【事例解説】退店を命じてきたバーの店主を脅迫(後編)
バーの店主を脅迫したとして男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは、バーで一人で飲んでいたところ、異性の客がいたので気を良くし、その客に執拗に話しかけていました。客が嫌がっていたのを察した店主のVは、Aに退店を命じたところ、酔いが回っていたAは逆上して、店主Vに対して罵詈雑言を浴びせました。
怒りが収まらないAは、「この店どうなってもええんか」「俺の連れに悪いやつがいてな」「火事で店無くなったりせんとええな」などといいました。
Aさんが店を後にして直ぐに店主Vは警察にこのことを相談し、数時間後にAさんは脅迫の疑いで逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
今回の事例では
今回の事例では、激昂したAが、店主Vに対し、悪いツレがいる、この店どうなってもええんか、火事が起きないとええな、などと、Vの生命・身体や財産に対しての安全を脅かして不安をもよおすような内容の告知を行っています。
このような告知が、一般人を基準として恐怖を感じる程度の害悪の告知に当たるかの判断は、Aの性別や年齢、風貌、客観的な状況などを総合的に考慮されることになります。
害悪の告知に当たると判断されれば、脅迫罪が成立する可能性があります。
罰則は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」(刑法222条)で、懲役刑も用意されています。
早めに弁護士に相談を!
懲役刑を避けて罰金刑で済ませたり、執行猶予を付けたりすることができるかどうかは、被害者との間で示談を成立させることができるかが重要となります。
示談交渉は、逮捕されているかどうかに関わらず、ご自分で行うことは望ましくありません。
加害者本人が謝罪するために連絡したとしても応じてくれない可能性が高いです。
そこで、示談交渉は弁護士に一任することをおすすめします。
加害者本人ではなくその弁護士が相手であれば、被害者が示談交渉に応じてくれることは珍しくありません。