取り調べに対し「株で失敗して金がなかった」と容疑を認めています。

(フィクションです。)

・恐喝罪とは

刑法第249条(出典/e-GOV法令検索)では、人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処すると規定されています。

本件Aは、口止め料として50万円を要求し、10万円を差し出させたようですから、Aの発言が恐喝に当たる場合、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。

恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であり、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
まず①について検討すると、本件では、AはVに対して「会社に事故をばらす」と脅して金銭を要求しました。
この発言は、バス会社で働くVの仕事に重大な影響を与える可能性があり、Vを畏怖させるに足りる脅迫に該当しそうです
実際に、Vは購入したがばかりのマイホームの支払いが残っている状態で職を失いかねないと考えてAの要求に恐怖したようです(①)。

次に、②についてですが、反抗を抑圧する程度の脅迫というのは、例えば、拳銃の銃口を突きつけながら「金を出さないと殺す」などと脅す場合です。
本件では、Aの脅迫は口頭によるものであり、物理的な暴力や凶器の使用はありませんでしたので、反抗を抑圧する程度にまでは至っていなかったと言えそうです(②)。

以上より、Aの発言は恐喝に当たり、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くしたり執行猶予付判決や不起訴処分を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
お電話は0120-631-881で承っています。

【事例解説】車に傷がついたと言いがかりをつけて恐喝

2024-06-23

車に傷がついたと言いがかりをつけて、金銭を脅し取ったとして恐喝罪の疑いで男が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

けんか

事例

仙台警察署は、仙台市に住む自営業の男性Aを恐喝罪の容疑で逮捕した。
ある日、仙台市内のショッピングモールの駐車場で、主婦のBが駐車をする際に誤って隣に停めてあったAの高級車にドアをぶつけ、目立つ傷をつけてしまった。

その場に居合わせたAは、愛車の損傷に激怒し、Bに対して「おい!今当たったぞ!ほら傷ついとるやないか!」「いくらするとおもとんねん!修理代100万いますぐ払え!払わんならお前を同じ目に遭わすぞ」などと大声で怒鳴った
Bは恐怖のあまり、その場で所持していた現金10万円と、翌日までに残りの90万円を支払うことを約束させられた

その後、Bは恐喝されたことを家族に相談し、家族の勧めで警察に通報。仙台警察署は調査の末、Aを逮捕した。取り調べに対し、Aは「車の修理代を取りたかった」と容疑を認めている。
(フィクションです)

恐喝罪とは

刑法249条(出典/e-GOV法令検索)

人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する

本件で、Aは大切にしていた高級車が、ショッピングモールの駐車場でBの不注意によって傷ついてしまったため、修理代としてBに対して100万円を要求し、10万円を差し出させたようです。
Aは、Bに対して10万円という財物を自身に交付させていますから、Aの発言が恐喝に当たるとされた場合、恐喝罪が成立する可能性があります。

恐喝とは、①財物交付に向けられた人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。

まず①について検討すると、本件Aは、Bに対して弁償と称して100万円を要求し、支払わないのであればBを愛車と同じ目に遭わすと脅したようです。
Bを、傷つけられた愛車と同じ目に遭わすというAの発言は、Vの身体に暴行を加えると脅迫していると言えます。
したがって、Aの発言は、財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫に該当しそうです(①)。

次に、Aの発言がBの反抗を抑圧するに至らない程度かどうかが問題となります(②)。
反抗を抑圧する程度の脅迫というのは、例えば、拳銃の銃口を突きつけながら「財布の中身を全て寄越せ」などと脅すような場合です。
この場合、殺されないためには言われた通りお金などを差し出すほかないでしょうから、反抗を抑圧する程度の脅迫と言えます。

本件Aは、Bに対し、高級車と同じように傷つける(=Bの身体に暴行を加える)と脅しているので、Bとしては恐怖を感じたと思われますが、Aはナイフのような凶器を持っていた訳ではなく口頭で怒鳴っているだけですので、Bにとって反抗をすることが困難であったとまでは言えない可能性があります(②)。

以上より、Aの発言は、恐喝に当たり、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。

なるべく早く弁護士に相談を

恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役となっているため、執行猶予がつかない可能性があります。
というのは、執行猶予がつくためには、下される量刑が3年以下であることが条件の1つだからです。
仮に執行猶予がつかなかった場合、刑務所の中で服役することなり大学に通ったり会社に出勤したりすることはできず、解雇や退学処分となることが珍しくありません
したがって、刑務所での拘束を避けるためには、科される量刑を3年以内に抑えて執行猶予付判決を獲得する必要があり、そのためには被害者との間で示談を締結できるかが非常に重要となります。

本件被害者であるBにも落ち度はあったとはいえ、BからするとAにいきなり怒鳴られ、暴行を加えると脅され、現金10万円を脅し取られてたわけですから、BはAに対して強い処罰感情を有している可能性があります。
この場合、A自らBに接触して示談交渉を進めようとしてもうまくいかない可能性が高く、連絡を取ること自体拒絶されるかもしれません。

そこで、交渉のプロである弁護士に第三者的立場から示談交渉をしてもらうことをおすすめします。
加害者と直接連絡を取ることに強い抵抗を示す被害者であっても、弁護士を通じてであれば示談交渉に応じてくれることは珍しくありません

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は恐喝事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
恐喝事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例解説】傷害の共謀 自分はやっていないと不満 

2024-06-16

傷害の共犯として警察の取調べを受けることになったものの、自身は殴っていないとして納得せず弁護士に相談するに至った事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

事例 

アルバイトのAさんは、アルバイト先の社員Vさんと険悪な仲でした。ある日アルバイト先の同僚BさんとVさんの悪口を話していた際に、一回痛めつけてやろうという話になり具体的な暴行計画について話し合うことになりました。
AさんとBさんの計画では、AさんがVさんを尾行してVさんの位置をBさんに随時報告し、タイミングを見計らってBさんがVさんを後ろから殴り、あとでAさんも暴行に加わるというものでした。 
計画通り、Vさんに対してBさんが殴ることに成功しましたが、攻撃を受けたVさんが大声をあげて周りに助けを求めたため、AさんとBさんはその後の暴行をやめて二人で逃げました
Vさんは頭部裂傷と皮下血種の傷害を負いましたが、大事には至りませんでした。
Vさんの被害供述をもとにBさんが取調べに呼ばれ、Aさんの関与を明らかにしたためAさんも警察から呼び出しを受けるに至りました。
自身は暴行行為を加えていないAさんは、自分も傷害罪の罪を負うことになるのか気になり弁護士に相談してみることにしました。

傷害罪の共謀共同正犯について 

刑法60条出典/e-GOV法令検索)は、「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」と定めています。 
共同正犯は、実行共同正犯共謀共同正犯に分けられます。
実行共同正犯とは、共同行為者全員が実行行為を分担し合って犯罪を実現する場合を言います。
例えば、2人でVさんの殺害計画をして、計画に基づきVさんに2人でそれぞれピストルを発砲し死亡させたような場合です。
このように、2人が共同して実行する意思の下に発砲した場合には、もしいずれの弾が命中したかがわからなくても2人とも実行共同正犯として殺人既遂罪の責任を負います。 
共謀共同正犯とは、2人以上の者が犯罪を実現するための謀議をし、共犯者の一部の者のみが実行行為を行う場合をいいます。 
これが認められる場合には、実行行為をしていないものについても共同正犯として発生した犯罪事実すべての責任を負うことになります。
成立要件としては、①共謀、②共謀に基づく実行行為が必要となります。

共謀とは、共同犯行の合意形成をいいます。これは意思連絡および正犯意思によって判断されます。 
簡単にいうと、意思連絡は共同犯行の意識について関与者間に意思疎通があったか、正犯意思は自分たちの犯罪を遂行しようとする意識があったかが問題になります。

共謀に基づく実行行為は、共謀に基づいて少なくとも共謀者の1人が実行行為があった場合に認められます

事例のAさんの場合 

Aさんは、Vさんに直接暴行行為をしていないため、Aさんが傷害罪の「正犯」として処罰されるかは、共謀共同正犯が成立するか否かにあります。 
共謀共同正犯の成立要件を簡単に検討していくと、共謀についてはAさんとBさんはVさんに暴行を加える計画を綿密に立てており、意志の連絡が十分にあるといえます。また、どちらも自らの犯罪として実行する意思を有しているため正犯意思も認められそうです。
そうすると、共謀は認められそうです。
次に、AさんとBさんの共謀に基づいて、BさんがVさんに傷害を加えているため、共謀に基づく実行行為も認められるでしょう。
そうすると、傷害行為に加わっていないAさんについても共謀共同正犯として「傷害罪」の「正犯」としての責任を負うことになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くしたり執行猶予付判決や不起訴処分を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

 

【事例解説】生徒を殴り怪我を負わせたダンススクールの講師を傷害で逮捕

2024-06-02

態度の悪い生徒を殴って怪我を負わせたとして、傷害罪の容疑でダンススクールの講師が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

ダンススクール

事例

東京都新宿区の人気ダンススクールで講師を務めるAは、熱心な指導と何人もの生徒をプロとして輩出してきた実績で有名であった。
ある日のレッスンで遅刻してきた生徒Vがいたので、みんなの前で注意をしたところ、態度を改めずに反論を続けたため、Aは感情を抑えきれず、Vの顔を殴ってしまった
殴られたVは倒れこんで顔面に打撲を負い、レッスン途中で家に帰ってしまった。
帰宅したVが怪我をしていることに気づいた両親が、新宿警察署に連絡したところ、Aは逮捕され、傷害罪の容疑で取調べを受けることとなった。
Aは警察の取調べで、「Vの態度があまりにもひどく、感情的になって殴ってしまった。深く反省している」と容疑を認めている。
Vは病院で診察を受けた結果、顔面打撲の他に軽い脳震盪の症状も認められ、数週間の治療を要することが判明した。

傷害罪とは

本件で、ダンススクールの講師であるAは、態度の悪い生徒Vの顔面を殴ってしまい、傷害罪の疑いで逮捕されるに至ったようです。

刑法204条(出典/e-GOV法令検索)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、人の身体を「傷害」する犯罪です。
判例によれば、傷害とは人の生理的機能に障害を加えることです(大判明治45年6月20日)
例えば、相手を殴って出血させたり、骨折させたりする行為は、人の生理的機能に障害を加えることにあたり、傷害罪が成立する可能性があります。
本件Aは、レッスンに遅刻して注意されても反省を色を示さなかったVを殴った結果、顔面打撲と軽い脳震盪で全治数週間の怪我を負わせて、Vの生理的機能に障害を加えたようです。
したがって、Aには傷害罪が成立する可能性があります。

逮捕後の弁護活動

本件で容疑者は逮捕されています。
逮捕自体は最大72時間ですが、この間に勾留の必要があるかどうかが検察官と裁判官により判断され、検察官が請求をし裁判官が勾留が必要だと判断した場合、さらに10日間身柄を拘束されることになります。

身柄拘束中は、Aは講師として出勤することができなくなります
この場合には、長期間にわたって出勤できないことを理由に解雇される可能性があります。
したがって、身体拘束の長期化を防ぐために、検察官と裁判官に勾留の必要がないことを説明するべきです。
刑事事件に詳しいわけではない一般の人にとって、検察官と裁判官に何をどう説明したら勾留の必要がないと判断してもらえるのか、よく分からないでしょうから、ご家族が逮捕された場合は、弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士は、検察官と裁判官に対し、意見書を提出して、勾留の必要性がないことを説明することができます。
適切なタイミングで説得力のある意見書を提出するためにも、ご家族が逮捕された場合にはできるだけ早く弁護士にご相談ください。

また、傷害罪のような被害者のいる犯罪では、起訴・不起訴や量刑の判断において、被害者側と示談を締結できているかどうかが大きな意味を持ちます。
早期に示談が成立すれば、不起訴処分となる可能性がありますし、仮に起訴されたとしても執行猶予がつく可能性がありますから、やはりできるだけ早く弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は傷害事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
傷害事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】課題を見せてもらえず同級生を殴り骨折 高校生を逮捕

2024-05-26

課題を見せてもらえなかったという理由で同級生を殴って骨折させた高校生が逮捕された刑事事件・少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

けんか

・事件概要

岡山県内の高校に通う男子高校生A(16)が、同級生Vの顔を複数回殴って鼻の骨を骨折させるなど全治2ヶ月の怪我を負わせた傷害罪の疑いで、岡山中央警察署に逮捕された。
Aは、数学の提出課題を期限内に提出することができそうにないため、同級生のVに頼んで、1000円でやってもらうことにした。
Vが頼まれた課題を解いてAに渡そうとしたところ、Aが「今金ないから明日払うわ」と言ったため、トラブルとなり、AがVの顔を複数回殴り、Vの鼻の骨が折れるなど全治2ヶ月の怪我を負った。
鼻から血を流しながら自宅に帰ったVを見た両親が警察に被害届を提出した結果、Aが逮捕された。
警察の取調べに対し、Aは、「金を払いたくなかった。Vが金と同時じゃないと渡さないと言い出したので、カッとなって殴ってしまった」と容疑を認めている。
(フィクションです)

・傷害とは

刑法204条(出典/e-GOV法令検索)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、人の身体を「傷害」する犯罪です。
判例によれば、傷害とは人の生理的機能に障害を加えることです(大判明治45年6月20日)
例えば、相手を殴って出血させたり、骨折させたりする行為は、人の生理的機能に障害を加えることにあたり、傷害罪が成立する可能性があります。

本件では、Aは自分の課題をVに説いてもらったものの、約束の1000円を支払わなかったことでトラブルになり、Vに暴行を加えて鼻の骨を折る怪我を負わせたようです。
鼻の骨を折るというAの行為は人の生理的機能に障害を加えることにあたりますから、Aには傷害罪が成立する可能性があります。

・できるだけ早く弁護士に相談を

本件Aは16歳の高校生ですが、Aのした行為は傷害罪という立派な犯罪です。
加えて、本件Vは鼻の骨を折られて全治2ヶ月と診断されたようです。
警察は、被害者の怪我が比較的重症であることから、在宅ではなく逮捕に踏み切ったようです。

Aは20歳未満ですから、少年事件として事件は処理されて行くことになりますが、基本的には大人が傷害事件を起こしたときと同じ扱いとなります。
したがって、逮捕による身柄拘束は最大3日ですが、それに引き続き勾留という形でさらに10日間身柄拘束される可能性があります。

突然逮捕されると、家族などの親しい人たちから切り離されてしまい、大人であっても不安な気持ちになりますから、できるだけ早く弁護士を派遣されることをおすすめします。
逮捕された人とご家族が面会することは制限されることが多いですが、弁護士であれば基本的にいつでも接見することができます。
ご家族からの伝言も弁護士を通じてお伝えすることができます。

法律のプロである弁護士が、刑事手続の流れや、事件内容を踏まえて今度の見通しを説明することで、孤独で不安な気持ちを和らげることができるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
高校生のお子さんが傷害事件を起こしてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例解説】部活を辞めた後輩を脅迫 暴力行為等処罰法違反で逮捕(後編)

2024-05-12

前回に引き続き、部活を辞めた大学の後輩に対して、集団を装い脅迫した事件について、暴力行為等処罰法違反となる可能性があるかどうか弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

けんか

事例紹介

関西の大学に通う大学生のAさんは、大学の柔道部の主将として、全国大会で優勝するため同期や後輩を練習に励んでいました。
Aさんが厳しい練習メニューを作成したところ、2年の後輩の1人であるVが部活動に来なくなり周囲の人たちに部活動の不満を言っていると知りました。
Aさんは内心穏やかでなかったものの気にしないようにしようとしていました。
しかし、Vさんに触発されて部活動をやめると言い出す後輩が複数で現れ柔道部が存続の危機になってしまったので、Vさんが諸悪の根源と考え、Vさんに電話で「お前好き勝手言っとるみたいやのう。柔道部全員で殺しに行くから待っとけ」と言ってしまいました。
怖くなったVさんは、両親と連絡し被害届を警察に提出することにしました。
後日、Aさんは警察に逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
前編では脅迫罪の成否についてを、後編では暴力行為等処罰法の成否について解説します。

暴力行為等処罰法違反

暴力行為等処罰法(出典/e-GOV法令検索)は、脅迫罪等の刑法犯が一定の場合に行われた場合に、刑法よりも重く処罰すると規定しています。
例えば、刑法上の脅迫罪の法定刑は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑ですが、暴力行為処罰法では一定の場合に脅迫罪に当たる罪が犯された場合、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。

具体的にどういった場合かというと、①現実に団体や多数人で威力を示して脅迫した場合、②現実には団体や多数人ではないのにそうであるかのように装って脅迫した場合、③凶器を示して脅迫罪を行った場合です(暴力行為等処罰法1条)。

前編で解説したように、Aさんは脅迫罪に当たる可能性があります。
さらに、Aさんは、Vさんに「柔道部全員で」殺しに行くと言ってしまったようです。
実際にAさん以外の柔道部員がVさんを殺そうと思っていなかったとしても、Aさんは、あたかも柔道部員からなる団体がVさんを殺そうとしているかのように装って脅迫したことになりますから、暴力行為等処罰法1条違反になる可能性があります。

弁護士に相談を

本件のように被害者のいる犯罪では、示談を成立させることが非常に重要となります。
早い段階で示談が成立すれば、起訴猶予による不起訴処分となるかもしれません。
仮に起訴されたとしても、量刑が、示談が成立していることを踏まえて軽くなる可能性もあるからです。

もっとも、加害者自ら示談交渉のため被害者と連絡を取ろうとするのはおすすめできません。
本件では、Aさんから殺すと言われて怖い思いをしたVさんは、たとえAさんが反省し謝罪したと思っていたとしても、Aさんとは一切連絡を取りたくないと思うかもしれません。

そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者本人とやりとりすることを強い嫌う被害者であっても、弁護士相手であれば交渉に応じてくれることは少なくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、脅迫事件、暴力行為等処罰法違反事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
ご家族が脅迫罪や暴力行為等処罰法違反で警察に逮捕されてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
無料法律相談、初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

【事例解説】部活を辞めた後輩を脅迫 暴力行為等処罰法違反で逮捕(前編)

2024-05-05

部活を辞めた大学の後輩に対して、集団を装い脅迫した事件について、前編・後編に分けて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

けんか

事例紹介

関西の大学に通う大学生のAさんは、大学の柔道部の主将として、全国大会で優勝するため同期や後輩を練習に励んでいました。
Aさんが厳しい練習メニューを作成したところ、2年の後輩の1人であるVが部活動に来なくなり周囲の人たちに部活動の不満を言っていると知りました。
Aさんは内心穏やかでなかったものの気にしないようにしようとしていました。
しかし、Vさんに触発されて部活動をやめると言い出す後輩が複数で現れ柔道部が存続の危機になってしまったので、Vが諸悪の根源と考え、Vに電話で「お前好き勝手言っとるみたいやのう。柔道部全員で殺しに行くから待っとけ」と言ってしまいました。
怖くなったVは、両親と連絡し被害届を警察に提出することにしました。
後日、Aさんは警察に逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
前編では脅迫罪の成否についてを、後編では暴力行為等処罰法の成否について解説します。

脅迫罪について

刑法221条1項(出典/e-GOV法令検索)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

本件では、Aさんは、全国大会優勝に向けて柔道部の主将として部活を引っ張っていたところ、後輩の1人であるVさんが退部し柔道部の悪口を吹聴した結果、柔道部が存続の危機になったようです。
大事な柔道部がVさんによって存続の危機に晒されたと考えたAさんは、Vさんに対し「柔道部全員で殺す」と言ってしまったようなので、脅迫罪が成立する可能性があります。

脅迫罪における脅迫とは、一般人を畏怖させるに足りる害悪を告知することを言います。
Aさんは、Vさんを殺してやると言っています。
これは、生命に対する害悪の告知と言えます。
一般に殺してやると言われれば恐怖を感じるでしょうから、本件では脅迫罪が成立する可能性があります。

本件では、VさんはAさんに殺すと言われ怖くなって両親に相談したようです。
仮に、Vさんが非常に強くて、Aさんをはじめとする柔道部員全員と戦っても勝てるから怖くないと考えていた場合にも脅迫罪は成立するのでしょうか?
この点について、判例は、脅迫を受けたものが現実に畏怖したことは必ずしも必要ではなく、一般人を畏怖させることができる程度の害悪の告知を、被害者が認識しさえばよいとしています(大判明治43年11月15日)。
したがって、Vさんがものすごく強くてAさんの発言に対し恐怖を感じていなかったとしても、そのことを理由に脅迫罪の成立は妨げられません。

弁護士に相談を

本件のように被害者のいる犯罪では、示談を成立させることが非常に重要となります。
早い段階で示談が成立すれば、起訴猶予による不起訴処分となるかもしれません。
仮に起訴されたとしても、量刑が、示談が成立していることを踏まえて軽くなる可能性もあるからです。

もっとも、加害者自ら示談交渉のため被害者と連絡を取ろうとするのはおすすめできません。
本件では、Aさんから殺すと言われて怖い思いをしたVさんは、たとえAさんが反省し謝罪したと思っていたとしても、Aさんとは一切連絡を取りたくないと思うかもしれません。

そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者本人とやりとりすることを強い嫌う被害者であっても、弁護士相手であれば交渉に応じてくれることは少なくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、脅迫事件、暴力行為等処罰法違反事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
ご家族が脅迫罪や暴力行為等処罰法違反で警察に逮捕されてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
無料法律相談、初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

【事例解説】高校球児の後輩に対する暴行事件

2024-04-28

高校球児が部活の後輩に対して暴行した事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

けんか

・事例

甲子園に何度も出場したことのある千葉の強豪校で、先輩部員から後輩部員への暴行事件が起こった。
野球部に所属する高校3年生のAは後輩部員V1,V2,V3に対して、指導という名目でバットで殴るなどの暴行を加えたとして、千葉中央警察署はAを暴行容疑で逮捕した。
V1らは助けを求めて最寄りの警察署に被害届を提出したことで、事件化した。
警察は野球部の他の部員等にも聞き取りをして、暴行が常態化していたかどうか調べている。

・暴行罪と傷害罪

本件では、Aが複数の後輩に対して、指導という名目でバットで殴るなどしたようです。
Aの当該行為が、暴行すなわち人の身体に対する不法な有形力の行使にあたる場合には暴行罪が成立します(刑法208条「出典/e-GOV法令検索」)。
さらに、暴行により被害者が出血したような場合には、人の生理機能を侵害したとして傷害罪が成立します(刑法204条「出典/e-GOV法令検索」)。

暴行罪の多くの場合においても、身体に対して不法な有形力の行使があった以上、厳密に言えば(微細な内出血など)何らかの生理機能が侵害されていると言えそうですが、実際には、被害者側の怪我の病院診断書が、警察に提出されているかどうかがにより暴行罪になるか傷害罪になるかの分かれ目になることが多いです。

暴行罪の法定刑が「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」であるのに対し、傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と重くなっていますから、どちらの罪が成立するかは大きな違いを生みます。

・暴行罪事件の弁護活動

暴行罪または傷害罪に当たるような行為をしてしまった場合、被害者側と示談を成立させるなどして、被害届を取り下げてもらったり、病院診断書の提出を控えてもらうことができるかどうかが重要となります。

ただし、加害者側の人間が直接被害者側と示談交渉を進めることが得策ではありません。
本件のように、被害者が未成年である場合には、被害者側の交渉主体は保護者となります。
保護者は本人以上に、加害者に対して強い処罰感情を有している可能性がありますから、示談交渉自体を拒絶される可能性もあります。

そこで、刑事事件に強い弁護士に依頼することをおすすめします。
豊富な示談交渉の経験のある弁護士が被害者側との示談交渉を行うことで、被害届の取下げ等の、加害者を許す意思を含む示談を成立させ、不起訴処分や刑罰軽減につながるかもしれません。

暴行事件や傷害事件を起こしてしまった場合、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

体罰暴行事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

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